キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ソウルが回避したミサイルがキュンキュン目掛けて飛んでいく。そして、彼女の前でミサイルは爆発するとソウルはキュンキュンを巻き込んでしまった現実を見せつけられてしまう。
「そんな……」
「何だかよくわかんない事ばかり起きてるが……これで一人はザックリ言ってお終いか?チョキチョキ!」
ザックリーの方はウッキウキでキュンキュンが倒されたと判断して見ていた。しかし、彼の期待は呆気なく崩れる事になる。煙が晴れるとそこには見覚えのある青い四芒星もとい、キラキラマーク型のバリアが存在していたのだ。
「げ……嘘だろ?」
「ウインク……!」
「キュンキュン、大丈夫!?」
「大丈夫プリ?」
そこに到着したのはアイドル、ウインク、そして妖精であるプリルンとメロロンだ。
「やっと来てくれたか」
「遅くなってごめんね」
ソウルもキュンキュンがアイドル達によって守られた事に安堵しつつも、状況の説明がまず必要という事でキュンキュンが口を開く。
「アイドル、ウインク……その、私のお母さんがクラヤミンダーに閉じ込められてしまって」
「「えっ!?」」
その言葉を聞いて二人は驚きを隠せない。それから確認を取るようにソウルの方を向くと彼も同じように話した。
「キュンキュンの話は本当だ。愛さんがクラヤミンダーに捕まってる」
「すぐに助けなきゃ!」
「うん!」
「待ってくれ!」
ソウルは二人が行こうとするのを見て一度静止する。それは先程まで度々起きている攻撃命中の瞬間でのクラヤミンダーの姿が変わる件についてだ。
「二人にもこれは話さないといけない。今回のクラヤミンダー、何でかはわからないけど……文字通り愛さんに化けられるらしい」
それを聞いて二人は更に混乱。クラヤミンダーが人間に化けられるなんて聞いた事すらない。
「……ただ、奴のその能力の弱点は一人で交戦してみて何となくわかった。だから、二人共。俺の話を聞いてくれ」
アイドルとウインクはソウルの予想を聞くと頷く。そんな風にしてひとまずの動き方は決まった。
「オッケー!」
「それでやってみる!」
「ああ、頼むぞ」
そんな中だった。三人を見ていたキュンキュンは僅かにソウルの動き方に違和感を感じる。
「(あれ……)」
三人はそんなキュンキュンを他所に飛び出すとクラヤミンダーは三人を近づけまいと容赦無くイチゴミサイルを放つ。
「何人増えたってザックリ言って変わらないぜ!」
「ダ!ダ!ダ!ダ!」
三人揃って正面から向かう中、一発目のミサイルが三人の目の前の足元に着弾するとそれで煙が発生。それと同時に三人は飛び出すと正面からソウル、右側からアイドル、左側にウインクが散開。
「クラヤミンダー!」
それに合わせてアイドルとウインクを迎撃するミサイルを放つとソウルには生クリームのエネルギー波で対応する。
「だったら!アイドルの力!ソウルソリッド!」
するとソウルは足元に透明な細長いガラスの筒のような形状を生クリームのエネルギー波を受け止めるような形で地面から生やしつつ展開。そのままガラス管内部がクリームで満たされていく。更にそのクリームを入れたガラスの筒を足場にして接近した。
「へ!?」
更にアイドル、ウインクもイチゴミサイルの上に一度乗ると三人はクラヤミンダーへと接近。ソウルはそのタイミングで更に技を使う。
「キュンキュンの力!ソウルバレット!」
ソウルが放った紫の弾丸がクラヤミンダーに飛ぶ中でクラヤミンダーもミサイルでそれを迎撃。そのタイミングで三人同時に跳び上がると同時攻撃を繰り出す。
「「「はあっ!」」」
「クラヤミ……」
三人による同時攻撃によってクラヤミンダーは少し押し戻されるが、それでも持ち堪えられてしまうとクラヤミンダーは気合いと共に三人を弾いてしまう。
ただ、先程はソウルが単独でクラヤミンダー相手にパワーで押し勝っていたために今回のソウルはある程度手加減をしているようにも見えた。
「クラヤミンダー、良いぞ!そのまま反撃してアイツらを近づけさせんな!」
クラヤミンダーは圧倒的な弾幕の力で手数による制圧をしていく。三人はその影響かなかなか近づく事ができない。
「うわわっ!?」
「手数が多過ぎるよ!」
クラヤミンダーは生クリームやミサイルによる攻撃でソウル、アイドル、ウインクの三人を押し込んでいく。
