自分に自信が無い女の子を褒めまくった結果、自信を身に着けて優勝してしまう話   作:匿名で性癖露出がきもちぇ~!

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難産だった……


ダウナーでワーカーホリックな研究者お姉さんは縋りたい

「――もう、平気か?」

「……今度こそ、本当に…大丈夫」

 

クリスに抱きかかえられた状態で、襲い掛かった眠気に抗わず瞼を閉じると、目を覚ました時には三十分と言う時間が過ぎていた。

たった三十分の時間であったが、まるで何時間も熟睡できたかのような気分であった。

 

「……もう少しだけこうしておくか?」

 

抱きしめる力こそ弱まったはいいものの、いつまでも離れる様子が無いベリンダを見て、クリスがそう問いかける。

 

「い、いや……流石にこれ以上は迷惑はかけられないから……遠慮して――っ!?」

 

突如として、クリスがベリンダを胸に抱き寄せた。

顔を胸に押し付けられているからか、ベリンダの言葉が物理的にさえぎられる。

 

「いーからいーから、遠慮なんてしなくていいんだよ」

「ほ、本当に大丈夫だから……」

「ンなこと言って、ちゃっかりそっちも抱きしめ返してるじゃねぇか。ほら、俺の事は気にしないでもう一度眠っちゃいな。いつも頑張ってんだから、今日ぐらいはゆっくり休め」

 

そう言って、つい先程と同じように髪を梳き始める。

最初はほんの少しだけ抗っていたベリンダも、やがて、身体全身に伝わる心地よさに身をゆだねるようになって、数分もすれば再び眠ってしまった。

 

先程は眠らなかったクリスであるが、女性特有の柔らかい身体、そのサイズ感と言うものが抱き枕の様な心地よさであり、ベリンダが眠って少ししてから、自身も同じように眠りについてしまった。

 

 

 

彼女の眼の下にできた酷い隈からも分かるように、ベリンダは重度の不眠症を患っている。

身体は常に疲労困憊で、睡眠を訴えてきているというのに、どれほどの時間瞼を閉じようとも、意識が落ちることは無かった。むしろ、視覚という情報が減らされる分なのか、思考が研ぎ澄まされてしまう。

 

故に、気絶するまで仕事をするか、或いは薬に頼ることによって睡眠を取っていたわけであるが、ここ最近はその症状がかなり悪化していた。

 

不眠症の原因としてよく考えられるのは、精神的ストレスだ。

やはりというべきか、ベリンダもその例に漏れない。

 

元々精神が不安定な状態であったが、ある事を知ってしまったが為に、さらに精神に追い打ちを欠けることとなってしまった。

 

ある事とは、尊敬していた母の死の真相である。

 

ベリンダが知る限りでは母は研究中の事故で死んだということであったが、真相は違った。

事故死なんかではなく、明らかに仕込まれた上での他殺であった。それでいて、ベリンダの母の殺害を企てたのが、母亡き後自身を研究者として育ててくれた信頼していた男であったのだ。

 

それを知った直後のベリンダの心には、途端に復讐心で満たされてしまった。

自身の経験、知能、コネをすべて駆使し、その男を探し始めた。

それで、目的の人物というのはあっという間に見つかった。探した期間で言えば、一週間も経っていないかもしれない。――ただ、見つけた後が問題であった。

 

男は認知症を発症していた。

日によっては自分の名前すら思い出せないほどに酷い状態であり、言ってしまえば生きているだけに過ぎない状態に陥ってしまっていた。

そんな状態の人物に復讐をしたとしても、果たして意味があるのだろうか。そもそも、意味なんてあったのだろうか。

 

その人物を見つけ出してから、改めて一体自分は何をしたかったのかを考えた。

 

母の仇と言うことで殺したかったのか? 懺悔の言葉を述べてほしかったのか? もしくは、母を殺したことに何かしら仕方のない理由があって欲しかったのか?

