“ ”は異世界を見る 作:侑音
サブタイトルは意図的に書き方変えてます。今までと話が違うという意味も込めて
始まりは、ちょっとした異変でした。
シェアハウスしているはずなのに、足音も、気配さえも気付きませんでした
さて。彼女はどこへ行ったので ━━━━━
「そんなこと言ってる場合じゃないの分かってる!?」
彼女達の住む家で悲痛な叫び声が響き渡った理由は約1時間前まで遡る ───
とある日の朝。いつも1番早く起きる緋那が異変を感じたのは彼女が起きてから30分後の事だった。それは羚音が開口一番放った一言からだった
「ねぇ、ユズいつもより起きるの遅くない?」
何気ない一言。ただその一言で緋那の顔がほんの僅かに青ざめた。その異変に気付き、羚音も段々と血の気が引いていくかのように青ざめていく
「…っわ、私、ユズの部屋見てくる!」
ばたばたと、彼にしては珍しく足音を鳴らしながら柚葉の部屋まで走っていくのを呆然と見ながら緋那は何度も同じ言葉を繰り返す
「そんなわけない。そんなはずない。柚葉に限って、そんな、わけ。だって、昨日まで、普通で、だって」
普段の緋那と羚音からは考えられない動揺。そしてそれは普段滅多に朝早く起きない悠稀にも伝わった
駆け足で階段を駆け上がる羚音に寝ぼけた様子の悠稀が不思議そうに、しかしどこか強ばった表情で尋ねた
「…なにかあったの?」
「ユーくん、ユズが。ユズ、が、いない」
「え?」
「分からない。でも多分いない。部屋、見てくるから、下で待ってて」
「ちょ、羚音くん?」
悠稀との会話もままならない羚音には冷や汗が流れ続けていた
荒く響くドアを開ける音。しかしその先は
「………は、?」
状況を理解できず羚音が発することができた言葉にもならない音。空気に飲まれたかのような、かすれた声はただ、誰の耳にも届かなかった
そして今、冒頭まで遡る
「…これ、私らの記憶がおかしいの?それとも、
「後者であってほしいけどね。でも昨日まで確かにちゃんと柚葉の部屋にはものがあって」
「でも、何かおかしいんだよ」
羚音はゆっくりと、言葉を選ぶように呟く
「ユズの部屋、
「……え?は?」
沈黙が僅かに流れ、そして覚悟を決めたように緋那が声を上げた
「……行くよ」
「どこにいるかも分かんないのに?」
「あいつの知人のとこ、全部行く」
「緋那!?流石にそれは!」
「無茶だよヒナさん。やめた方が」
「それでも行くしかないんだよ」
切羽詰まった表情の緋那に余裕など欠片もなかった
Side. ??
『なぁ。今どこに向かってんの?』
「んー?なーいしょ」
『えー。つまんない』
「どうしてこの子はいつまでも報われないかなー。ま、頼ってくれたしいいけどね」
『?何か言った?』
「なんでもない。あ、もうすぐ着くよ」
『?了解』
最後の会話は一体誰だったのでしょうか…?