処刑人アリナさんと邪悪の王ギラくん   作:山田プロキオン

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ブンキン見てきました。
最高に爆上げでした!

あとこの前のゴジュウジャー…ボロ泣きしました…
いい話すぎて…


白亜の塔とゴーカイな痕跡

「有給…私のご褒美…」

 

 白銀の剣とアリナ、もといギラは白亜の塔へと繋がる転移装置へと歩を進めていた。この中でアリナはやはりというべきか、乗り気ではない。いつにも増して陰鬱なオーラを漂わせ、如何にも不機嫌ですと言いた気な様子だ。

 

「と、特別休暇取っても良いってマスターが言ってただろ?元気だしなよ、アリナさん…」

 

 居心地の悪い空気を破ろうと、ジェイドはいつものように励ましの言葉を送るが、ここで空回るのがジェイドとアリナの間でのお約束。

 

「特別休暇はギルドが必要と認めた場合だけ!ギルドマスターの命により与えられる休日なの!ギルドにおいて末端の私に特別休暇なんて与えられたら怪しすぎさでしょ⁉︎周囲の余計な関心が私に向くのは避けたいのわかる⁉︎」

 

「う…そうだな」

 

 ジェイドの言葉にアリナは鋭い視線を向けて番犬のようにガルルルと唸り、威嚇する。険悪ムードは御免と2人の間にギラが割って入り、優しく宥めた。

 

「まぁまぁアリナ、そうカッカしないで。白亜の塔の攻略を終わらせてグレンさんに約束を果たしてもらおう」

 

「そうねギラ。受付嬢が倍に増えれば残業も減って休みも取りやすくなる…絶対勝ち取ってみせる!」

 

 なんということでしょう。児童養護施設で培ったギラの年長者としての振る舞いで、下火だったアリナの気分とやる気が急上昇を果たしたではないか。

 

 話をしている間に、一同は転移装置へと到着した。厳かな神殿のような装飾で、頂上に正八面体の結晶の備えた外見は、初めて見るギラには神聖としか言いようがなかった。

 この転移装置はダンジョン行き専用で、転移には冒険者のライセンスカードが必要とされる。

 

「それじゃ、行くぞ!」

 

 ジェイドの合図と共に、皆は懐からライセンスカードを取り出して転移装置本体に翳す。刹那、眩い光が全員の体を包み込んだ。

 咄嗟に目を閉じたギラが瞼を開けると、己の網膜には雄々しく聳え立つ古びた塔が映し出されていた。

 

「あれが、白亜の塔…」

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 エルム大峡谷——。この周辺では手付かずの自然が広がっており、ヘルカシア大陸の中でもダンジョンの報告が少ない地域だ。そんな場所で白亜の塔なるダンジョンが発見されたのだから、探索班はさぞ驚愕したことだろう。

 

「それじゃあ、改めて自己紹介なのです!」

 

 白銀のメンバーであるルルリとロウがギラとアリナに向き直り、各々自己紹介を始めた。

 

「白銀の回復役(ヒーラー)を務める白魔道士、ルルリなのです!私がいる限り、パーティから死人は絶対出ないのです!」

 

「俺は後衛役(バックアタッカー)の黒魔道士、ロウだ。遠距離専門だなら近接は頼んだぜ」

 

 ルルリは自信満々に、対してロウは控えめ。この2人も白銀に所属するだけあって、一流の冒険者だ。ルルリは童顔な容姿とは裏腹に、圧倒的な回復魔法を扱い、可愛らしい姿も相まって冒険者間で『みんなの癒し』と呼ばれている。ロウはつりぎみの猫目が特徴で、ジェイドに負けず劣らず、冒険者達の間で人気がかなり高いらしい。

 

「ルルリさんとロウさん、改めて宜しく!じゃあ僕…いや…」

 

 お返しと己も自己紹介を始めようとしたギラは一度言葉を飲み込むと、不敵に笑う。アリナは何をするか察し、耳を両手で即座に塞いだ。この間2秒弱である。

 

「ナ〜ハッハッハッハッ!俺様は!邪悪の王、ギラ・ハスティー!チキューの国、シュゴッダムが王!俺様が、世界を支配する!」

 

「相変わらず五月蝿い名乗りね…恥ずかしくないの?」

 

「うん、いつも子供達と遊んでた時にやってたから」

 

「愚問だったみたいね…私はアリナ。役職は知ってるだろうけど受付嬢よ」

 

「あ、うん…」

 

「宜しくなのです…」

 

