自分に自信が無い女の子を褒めまくった結果、自信を身に着けて優勝してしまう話   作:匿名で性癖露出がきもちぇ~!

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ベリンダ:プロローグ

何もない空虚な日々を過ごして()()()()()()()を思い出すよりかは、ただひたすら研究に没頭していた方がマシだった。

自分の研究が他人に認められるのは、自分の存在意義が認められているような気がして救われていた。

母が研究していた氷魔法を研究するのは、トラウマでありながら母を感じられる気がしていた。

 

研究をすればする程、母を知れば知る程、自分の精神状態が不安定になってきているということは理解していた。けれども、だからと言ってそこで研究することを止めても、趣味も無く、やりたい願望もない私に待っているのはただひたすら空虚な日々だ。

 

生きる意味を見出せなくて、自分の命を自分自身で断とうとしたのは何度もあった。

けれども臆病な私はどれも未遂で終わってしまっていた。

 

要領が悪い私だけれども、母に似たのか記憶力だけは人一倍良かった。それこそ、目の前で母が死んだという出来事を――私を庇うように抱きしめていた母がだんだんと冷たくなっていくあの感覚――十年以上が経った今でも、その時の事を鮮明に思い出せてしまう。

 

その感覚に襲われると、本当に何もできなくなってしまう。それこそ、凍ってしまったかのような気分だ。

 

生きるのは辛い、けれども死ぬのは怖い。

毎日毎日頭が狂いそうだった。あぁいや、もう狂っているのかもしれないな。

 

いくら時を重ねようとも、精神がすり減ろうとも、狂ってしまっても、私はいつまでも母の幻影を追い続けている。

だってそうしないと、自分が何者なのかも見失ってしまいそうになるんだから。

 

 

 

 

 

――私たちは今、ベッドの上で抱きしめ合っている。

 

あぁ、違う。誤解を抱かないで欲しいんだ。決して()()()()()()をしていた訳では無い。

これは言うなれば()()。寒さに震える私を、彼が抱擁することによって助けてくれているんだ。

 

「――あぁ……やっぱり……あったかいなぁ……」

 

私よりも大きくて筋肉質なその身体は本当に温かい。

温かいだけじゃなくて、彼の匂いはなんだかとても安心感を与えてくれる匂いで、抱きしめられていると自然と眠くなってくる。

 

お互いに腕を背中に回し、そして抱きしめ合っているのもあって、身体の全てで彼を認識することが出来る。それこそ、溶け合ってしまっているんじゃないかって錯覚を覚えてしまいそうになるほどに密着している。

 

「……頭を撫でて……くれるかい?」

 

彼の胸に顔を隠しながらそんなお願いをするのは、まだちょっぴり羞恥心が残っているのもあるからだ。

 

彼は私のお願いに対して直ぐに応えてくれた。

 

片方の腕を私の背中から離してしまったかと思えば、すぐにその離された腕の方の手が、私の頭にそっと優しく触れてきた。

彼の手はやはりというべきか男性らしく大きく、そしてどこかゴツゴツと骨ばったものを感じさせる。けれどもそんな彼の手に私の頭を、まるで壊れ物を扱うかのように丁寧さでゆっくりと撫でられるのは、なんとも言えない心地よさがあった。

時々、彼の指先が私の髪の隙間に入り込み、それを梳かれるのも、これまた心地よくて仕方がない。

そして湧き上がってくる感情に思わず耐え切れなくて、ほんの少しだけ身をよじれば、彼は小さく笑い声を漏らしていた。ほんの少しだけ、恥ずかしい気持ちが湧いてきた。けれどもそれ以上に心の底から幸せな感情が溢れだしてくる。

 

その感覚に浸っていると、だんだんと意識がもうろうとしてきて……

いつまでもこの感覚に浸っていたはずなのに……瞼は自然と重くなっていって……私はそのままゆっくりと、眠りの底へと沈んでしまっていた。

 

