キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
街に出てきたクラヤミンダーを見事に浄化した影人達。彼等はまた練習のために出張所に戻っていく。そして、そのまま残りの練習時間は何事もなく練習する事ができた。
「じゃあ、最後はコーラスチームで合わせてみよっか」
そう言って環木はコーラスチームとして今日の練習をしたうた、なな、こころの三人を集めると彼女が手を叩いてリズムを作り出す。
「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー!」
「「「誰もが目を奪われてく♪イェイ!ドゥーワ〜!♪究極のアイドル!♪金輪際現れない♪一番星の生まれ変わり♪シュッビドゥーワ〜♪シュッビドゥーワ〜♪シュッビドゥーワ〜虜に♪
三人のハモリを聞いた環木はうんうんと頷きながら彼女達の成長を確認する。ちなみにルビとして入っている部分は2ndと3rdのその部分におけるパートである。
「タイミングは合うようになってきたね。流石、三人で実際にアイドルプリキュアとして歌ってきただけあるわ。特にうたちゃんは低音への適性が最初から高かったし、単純に普段から歌っているから余計に上達も早いよ!」
「いやぁ、それ程でも〜!」
環木の褒めに対して嬉しさからか、うたの頬は褒められた時に出るいつもの緩んだ物に変わる。やはり三人の中だと歌唱力ではうたが一歩先を行くらしい。
尚、元の歌から歌詞がある程度変わっているのはコーラス用にアレンジされた物のため、リードの部分だけ繋げればしっかり○OASOBIのアイドルと同じだ。
「ななちゃんは今日の練習だけでも高音に慣れてきたって感じ。最初は幾らか出せてなかった音があったからね」
「ありがとうございます」
「こころちゃんは周りに釣られなくなるまであと一歩かな。二人の主張が強い中での真ん中の2ndだけど、上手くなってるのは確かだからこの調子で頑張って!」
「はい。まだまだ未熟ですけど頑張ります!」
どうやらコーラスチームの三人はそれなりに上手くなれているらしい。そこに影人とメロロンが戻ってくる。
「お、咲良さん達も終わったか」
「カゲ先輩!どうでした?」
「あはは……俺の方は思ったより芳しく無いかも」
それを聞いてこころの目は心配したような物に変わる。そんな中で環木は影人を担当していた仙石へと話しかけた。
「彼の言ってる事は本当なの?」
「……ああ。素質があるのは確か……でも根本的に主張が足りてない。余計に他に回してる神経は治せたけど……彼の歌にはどこか遠慮がある。まずはそこから」
仙石が影人に向ける目は多少厳しい物があった。そんな彼を見て環木は仙石へと興味深そうな目を向ける。
「ふーん。珍しいね。仙石がそんな風に他人を気にかけるの。昔の自分を見てるみたいだから?」
「……そうかもね」
二人が会話しているとそこにメロロンを担当していた南もやってきた。彼女の方は平常運転って感じである。
「メロロンちゃんの方はなかなか良かったわ。あの子、やっぱりボイパの才能がある。妖精の姿が影響している少ない肺活量さえどうにかなればかなり伸びそうよ」
南はメロロンへの指導は基本的に少ない肺活量でもボイパを安定して出せるようにするやり方を起点に、まずは技術の向上を重視した物になっていた。
最後にリード組の夢乃とプリルン、指導者である山上が戻ってくる。夢乃とプリルンが影人達と合流すると二人の話も聞く事に。
「ねえたま、どうだったのメロ?」
「プリ!プリルン、少しずつ良くなってるって言われたプリ!」
「プリルン、少しずつだけど歌い方の改善の兆しは出始めてきてる。皆に合うまでにはまだまだかかるけど、時間さえ使えばどうにかなるって」
「流石ねえたまなのメロ!」
メロロンがプリルンと会えて嬉しいのかいつも通りの頬擦りをプリルンへとする。
「夢乃の方はどうなんだ?」
「心配し過ぎだよ、お兄ちゃん。私だってどれだけ歌ってみたをやってきたと思ってるの?上手くはなってるから!」
どうやら夢乃もそれなりに成長は見られたらしい。全員が揃ったという事で総責任者の山上が手を叩くと今後の連絡をする事になった。
「今日の練習、お疲れ様。今回は初回って事で全体練習をしたけど、今後は家での個人練習やここでの定期的な練習会もやるわ。当たり前だけど、練習しないと上手くはならないからね」
