自分に自信が無い女の子を褒めまくった結果、自信を身に着けて優勝してしまう話 作:匿名で性癖露出がきもちぇ~!
正直なところ、クリスは限界だった。
何が限界かといえば……性欲である。
おふざけなどではなく、クリスは本気でその事について困っていた。
何故性欲が限界まで溜まってしまっているのかと言えば、最近同居するようになった
ベリンダの距離感というモノは、それはもう近すぎる。
仮に第三者からその同居の様子を見れば、
ベリンダという女性は内面、外面共に非常に魅力的な女性である。
だがしかし、クリスは彼女とはそういう事をしたいとは考えていなかった。
クリスという男が男でありながら非常に奥手な男であり、それでいて変化を恐れる性格であるということも関係はしているが……それ以上にベリンダという女性の持つ事情も相まって、とてもそういう関係は結べない、結んではいけないと思っていたからだ。
とは言えそうとは考えたものの、クリスとて一人の男性である。
ひと月以上も処理が出来なければ溜まるものも溜まるし、エージェントという危険な職業に就いているということもあってか任務が終われば本能的に昂ってしまう。
このままではいずれ爆発してしまうことは必然。
それでクリスは苦渋の決断を下し、
ネオンの洪水が視界を奪い、無数の看板が色彩の饗宴を繰り広げている。
昼間はがらんとしているいうのに、夜間である現在は溢れんばかりの人がそこには集まっていた。
喧騒、という言葉がまさに相応しいその場所。
そこは、クリスたちの住んでいる国でもそこそこ有名な歓楽街であった。
「来ちまったなぁ……」
思わずそう呟くクリス。
酒を呑むとなればよく利用する見慣れた場所ではあるが、今この時ばかりはその目的も相まってなんだか全く違う場所にも見えてくる。
いつもならばあっという間に人波に飲まれているのだが、いつまでたっても、その場所を表す看板の下で立ち止まっていた。
自分の今を状況を馬鹿らしく思う反面、かと言ってこの場から立ち去ろうという気にはなれない。
ただ、ここに来る前までは限界な程に昂っていたそれはすっかりなりを潜めてしまっている。残るのは虚しさと情けないという気分のみであった。
「……酒飲むか」
そんな気分を紛らわす……或いは今日来た理由付けの為にも、クリスは普段からよく足を運んでいる居酒屋に赴くことにした。
酒でも飲んでいれば気分も乗ってきて――なんて思惑もあったのかもしれない。
それで、その件の居酒屋に向かっている途中に不意にクリスのスマホに電話が掛かってきた。
時刻は既に十時。こんな遅い時間に掛けてくるのは友人からの飲みの誘いの連絡か、或いは現在同居しているベリンダからの連絡か。
仕事の連絡は着信音を変えている為、その可能性は無い。
クリスはポケットからスマホを取り出し、その電話の相手を確認してみれば思わず二度見してしまう。それ程までに電話を掛けてきた人物は意外だったのであるから。
「はい、もしも――」
電話に出る際の定型文を述べる前に「後ろだ」と低く落ち着いた声がそう耳元で囁いた――電話越しではなく、直接。
思わず肩を大きく飛び跳ねさせてしまう。
それで、勢いよく振り返ればそこには黒と紅の混じったウルフヘアの美女が、無表情でこちらを見つめていた。
「――!? びッ……くりしたぁ……」
「……そんなに驚くことか?」
「そりゃ……声をかけるタイミングというのがあるでしょう?」
「そういうものか」
無表情とは言ったものの、彼女――ソニアと長い付き合いであるクリスは、一連の短いやり取りから彼女の現在の感情を読み取ることが出来た。
不機嫌。
彼女は特にそれが声のトーンに出やすい。
だがしかし、どうして不機嫌なのかはクリスは理解することが出来なかった。
「どうして…ここに?」
「君の後ろについてきただけだ」
「……いつから?」
「会社から」
因みにではあるが、クリスの家は会社の社員寮のようなものであり、会社までの距離はなんと歩いて数分も掛からない程の距離である。最早会社の敷地内とすら言えてしまう程度だ。
それ即ち意味することは、最初から着いてきていたということである。
途端にクリスの背中に嫌な汗が流れ始める。
普段であれば、別に後ろを着いていかれようとも気にもとめない訳であるが今回ばかりは話が違う。
明らかに普段とは違う様子であるということを目の前の彼女には気づかれているのだろう。
そのことをクリスは瞬時に理解し、内心で頭を抱えるしか無かった。