「はぁ……はぁ……」
そんな中でソウルだけ動きが多少鈍くなっているのをクラヤミンダーは見逃さない。
「クラヤミンダー!」
クラヤミンダーは生クリームによる攻撃を放つとソウルはそれを回避し切れずにまともに受けてしまう。
「ぐっ……」
「ソウル!?何で……まさか、さっきの違和感……ソウル、スタミナ切れなんじゃ……」
キュンキュンはソウルが先程から激しい動きをし続けているせいで彼の体力が無くなってきていると考える。そして、それはザックリーも感じ取ったのかオタ芸のような動きをしながらクラヤミンダーを応援した。
「良いぞ!良いぞ!そのまま潰せ!クラヤミンダー!」
「クラヤミンダー!」
クラヤミンダーは尚も攻撃の手を緩めない。ソウルはそんな中で小さく笑みを浮かべる。まるで自分の狙い通りと言わんばかりだった。
「ソウルが狙われてる……」
「うん、私達が!」
「「はあっ!」」
そこにアイドルとウインクの二人はソウルが集中砲火されている現状を打開するためにクラヤミンダーへと肉薄する……が、いきなりクラヤミンダーから生クリームが飛び出すとそれが槍を持った兵士のような姿へと変った。その姿はまるで○思議の国の○リスに出てくるようなトランプ兵を連想させるような雰囲気である。
「嘘!?何この兵隊!」
「また手数が増えた!」
「ひゃははっ!どうよ!これぞホイップ兵!さぁやれ!」
するとホイップ兵が飛び出すとアイドルとウインクの相手をする事になった。
「「きゃあっ!?」」
ホイップ兵に叩き落とされた二人はクラヤミンダーからの弾幕を避けながらホイップ兵の相手をする必要が出てきてしまう。
「このホイップ兵、動き自体は大した事ないけど」
「クラヤミンダーからの攻撃も混ざると倒せない……」
ホイップ兵の戦闘力そのものは二人の言う通り、そこまで大した事は無い。だが、彼等の真骨頂はクラヤミンダーから放たれる弾幕との連携。更にソウルはその間もクラヤミンダーからの集中砲火に晒されている。そんな中だった。一人立っていたキュンキュンは唇をキュッと引き締めると覚悟を決めたような顔つきとなっていた。
「ソウルが、皆が……お母さんを助けるために必死に頑張ってる。私だけこんな所で休んでるわけにはいかない」
するとアイドルとウインクがホイップ兵からの攻撃を回避しつつ下がってくるとソウルもクラヤミンダーからの攻撃を受けて後ろに押し戻された。
「ソウル、アイドル、ウインク、大丈夫ですか?」
「私達は大丈夫」
「平気だよ」
「俺も何とかな。ただ、やっぱりキツイのは否めないかも」
ソウルは三人の中で一番消耗しているような雰囲気である。やはりアイドルやウインクが来る前からずっと交戦していた上にクラヤミンダーからの攻撃に一番晒されたからだろう。
「ソウルの言った通り、キュンキュンのお母さんの姿へとクラヤミンダーが変身するのは避けられてるけど……」
「このままじゃ勝てないよ。ソウル、何か案はある?」
「あるにはあるけど……それができるかはキュンキュンが戦いに参加できるかによる」
ソウルはキュンキュン無しの三人では自分の脳内に浮かんでいる作戦は実行不可能と踏んでいた。その事から四人で動く事を想定しているらしい。
「ッ、前来てるぞ!」
ソウルはクラヤミンダーからの攻撃を事前に察知すると四人は後ろに下がる。プリルンやメロロンも四人が不安で近くに来ていたが、彼女達も慌てて下がった。
「良いぞ、良いぞ〜!ザックリ今日はご機嫌だぜ!」
ザックリーとクラヤミンダー、更にホイップ兵達は自分達が優勢な現状を見て調子に乗ると謎のダンスまでする始末だ。
「ふふっ。クラヤミンダー優勢な状況だけど、私の見込んだアイドルプリキュアがそう簡単に負けるなんてありませんわよね?」
スラッシューも建物の上から文字通りの高みの見物をしている中、その視線はやはりソウルを向く。
「ほんと、愛さんをクラヤミンダーにしたアイツらが調子に乗ってるの見るのは腹立つな……」
そんな風にソウルが言う中でキュンキュンは一人覚悟を決めたかのように声を上げた。
「……私、突撃します!」
「え?」
「そんなの危ないよ!」
「それでも行きます!」
「あ?なんかゴチャゴチャ言ってますけどやっちまえ、クラヤミン……」
「ソウルソニック!」
「のわっ!?」
