処刑人アリナさんと邪悪の王ギラくん   作:山田プロキオン

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レンジャーキーの独自設定:補足
 クワガタオージャーのレンジャーキーがあるのにギラが王鎧武装出来ている理由ですが、キングオージャーのレンジャーキーは、オージャカリバーやクモノスレイヤー、シュゴッドソウルに宿る戦闘の記憶を基に、ンコソパの超技術を用いてヤンマが力の一部を具現化したものだからです。ややこしい表現になってしまい申し訳ございませんでした。


不屈の処刑人、ガイソーグ

 突然雪崩のようにクエストの受注が殺到したイフール・カウンター。アリナが不在の最悪なタイミングであったがために、ライラをはじめとする受付嬢達は大忙しだった。

 そしてギラは、何故このような事態に陥ったのか、詳細確認のためにジェイドとギルド本部にいるギルドマスター・グレンに詳細を尋ねたのだが…。

 

「成程…デマ、ですか…」

 

「うん、そうなんだギラさん」

 

「『裏クエストには神域(ディア)スキルを取得することが出来る遺物(レリック)がある…』。近頃そういった噂が冒険者間で広まっていてな…少年のいるイフール・カウンターはクエスト受注の中枢地だから多くの冒険者達が押し寄せたんだろう…神域(ディア)スキル取得なんて、そんな夢のような話を黙って見過ごす冒険者はそういない…」

 

 グレンは額に手を当てて、溜息を1つ零す。白亜の塔の1件以降、噂でしかなかった裏クエストが実在すると発覚してからどこもかしこも隠しダンジョンや特別な遺物(レリック)のことで話は持ち切り。

 とはいえ、前述の情報が出回ったのは推測するに早くて昨日の夜頃だったらしく、浸透速度が異常に見てとれた。神域(ディア)スキルが手に入るということに目が眩んだ多くの人々によって急速に広まったのか、あるいはこの騒動を見越して情報を流した愉快犯がいるのか。いずれにせよ、明日にはギルドからデマ情報だと直々に報告するらしいのだが、収束するのはまだまだ時間がかかるだろう。

 

「全く…嬢ちゃんの捜索もしてる最中だってのに面倒事ばかり起こりやがる…もしかしたら、嬢ちゃんはいつもこんな気持ちだったのかもな…」

 

「確かに、アリナはこういう仕事が増えちゃうようなことは嫌いそうですからね…」

 

「まぁ、アリナさんの性格からしてな…」

 

 ギラとジェイドは顔を見合わせて、苦笑いをする。今回の騒動にアリナがいたなら、怒り狂って愚痴を零すこと間違いなしだろうと双方共に思った。

 

「そういえばジェイドさん、スキルって先天的なものって前に話しましたよね?遺物(レリック)で後天的に取得出来たりすることもあるんですか?」

 

「いや、そんな事例存在しないし、後天的にスキルを取得することは不可能だと提唱されている…」

 

 だけど、とジェイドは一旦挟むと、ギラの疑問に神妙な顔つきになって話し始めた。

 

「それを差し引いたとしても、神域(ディア)スキルは冒険者の夢だ。発芽した自身のスキルに満足していなかったり、発芽出来ずになやんだりしている冒険者達にはさぞ魅力的に映ったんだろう。

 

スキルは魔法と違って個々人に眠る力。知識や鍛錬で会得出来るものじゃないし、人によって能力は様々だ。発芽するかは運次第だし、発芽しても望んだものとは限らない。

そのくせ、冒険者の仕事には必須なものとして求められる…そんな行き場のない鬱憤が、今回の裏クエストの話で爆発したんだろうな…」

 

 話を終えると、ジェイドは悲しそうに瞳を揺らす。この世界の事情を詳しく知っている訳ではないが、どこかギラも理解出来ると感じた。情報に踊らされ、穏やかな者達でさえ暴徒になりうるという危険性は、チキューの王国でも体験した事象だ。ギラは一歩ジェイドに近寄ると、右手をジェイドの肩に乗せて言った。

 

「ジェイドさん、ギルドマスター。僕も出来る限りのことは手伝います!だから、遠慮なく頼ってください!」

 

「いいのか…ギラさん…」

 

 ギラの提案に、ジェイドは目を丸くし、しかし何処か嬉しそうに声を上擦らせて尋ねる。そんなジェイドにギラは優しく微笑み、改めて決意を伝えた。

 

「はい。僕も一応、冒険者ですから」

 

「ありがとうギラさん…。元いた世界に戻らないといけない事情もあるだろうに…」

 

「いえいえ、まだ帰る方法が見つかってないので」

 

 ギラとの会話の中で、ジェイドに笑顔が戻っていく。先程までの何処か陰鬱そうな様子は影も形もない。そこにあるのは、冒険者友達として楽しく語り合う2人の男の姿だった。

 そんな2人の背中を、グレンも穏やかに見守っていた。

 

『緊急緊急!!訓練場にて、侵入者!!侵入者!!』

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 突然、ギルド本部にサイレンの轟音が響き渡り、ギラとジェイドは共に訓練場へと急いだ。

 

「ギラさん!!」

 

「ジェイドも!!来てくれたのですね!!」

 

「ああ、それよりこれは…」

 

 ロウとルルリに出迎えられて到着したギラとジェイドは、目の前の惨状に息を呑んだ。足場は粉々に砕け、訓練場を支えている強固な柱は分かりやすく細切れにされており、訓練用のモンスターを三次元的に投影する虚像構築装置(ホログラム)も壊されていた。

 

「一体、誰がこんなことを…」

 

「ギラさん…それは…」

 

 動揺を孕んだギラの問いに、ロウはいつになく恐る恐るとした様子で指を差す。ロウの指の先には、骸骨化した龍の装飾が施された剣を肩に担ぐ者が1人。長い黒髪に翡翠色の瞳、そしてイフール・カウンターの受付嬢の制服に身を包んでいる容姿に、その場の誰もが目を疑った。

 

「あ…アリナ…⁉︎」

 

「アリナさん、どうしてここに…ずっと連絡も取れなくて、皆心配していたんだぞ⁉︎」

 

 アリナが生きていたことに対する安堵と、今までどうしていたのだという心配を全面に出して、ジェイドは駆け寄る。しかしアリナは、肩に担いでいた剣の切先をジェイドへと向け、敵対心を露わにした。

 

「え…アリナさん…?」

 

「この娘の…記憶にいた…冒険者か…?お前も…強き者か…?」

 

「は?アリナさん、何を言って…」

 

 

 

 

 

 

 

「我に…勝て…ガイソーチェンジ…」

 

 いつものアリナとは違い、低い声で淡々と丁寧に話す様に、ジェイドは困惑する。そんなジェイドの当惑も意に返さず、話を進めるアリナの掛け声に応じ、どこからともなく現れた紫の鎧が彼女を覆った。

 龍のようにも騎士のようにも見えるその鎧戦士は、剣を構えて攻撃態勢に移った。

 

「我が名はガイソーグ…宇宙最強を求める者…」




アリナ・クローバー(cv.関智一)ってインパクト凄そうですよね

実際ガイソーチェンジ前はアリナとガイソーグの声が入り混じっているか、完全にガイソーグの声になっているかの二択だと思っています。
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