風魔術だけでも異世界は楽しいです ~美少女転生からのちょうどいいスローライフ~   作:暁刀魚

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フーシャ先生ファッションショー

「これはいわゆる、デザイン装備というものです」

 

 そう言いながら、店主はぞくぞくと変な衣装を取り出した。

 バニースーツ、メイド服、露出の激しい踊り子みたいな服。

 他にも色々と……なんかこう、ソシャゲの衣装違いみたいなものが大量にでてきた。

 

「簡単に言うと、デザインを優先した普通の衣服にしか見えない装備でありながら、防御力が中層から下層でも使用に耐えうる装備ですね」

「そんな便利なもんがあるんですか!」

「はい。まぁ、その分お値段はしますけどね」

 

 ダリルが、なんだか興味深そうに聞いている。

 彼の場合は、装備をオリハルコンで固める関係上重量がどうしても問題になるんだろう。

 肉体強化でなんとかなる範囲ではあるものの。

 軽量化できるなら、軽量化したいはずだ。

 問題は――

 

「そうはいっても、ここにある装備は全部女物ですよね。ダリルには着られないわ」

「そうですねぇ、残念ながら」

「あと、防御力は高くても雑に扱ったら破損しますよね。やっぱりダリルには扱えないわ」

「んだよ、さっきから棘があるな」

 

 おやおや、と店主は笑う。

 ダリルとリフィルの関係を一瞬で把握したようだ。

 私の方に視線を向けてきたので、私はこっそりサムズアップで返しておいた。

 

「その点、リフィルさんにはおすすめですよ。デザイン性と性能が両立していますから。……と、言いたいところなんですが」

「何か問題があるんですか?」

「ちょっと持ってみてもらっても?」

 

 言われるがまま、リフィルは少し迷ってメイド服を手に取った。

 バニースーツと踊り子服は……露出激しいからね。

 んで、持ち上げてすぐに、ピンと来たらしい。

 

「……これ、私とサイズあってないですね」

「そうなんですよ。これ、結構格安で手に入れてきたんですけど、理由はサイズなんです」

 

 みればこの装備、どれもサイズが小さかった。

 私より少し背の大きいリフィルちゃんだと、ギリギリ着られないサイズだろう。

 残念そうに、メイド服を元の場所に戻そうとして――

 

「大きいサイズなら、着られるように調整できるんですけどね」

「つまり、このサイズより小柄な人なら着られるってことかぁ」

 

 そんな、店主とダリルの会話を聞いて――

 

 

 ぐりん、と顔がこちらに向いた。

 

 

 あ、やべっ。

 

「――フーシャ先生なら着られるんじゃないですか?」

「……それだ!」

「それです!」

「それだ、じゃない!」

 

 私を一歩飛び退いて、距離を取る。

 まずい、なんかリフィルの視線が獲物を見る目だ。

 後、ダリルと店主もなにか興味深そうにこっちを見ている。

 

「フーシャ先生、ちょっとこれ、着てみてもらっても、いいですか?」

「顔が怖い、怖いよリフィルちゃん!」

 

 助けを求めて、だるそうにしている店員に視線を向けた。

 めっちゃ眼をカッぴらいてこっちを見てる!

 怖い!

 というか、これ逃げ場がないな!?

 

「いやぁなんというか、流石に恥ずかしいと言うか……」

「フーシャ先生……」

 

 視線を逸らして逃げようとする私に対し。

 リフィルちゃんは、鋭い一言を投げ込んでくる。

 

「……本当のところは?」

「こういうデザインのいい服は、たまに着てみると新鮮だよね」

「着てみてもらっても、いいですか?」

「はっ……」

 

 いやまぁ、はい。

 なんかこう、流れで躊躇してしまったけど。

 着る分には、着てみたいです。

 

 

 +

 

 

 というわけで、私のファッションショーが始まった。

 女性もいるからか――リフィルちゃんだけでなく、店員さんも女性の人だ――えっちな服装は取り除かれて。

 ダリルもなんというか、初心だからか文句は言えなかったみたいだ。

 店主はそもそも……性欲とかあるのか、あの人。

 みたいな感じなので、何も言わなかった。

 

「まずはこれ、メイド服です」

「……スカート短くね?」

「一般的なものではないですねぇ、おそらく迷宮産かと」

 