「えー………どうしますか……?」
「どうするも何も、君の行きたいところに行けばいいだろう。――……あぁ、そういえば君は…処理をする為に来たんだったな? 私はお邪魔になってしまうか」
絶句。
クリスは顔を真っ青にさせながら、気まずそうに彼女から顔を逸らすことしかできなかった。
とにかくこの場から立ち去りたい。そんな考えがクリスの脳内を占めていた。
だが彼女がそれを許さない。
いつの間にか互いの身体が触れ合う程に距離を縮めていた彼女は、逃がさないとばかりにクリスの肩を掴む。
「行かないのか? 邪魔ならそう言ってくれれば、立ち去るさ」
確かに彼女の性格上、お願いすれば素直に聞き入れて立ち去ってくれるだろう。
とは言え、そんなことを言えるような雰囲気では無い訳である。
「どこに行きたいっすか……?」
「……別に私に聞かなくてもいいだろう? 行けばいいじゃないか、風俗に」
「い、いや……行かないっすよ……お酒行きますか?」
クリスがそう言えば、その返答に満足したのか「君がいいのなら」と言いながら、ようやく肩から手を離す。
どの口が…とは内心思うクリスだが、とは言え長い付き合いである彼女とは久しく飲めていない。
爆発しそうな性欲に目を向けなければとても良い機会だろう。
クリスはため息を吐きながら、先程よりかは機嫌が直りつつある彼女を元より行こうとしていた居酒屋へ案内するのであった。
クリスとソニアの関係はかなり長いものである。
かつて傭兵をしていた頃のお得意先の相手の娘として出会い、その後ソニアが立ち上げた傭兵団の団員として働き、そして傭兵団が解散して今となっては同じ会社で働いている。
かれこれ10年以上も付き合いがある二人であり、言うなれば幼馴染とすら言えてしまう関係だ。
「――何度も言うが、その取って付けた敬語と『団長』呼びはもうやめてくれ。
「まぁ……そうだな」
それでもクリスがソニアに対して敬語を――なんなら、クリスの方が歳は上であるというのに――使うのは、立場上彼女が上であるのが常であったことが理由である。
「とりあえず酒を頼もう。オススメは?」
「ビールだな」
「相変わらず君は……まぁ…君のオススメと言うのであれば飲もう」
クリスは店員を呼ぶと早速注文していく。
隣に座る彼女は特に注文する気はなさそうにぼーっとキッチンの方を見つめていたため、クリスが適当に自分の好きな料理を注文していった。
料理が届くまでも間、二人は世間話に花を咲かせていた。
ある時期は週に一度のペースでサシで飲んでいた二人であったが、今日に関しては実に半年ぶりぐらいのサシ飲みである。
積もる話もあるという事だろう。
それで、話をしていくうちに盛り上がり、届いた料理も届いて酒も回り始めてくれば、ちょっとばかり踏み込んだ話というモノもしはじめた。
「――それで、どうして風俗に行こうとしていた?」
それで、という口頭ではあるものの、話の脈絡なんてものはあったものじゃない。
本当に唐突にそんなことを聞いてきたのだ。
とは言えクリスは、ソニアがそのような質問をしてくることは予想していた。
むしろ、ソニアの性格を考えると酒を呑む前の最初の一言でそれを尋ねてきそうとすら思っていた訳なのだが……流石にこのタイミングで聞いてくるとは思いもしなかったようだった。
クリスは口に含んでいたビールを思わず吹き出しそうになるが、それを抑えゆっくりと飲み込むと、静かに吐き捨てた。
「……俺だって、たまるモンはたまるんだよ」
「そういうものか」
納得したのか、納得していないのかいまいち掴みかねない返事が返ってくる。
「だが分からないな」
「ん?」
「いや、君は今、ベリンダと同居しているのではないのか? ……てっきり、そういう関係だと思っていたのだが」
「……どこで知ったんだよ」
「一緒に帰っている姿を見たからな」
よく考えれば、どうして一緒に帰っている姿を見かけただけで同居しているとまで分かるのかという疑問が生まれるはずなのだが、残念ながら酒が回り始めたクリスの脳みそではそのような考えには至らなかった。
「それで、そういう関係なのか?」
そう問いかけるソニアの声は少しだけ低くなった。
まるで嘘をつかせないと言わんばかりにソニアの燃えるような赤い瞳はクリスの目を一心に見つめくる。
「違う違う! ベリンダとはそういう関係じゃない!」
クリスは慌てて否定する。
