キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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心乱れるキュンキュン ソウルの覚悟

プリキュアに変身し、クラヤミンダーと戦闘をするソウルとキュンキュン。ただ、ソウルはブチギレした影響で普段よりも更に強かった。

 

「はぁああっ!」

 

ソウルが踏み込むと一気に加速。クラヤミンダーはそれを追い切る事ができていない。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーは体にあるイチゴが露出していると思われた部分から生クリームを模したエネルギー波を放つものの、ソウルには全く当たらないのだ。

 

「キュンキュン!」

 

「は、はい!」

 

しかもソウルはブチギレしている状態ながらも、連携をするだけの冷静さはギリギリ残していた。

 

「はあっ!」

 

キュンキュンがクラヤミンダーへと攻撃を放つものの、クラヤミンダーは拳で防御。そのままそれを少しだけ押し返してから逆にパンチを繰り出す。

 

「ッ……」

 

「どうしたぁ?そんなパワーじゃ勝てないぜ?」

 

「クラヤミンダー!」

 

「俺の事忘れてるんじゃねぇよでくの坊!」

 

ただ、この場にいるのはキュンキュンだけじゃない。キュンキュンの方に意識が向いた瞬間にソウルはクラヤミンダーの脚を蹴るとクラヤミンダーはバランスを崩して転んでしまう。

 

「クラヤミンダー!?」

 

「喰らえよ!」

 

ソウルはソウルメガホンを出すとピンクに合わせる。その瞬間、地面に倒れたクラヤミンダーの両腕を拘束するような半円状の曲線が展開した。

 

「アイドルの力!ソウルソリッド!」

 

ソウルはクラヤミンダーの動きが止まったために馬乗り状態になるとそのまま顔面を殴りまくる。

 

「オラッ!オラッ!お前の罪はこんな物じゃ無いぞ!」

 

ソウルが五回目を殴ろうとすると流石にクラヤミンダーもやられっぱなしでは無いのか生クリームのエネルギーで反撃。ソウルはそれを回避するために戻った。

 

「ソウル……」

 

キュンキュンはソウルが怒るのを見て嬉しさと同時に申し訳無さも感じている。ソウルの今の行動は自分の大切な家族を想ってくれている気持ちが強いという事の現れだ。ただ、裏を返せば自分が家族を守れなかったせいでソウルを怒らせる事に繋がってるわけで……。

 

「ソウル、あまり無理しないでください」

 

「……ああ。悪い、怖い所を見せてるよな」

 

「いえ……。私はむしろ、お母さんの事を全力で助けようとしてくれてるので気持ちとしては嬉しいです。でも、私が至らなかったせいで……」

 

「キュンキュンは悪くなんか無い。あの状況じゃ、ザックリーが来て、ターゲットにされた時点でどちらにしてもキラキラは抜かれてしまう。だから、早くクラヤミンダーを止めてこころのお母さんを助けよう」

 

「……ッ、はい!」

 

するとクラヤミンダーは流石にこれ以上やられっぱなしではいられないのか、拘束を破壊すると起き上がる。

 

「クラヤミンダー!」

 

するとクラヤミンダーはまた生クリームのエネルギー波を放つ。それを二人が回避すると着地した。

 

「コイツ、やはり飛び道具主体の戦い方してくるな」

 

「早くお母さんを助けたいのに……」

 

クラヤミンダーに閉じ込められてる現状、あまり良い状態とは言えない。しかし今回のクラヤミンダーは遠距離攻撃を主体にしてくるのか、なかなか二人でも近づけない。

 

「このままじゃ近づけないよ……」

 

「だったら、キュンキュン。俺の後ろを走れ」

 

「え?でも……」

 

「それが一番手っ取り早く近づく方法だ」

 

それはソウルを物理的な盾にしてキュンキュンが前に出られるようにする戦法。正直な所、キュンキュンはあまりそれをやりたくは無い。それでも彼女は母親を早く助けたい気持ちに駆られていた。

 

「……ソウル、お願いしても良いですか」

 

「わかった」

 

それから二人は重なるように縦に並ぶとソウルが前から突っ込み、キュンキュンはその真後ろを走る。

 

「へっ、何のつもりか知らないが……わざわざ一つの塊で突っ込んでくれるなら好都合だぜ!クラヤミンダー、ザックリやっちまえ!」

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーが生クリームのエネルギー波を放つとソウルはすかさずメガホンのダイヤルを青に合わせる。

 

「ウインクの力!ソウルアブゾーブ!」

 

その瞬間、ソウルの前に円形状のエネルギーバリアが出てくるととんできた攻撃を吸収。これにより、二人は一気に距離を詰めていく。

 

「ッ、クラヤミンダー!更に火力アップだぜ!」

 

「クラヤミンダー!」

 