山上が伝えた内容を記すと次のような感じになる。今後の練習については影人達や講師達の都合を鑑みて人数がある程度揃うタイミングでバラバラで練習をしていく。
勿論それぞれの都合もあるので今回みたいに完全に全員が揃うタイミングはなかなか無いだろう。しかし、個々の能力がまだまだ初心者のレベルなので個人個人のレベルだったとしても練習ができるタイミングでやっていかないといつまで経っても合わせられない。
そんな理由もあって次からの練習は参加可能な人だけ参加していく方式を取る。勿論、練習の無い日も個人練習は継続してもらうという事だ。
「私達もそれぞれの練習メニューは共有しておくわ。可能な限り来た人全員の面倒を見れるようにする。ただ、ボイパに関してはその場である程度録音して後から南が聞いてアドバイスを残すみたいな形になると思う」
他のパートは普通に歌う形になるので仮にその場に担当の人がいなくとも相互でアドバイスを投げ合う事はできる。ただ、ボイパに関しては単純に技術が無いとアドバイスを投げるのは難しい。
そのために毎回一緒に練習できれば良いが、それぞれの都合(主に指導者側の南)があるので仕方ない所だろう。
「それじゃあ、今日の練習はここまで。お疲れ様でした」
こうして、アカペラ練習の初日は終了する事になるのであった。それから講師達がいなくなるとレイや田中、姫野の三人が入れ替わるようにやってくる。
「お疲れ様」
「レイ……」
「お前にしてはらしく無いな」
「うっせ……」
レイは珍しく影人が苦戦しているのを見てそう言い、影人は素っ気なく返す。
「……それはそうと、明日は前々から話していた例の件があるから……」
「ああ。わかってる。こころには内緒でグリッターに集合だろ?」
影人とレイはヒソヒソと周りに聞こえにくいようにしてそう話している。この感じだとどうやら珍しく影人がこころに隠し事をしているらしい。
「で、他の皆は集まるのか?」
「ああ。咲良さん、蒼風さん、プリルン、メロロン、夢乃ちゃんもいいってさ」
「良かった。全員納得って事だな」
明日グリッターに集まるのはこころ以外の全員……やはりこころには何かを隠している形となる。するとそこにこころがやってきた。
「何を話してるんですか?カゲ先輩」
「こころ。ああ、今日の練習についての反省。あと明日からの練習についての話だ」
影人はこころに問われてもまるで動じる事なく彼女には話を隠す。こころ一人だけに内容を伝えないのは一見仲間外れに見えてしまうが、その理由は決して悪意のある物では無い。
「そうだったんですね。……その、カゲ先輩。今日は二人で帰っても良いですか?」
「?……良いけど」
こころに頼まれた事は影人も断る理由が無い。そのため、その場が解散となると二人で帰る事になる。この事を夢乃が影人から聞いて知った瞬間、喜んで二人きりで帰るのを全力で後押しした。二人が主張所から歩いているとこころが早速話題を振る事になる。
「カゲ先輩」
「何?」
「……私に何か隠してます?」
その声色は真剣な物だった。やはりこころには何かを隠している事はバレてしまってるらしい。ただ、今それがバレるわけにはいかないと影人は少し考えてから返す。
「隠し事はしてる……でも、こころに対して後ろめたい事があるわけじゃないのだけは言っておく」
「ふーん……」
こころはそう返すと影人の腕に寄りかかってきた。そして、彼女は不安そうな声色になると話す。
「私……最近、カゲ先輩の周りに他の子がどんどん増えて……少し焦ってるんですよ?」
こころのその言葉はここ最近で新しく入ってきたメロロンやバイトの天城の事を言っているのだろう。メロロンの方は妖精なのでひとまず置いておくにしても、天城の方は美女と言えるくらいには美しい上にまだ幼いこころからして見たら胸になかなかのモノを持っている状態だ。
「……私はもうカゲ先輩の隣を離れたく無いんです。カゲ先輩に救われたあの日からずっと会いたくて……やっとこの町でまた会えて恋人になれたんです」
こころの声は不安な気持ちでいっぱいだった。そんな彼女を見た影人はこころの気持ちが弱ってきていると考えると安心させるように彼女を優しく撫でた。
「……だからこころはここ最近香水とかトリートメントとか……大人っぽい物に変えてるんだね」
