異世界戦線異状あり   作:砂岩改(やや復活)

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本編
とりあえず異世界へ


 

キャラメイクを実施してください

 

 目の前に浮かび上がる文字に疑問を持つ。

 明らかにゲームの開始画面のような物だが謎なのはその文字は画面に映っている訳ではなく浮かび上がっていると言う点だろう。

 

 しばらくボーッとしていると徐々に記憶が鮮明になってくる。自分はいつも通りに仕事を済ませて家で遅すぎる晩御飯を食べようと鍋の水をガスコンロで暖めていた所までは覚えている。

 仕事の疲れで寝てしまったのだろうかなにも覚えていない。

 

「もしかして火事になって死んだ?」

 

 気を付けていたつもりだったがそれなら説明がつく。

 もし死んだのならの話だが。

 だがこれは明らかに昔によく読んだ転生ものの始まりではないか、キャラメイクしてくれとの表示は初めて見たが。

 

 もしかしたらまだ夢で明晰無を見ているだけかもしれないがとにかく話を進めてみよう。

 文字の下に映し出されているのは自分の顔、鏡を見ているかのような状態だがこれが、いわゆる初期キャラと言うものだろう自分の顔ではあるが。

 

「死ぬほど細かいな…」

 

 昨今のゲームでもキャラメイク機能は様々なキャラや実物の人物を再現できるほどの細かい調整が可能だが、このキャラメイクはそれすらまだまだと思ってしまいそうなほど細かな所まで調整できる。

 

 悩む、本来なら好きなキャラとかに似せたりするのだがこれが俗に言う異世界転生ならば自分の顔の方が落ち着くだろう。

 

「でも年齢ぐらいは…」

 

 30も半ば到達してしまった身としては調節できるなら若い方が良い。

 ラノベの主人公みたいに17ぐらいにしておこう。

 こうやって見ると自分も老けたなと実感させられるが仕方ない。

 

 

変更点 年齢

 

これでよろしいですか?

 

はい   いいえ

 

「はい…と」

 

 はいの方へと指を向けるとピコンっと操作音が聞こえる。

 すると辺りが急に明るくなり目が開けられなくなる、その光量はどんどんと増して意識すら手放してしまった。

 

ーー

 

「はっ!」

 

 目を覚ます、と言う表現が正しいのだろうが覚ましたのは自分が居眠りこいた筈の部屋の中ではなく真っ白な森の中、それが雪だと気づいたのは声がでないほどの寒さのせいだった。

 

「寒すぎる」

 

 若干、縮んだ視線を感じて自分が若返ったのだと実感するが服装はいつも着ていたスーツ姿、都合よく当時の制服とかではないのかと思いながらも辺りを見渡す。

 辺り一面の雪景色に戦慄する。

 

「このままじゃ凍死するぞ!」

 

 とにかくこの場から離れようと歩を進める。その場で立ち止まっては凍え死ぬのを待つだけだと判断したからだ。

 するとキーンと言う飛行機のような音が微かに聞こえた、幻聴ではないことを祈りながらその音を聴いていると近づいてくるのが分かる。

 

「誰かいるのか!」

 

 希望を持って木から顔を出した瞬間、ロボットがそのすぐ横を通り抜けた。1機だけではない、少なくとも4機が通り抜け、背後で激しい音を鳴らす。

 後ろにいたのは機械の大蛇、その存在に気づかなかった事に恐怖するもその4機はあっという間にその蛇を仕留めた。

 

「……」

 

 寒さを忘れてその光景を唖然として見ていると肩に04とマーキングされたロボットがこちらに降り立ち、両手を差し出す。

 

「転生者さんですね。どうぞこちらへ!」

 

 改めてみるとそのロボット、かなり小さい全高は5メートル程だろうか。どちらかと言えばパワードスーツの様なものだろう。

 

「は、はい!」

 

 フルフェイスで顔は分からないが元気そうな少女の声に従い掌でお姫様抱っこのような状態にされながらもホバーで移動するロボットに身を預けるのだった。

 

ーー

 

「うわ…」

 

 思わず声が漏れてしまう。

 森を抜け、広大な平原をゆっくりと自走する鉄の箱。

 あまりに巨大すぎて全容は分からないがその下でゆっくりと動く超巨大キャタピラを見ればそのデカさは想像を超える。

 

「着きましたよ!飛びます、捕まってください!」

 

「うっ!」

 

 その言葉と共にロボットは大きく飛び、箱の側面中頃に設置されている甲板に着地した。

 他の機体も着地しているのを横目に降ろされ甲板に足をつける。

 

「よく来た、転生者よ。歓迎しよう」

 

 銀髪を靡かせた少女が甲板の出入口近くに立ちこちらに話しかけてきた。

 その人物を見てまた言葉を失う。

 左目を黒の眼帯が覆い、凛々しい顔立ちの少女は身長は175辺りだろうか、かなりの長身だった。

 

「私はペーネギュンネ帝国軍、第四方面司令官 ラウス・ディートリヒ中将だ」

 

「……」

 

 そこには妄想などで夢見ていた理想の女性が立っていたのだから。

 

「寒かっただろう?紅茶でも入れよう、こちらへ」

 

 

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