するとクラヤミンダーは力を増幅。その影響で生クリームの圧が強くなるものの、ソウルアブゾーブの耐久値限界にはまだ達しない。そのために二人はクラヤミンダーの近くにまで到達した。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーはこの至近距離なら直接殴るのが早いと言わんばりに拳を振り下ろす。

 

「はあっ!」

 

ただ、ここまで懐に入ってしまえばソウルの拳も届く。クラヤミンダーからの拳に対して自身も拳をぶつける形で対抗。そのまま押し合いになるが、やはりソウルの方が単純なパワー勝負になれば上になる。

 

「だあっ!」

 

「クラヤミ……」

 

「今だ!キュンキュン!」

 

「はい!」

 

キュンキュンがソウルの声に合わせて後ろから飛び出す形で跳び上がるとクラヤミンダーへとキックを放とうとする。だが、その瞬間……突如としてクラヤミンダーの体がいきなり黒い波動に包まれるとクラヤミンダーの姿がいきなりこころの母親である紫雨愛の物となった。

 

「えっ!?」

 

「はあ!?」

 

「ダメっ!」

 

キュンキュンは流石に母親は攻撃できないと攻撃をキャンセル。そのまま無理な体勢にしたせいか、地面に叩きつけられてしまった。

 

「おいザックリー!お前どれだけ卑怯な手を使えば気が済むんだよ!」

 

「待て待て待て!これに関しては誤解だ!俺様も何が何だかわかんねーんだよ!」

 

それを聞いてソウルは困惑する。クラヤミンダー本人を生み出したザックリー自身もわからないとなるとこれは誰がやったのか。まるでわけがわからない。

 

「お母さん……」

 

そんな中で倒れていたキュンキュンは何とか起き上がると母親へと縋ろうとする。しかし、目の前にいる愛の目が紫に怪しく光るとソウルは声を張り上げた。

 

「キュンキュン、ダメだ!離れろ!」

 

すると次の瞬間にはその姿がまたクラヤミンダーへと変化。クラヤミンダーは先程生クリームを放っていた場所から今度はイチゴのミサイルを放つ。

 

「ッ!?きゃああっ!」

 

クラヤミンダーからの攻撃をまともに喰らったキュンキュンは吹き飛ばされる中、ソウルがキュンキュンを抱き止める形で彼女をフォローする。ただ、キュンキュンの心はボロボロになりつつあった。

 

「お母さん……何で……」

 

「多分アレはクラヤミンダーが紫雨愛さんに変身した所謂擬態だ。あくまで愛さんは内部に閉じめられっぱなしになってる」

 

キュンキュンはそれを聞いて拳を握り締める。やはり擬態とはいえ自身の母親の姿になられてしまうとやりづらいのは確かなのだろう。

 

「お母さんの姿も利用するなんて……許せない!」

 

キュンキュンは走り出す中、パンチを放とう振りかぶる。しかし、それに合わせる形でクラヤミンダーはまた紫雨愛の姿になってしまった。

 

「ッ!?」

 

キュンキュンはそれを見てまた攻撃をキャンセル。そのままバランスを崩して地面に激突。

 

「ううっ……」

 

キュンキュンが攻撃をキャンセルした影響でまた地面に激突。彼女はその痛みに耐えながら立ち上がるが、そこにまた姿が戻ったクラヤミンダーがキュンキュンを睨む。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーから拳を叩きつけられるとキュンキュンは呆気なく吹き飛ばされて今度は建物の壁に激突してしまう。

 

「ああっ!?」

 

「キュンキュン!」

 

ソウルがキュンキュンを心配するために彼女の元に向かうと彼女は肉体的にも精神的にも痛めつけられたせいで明らかにやつれたような顔つきになっていた。

 

「お母さん……何で、何でこんな事に……」

 

「ッ……キュンキュン、少し休んでろ」

 

「そんなの……できませんよ。早く助けないと、早く助けないといけないのに……」

 

しかし、キュンキュンの体は既にかなりのダメージを受けているのか体は傷つき、全身を襲う痛みが彼女の動きを鈍くさせる。

 

「そんな体や精神状態でこれ以上戦わせられない。それに、愛さんが相手じゃ……戦えないだろ!」

 

「でも、私が助けないといけないのに……大好きなお母さんを助けられなくて……私は何のためにプリキュアやってるんですか!」

 

キュンキュンは悔しさでいっぱいだった。目の前で大好きな母親がクラヤミンダーにされてるのに、自分は助けられる立場にいながらこうして他人を頼らないといけなくなってる。キュンキュンはこの期に及んで動けない自分が許せないのだ。

 

「……キュンキュンはお母さんが大好きなんだろ?大切なんだろ?」

 

「そうですけど、それと今動かない事の何が……」

 

「だったら……無駄に傷つくような真似は止めろ」

 

「え……」

 

「今の精神状態のキュンキュンが戦いに参加したってクラヤミンダーに攻撃は当てられない。それどころか、無意味に傷つく事になる」

 

