ToLOVEるIF・FINAL 銀河最強の女帝 作:ヒアデス
祝☆モモさま入会
【挿絵表示】
『トラにちわー! 【UZURIPO CHANNEL】の時間がやってきました~!!
ミッドチルダで起きていたテロ事件も無事解決して、もしデビルーク星の軍隊が地球に侵略してきても安心してあっちに逃げられますわ~。……えっ、時間軸がズレてる? そこはまあ別作品ですからパラレルっつうことで。
まあ別作品もとい別の世界の話は置いといて、一部の視聴者様には耳よりのビッグニュース!
なんと、デビルーク星の元第3王女にして彩南高校に降臨した『
情報収集のために入ったとはいえ、『V・M・C』の一員としてこれほどうれしいことはありませんよ~♪
――というわけで、動画を見ている視聴者、特にV・M・Cの皆さん、モモさまと
以上、モモさま御用達【UZURIPO CHANNEL】でした~♪』
「モモさま! 我々V・M・C――ヴィーナス・モモ・クラブのメンバー全員【UZURIPO CHANNEL】への登録を済ませました! これで我々もモモさまと同じ動画を視聴するチャン仲です!!」
「これも運命の巡り合わせ。今すぐ卯敷にかけ合ってあのチャンネルを『MOMO CHANNEL』に改名させて彩南、いや日本――いいや全世界にモモさまの魅力を発信しましょう!!」
「彼女の腕とモモさまの魅力をもってすれば、全世界V・M・C化も夢ではありません!!」
「い、いや、それは卯敷さんに迷惑ですし、全世界V・M・C化なんて望んでませんから……」
登校早々廊下を歩いていたモモを取り囲み、中島を先頭に鼻息荒くまくしたてるV・M・Cたちを、モモは脅しつけたくなる思いを必死にこらえながらやんわりたしなめる。
――この集団が地球中に広がるなんて冗談じゃないわ。
『V・M・C(ヴィーナス・モモ・クラブ)』とはその名の通り、モモを『
しかもまさか“彼女”までその一員だったとは……。
「あっ、中島先輩と――モモさま〜〜♪」
噂をすればこの騒ぎを起こした張本人――卯月理保が上機嫌そうに大きく片手を振りながら歩いてきた。
彼女を見つけて中島が「おおっ」と声を漏らし――
「卯敷君、ちょうどいいところにきた。全世界にモモさまの魅力を伝えるため君がやっている動画を――」
「卯敷さん、ちょっといいですか!!」
中島の妄言を遮り、モモは理保の腕をひっつかんで廊下の隅まで連れ込み、うっすら怒気を立ち昇らせながら訊ねた。
「どういうつもりですか? 昨日の配信……」
「いやー、モモ先輩の入会を宣伝すればファンの人たちが釣れるかな~と思ってつい」
モモの詰問に理保は誤魔化すような笑いを返しつつも――
「まあおかげであの通り、V・M・Cの会員や隠れファンも登録してくれたらしく、チャンネル会員は爆上がりなんですけどね♪ というわけでモモさま、今度ぜひうちの動画に出演――」
「し・ま・せ・ん!! それより、今後は『モモさま御用達』とか私を餌にするような放送はしないでください! でないと訴えますよ。あと、“モモさま”って呼ぶのもやめてください!」
モモは以前のようにV・M・Cの面々を土下座させるほどの凄みを帯びた眼と声を放つ。が、理保は臆するどころか人懐っこそうな笑みを返し――
「はいはい、わかりました“モモ先輩”。じゃああたしのこともリホって呼んでください。友達からはそう呼ばれてるんで。ハンドルネームのウズリポでもいいですよ♪」
「……わかりました。じゃあリホさんとお呼びします。」
渋々返事を返すモモに、理保は満足げな頷きを返しながらモモに別れを告げ、中島たちの元へ向かう。そんな彼女にじとりとした目を向けながら、モモは大きくため息を
――ダークネス事件以来、V・M・Cといいネメシスたちといい、なんで私の周りにはこんな問題がある人ばかり現れるのかしら?
「それにしても凄いじゃないか卯敷君。前期試験の成績学年トップ、しかも全教科90点以上なんて。そんな子がV・M・C会員とは鼻が高いよ」
「たまたまですよ〜。前の学校で教わった所と出題範囲が被ってましたから♪」
「なんですってーー!?」
中島と理保の会話が届き、モモは思わず驚愕の声を上げる。
当時の私より順位も点数も高い!
◆
3ーA。
「結城!」
「はい!」
テストの束を抱えた教師に呼ばれ、リトは席から立ち上がり教壇へと歩く。
リトが来るや教師は表情を緩め、労うような言葉をかけた。
「よく頑張ったな。以前までの結城からは考えられん。その調子で大学受験に向けて頑張るように」
「はい……ありがとうございます」
リトは照れ隠しに頭を下げながらテストを受け取り、自身の席へ戻る。
そして授業後、返却された答案を改めて眺めていたところで――
「隙あり~♪」
おもむろに伸びてきた手が答案を引っ掴み、上へ掲げられる。
その向こうには癖のある茶髪を肩まで延ばし、だらしなく上着を崩した不真面目そうな女子生徒が立っていた。
「あっ――なにすんだよ!?
