私アニメ勢なのでギルます世界のライセンス発行の仕方良くわからないんですよね。発行システムがちょっとこのすばっぽくなりますがご了承下さい。
朝食を終え、ギラはアリナと共に冒険者ギルド『イフール・カウンター』へと向かう。この世界で冒険者になるための必須品のライセンスカードを発行して貰うためだ。
元の世界に戻る手段に目処があっておらず、アリナも受付嬢としての仕事の中で方法を探してくれると述べたが、暫くはこの世界で生活することは確定事項だ。
そうなってくると日銭を稼がなければいけないのは必須であるのだが、この世界に来てまだ日の浅いギラが就ける職など片手で数える方が早いのは明らか。
しかし冒険者業なら話は別だ。ギルドにてライセンスカードを発行し、クエストを受注するだけでいい。しかもギラはオージャカリバーによる王鎧武装や、ギラ本人の出生上の特性も相まってモンスター相手に簡単に敗北することは先ずなく、加えて難関ダンジョンもクリアすることも容易いだろう。
「そういえばさ、アリナはどうして冒険者になったの?」
ギルドへ向かう道中、ギラが感じた疑問をポロッと溢した。
しかし場所が良くなかった。ここはギルドに通じる街道。早朝故に昼間のように人で溢れ返ってはいないものの、それでも多くの店が開店作業を行っていてそれなりに人はいる。
動揺で一瞬立ち止まったアリナは、ギラの方を勢い良く振り向いて人差し指を口に当てる。そして両者はお互いにしか聞こえない声量で会話を始めた。
「ちょっと!そのことは大声で聞かないでよ!」
「え?ダメだった?」
「ダメに決まってるでしょ!受付嬢の私が冒険者やってるなんてこと広まったらギルドクビになっちゃうの!受付嬢は副業禁止なのよ!」
「じゃあどうし「無能な冒険者共のせいに決まってるでしょ⁉︎アイツらがダンジョン攻略にチンタラチンタラやってるせいで私の残業期間が増えるの!だ〜か〜ら、私が出向いて最速攻略してやってんのわかった⁉︎」は…はい」
アリナの早口説明に圧倒され、ギラは首を縦に振るしかなかった。まさかそんな私情タラタラでバレたら即刻クビという危ない橋を渡っていたとは。
ただ、ギラはそれだけではないように感じた。アリナが述べたことは真実に変わりはないのだろうが、他にも何かあるのではないか、そう思えて仕方なかった。
「(本人が聞いて欲しくないんだし、これ以上は止めておこう)」
必要以上の追随は野暮である。それは王としての責務を全うしてきて感じたことでもある。主にゴッカン裁判長リタのアイドル事情での一件があるからであるが。
「あ、着いたわ!今日は仕事少ないからちゃちゃっと済ませて…その前にギラのライセンス発行だったわね!」
「うん、宜しくねアリナ」
話をしている間に、2人はイフール・カウンターへ到着し、アリナが受付に移動する。ギラもその後を追い、いよいよ冒険者ライセンスの発行手続きを開始した。
「あ、ちょっと待ってね!」
アリナは奥の受付嬢の事務用の部屋に一旦行くと、何やら水晶のようなものを持って来た。そしてギラの元へ持ってくると触れるよう告げる。
「さぁ、この水晶に触れて下さい。これで魔力や体力、戦闘記録等を読み取りまして身の丈にあった階級のライセンスを発行致します」
仕事場のため、口調をいつもの受付嬢モードに戻し細かく説明を始める。ギラはアリナの説明にうんうんと頷くと、水晶に手を翳す。
刹那、水晶が光り輝き、ギラのステータスが浮かび上がった。
「ふむふむ、魔力筋力俊敏力共に高いですね。生命力だけ測定不能なのは気になりますが…。さらにダンジョンのボス攻略もしておりますね…、これは文句なしで一級ですね。
それでは、ここに名前と身長体重、そして身体の特徴を記して下さい」
ステータスの調査を終えたアリナは、1枚の紙をギラに手渡し、冒険者になるための最後の証明書記入を申し出る。
「えっと…ギラ・ハスティー。身長は170cmくらいで体重は…髪に赤メッシュと…」
