前回から匂わせておりました、彼が出てきます
インスペースの要素を少し含みますので、ネタバレ苦手な方はブラウザバックを推奨します。
「ったく…1人だとやけに静かだな…」
広大な宇宙を駆け抜ける一隻の紅き海賊船、『ゴーカイガレオン』。大きな海賊旗を展開し、向かう先はいざ知らず。そして閑散とした船内で、赤い海賊服を纏った1人の男が足を組んで踏ん反り返っていた。
彼の名はキャプテン・マーベラス。かつて宇宙をその手にせんとする最恐の帝国『ザンギャック』と激闘を繰り広げ、勝利を勝ち取った35番目のスーパー戦隊『ゴーカイジャー』の長、ゴーカイレッドの変身者だ。キャプテンというだけあって仲間にも恵まれており、剣豪のジョー、漢勝りなルカ、家事や発明が得意なハカセ、お嬢様なアイム、戦隊好きな伊狩鎧と全員がゴーカイジャーの変身者…なのだが、今はとある理由で船内にはいない。
「マーベラスもBBG観戦すれば良かったのに〜。それにしても49番目の戦隊ブンブンジャーか〜、マーベラス達も先輩になったもんだね〜」
「うるせぇぞ鳥ィ…」
「鳥じゃないよ、ナビィだよぉ〜」
パタパタと翼をはためかせる機械仕掛けのオウム『ナビィ』は、マーベラスのぶっきらぼうな言いように慣れた様子で返した。
ここ最近、ゴーカイジャーの面々も色々と忙しかった。仲間であるエンジンマッハルコンの結婚式やハカセとジョーの尽力によるゴーカイガレオンの復元、地球や別の惑星で新たに出会った戦隊達のレンジャーキーの入手、そしてジョーと面識のあるブンブンジャーが参加する大会BBGの観戦など、休む間も大してなかった。先程までマーベラスも仲間達とBBGを観戦していたのだが…。
「(不意に感じた気配…嫌な予感がしてガレオンを駆り出して追ってみたが、反応が消えた…まだ遠くにはいない筈だ…)」
警戒心を最大にしながら鋭い視線で辺りを見渡すマーベラス。危険は事前に対処してこそのもの。それは彼が大切にする仲間を思っての判断だ。
そんな時、不意にマーベラスの懐が赤い光を放った。
「なんだ?」
ポケットから取り出したレンジャーキー、クワガタオージャーの鍵が眩い光を放っている。まるで己に何かを知らせるかのように。
「ま、マーベラス!前、前!」
「あん…?なっ⁉︎」
ナビィの焦りを孕んだ声色に、マーベラスは前を向く。ゴーカイガレオンの目前には先程にはなかった大きな黒渦が。
「おいおい、マジか…」
マーベラスがガレオンの進路を変更しようとするも、時既に遅し。黒渦の強力な引力にゴーカイガレオンは吸い込まれ、やがて暗闇の中へと誘われてしまった。
あまりにも突然の出来事に、マーベラスとガレオンが失踪したことを、仲間であるジョー達はまだ知る由もなかった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
所変わって白亜の塔。柱にあった謎の落書きについては一旦保留とのことで、アリナ達は攻略の為に先を急いだ。
「ところでさぁリーダー、このダンジョンって今まで影も形もなかったんだろ?それなのにこの魔物の量…。人間に認識されてなかったってだけでずっと存在してたってことなのか?」
「そうだな…、そもそもダンジョンが先人達の高度な技術によって生み出された代物だ。そのダンジョンから発せられるエーテルに魔物は引き寄せられる。この状況だとロウの考察は理にかなっているかもな…」
ジェイドは辺りを見回すと、顎に手を当てて考え込むように頭を捻った。
「とはいえ先人達は何を考えてたんだ…こんなダンジョンを隠すなんて…」
「そういえば、先人達ってある日突然消えたのよね?」
「アリナさん、それは
アリナがぽろっと零した言葉に、ルルリが神妙な顔つきで話し始めた。
「先人達は探究心が強く、より大きな力を求めて研究を続けていたことがわかっているのです。
きっと先人達は、力を求めるあまり、
「……神の怒り、随分と突拍子もない話ね」
「そうでもないよアリナ、神様の中にはお掃除名目で文明を滅ぼす奴だっている…僕を生み出したダグデドがそうだったように…」
「宇蟲王のこと?」
「うん。そいつは宇宙に蔓延る生命が多すぎるという理由で文明に介入して対立を煽り、滅びていく様を見て嘲り喜ぶ奴だった…。チキュー以前にも多くの星を滅ぼしてきたみたいだから、もしかしたら先人達もダグデドが…」
そこから先をギラは続けなかった。ただ唇を噛み締め、顔を顰めるだけ。仮にチキューのようにダグデドに先人達が目をつけられ滅ぼされたと仮定すると、どうしてもいたたまれない気持ちになる。
頭の中にこびりついて離れないあのダグデドの声がギラの中で響いてくる。『星はお手玉、命は駒』。その言葉を思い出すたびに、ギラは腑が煮え繰り返る感覚に陥った。
「ねぇギラ、大丈夫?」
「うん…、ごめん。先行こう」