 

考えれば考える程に、これまでの自分の行動は無意味な行為に思えてしまう。

 

「(……なんだか……めんどくさくなってきたな……)」

 

そうしてふとした時、まるで糸が切れたかのように、考えることが面倒になった。

 

だから、殺してしまうことにした。

 

バレないように、だとか、少しでも苦しませられるように、だとか。そんなのはもう、どうでもよくなっていた。もう、考えるのが面倒になった。なってしまったのだ。

 

ベッドで眠っているその男の首に触れ、喉仏に両手の親指を重ね、そのまま握り潰そうとした時だった。

 

「――おねえさん、だあれ?」

 

ベリンダの背後から、声を掛けてくる人物がいた。丁度、扉の方向である。

咄嗟に男の首から手を離したベリンダは、すぐさま声のする方向に振り返る。

そこには、幼い少女がクマのぬいぐるみを両腕で強く抱きしめながら立っていた。その表情からは、若干の恐怖心のようなものが感じられた。

 

「…………私はね、研究者だよ」

 

怖がらせないように、笑みを浮かべながらそう言ったつもりだったが、全く笑えていなかった。

 

それで、怖がってしまったのか少女はおずおずと立ち去ってしまった。

 

少女の姿が消える頃には、復讐心で満たされていた心の中は、すっかり何もなくなってしまい、空虚となった。いや、名状しがたき感情に置き換わったと言った方が良いだろうか。

 

何だかもう全てが、どうでもよくなってしまった。

 

 

 

それ以降、ベリンダは重度の不眠症なんてレベルではなく、もはや睡眠を取ることが出来なくなってしまっていた。

それと同時に、最近までは治まっていたはずのPTSDも以前よりも酷い状態になってしまっていた。

復讐とは炎のようなものであるとは、誰が言った言葉か。まさしく、復讐心に駆られていたころのベリンダは、PTSD(寒さ)なんて気にも留めていなかった。

 

そんな自分自身を誤魔化すべく仕事に打ち込んだ。とっくに精神は限界を迎えていたが、それにより、いよいよ身体までもが限界を迎え始めてしまっていた。

薬に頼って睡眠を無理やりにでもとっているからか、明らかに身体に異常が出始めている。止まらない頭痛に、酷い吐き気に眩暈。確実にベリンダは壊れつつあった。

 

そんな状態の彼女を支えてくれる人物がいればいいのだが、生憎彼女にはそのような人物がいない。

 

――ただ一人を除いての話である。

 

実のところ、過去にPTSDが重症化した際に彼女を支え助けていたのはクリスである。

元々それなりに話す仲であったということや、偶然にも睡眠不足により限界を迎え倒れていた彼女に出くわしたということなどがあり、それからなんやかんやあって症状がある程度治まるまでの間、半ば同棲のような形で過ごしていた時期があったのだ。

 

そして今回そんな状態に陥った彼女を助け出したのも、またしてもクリスであった。

 

ベリンダは二度目の目覚めから覚めてまずしたことは、自身を抱きかかえる存在の確認であった。

服越しに伝わる体温は、確かな安心感を与える。

胸に顔を埋め、鼓動を感じるのは非常に心地が良い。

この瞬間が永遠に続いてほしいと願うのは仕方のないことだろう。

 

母を亡くしたあの日あの時から、ベリンダは彷徨っていた。

 

長い長い時間を、一人で苦しんでいた。

 

やっと見つけた、クリスと言う存在。彼に対してベリンダは様々な感情を抱いていた。

子供が親に向けるような安心感、一人の男性として恋慕の情に、友人としての信頼感。

しかし、現在のベリンダの心中に大きく渦巻いているのは恐怖心である。

 

彼が自分から離れてしまうのが怖くて仕方がない、彼を温もりを喪うことが怖くて仕方がない、彼が居ない未来を考えるのが怖くて仕方がない。

 

一刻も早く、この恐怖心から逃げたくて仕方が無かった。

 

 

 

二人はあの後、以前と同じようにとりあえずは落ち着くまで一緒に住むこととなった。

 

それで、帰ってきてとりあえず、ベリンダをお風呂に入れさせ、その間クリスは晩御飯の準備をし、お風呂から上がったベリンダが髪を乾かしている間に、自分自身もシャワーだけ軽く済ませ、それで用意していた晩御飯を一緒に食べた。

 

晩御飯を食べるときは、向かい合う形で茶碗などを置いていた訳であるが、ベリンダの希望により、隣――それも互いの身体が触れ合う程の距離――で食べることとなった。

 

