キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影人の入部 浮かれすぎなうた

チョッキリ団のアジトではカッティーが前回の出撃で完敗したキュアアイドルのライブ映像を自前のスマホで見ていた。そんな中、ザックリーはダーツをやっているが上手く刺さらずに失敗している。

 

「あーくそっ!カッティーお前!それ何万回見ちゃってるんだよ!」

 

尚、ザックリーがダーツをやってる間にカッティーは何度も見返す形でアイドルのライブを連続視聴しているためにザックリーは流石に苛立った。

 

「キュアアイドルの研究をしているのですぞ」

 

「んなっ!?」

 

そんな風にカッティーは言うものの映像化してネットに上がっているのはライブシーンのみ。これだけで彼女の攻略法を思いつくのは流石に無理がある。

 

「……ったく。この前は簡単にやられてくれちゃって。ダークイーネ様に報告できたもんじゃないよ」

 

そんな風に文句を言うチョッキリーヌ。彼女も部下が簡単にやられては更に上の立場にいるダークイーネへの報告なんてできない。

 

「ザックリー、お前もそう思うだろう?」

 

「……はい。ザックリ言えば弱ぇえ。今度は俺がザックリ行って……」

 

「そうはさせませんぞ?」

 

ザックリーが出撃しようとするとカッティーはそんな彼を遮るように発言しながら外に出ていく。

 

「うぉい!何でだよ。今度は俺の出番だろーが、カッティーな奴だな」

 

「自分、カッティーですから」

 

結局今日の出撃はカッティーに取られてしまったザックリー。彼は仕方なくアジトで大人しくする事になる。

 

その少し後。新学期初日が終わった放課後の時間。影人は帰るために廊下を歩いていると彼の前にこころが立ち塞がった。

 

「影人先輩!」

 

「……紫雨さん」

 

「……先輩、結局部員第一号になってくれませんでしたよね」

 

「それは悪かったと思ってる。……でもやっぱり俺は……」

 

影人は一度こころを相手に話を保留にしてもらおうと思ったが、それはこころにとっても焦れったい話だと感じるとある決意を固める。するとこころが先に話し始めた。

 

「……わかりました。これ以上、先輩に研究会に無理に入ってもらうような事は言いません。先輩にだって気持ちがあるのに……私、どうかしてました。……先輩に無理に入るように薦めてすみません」

 

こころは今回の件で影人を困らせた事に関しては全面的に自分に非があると感じたのか、素直に頭を下げて影人へと謝る。

 

「……俺こそごめん……。紫雨さんの気持ちだってあるのに俺の都合でこんな……」

 

「良いんです。……その代わり、入りたかったらいつでも……」

 

「だからさ!」

 

影人はこころが完全に影人を研究会に入れるのを諦める前にこころへとある提案をする事にした。

 

「……俺、研究会には一応所属する」

 

「……え?」

 

「本格的に入るのはまだ無理だけど……俺の都合がちゃんと付いたら。俺だって紫雨さんと話す時間は楽しいって思ってる。これは冗談でも嘘でもない。……だから仮所属……。それがダメなら幽霊部員になるかもだけど、研究会に入っても良いか?」

 

影人からのその言葉を聞いた瞬間。こころは気がついたら影人の元に飛び込んでいた。

 

「先輩!!」

 

「のわっ!?」

 

こころに抱きつかれた影人はそのまま倒されるとこころは影人の上に跨った状態のまま僅かに泣きそうな目で影人を見ている。

 

「ひぐっ……私、先輩に嫌われたと……ここ最近、他の女の子とばかりで。先輩に嫌な気持ちにさせてたのかなって……」

 

「ああっ、取り敢えず泣くのは勘弁してくれ。あんまりこんな状況を周りの人に見られたくないんだ!」

 

影人が慌てる中、こころは嬉しそうに自分で持っていたうちわを影人へと渡した。そこにあったのはキュアアイドルのカラーであるピンクのファンサうちわである。

 

「これが先輩が研究会に入った証です!大事にしてくださいね……」

 

こころに上目遣いでそう言われては影人も頷くしか無い。こころはそのタイミングでようやく影人の上から退くと影人へと微笑んだ。

 