 

ふとした時、聴覚が音を認識したのをきっかけに目を覚ました。

 

目を覚ましてまず気付いたのは、眠りにつく直後まで感じていた身体全身に伝わる彼の温もりが無くなっていることだ。

けれども一緒のベッドに眠っていたからか、微かに彼の匂いだけが確かに残っていた。

 

「――あぁ…すまん。起こしちまったか。」

 

声をかけられた方向へ目を向ければ、そこには眠そうに瞼を擦る彼が居た。様子から察するに彼もついさっき目覚めたばかりなのだろう。

 

いつもの元気そうな彼からは想像できない程にしょぼくれた姿は、毎度のことながらどうしても面白く思えてしまう。

 

私はまだ思考がぼーっとしながらも、彼に挨拶の言葉を呟いた。

 

「おはよう、クリス」

 

 

 

「――ん~、やっぱりベリンダの作る飯は美味いなぁ」

 

それから小一時間ほどして、私達は朝食を取っていた。

朝食を作ったのは私だ。……意外に思うかい?

 

確かに私は生活力というものが低いだろう。ただそれは、症状のせいで気力が湧いてこないからであったり、単純に研究者という職業柄というのもあってそういう事に割く時間というものが無いということもあり、そういった諸々の事情で低くせざるを得なかったと言っていいだろう。上げようと思えば上げれたはずだ。……多分。

 

生活力が低い自覚はあるが、実のところ料理についてはそこそこ自信がある。

私の記憶力の良さと料理というものは中々に相性がいいみたいでね。一度作ってみたものであればレシピを見ずとも再現出来るし、モノによってだけど一口食べてそれを再現することだって出来る。流石に完璧に再現できるという訳ではないけどね。

 

とはいえ最初の頃――彼と1度目の同居をしていた時はそれはもう、酷い出来だったよ。

何せその頃の私は料理なんて本当にめったいしないと言ったもので、ほぼ毎日、ゼリーや携帯食力なんかで、弁当ですら滅多に食べず、それどころか食事を摂らないなんて時もあった。そんな人物がいきなり料理を作れと言われてできるだろうか? まぁ、無理に決まっている。

 

料理が上手になった、というより基本的なイロハのようなものは彼から教わった。包丁の使い方から食材の保存方法、ちょっとしたテクニックだったりと、見た目に反してと言ってはなんだが彼は料理については詳しかった。

そんな知識をどこで手に入れたのかと尋ねれば、一人で生活していれば自然と身に付いてくるものらしい。身につかない私は一体なんなだろうね……

 

砂糖と塩を間違えていた頃が懐かしく思える。出されたものはどんなものでも完食する彼が、あの時ばかりは涙を流しながら、それと額に青筋を浮かべながらギブアップをしていたな。

 

「……? どうした?急に笑顔になって」

「料理を褒められたからね」

「実際、ホントに美味いからなぁ。朝からこれが食えんのは幸せだよ」

「じゃあ…毎日作ってあげようかい?」

 

告白と捉えてもおかしくない言葉を、私は敢えて口にする。

 

「そりゃ、願ってもないことだ」

 

彼はまるで私の意図に気づいていないかのように、純粋に嬉しそうにそう答えた。

ほんとうに気づいているのか、それとも気づいていないのかは分からない。少なくとも、喜んでいる事だけは間違いないだろう。

 

「――ご馳走様」

 

それから数分程で朝食を食べ終えれば、彼はしっかりと手を合わせそう呟く。

前に教えてもらったのだが、この言葉は感謝の気持ちを表すものらしい。それは食材に対してであったり、料理をしてくれた人であったり、色々な意味が含まれているそうだ。

 

私もそれに習って、同じように手を合わせ「ご馳走様」と呟いた。

 

 

朝食を食べて、仕事着――もっとも、うちの会社には決まった服装は無くて、彼の着ているものは動きやすいかつ、場の雰囲気に合った服と言った感じのものだ――を身にまとった彼を玄関まで見送る。