 デザインは、オタクがよく見かけるミニスカ萌え萌え(死語)メイド服だ。

 ただし、この世界においてメイド服はロングスカートが主流。

 だから店主は迷宮産と予想しているが、とりあえず変なものは迷宮産扱いしておけばいい、みたいな風潮私はどうかと思うぞ。

 

「おかえりなさいませ、御主人様ー」

「なぜフーシャ先生はお出迎えの挨拶を……?」

「いやなんか、これを着たら言わなくちゃいけない気がして」

 

 メイド服。

 まさか私自身がこれを着て、萌え萌えキュンみたいな感じのことをする日が来るとは思わなかった。

 ちなみに防具を試着する関係で、店には試着室があるので、そこで私は着替えているぞ。

 

「次はこれ、修道服です」

「なんかおへそに穴があいてるんだけど……」

「これもきっと、迷宮産でしょうねぇ」

 

 試着室のカーテンを開けてから、祈るように手を組む。

 ウィンプルから髪を出して、オヘソがあいていてボディラインが浮き出るピッタリスケベシスター服だ。

 ちょっとダリル少年が視線を逸らしている。

 リフィルちゃんは鼻を押さえないで?

 

「神よ、間食が多くてあまり節制できない私をお許しください……」

「フーシャさんって、怠惰気味なわりには、全然スタイル変わりませんよね」

「太らない体質っぽいね」

「いいなぁ……」

 

 それ言ったら、どれだけ喰っても太らないプリンセスの方がすごいぞ。

 私はまだ、太らない体質に加えてカロリーを消費できる運動量もある。

 まぁ、どっちも羨ましいのはそうかもしれない。

 

「そしてこれ、別大陸の服装らしいですけど……何ていうんですか?」

「うーん、いまいちわかりませんねぇ」

「でも、フーシャ先生にあってるよな……」

 

 続いての衣装は、いわゆるアオザイというやつだ。

 この世界では、別大陸の伝統衣装として知られている。

 名前もアオザイではないらしい。

 

「私に似合う理由は単純でしょ、風神のはごろもと雰囲気にてるんだよ」

「白ベースのボディラインが結構でる服ですもんね」

「普段着てる風神のはごろもによって刷り込みが発生したと、私は見ている」

 

 こういうアオザイみたいな服、私は好きなんだけどね。

 そもそも風神のはごろもが、ちょっと似たようなデザインをしているのだ。

 見慣れているがゆえの安心感というやつだろう。

 

「……フーシャ先生、やっぱりバニースーツ着ませんか?」

「自分から横に除けたんじゃないか、リフィルちゃん」

「で、でも……やっぱり見てみたいです。バニーガールフーシャ先生!」

 

 ある程度着替えたところで、何やらリフィルちゃんが発作を起こした。

 そんなに私のバニーガール姿が見たいのか……

 というか、思いっきり最初の目的を忘れてるよね。

 なんならダリルの方が、装備の更新という目的を覚えてそうな気がするぞ。

 

「ああそうだ、このデザイン装備、基本的に特殊能力はついてないんですけど。バニースーツだけは例外なんですよ」

「ほほう」

 

 そこで店主が、何やら助け舟。

 特殊能力付きの装備、つまり珍品魔導具ということだ。

 珍品コレクターである私の興味を、的確に突いてきた。

 

「じゃあ、着てくれるんですか!?」

「そうだなぁ……ちなみにどんな効果なの?」

「それが鑑定魔術じゃ解らなかったんですよねぇ。サイズが小さいから、他に着られる人もいないので解らなかったんです」

 

 なんでも、着たら効果が現れるとしかわからなかったらしい。

 つまり、完全な博打ということか。

 

「……ようし、着てみようじゃないか!」

「おお!」

 

 私、そういう博打好きです!

 というわけで着てみることになった。

 んで、結果――

 

 

「というわけで、着替えました……()()()

 

 

 着てみて、第一声。

 語尾になんかついた。

 

「ぴょん!?」

「ぶはっ!」

「り、リフィルー!?」

 

 そしてリフィルちゃんが耐えきれなくなって、鼻血を流して倒れた。

 うう、なんか……そういう反応をされると普通に恥ずかしいぞ!?




フーシャ先生にもっといろんな衣装を着て欲しい方は
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