「先輩!……これからも沢山お話、しましょうね!」

 

そんな風にこころは笑顔で去っていく。そんな彼女を見届けた影人の心は何故か軽くなっていた。まるでこころの気持ちを受け入れただけでスッキリした気分なのだ。

 

「……やっぱり、隠し事するよりも本音で話した方が気持ちは楽だよな……」

 

影人はそんな風に上機嫌なこころを見送ると自分もひとまず玄関口に向かう。するとそこにはウキウキとしながらキラキラと輝く東中を見送ったうたがいた。

 

「……あれ?咲良さん。あれは……東中さんだけど、一体何が……」

 

すると影人がうたの顔を見た途端ギョッとした。うたの顔つきは完全に緩み切っており、アイドルがするべき仕事モードの笑顔とは大幅にかけ離れたふやけたような顔つきになっている。

 

「えっへへへ〜!私、テレビに出てるアイドルみた〜い!」

 

「プ、プリ〜……」

 

「………咲良さん、鞄の中のプリルンが目を回してるぞ?」

 

影人がプリルンの事を指摘するがうたは浮かれ過ぎて完全に聞いておらず。プリルンもうたが回転したせいで目が完全にグルグル状態になってしまっていた。

 

「あっ!サインとか考えた方が良いかな〜!」

 

「プリ……」

 

「ダメだこの伝説のアイドルプリキュア。完全に浮かれてやがる」

 

影人が呆れてしまう中、二人よりも先に帰り道を歩く東中はキュアアイドルのライブ曲である“笑顔のユニゾン”を鼻歌で歌っている。そんな彼女がキラキラしているのを見たカッティー。

 

「……目障りなキラキラですぞ。お主のキラキラ……オーエス!」

 

「きゃあああっ!?」

 

カッティーは問答無用で東中のキラキラを引き抜くとリボンを切り裂いてしまう。

 

「カッティーン!」

 

そして、前の時と同じように素体である東中を閉じ込めた闇の球体と紫の水晶を合わせてから地面に叩きつける。

 

「出でよ!マックランダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするのですぞ!」

 

その瞬間、東中を素体にしたマックランダーはファンサうちわをモチーフにし、サイリウムを幾つも手にしたマックランダーへと変貌する。

 

「私〜完全♪芸能人〜♪」

 

「ブルっと来たプリ!」

 

そんな風にプリルンが寒気でマックランダーの出現を察知するとうたや緊張感が皆無すぎてうたを一人にするのが危険すぎると判断した影人へと知らせる。

 

「マックランダープリ!」

 

「ッ、やっぱり出たか。というか前の襲撃から僅か数日で来るのかよ」

 

「え〜?私の出番、来ちゃった?よーし!今日も活躍しちゃうぞ〜ヒヒヒ〜!」

 

そんな風にマックランダーが出て街の人々が窮地に陥っているのにまだ浮かれた様子の彼女を見て影人は流石にこのままのテンションで彼女を行かせるのは不味いと判断。影人はうたへと真剣な顔つきで声をかけた。

 

「咲良さん、幾らアイドルプリキュアだからってそんな浮かれてたら負けるぞ」

 

「え〜?今の私は完全無欠のアイドルプリキュアだよ〜?そんな簡単にやられないって」

 

「アホか!」

 

影人はまだ呑気なうたを見て流石に苛立ったのか、彼女の肩を両手で掴むと彼女を諌めるように声を荒げる。

 

「お前、そんなので本当にどうにかなると思ってるのか?これは人の命がかかった真面目な事なんだよ!囚われた人は真っ暗闇の中で必死に抗ってるのに……助ける側のお前に覚悟が無くてどうするんだ!」

 

「もう煩いなぁ〜。大丈夫って言ってるでしょ。それよりも〜、私はまたサクッと倒して活躍して〜もっと有名になるんだぁ〜」

 

「……ッ!!咲良さん……くっ……」

 

影人はそんな風にいつまでも調子に乗ってのらりくらりの彼女に我慢の限界が来たのか彼女から手を離すと歯軋りして苛立ちを噛み殺し、一人で全速力で走り始める。

 