 ギラの大胆な感じと、アリナの短く簡潔に纏められた緩急のある自己紹介に、ロウとルルリは呆けた顔でなんとか頷き、その後一行は白亜の塔へ向けて歩き始めた。

 

「まぁ前の戦闘を見てからだと最初はこんな反応になるよな…アリナさんなんて受付嬢と言いながら素手で遺物(レリック)砕きもしたし…」

 

「白銀野郎…喧嘩売ってるの?」

 

「いやいやアリナさん⁉︎俺にそんな気は滅相も…と浮かれるのはここまでだな…」

 

「話を逸らしたわね…それもそうね」

 

 白亜の塔の入り口を前にして、ジェイドとアリナ、そして他3人も気を引き締めた。ここから先は未知の領域。一瞬の気の緩みも断じて許されない。

 

「そうだ、これを…」

 

 ジェイドは懐をガサゴソと漁り、2つの結晶のようなものを取り出してアリナとギラにそれぞれ渡した。

 

「ジェイドさんこれは…」

 

「俺達白銀の剣の専用に作られた『導きの結晶片』だ。遺物(レリック)を使ってギルドが開発したもので、欠片の持ち主が瀕死、もしくは欠片が壊れたときに他の欠片達が一斉に導いてくれる、要は緊急連絡手段だ」

 

「ふぅん、まあ預かっておくわね」

 

「ありがとう、大切にしますね」

 

 アリナとギラがそれぞれ欠片を懐に仕舞うと、一同は今度こそ白亜の塔の攻略へ乗り出した。

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 白亜の塔、第一層。無数の柱が佇み、その柱に備えられたランプによりほんのりと明るさのある薄気味悪い空間。さらに壁や仕切りも存在しないため、どこか変であると一行は感じていた。

 そして肝心のパーティとしての連携だが…。

 

「このダンジョンの魔物の強さは意外と普通ね…」

 

「ナ〜ハッハッハッハッ!ぬるい、俺様相手には役不足!欠伸が出るわ!」

 

『オージャフィニッシュ!!』

 

 アリナとギラ、及び処刑人とクワガタオージャーの圧倒的攻撃力によって一網打尽であった。迫り来る魔物達は大鎚やオージャカリバーによって繰り出される技で瞬殺され、パーティの役割分担などする間も必要なかった。

 

「ルルリちゃん俺多分出番ないわ…」

 

「私も回復しなくていいかもです…」

 

「俺の盾役(タンク)としての存在意義が…」

 

 2人の無双っぷりに、白銀一同は呆れを通り越して渇いた笑いをするしかなかった。パーティを必要としない処刑人とクワガタオージャーの圧倒的強さは、3人の脳裏に強く焼き付いた。それと同時にかつての仲間であったガンズが自信を無くした理由が、ジェイド達はなんとなく理解出来た。

 

「ん?これはなんなのです?」

 

「どうしたルルリちゃん…これは、文字?掘られて結構経ってるなぁ」

 

 やることが無いと辺りをキョロキョロと見渡していたルルリは、柱に刻まれた何かを発見し、近寄る。ロウもルルリの後を追ってその柱の前へとやって来て、訝し気に見つめた。

 

「どうしたんだ2人とも?」

 

「ちゃちゃっと攻略するわよ、寄り道しないの」

 

「ルルリさんロウさん、何見てるんですか?」

 

「リーダー達、こっち!これこれ…」

 

 ジェイドとアリナ、ギラも気づいたようで、2人のいる柱へと向かった。ルルリとロウが興味津々に見つめる謎の文字に、ギラ達も釘付けとなって目を細めた。

 

「何だこの文字は…ヘルカシア大陸の文字にこんなものはなかったぞ」

 

「受付嬢として偶に資料とか読んでたけど先人時代の文字…でもなさそうね…」

 

 ジェイドもアリナもその文字については解読が出来なかった。ヘルカシア大陸、特にイフールの街の人々は識字率が高いのだが、柱に記された文字はそれなりに教養を受けた白銀一行やアリナでさえも初めて見るものだったのだ。

 只クワガタオージャーは、ギラだけは違った。

 

「この文字、僕わかるよ」

 

「本当か、ギラさん⁉︎」

 

 ギラの言葉に一同の視線が集まる。

 

「前に友好条約を交わした国の文字だよ。だから僕にはわかる」

 

「なんて書いてあるのよ?」

 

「『赤き海賊団、参上!!』…だって」




白亜の塔の柱の落書き…
一体どこのド派手なあの人と、ゴクジョーなあの人なんですかね?(すっとぼけ)
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