ゴーカイ作品ランキング1位、キングオ作品ランキング2位、
ヒーローランキング2位ゴーカイレッド、14位クワガタオージャーおめでとう御座います。
さらば処刑人よ、邪悪の王よ…
白亜の塔の二階層の攻略に挑むギラ一行だったが、白銀の剣と同じくダンジョン攻略に訪れていたルーフェスのパーティが、ルーフェスを除き壊滅する事態が発生。
傷つき倒れる冒険者達にルルリが回復魔法を使用するも皆既に死に絶えていた。現場には不気味な魔法陣が残されていたのみで、魔物の痕跡は殆ど見当たらない。
現状を看過出来ないとしたジェイドは、傷ついたルーフェスの肩を持ち、ギラやアリナ、そして白銀の面々らと共に一時退却するのだった。
そして場所はギルド本部、ギルドマスターの部屋へと移る。
「そうか、ルーフェスのパーティが…報告ありがとうジェイド。しっかし、この手の報告は、いつまで経っても慣れねぇなぁ…」
ジェイドの方向を聞くや、仕事机の上でグレンは右手で両目を隠し、天を仰いだ。唇を僅かに震わせる様から悔しさや無念といった情がジェイドには読み取れた。
「(ギルドマスターも過去に大切なパーティを失っている…現役を引退する原因にもなったし、出来ればしたくなかったが…)」
「話を整理すると
「塔の中を徘徊していた魔物も、これまでとは一線を画すレベルだった。アリナさんとギラさんのお陰で大して苦戦もしなかったけど、明らかに今までのダンジョンとは訳が違う。クエストでの一般開放は見直すべきだ」
ジェイドの進言に、グレンは深く溜息を吐く。ギルドマスターとしてもこの現状は看過出来ない。白銀に並ぶ冒険者達で組織されたパーティでさえも壊滅しかけたのだ、無理もない。
「わかった。白亜の塔の攻略は一時中断。調査の方を優先させることに…「ちょっと待った!!」…?」
グレンが今後の方針を決定する直前、決定を遮られると同時に扉が勢い良く開かれ、ルーフェスが足跡を鳴らしながら入室して来た。
「お、おいルーフェス…お前まだ治療中じゃ——」
ジェイドの心配にも耳を貸さず、ルーフェスはグレンの机の前までやってくると、右手で机を力の限り叩き、声を荒げた。
「攻略を中断だと?天下の白銀サマが何生温いこと言ってるんだよ?」
「ルーフェス、これは話し合いの末に決まったことだ。部屋に戻れ」
ルーフェスの気迫に慄くことなく、グレンはギルドマスターとして申し入れを却下する。しかしここまでは予想通りと、ルーフェスは口角を上げるとジェイドとグレンが恐れていたことを口走った。
「処刑人と紅鎧の正体を町中にバラしてやろうか?」
ルーフェスの発言に、ジェイドとグレンは心底動揺を見せた。口振りからしてルーフェスは本当に暴露するつもりだ。
「ジェイド、俺たちがダンジョンから戻る時に目の当たりにしただろ?出入り口を遮る魔物共を、
でも仕方ないよなぁ、あんな人の形をした化け物共が白銀にいるとなりゃあ、とんでもねぇ騒ぎになるもんなぁ!!!!」
勝ち誇ったようにケラケラと笑うルーフェス。耐えかねたジェイドは思わずルーフェスの胸倉に掴みかかろうとするが、ここで自分が手を出せばアリナ達の正体を外部に漏らされかねない。なんとももどかしい状況に、ジェイドは渋々と思い止まるしかなかった。
「そもそも俺はあの2人が気に食わなかったんだ…次期白銀の
「ルーフェス、何が狙いだ…」
ジェイドの問いに、ルーフェスは再度下衆じみた笑みを浮かべ、声高らかに話し始めた。
「裏クエストの隠しダンジョン、その最奥に眠る
という訳だ。バラされたくなけりゃ、あの2人を外して俺を白銀に入れて白亜の塔の四層まで行け
これは頼みじゃない、脅しだ。
テメェらに拒否権なんざねぇんだよ…」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
一方、宿の食堂ではアリナとギラが会話を交えながら遅めの朝食を摂っていた。
「このオムレツ美味しいわね。というか、食堂を台所借りて料理するなんて…ギラ、アンタ思ったより大胆ね」
「僕はいつもお世話になってる皆のお手伝いをしただけだよ。それに今日は早起きしたからね」
「その規則正しい生活送る根性は尊敬するわ。私なんて休みの日ならずっと寝てたいし…」
「ハハハ…あ、ジェイドさん!ジェイドさん…?」
2人が会話を弾ませる中、食堂の入室口が開いてジェイドがやって来た。アリナは相変わらず嫌そうな顔をしたが、ギラはいつもよりも暗めの表情のジェイドに何処か違和感を覚えた。