「影人!先に行ってどうするプリ!」

 

「煩い!今の咲良さんは頼りになんかならねぇよ!」

 

プリルンが声をかけるものの、影人はそれを無視してさっさとマックランダーの暴れている場所に向かっていく。そんな様子を見ても尚、うたは浮かれっぱなしだ。

 

「影人!」

 

「大丈夫だって、プリルン。何てったって私は一回マックランダーに勝てたんだよ?今度もきっと楽勝だからさ〜!それよりも、どうやって目立とうかな〜!」

 

そう言ってうたは浮かれたまま現場へと向かっていく。勿論浮かれているので全速力では無い。そんな二人のやり取りを偶然近くで見かけたクラスメイトのなな。

 

「影人君……に、うたちゃん?」

 

影人は全速力で走ったためにうたよりも先に先行して現場に到着。この時点で街の人々はマックランダーを前に逃げ回っていた。そんな中、カッティーは影人を見つける。

 

「……何だ、キュアアイドルかと思えばあなたですか」

 

「悪かったな。お前のお望みのキュアアイドルじゃなくてよ」

 

「生身の体でどうにかなると思ってるのですかな?大人しくキュアアイドルを待った方が賢明ですぞ」

 

「……生憎様、ちょっと今のキュアアイドルは役に立ちそうに無いからな。俺がお前らを止めてやる」

 

「ふっ。前回あれだけ痛めつけられて懲りてないとは……仕方ありませんな」

 

カッティーは無謀にも向かってくる影人に対してやれやれと言わんばかりに首を横に振るとマックランダーは早速影人へと走ってくる。

 

「マックランダー!」

 

「こっち来いよ!」

 

影人はさっきから走りっぱなしで疲れているにも関わらず、鞄だけ近くに投げ捨てると身軽な状態で走り回る。

 

「ふん。やっぱり逃げるだけしかできないのですな」

 

「いいや、策はある!」

 

するとサイリウムからエネルギーのビームが放たれるとそれが容赦なく影人の近くに着弾して爆発する。

 

「ッ!?」

 

影人はその威力で吹き飛ばされるが、上手く受け身を取って構える。するとマックランダーはすかさず影人へと接近すると拳を振り下ろす。

 

「よっ!」

 

すると影人は敢えてマックランダーの懐に飛び込むと拳を回避。マックランダーは足元に入られた影人を見て彼を踏み潰すために脚を振り上げる。

 

「今!」

 

影人はすかさず前に受け身を取りながら飛び込むと攻撃を回避しながらマックランダーの足元の後ろ側の死角へ。マックランダーが大きいのと人型なのでこの位置なら影人が近すぎてマックランダーからは確実に見えない。

 

「マックランダー!?」

 

マックランダーが影人がいなくて困惑している間に影人は近くにあった鉄パイプを手にすると思い切りマックランダーを殴る。

 

「だああっ!」

 

しかし、全くと言って良い程にダメージは入らない。やはり生身では死角を奇跡的に取れてもそれを活かせるようなダメージは与えられない。

 

「マックランダー!」

 

するとマックランダーは体を回転させるとその突風で影人を吹き飛ばして地面に叩きつけさせてしまう。

 

「がはあっ!?」

 

影人は立ち上がろうとするが、体の痛みで上手く立てなかった。そんな様子にカッティーは溜め息を吐く。

 

「やはりやるとは言ってもこの程度。マックランダーの敵では無いですぞ」

 

「……ッ。やっぱり、プリキュアに選ばれてない俺なんかじゃ……勝負の舞台にすら上がれないのかよ……」

 

するとそこにようやくうたがプリルンと共に到着。そんな彼女は影人へと声をかけた。

 

「ふっふっふー!ヒーロー参上だよ!」

 

「影人!ここからはうたに任せるプリ〜!」

 

「………正直今のうたには任せられないけど……仕方ない」

 

影人は今のうたが頼りにならないと感じていたが、それでも彼女を頼る他この場は切り抜けられないと踏んでその場から離れる。

 

「マックランダー!!」

 