「ありがとうございます。それでは今からライセンス作成に移らせていただきます」
水晶と証明書を手に、アリナは受付へと戻ってライセンス発行の作業へと移った。あとは数十分もすれば完成するだろうと、ギラはギルドの椅子に腰掛けて、前にアリナから貰った資料の続きを読み始めるのだった。
「あ、処刑人のことも書いてある。アリナってすごいんだなぁ…」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ギラ・ハスティーさん!ライセンスの発行が完了しました。アリナ・クローバーが担当しております受付までお越し下さい!」
「は〜い!」
アリナからのアナウンスに、彼女のいるカウンターへと向かう。ギラがやって来ると、アリナは一級冒険者の証たるライセンスを手渡した。
「ありがとう!」
「では、ギラ・ハスティーさん!これからの貴方の冒険者としての活躍を、ギルドの一員として祝福致します!」
アリナはいつもの営業スマイルで、否半分は本当に笑いながらギラを激励する。
そんなアリナにギラも笑みを浮かべて頭を下げると、早速自身でも出来るクエストを探しに向かった。
「あ、ちょっと待って!」
咄嗟にギラの腕を掴むアリナ。ギラが振り向くと幾らかのお金をアリナが手渡していた。
「お金無しじゃ生活できないでしょ?これで数日は生活できるでしょうから」
「…うん、ありがとう!」
アリナからお金を受け取りお礼を述べると、今度こそギラはクエスト探索へと移行する。
「どれにしようかな…あ!」
数多のクエストが記された依頼用紙ではなく、とある1枚の宣伝用紙に目が移動するギラ。そしてギラはこの依頼を受けることに決めたのだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ギラの奴〜、なんでクエストじゃなくて隣町の学童のバイトしてるのよ〜!」
数週間後のイフール・カウンターの深夜の時間帯。アリナは大量の冒険者のクエスト始末書に追われながら愚痴を溢している。残業中なのだ。
数日前までのアリナならギラの行動に対してそこまで文句は言っていなかった。しかし最近になってベルフラ地下遺跡に存在するボスの「ヘルフレイムドラゴン」の活動が盛んになり、冒険者達も攻略に難航している様子。それ故に残業する日が多くなり、ここ最近はギルドで食べて寝ての生活が続いていた。
そして肝心のギラはというと、わざわざ隣町まで移動して学童のバイトに勤しんでいる。
ギラが児童養護園に居た頃の子供好きの影響もあるが、その学童は人手不足を嘆いており、それがギラのお人好しの部分までも刺激してしまったのは説明するまでもない。しかもそのバイトは賄いも出るらしく、どんどんとギラの外堀を埋めてしまった。
一応あと数日すればギラは戻って来るらしく、この頃ギルドの中でも最強の冒険者パーティである『白銀の剣』がベルフラ地下遺跡に出向くとの噂もあるので、もう少しの辛抱であるとアリナは自分に言い聞かせて平常を保つ。
「そうよ、この残業地獄ももう少しの辛抱!ここで動いたらギラを冒険者にするよう扇動したのも全部台無しになるわ!頑張れ私!頑張れ!」
机の上に置いておいた疲れを軽減するポーションをぐいっと一気に飲み干して、アリナは自分を鼓舞する。
「もっふん、私頑張るから!絶対残業なんかに負けないから!見守ってて!」
さらに懐からもっふんのぬいぐるみを取り出して独り言を始めた。因みにこれは学童のバイトに赴く前のギラが、『家に泊めてくれたお礼』とのことで手作りしたものである。
最初はアリナもなんだこれはと感じていたらしいが、いつしか愛嬌のあるものとして見ていきその心を射抜かれてしまったのだ。
次元を超えて人々の心に癒しを送るイシャバーナ産のキャラクター、もっふん。恐るべしである。
しかしこの数日後、遂に我慢の限界を迎えて再び処刑人としてアリナが前線に出向くことになるのだが、それはまた別のお話。