それを聞いてキュンキュンはより一層自分の弱さを痛感させられる事になった。そして、その場に崩れてしまう。

 

「じゃあ……どうしたら良いんですか……カゲ君だったら……どうするのが正解なんですか」

 

「……手を汚すのは俺一人で良い。その代わり約束する。何が何でもキュンキュンの母さんを助け出す。もし愛さんを助け出せたとして、キュンキュンが……こころが傷ついている様を愛さんが見たら彼女はどう思う」

 

キュンキュンはそう言われてソウルが止めた理由に納得が行く。それはつまり、キュンキュンがこれ以上傷ついてしまえば愛を助け出した後に負担が体に残るかもしれない。

 

それに、愛はプリキュアの本業を知らない。となれば何故娘がこんなにも傷ついたか気になるだろう。そしてこころはそれを誤魔化すために愛する母親を騙す事になる。

 

「その点俺なら夢乃が事情を知ってる。……それに、俺だったら傷ついたとしてもそれを誤魔化せるだけの頑丈さもある。こういう役回りには打ってつけなんだよ」

 

「でも……」

 

「安心してくれ。言っただろ?絶対助け出すって、約束するって。もしキュンキュンがどうしても戦うって言うなら……体を壊すような無茶や母親を傷つける事に対する躊躇を見せるな。それが原因でこれ以上キュンキュンが傷つくという話なら俺はキュンキュンが戦う事を禁止する」

 

そう言ってソウルはクラヤミンダーを相手に戦うために前に出て行く。そんな彼の姿をキュンキュンは黙って見ているだけしか無かった。そんな中、キュンキュンの元に一つの影が姿を現す。

 

「本当に健気な子ですわね」

 

「スラッシュー!?何で……」

 

そこにいたのは既にドレスを装着して戦闘態勢に入っているスラッシューであった。

 

「ああ、勘違いしないでほしいけど……今回の私はあなた達と戦いに来たわけじゃないわ」

 

「どういう事ですか……」

 

「私自身、ちょっとある裏技を使って最大能力を急上昇させてね。まだ体が慣れてないの。だから今回は戦いたくとも戦えないわけ」

 

どうやら以前の戦闘でスラッシューの肉体である天城が浄化された際に得たエネルギーは想像以上に凄まじかった影響か、それを完全にコントロールするのには時間がかかっているらしい。

 

「……あなた、本当に彼だけにやらせて良いわけ?」

 

「ッ……」

 

「彼はもし仮にあなたの母親が無事に戻って来なかったらその全責任を負うつもりよ?」

 

スラッシューの言い方はまるで戦えないキュンキュンを焚き付ける物だった。ただ、キュンキュンから見てもソウルの今の発言はその意味に近い物だと察しが付いている。

 

「……一つ良いことを教えて差し上げますわ。ソウルの力はあなた達の輝きにほぼ100%依存し切ってる。もしあなたが折れるような事になってしまえば……それはソウルの首を絞める事になりますわよ」

 

その言葉を聞いてキュンキュンは衝撃を受ける。それと同時に混乱した。ソウルの力が自分達依存なんて話、聞いたことすら無い。先程から母親の件で動揺しているキュンキュンの心は更に乱れた。

 

「さて、アドバイスも済ませましたし。私は高みの見物をさせていただきますわ。それではごきげんよう」

 

スラッシューはそう言ってその場から消えてしまう。それから彼女はスラッシューがいなくなったためにクラヤミンダーと戦うソウルを見やる。

 

「だぁっ!」

 

ソウルとクラヤミンダーはお互いにラッシュをぶつけ合っている。そんな中、ソウルは思ったよりもクラヤミンダーを圧倒できていなかった。

 

「ッ……やっぱりか。今日変身した時から思ってたけど……パワーがいつもより落ちてる」

 

先程変身直後にソウルバレット込みでクラヤミンダーを押し込んだのも怒りに身を任せ切ったわけでは無い。そこまでしないと押し込めないと体が無意識に判断したからだ。つまりソウルは表面上はブチギレこそしているものの、冷静さはほんの僅かに残っている事になる。

 

「ほらほらどうしたぁ?いつもの強さはどこ行った!」

 

「クラヤミンダー!」

 

その瞬間、クラヤミンダーがイチゴのミサイルを放つとソウルはそれを咄嗟に回避。しかし、ザックリーの狙いはそこには無かった。

 

「へっ、かかったな!」

 

「え……!?」

 

ソウルがミサイルを回避した先、そこには棒立ちになっていたキュンキュンがいたのだ。

 

「ヤバイ!キュンキュン!」

 

ソウルは駆け出そうとするが、もう間に合わない。キュンキュンもミサイルへの認識が遅れたせいで防御もできなかった。

 

「止めろぉおーっ!!」

 

ソウルが叫ぶ中、キュンキュンの元にミサイルはグングン迫って行くと彼女のいる辺りで爆発が起きる事になる。




また次回もお楽しみに。
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