「待つのですぞマックランダー。今のお前の敵はキュアアイドル。そんな小僧はいつでも倒せるのですぞ」

 

カッティーの指示でマックランダーは影人への攻撃を止めると今度はうたの方を見据える。

 

「よーし!私、行っちゃうよ!」

 

うたがアイドルハートブローチを手にするとそこにプリキュアリボンを装填。変身のための掛け声を言い放つ。

 

「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」

 

うたが両側を押し込むとハートのミラーボールが回転。そのまま姿が変わっていく。

 

「キミと〜!YEAH♪一緒に〜!YEAH♪」

 

うたが三回の押し込みを終えると姿がプリキュアへと変化。そのまま降り立つと名乗る。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

キュアアイドルが降り立つと影人はそんな彼女の方を見るとプリルンがペンライトをピンクに染めて振っていた。それに合わせてアイドルも浮かれるわけで。

 

「可愛いプリ〜!」

 

「皆のキュアアイドル、頑張っちゃうよー!」

 

「キラキライトで応援プリ!」

 

「イェイ!」

 

アイドルはプリルンがペンライトを振っているのを見てポーズまで取ってしまう始末。影人はやっぱりまだ浮かれっぱなしだと手を頭に置いて呆れた。

 

「おい、嘘だろ……この期に及んで緊張感無しとかマジで……」

 

この時、影人には既に嫌な予感があった。このまま戦えばまず間違い無くアイドルはやられてしまうと。

 

「マックランダー!」

 

そこにマックランダーが走ってくるとアイドルも駆け出す。そして、二人が接近するとマックランダーが先制攻撃を仕掛ける。

 

「よーし!」

 

「マックランダー!」

 

「ほっと!よっ!」

 

ただ、アイドルは軽快な身のこなしでそれを回避。そのままマックランダーと同時に攻撃を繰り出すとアイドルからのボレーキックが先に命中。マックランダーは吹き飛ばされると叩きつけられてダウンした。

 

「なぬ!?」

 

「へっへーん!影人君は心配しすぎなの!負ける気しないし。このままバンバン行っちゃうよー!」

 

するとプリルンはどこからか自撮り棒付きの小型カメラを出すとアイドルを撮り始めた。

 

「カッコいいプリ!」

 

「お、プリルン!撮って撮って!」

 

そんなプリルンを見たアイドルは完全に調子に乗ったのか、マックランダーを無視してプリルンに向けてポーズを決めるとプリルンがシャッターを切っていく。

 

「イェイ!イェーイ!」

 

「あの馬鹿……あんまり調子に乗ってるな!すぐに起き上がるぞ!」

 

「えー?そうなったらまた私が倒すだけだし。もう私、イケイケだからね!」

 

「だから……あんまり遊んでると取り返しのつかない事に……」

 

「もう!しつこいなぁ。しつこい男は嫌われ……」

 

次の瞬間だった。アイドルの後ろに影が差し掛かるとそこにはいつの間にやら起き上がったマックランダーが立っていたのだ。

 

「マックランダー!」

 

「……え?」

 

「そこの小僧の言う通り、二人揃って浮かれ過ぎですぞ」

 

次の瞬間、マックランダーが跳び上がると両手のサイリウムにエネルギーが高まる。それを見た影人は声を張り上げた。

 

「避けろ、咲良さん!」

 

マックランダーのサイリウムから放たれたエネルギービームはレーザーに匹敵する火力で近くに残っていた車を切断し、地面が切られて抉れていく。

 

「うわわっ!?」

 

アイドルは初発を何とか回避するが、そこにすぐに飛んできた二発目は回避できず。直撃を喰らってしまうとアイドルは悲鳴と共に地面に強く激突してしまう。

 

「きゃあああっ!!」

 

「ッ!咲良さん!」

 

その爆発の煙が晴れるとそこには全身に傷を負ったキュアアイドルが苦痛に顔を歪めながら倒れてしまっていた。

 

「う……うぅ……」

 

その様子を見たマックランダーは健在であり、倒れて痛みに悶えているアイドルを心配して影人とプリルンが寄っていく事になる。




また次回もお楽しみに。
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