「え……」
「ずっと言わないから俺が気がついてないと思った?……そのくらい気がつくって」
影人の言っている事は本当だ。こころは最近、自分達の周りに新しい女の人が増えたために少しでも影人の気を引こうと香水とかを大人っぽい物に変えてみるなどの努力をしていた。ただ、影人はこころがそれを変化させても何も言わなかったので余計に焦ったのだが。
「心配しなくても大丈夫。俺にとっての特別はこころ一人だけで良い。それにメロロンはあくまで友達の範囲内だし、天城さんもあくまで知り合い程度。俺の恋人の立ち位置にいられるのはこころしかあり得ないって思ってるから」
そんな風に影人から言われて安心したのかこころの気持ちの中の不安は和らいでいくと顔つきも元に戻っていく。
「カゲ君……ありがと……。それとごめんなさい。ちょっと過敏になってしまって……」
「良いよ。こころにそうさせたのは俺の行動が原因だし。だから、安心してくれ」
「はい……。あ、それとなんですけど……明日ってお時間ありますか?」
「え?」
こころは気を取り直すと真剣そのものといった本気の顔つきで影人へと頼み込んでいた。影人はそんな彼女に言われたら内容を聞かないといけないと判断して問いかける。
「どこかに行きたいのか?」
「……その、明日……母の日じゃないですか。プレゼントを買いに行くのを付き合ってほしいんです!」
「母の日……そうだな。俺も母さんに感謝の気持ちを伝えないとだし……わかった」
影人はこころからの誘いに了承。それと同時にこころには気が付かれないようにレイへとある連絡を送った。それは自分が行けなくなってしまったという趣旨の話である。その代わり、こころを可能な限りグリッターに近づけないようにするという話も付けておく。
「えへへ……カゲ君、またデートできるね」
「ああ。買い物をしたらそのままデートしよっか」
こころの顔は普段のキリッとした真面目な彼女とは思えない程に緩んでおり、それは影人への恋が彼女を丸ごと変えてしまったような感じである。
そんな中、影人とこころが二人きりで帰っていくのを遠目に見た影がいた。それはバイト終わりで家に帰るために歩いている天城ことスラッシューである。
あれ以降、彼女はグリッターに戻って遅くなってしまった事を謝罪。うたの両親は体調を心配したが、遅れた分は働いて取り戻すと天城が意気込んだのでそのまま働く事はできた。そのままバイト時間が終わったので自分の家に帰る途中である。
「ふふっ……実験は成功ね。ただ、体と分離しちゃったせいで色々不安定になる弱点も見つかったから次からはよく考えないとね……」
そして、彼女は戦いの中で影人……キュアソウルがクラヤミンダーの、自分の肉体からの攻撃を受けて闇に染まりかけたのを確認した。
「キュアソウルの力の本質が私と同じなのは再確認済み。ふふっ。やっぱりあの子の力は
スラッシューはそんなキュアソウルの力の危うさを誰にも聞かれる事なく語ると背を向ける。
「……後は彼の闇を反転させているアイドルプリキュア
スラッシューが手を握ってからまた開くと自身の力の昂りを感じていた。それは恐らく、今回の戦いで本体の天城がアイドルプリキュアの歌で浄化された事……そしてスラッシューの持ってる闇の特性が影人と同一であるのなら浄化によって得られた光を
「アイドルプリキュアは私が強くなる上で必要だわ。まだ消えてもらうには早すぎるもの。それに……ふふっ。天城の体の記憶にあったけど、あの力も利用してみたいものだしね」
それはソウルがクラヤミンダーを怯ませるために使ったソウルスクリューの事だろう。そして、スラッシューはその力を与えたのはアイドルプリキュアの三人では無いという事を察していた。
こうして、スラッシューはアイドルプリキュアのこれからに期待の気持ちを高めつつ今回の戦いで得られた成果を噛み締める事になる。
今回はここまでです。そして、今回の話で早くもこの小説での投稿話数が100話に到達しました。まぁ、アニメ話数で言ったらまだアニメ13話までしか終わってないんですけどね。一応次回分からはアニメ14話に戻ります。
そして、100話記念でソウルの力に関する情報を解禁しました。果たしてこの状況から今後どうなっていくのか。これからの展開も楽しみに待ってもらえると嬉しいです。それではまた次回でお会いしましょう。