声を荒げるリトを前に、
「75点――結城のくせに生意気な。また一緒に補習できると思ったのに、すっかりガリ勉になっちゃって。そんなに頑張らなくたってデビルーク星の王様になっちゃえば将来安泰じゃない」
「そういうわけにいかねえよ! もし王様になるとしてもかなり勉強しておく必要があるみたいだし。ってかお前もそろそろまじめに勉強しろよ! 遊び呆けたせいで大学に行けなくなっても知らねえぞ!」
「その時は親にお金出してもらって私立に行くから大丈夫。もしくは、未来のデビルーク王様に側室として養ってもらえばいいし♪」
「な、なにやってんだよこんなところで!」
籾岡はすでに谷間が見えそうなほど開いたブラウスに手をかけ、リトは両手で目を庇う。が、そこに別の手が伸びてきて――
「やめなよ里紗。他の男子も見てるし“結城の彼女”に怒られるよ! 結城は春菜と付き合ってるんだから……それにほら、デビルーク星ってとこは今大変なことになってるみたいだし」
籾岡とは正反対“に見える”眼鏡をかけた黒髪ツインテールの女子、
「大変たってララちぃがお父さんと喧嘩してあっちの星を乗っ取っちゃっただけでしょ。女帝ごっこに飽きるか仲直りしたらあの子も戻ってくるって。そうならなかったら結城を差し出してあの子とくっつけちゃえばいいし」
「まぁ、それもそうか」
籾岡を何とかしてくれという期待をあっさり裏切り、沢田はあっさりあちらに付く。
真面目そうに見えて、公衆の面前で春菜の胸を揉みしだいたり等、彼女もかなりの曲者なのだ。
「つか、お前たちもデビルーク星やララのこと知ってんのかよ? 一応地球じゃ公になってないはずだぞ!」
「ああ、それはこれ。今年入った一年生がやってる動画であげられてたから」
沢田はほいと言いそうな仕草でスマホを見せる。画面の向こうには赤色のリボンタイを付けた青髪の女子生徒と『女帝ララ爆誕』等のタイトルが映ったサムネが並んでいた。
「【UZURIPO CHANNEL】っていうんだけど、なかなか面白いよ。この間なんて“ミッドチルダ”って世界から来た男の子とゲーム屋の看板娘が立体カードゲームしてる動画あげてたし。もちろん異世界云々なんてほとんどの視聴者は信じてないけど。――モモっちも最近登録したらしいよ」
「モモが?」
「うん。配信主の『ウズリポ』もⅤ・M・Cの会員らしくて、昨日の夜の配信で大々的に公言してたから。それでファンたちも大騒ぎしてるみたい。モモっちも連中に捕まって全世界Ⅴ・M・C化なんて計画を聞かされてたらしいし」
沢田が話す光景が目に浮かび、別の階にいるモモに同情の念を抱く。そんなリトに――
「まっ、
籾岡の提案を聞いた途端、リトの脳裏に春奈とララ、他の女子達の顔が脳裏に浮かぶ。
が、
「そんなわけにいかねえよ! 俺には春奈ちゃんが――」
「えっ?」
リトが言いかけると同時、かすかな女の子の声が届いてくる。
その声を聞いてまさかと思ったリトが振り返った先には、ララとともに話題になってた西連寺春菜の姿があった。
「やっほー、春菜」と片手を上げる沢田にも気づかず、春菜は戸惑った様子で、
「えっと……私、里紗と未央に用があって来たんだけど――話し込んでるみたいだから後にするね!」
そう言い残すとリトや籾岡たちが引き留める間もなく、春菜は目まぐるしい速さで背を向け、逃げるように教室から出て行った。
まさか今ので嫌われた? 顔を青くしながらそんな心配をするリトに籾岡はポンと肩を叩き、
「大丈夫大丈夫。告白もどきと春奈ちゃん呼びに照れてるだけだから。あとであたしらでフォローしとくし。とにかくさっきの話考えといた方がいいよ! じゃあね!!」
鞄を担ぐ籾岡と「ばいばい♪」と言いながら手を振りながら去っていく沢田に、リトはその場に棒立ちしながら「ああ」と空返事を返すしかできなかった。
――そう言えば、本人の前で“春奈ちゃん”って呼んだのこれが初めてなんだよな。ララのことも何とかしねえといけねえみたいだし……なんで俺なんかがこんな目に合うんだ!!
自らの肩にかかった重荷と遠いデビルーク星にいるララの心配から、リトは心の中で慟哭を上げる。
そんな彼を廊下から覗き、ニヤリと口を吊り上げる青髪の女の子がいることにも気づかず。