晩御飯を食べ終え、しばらくテレビをなどを見ながらのんびりしていると、ふとした時、ベリンダが肩に寄りかかってきた。

何かを察したクリスが、片腕をベリンダの背中に静かに回すと、そのままベリンダを抱き寄せた。

 

抵抗力は全くなく、ベリンダはそのまま抱きしめられる。いつの間にか、ベリンダもクリスの背中に腕を回していた。

 

そのような時間がしばらく続いて、気が付けば、ベリンダはクリスの胸の中に顔を埋めながら、強く抱きしめていた。クリスもまた、ベリンダを落ち着かせるように、背中をさすり髪を梳かしながら彼女の様子を観察していた。

 

「ねぇ……クリス……」

 

ふとした時、胸の中で静かに名前を呼ぶ。

顔をうずめてしまっているため、視界に入るのは青が混じった艶のある美しい黒髪だけであり、彼女の表情を伺うことが出来ない。長い長髪から零れ出るように若干見えている白い耳は、少しだけ紅く染まっている。

 

「何でも……してくれるんだよね?」

「俺にできることならな」

 

「辛いときは頼ってくれ。俺にできる事だったら何でもしてやる。頼れない程に辛いんだったら、すぐにでも駆けつけてやる」そんな過去のクリスの発言は、ベリンダの記憶に鮮明に残っていた。

その言葉の通り、クリスは頼ることが出来ない程に辛いときに、自分を救ってくれたのである。

ベリンダにとってこの言葉は、一生忘れることのない言葉となった。

 

「…………それなら……これからも…一緒に過ごしてくれるかい?」

「……前と同じで、症状が治まるまではな」

 

ずっと、とは言ってくれないんだ。

そんな言葉が漏れ出そうになるが、かろうじて止まることが出来た。

 

これ以上を求めるのはきっと強欲すぎる。

今のこの状況でさえ、自分には余りにも幸せすぎるのだから。

 

恐怖心から逃れようと、彼に自身の全てを投げ出すのは、余りにも幼稚だ。

それで彼が突き放せばむしろありがたいのかもしれないが、優しい彼の事だ、きっとそんな自分でさえも受け止めてしまうだろう。

 

「うん……ありがとう」

 

そう言って、どこか寂し気に小さく笑うベリンダ。

クリスもまた、そんなベリンダを複雑そうな表情を浮かべながら見つめていた。




賢い女の子が、考えることを放棄しちゃう瞬間ってなんだか……”くる”……よね。

「タイトル詐欺だろ!」→正直そうかも(小声)
過去編を語る事があれば、そこではめっちゃ褒めてると思います……(多分)

それと、1000お気に入りありがとうございます。
たくさんの人に僕の性癖全開の作品を見ていただき非常にうれしいです。
大学生と言うこともあって、勉強に部活にバイトと色々忙しく、中々更新できませんが気長に待っていただけると幸いです。


ベリンダ
お風呂は長風呂
修復不可能レベルにボロボロだったが、クリスのお陰で何とか崩壊せずに済んでいる。作中で描写されている数倍は実際にところ酷い精神状態。
半同棲の時は何度か過ちが起こりかけたが、クリスの鋼の精神で阻止されている。ベリンダ自身は過ちが起きてもいいと思っている。

クリス
基本的には短く風呂を済ませるが、時間に余裕があれば長風呂もする。
性欲を抱かない聖人君主という訳ではなく、普通にめっちゃムラムラしてる。
ベリンダの事は普通に異性として見ているが、彼女の状態がそれどころではない為、友人として彼女の事を心配する気持ちの方が大きい。
頼めば断れない性格。仮にあの場面(「何でもしてくれる?」の後)で「抱いて」とでも言われてたら、抱いていた可能性が高い。それで一生養う覚悟をしていたはずである。(実は下書き時点ではそうなってた)


次の話についてアンケ取っておきます。
アンケ結果はあくまで参考程度ですので、票が同じくらいになったら僕の気分次第でどっちかになると思います

次話について

  • エレンかベリンダの一人称視点をくれ!
  • それよりも、新しいヒロインを!
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