確かに危うく手を出してしまいそうな場面はあったものの、結局のところ手を出さずため込んだ結果が風俗に行こうという結論になったのだ。
「では一体、どういう関係なんだ?」
「……詳しくは言えないが、色々とあってな。心配だから一緒に過ごしてるってだけだ」
クリスがそういえば「相変わらずだな」と小さく呟いたソニアは、ベリンダの事についてはそれ以上追及してくることは無かった。
「それで、どうして風俗に行こうとしていた?」
「はぁ?」
とはいえクリス自身は別の話である。
ソニアが先程と全く同じ質問を投げかける。とはいえ、その意味合いは先程とは異なっていた。
「いや俺…今説明したよな?」
「あぁいや、違う……私が聞きたいのは……何故、風俗に
「…………ごめん、どういうこと……?」
しばらく考えてみたものの、クリスはその言葉の意味を理解することが出来なかった。
溜まってしまった性欲を解消するには風俗に行くというのが一番適切なものであると思っていたのだが、どうやらソニアはそれに納得がいっていないようであった。
そんなクリスに、ソニアはやれやれと言った様子でため息を吐くと、さも当然の様に呟いた。
「私がいるじゃないか」
クリスの動きが止まる。
聞き返すことすら憚れるほどにあまりにも堂々とそう言うものだから、さらに返答に頭を悩ませる。
「……何か反応してもらえないと、流石に恥ずかしいのだが」
それで、しばらく無言の時間が続けば、ほんの少し顔を赤らめながらそんなことを言ってきた。
「いや…………反応しろと言われても……どう反応すりゃいいんだよ」
「……それもそうか」
湧き上がってきた羞恥心を誤魔化すかのようにソニアは、目の前に置かれたジョッキに視線を落とし、ビールで乾いた喉を潤した。
「私は君と……何度かそういうことをした事がある、だろう?」
「まぁ……そう、だな」
「では風俗に頼るよりは――私に頼った方が良いんじゃないのか?」
「いやいや、それはおかしい……いや、おかしいっていうか……ダメだろ」
クリスがそう言えば、ほんの少し空気が変わった。
短く、少しの威圧感を感じさせる声でソニアは問いかけた。
「どうしてだ?」
「……俺達は
確かにクリスとソニアは身体の関係を結んでいる。
一度や二度などではなく、何度も何度も。
けれども、だからと言って爆発しそうな性欲に流されるまま彼女とそういうことをしてしまうのはクリスとしてはよろしくないと考えていた。
「別に…いいだろう」
「よくはないだろ」
「私としては風俗に行く方が良くないと思うが」
「だからといって、ソニアに頼るのは違うだろ」
「違くない」
「なんで?」
「違くないと言ったら違くない」
「……理由を教えてくれよ」
「それ、は……」
ソニアは言葉を詰まらせる。
一瞬だけ何かを言いかけたがかろうじて止めた、そんな様子だった。
「君に風俗に行かれると……モヤモヤする。だから……そんな思いを抱くよりかは私を抱いてほしい――これが理由じゃ、だめか?」
「それじゃまるで……」
それ以上の言葉は出さなかった。
クリス、と名前を呼びかけられた。
ソニアの方にゆっくりと顔を向ければ、ふとした時に頬に手が添えられた。
その指先はほんの少し震えている。
「ダメか?」
風の吹く音ですらかき消されてしまうような小さな声だった。
「……そう言われたら断れないだろ」
クリスがそう言えば、ソニアはゆっくりと頬に添えた手を離し、ほんの少し口の端を上げて静かに呟いた。
「君なら、そう言うと思った」
彼らのその後は語るまでも無いだろう。
もうこの子が優勝でいいだろって思うと思いますが、多分一番優勝から遠い存在です。
その理由は後々。
ソニア(・ルーポ)
元傭兵団団長。
傭兵団の団員をクリス以外全員亡くしてしまった過去を持つ。
身長は170前半。スタイル抜群。
切れ長の瞳が特徴的。涙ぼくろがある。
ヘビースモーカー。
クリス
ビール大好き男。
周りから「めんどくさ」と言われる程の貞操観念ガチガチマン。
久しぶりに書くもので…設定とか練り直してました。
なんか違和感とか発生してたら修正すると思います。修正した時はどっかに報告入れときます。
次話について
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エレンかベリンダの一人称視点をくれ!
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それよりも、新しいヒロインを!