アリナの声に正気に戻ったギラは平常を装うと、皆と共に再び歩き始めるのだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
一同が進んでいくと、豪華な装飾の扉の前に到着した。
「ボスの部屋に続いてそうだな…」
「一層の
「…そう言いたいところなんだけどアリナさん、鍵がかかっていて…」
ジェイドの言う通り、扉には小さな鍵穴があった。鍵を見つけない限り先へは進めないようだ。
「鍵?ちょっと待ってよ!鍵って…」
アリナが話終わる前に、何故かジェイドは盾を構えてアリナを後ろへと匿う。そしてギラもまた背後からの気配に、オージャカリバーの柄を握り締めた。
「おやおや、これはこれは。メンバー不足の白銀様じゃねぇか」
「ルーフェス…」
ギラ達の背後に現れた茶髪の青年。ジェイドは彼をルーフェスと呼び、ルーフェスの後ろには3人の冒険者。恐らく彼らも徒党を組んで白亜の塔へとやってきたのだろう。
「おいおい、盾なんか構えて。俺達と一戦交えようってか?」
「いや、念には念をな…」
ジェイドの返答を聞くや否や、ルーフェスとその取り巻きは下衆じみた笑みを浮かべてニヤニヤとし始める。
「は、臆病なこった。白銀も堕ちたもんだなぁ…。特に」
ルーフェスはギラを指差し、仰々しく言い放った。
「そこにいるぽっと出の新人を埋め合わせにするしかないんだもんなぁ!情けねぇ姿だなぁ、これがギルド最強の白銀サマってか?」
「「あ"あ"?」」
ルーフェスの散々な言いように、ジェイドとアリナは声を荒げる。アリナに至っては匿われていることすら忘れて、今すぐに魔法陣から大鎚を出現させて殴り掛かろうとする勢いだ。しかし、
「2人とも、大丈夫だから…」
「ギラさん…」
「ギラ…」
ギラは2人の前に片手を出して制止を促した。ギラが望んでいない以上、ルーフェスに攻撃をすることなど出来ず、アリナは渋々魔法陣の展開を中断した。
「フン、美しい友情ごっこか…あまりにも滑稽で見ていられないぜ」
そう言ってルーフェスは懐から小さな鍵を取り出して、ジェイド達に見せびらかした。
「どうやら神サマは俺に味方してくれるようだ。このダンジョンには特別な
俺はそいつを探し出し、お前達が求める処刑人なんかよりもっと強い力を手に入れてやる!
攻略が終わるまで、指を咥えて待っているんだな!」
胸の中に秘めた野望を吐露すると、意気揚々とルーフェス達は扉の向こうへと姿を消してしまった。
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「全く…ルーフェスのやつ。白銀の次に実力を持つパーティだってのに。性格さえなぁ…」
「全くですジェイド。何かとすぐに突っかかってくるのはどうにかならないですかね…」
ジェイドとルルリが呆れたように愚痴を零す。彼らの言う通り、ルーフェスはギルドでも名前の知れている冒険者。白亜の塔にやって来るだけあって相当な実力者だ。しかし過去に白銀の剣を落選した腹いせか、常に邪魔ばかり仕掛ける態度にジェイド達は頭を悩ませていた。
「それより先はどうするんだリーダー。鍵はアイツらが持ってってしまったし…」
「どうするべきか…『キング!バモラムーチョ!』…へ?」
扉の向こうに進む為、どのようにすればよいか。ジェイド達が頭を捻る中、陽気なサンバ音と共に扉と扉の隙間に向けて紅き斬撃が放たれた。
「よし、開いた!キングガブリカリバーの威力を調整したらいけた!」
「何ぼさっとしてるの?先を急ぐわよ」
「「「…………」」」
開扉した先で佇むギラとアリナに、白銀の剣一行はあんぐり口を開けて呆けるしかなかった。
扉の向こうにはホールが広がっており、奥には階段があった。
二階層に足を踏み入れたギラ達だが、不思議なことに魔物は一向に現れないまま、果てしなく通路が続いているだけだった。
「妙だな…魔物の気配がない」
「……ジェイドさん、何か聞こえませんでした?」
「奇遇だな、ギラさん。俺も聞こえた」
「2人とも何言ってるのよ。何も聞こえな…」
『ギャアァァァァァァァァ!!!!』
遠くから突如として男達の悲鳴が木霊する。声からしてルーフェスのパーティだろう。只事ではないと、ジェイドを筆頭にギラ達は声のした方角へと駆け出した。
その先には先程のような
「な、何だこれは…」
目の前に広がる惨状に、ジェイドは戦慄する。そこでは大きな魔法陣が床に描かれ、ルーフェスを除く3人の冒険者が血まみれで倒れていたのだった。
レンジャーキーの独自設定
ドンブラザーズのレンジャーキーは鎧が地球を何度か訪れた際に、キングオージャーのキーはインスペースでのカグラギとの情報交換にてマーベラスが受け取ったことになっています。
ブンブンジャーのキーはBBGの中で6人分ゲットしております。