 

()()()から今日までの三日間は、私の方は有休を使うという体で仕事を休み、彼の方は偶然にも仕事が無かったということもあり、ほとんどの時間を彼と共に過ごしていた。

 

「多分、5時頃には帰ってくる」

「それなら晩御飯を用意して待ってるよ。君の好きなシチューでいいかな?」

 

そう問いかければ彼は子供のような無邪気な笑顔を浮かべ「そりゃ楽しみだな」と言った。

 

そんな会話をしながら、いよいよ準備を終えた彼はドアノブに手を掛けてそれを捻る寸前で、ふと振り返った。

 

「行ってきます」

 

振り返った彼の表情には、少しだけ心配の感情が見て取れた。

何故彼がそんな表情を浮かべるのかは聞かずとも理解できる。だから私は、彼を安心させる為にも微笑みを浮かばせながら、「行ってらっしゃい」と彼に小さく手を振った。

 

 

 

おまけ(本編が短くなったし、いい感じに書けたやつをせっかくなんで供養しときます。もし、の世界線です。)

 

()()が始まるタイミングっていうのは特に決まっていない。

 

話の流れから自然とそういうムードになっていたり、唐突に始まることなんてある。或いは最初からそういうムードだった場合もあった。

 

互いの唇をほんの少しつける程度の短い口付け。

それは言うなれば始まりの合図のようなものだった。

 

最初は唇を触れさせる程度のものだったのが、次第に押し付け合い、互いの舌を絡ませて、呼吸をままならなくさせて息を切らしながら、まるで貪るかのように互いの唇を求める。

 

力加減なんかを遠慮する余裕がなくなってくるのか、優しい彼が普段は絶対にしないような力で私を抱きしめてくる。

それは確かに苦しさと痛みを感じさせる。けれども彼に求められているという事実がそれを上回る幸福感と快感を与えてくれていた。

 

十分な酸素が行き届かなくなってきて、いよいよ視界がパチパチと白くなり始める。そこで、耐えきれなくなった私が本能的に彼から唇を離してしまう。或いは彼を抱きしめる腕に力が入らなくなって、自然と離れるような感じになったのかもしれない。

 

彼との間には透明な橋がたらりと一本だけ繋がっていた。

けれどもそれは、お互いに酸素を取り込もうと息を荒くしながら呼吸を整えるうちに途切れてしまっていた。

 

幕が掛かったかのようにぼんやりとしていた焦点も次第に定まり始めて、ふとした時に彼と目線が合う。

 

「……ずっと……ずっとずっと……離れないで……」

 

そう懇願するように呟いて、私は再び彼の唇へと近づく。

 

 

私は彼に依存している。

それはもう、取り返しがつかない程に。




作中とおまけでベリンダの何が違うの?
→作中であれば最終的に依存ではなく自立させますが、IFルートの場合はお互い依存する、つまり共依存状態になっています。
当初はこっちのif(おまけ)ルートで書き進めてたんですが、どうしてもR18な展開になるので変えました。

ベリンダ
滅茶苦茶に記憶力が良い。「覚えよう」と思った事は必ず覚えることが出来る。その反面、辛い記憶などを元の性格が災いしてか、ずっと覚えていてしまう。
自己肯定感がかなり低い。
依存欲が高めだが、今のところ理性でそれを押し止めている。

クリス
毎朝目覚める度に、隣の美女にドキリとしている。
1度それとなく、距離感が近すぎるんじゃないのかと指摘したことがあるが、ベリンダの精神状態が途端に乱れたことを察知して以降、それを指摘することは無くなった。ただ、一線を超えそうな時だけはしっかりと警告をしている。
実の所、依存欲が高め。

次は多分新ヒロイン出すと思います。

次話について

  • エレンかベリンダの一人称視点をくれ!
  • それよりも、新しいヒロインを!
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