「おはよう、ギラさんアリナさん…。調子はどう?」
「まぁ、ぼちぼち…」
「大丈夫!ジェイドさんは…」
「俺も大丈夫だよ…」
ギラの返しに、ジェイドは笑みを浮かべる。しかしその笑みはギラから、そしてアリナから見ても作り笑いだということはバレていた。ジェイドはこれ以上深入りさせまいと咳払いを1つ挟み、ギラとアリナに報告をした。
「2人とも、白亜の塔の攻略だが…ルーフェスを前衛に迎えることになった」
「え、じゃあ私達は…」
「2人は白銀を外れる。元の生活に戻れるぞ。それと、アリナさんとの約束も出来る限り尽力していくつもりだ」
「…へぇ、そうなんだ」
ジェイドから告げられた突然の解雇に、アリナは無関心そうにしながら流した。ある意味自分の平穏が舞い戻ったのだから。しかしどうも不自然である。自身にあれ程執着していたジェイドがそう簡単に諦めるのだろうか。何か裏があるのでは、とアリナが考えていたその時…。
「ちょっと待ってくださいよジェイドさん!!」
いつになく声を荒げる者が1人。ギラだ。いつも冷静に振る舞うギラがここまで取り乱すとは、アリナとジェイドも予想外だったようで驚きを隠せていなかった。
「どうして急に…。何で僕達に相談しなかったんですか?白亜の塔は未知のダンジョンで、まだわからないところが多いから僕達を連れて来たんじゃないんですか!!」
ギラの追及にジェイドは俯いたまま何も返さない。アリナも行く末が不安なのか、ギラとジェイドを交互に見つめる。
ギラの話はまだまだ終わらない。
「ルーフェスのパーティを殺した魔物は、
ギラの言葉が止まる。ジェイドと同じく俯き、間を置いて。そして僅かな怖気を孕ませたように言葉を綴った。
「誰にも死んで欲しくない…」
それは切なる願いだった。デズナラク、ボシマール、イロキ、カーラス、ネフィラ。皆志半ばで命を散らしたチキューの人々。ルーフェスのパーティの死を目の当たりにした時、ギラの脳裏には彼らが過った。ジェイド達も、もしかしたらそうなってしまうかもしれない。
ジェイドはギラに歩み寄ると、肩に手を置いて穏やかな口調で、宥めるように言った。
「ギラさん、貴方の気持ちは分かる。でも…ギルドマスターと話し合って決めたことだ。それに…ギラさんには、いつか帰らなければならない場所かある。万が一のことがあったら、ギラさんの民達に見せる顔がない。
大丈夫だ、俺アリナさんにボコボコにされたことあるけどギラさんほどではないにしろピンピンしてるしな、
ジェイドの言葉に、ギラは顔を上げる。いつもアリナに構ってもらおうと必死になっている子供のような瞳ではない。覚悟の籠った、白銀の長としての使命を帯びた瞳を前に、ギラは何も言えず首を縦に振るしかなかった。
「そういうことだから、またな」
用は済んだとジェイドは食堂を後にする。去って行くジェイドの後ろ姿を目の当たりにしたアリナは、とある人物がジェイドに重なって見えた。
「…ッ⁉︎ジェイド!!」
思わず叫んだアリナにジェイドは振り返る。暫しの沈黙の後、我に返ったアリナは口元を覆い、茹蛸のように顔を真っ赤にした。
「(なんで私名前で…
「ハハハ…やっとアリナさんに名前呼んで貰えた…」
安心したような、悲しそうな笑みを浮かべ今度こそジェイドは食堂を出て行った。
食堂に取り残されたギラとアリナは、先程まで会話が飛び交っていた様子が嘘のように、2人揃って居心地の悪いの間に身を委ねたのだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
所変わってイフール・カウンター。相も変わらずクエスト受注の冒険者で賑わっているが、その他で冒険者の関心を寄せるものがあった。
それはギルドの端の席で足を組みながら尊大な態度で資料を読み漁る赤い服の男性。しかも見かけない顔の為、より一層ギルドの人々の注目を集めていた。
「成程な…アカレッドやバスコと一緒に来て魔神とかいう奴を封印した時から数千年経ったことになってんのか。その間に前の原住民は滅んだのか…どうりで文明が退化してるわけだ…コレが浦島効果、相対性理論ってやつか?
変わっちまったなぁ、この星は…」
1人資料を読み耽っていた青年——キャプテン・マーベラスは、最後のページを読み終えると、パンと音を立てて勢いよく本を閉じるのだった。
マベちゃん関連でインパクト薄まってるかと思いますが、何気にアリナさんが初めてジェイドさんを本人の前で名前呼びしたんですよね…