ザックリーはキュンキュンが話している所を見てさっさとクラヤミンダーへの攻撃を指示するが、そのタイミングでソウルが余計な真似すんなと言わんばかりに技を使うとエネルギー弾がザックリーやクラヤミンダーの横を掠める。
「煩せぇよ。キュンキュンが折角覚悟決めてんだ。邪魔すんな!……それと、キュンキュン、その言葉。本気だよな?」
「はい!これ以上……ソウルや皆さんに負担をかけさせたくありません。それに、やっぱりお母さんは自分の手で救いたいんです」
ソウルはキュンキュンが戦うために必要な覚悟を持った目をしている事を確認すると彼女はもう自分がフォローしなくても大丈夫と判断する。また、それと同時に疲労によって動きが鈍くなっていた体に多少回復したかのように力が漲るのを感じた。
「わかった。……キュンキュン、奴の変身能力の弱点は多分……だ。俺達ができる限り攻撃を捌く。アイドル、ウインク……やれるな?」
「勿論!キュンキュンのお母さんへの気持ちを届けるために」
「私達がキュンキュンのフォローをしよう!」
「皆さん……ありがとうございます!」
ソウルがキュンキュンにもクラヤミンダーの変身能力の弱点を共有。そして、アイドルやウインクもキュンキュンのために動くと言った。キュンキュンはそんな仲間達に感謝をするとアイドルの掛け声で全員が走り出す。
「それじゃあ……せーの!」
「クラヤミンダー!ホイップ兵共!アイツらを全員纏めてやっちまえ!」
「クラヤミン……ダ!ダ!ダ!」
クラヤミンダーが体から生クリームのエネルギー波を放つと共にイチゴのミサイルを連射する。そこに合わせる形でホイップ兵が突撃した。
「皆、分かれろ!」
そのまま四人は分散すると生クリームとイチゴの攻撃はアイドル、ウインクの二人へと分散。それと同時にソウルはソウルメガホンを使う。
「アイドルの力!ソウルソリッド!」
ソウルがメガホンによって鎖を生成するとホイップ兵を纏めて鎖で拘束。そのまま力任せに振り上げる。
「暫く黙ってろ!」
そのまま背負い投げで地面に叩きつけるとホイップ兵は元の強さがそこまで無いために一時的に気絶。そのタイミングでキュンキュンが肉薄する。
「私のお母さんは、いつだって沢山私のために頑張ってくれてるんです!」
キュンキュンはクラヤミンダーに向けて跳び上がると囚われている母の事を想う。
「お料理苦手なのに、いつもお弁当作ってくれたり……お仕事大変なのに宿題見てくれたり……いつも私の側にいてくれて、私が寂しく無いように」
そのままキュンキュンはキックを放つ中でクラヤミンダーはそんなキュンキュンをターゲットに変更すると生クリームを放つ。そのタイミングでソウルは叫ぶ。
「ソウルソリッド……マックスパワー!」
その瞬間、キュンキュンとクラヤミンダーの間にボウルが出現するとクラヤミンダーからの生クリームを全て吸収。その内部で物質を変化させると溶かしたチョコへと昇華させる。
「キュンキュン、それを使え!」
「……だから私も頑張りたい!お母さんのキラキラを守りたいんです!」
「へっ、ザックリ甘いぜ!クラヤミンダー、また変身して……」
キュンキュンはソウルから言われた直後にすかさず空中に出たボウルの底部分に脚をかけるとそのまま下に滑り込むような感じでボウルの淵に手をかけて勢いを殺さずに肉薄。ザックリーはそれを見てクラヤミンダーへと変身を指示するが、全くクラヤミンダーは変わる様子が無い。そのままキュンキュンがクラヤミンダーへと一撃を入れた。
「クラヤミンダー!?」
「あれ!?お前、何で変身能力使わねぇんだよ!?」
ザックリーが叫ぶ中、それでもまだ変身能力が使えないのか追加でソウル以外の三人に向けて全方位射撃の形で生クリームやイチゴミサイルを放つ。
「クラヤミンダー!」
「頑張るプリ〜!アイドルプリキュア〜!」
「頑張れメロ〜!」
その攻撃は妖精達の応援もあってか、先程よりも数が増えたにも関わらずアイドルやウインクには相変わらず当たらない。
「そんなのじゃ当たらないよ!」
「ケーキだけに狙いが甘いんじゃない?」
そんな中でソウルは先程出したボウルに追加でチョコを混ぜるために使うようなスパチュラを出すと自らの手で混ぜ合わせていく。しかし、ソウルはソウルソリッドを体が疲弊した状態かつ連続使用しているせいなのか酷く消耗していた。
「く……あと少し保ってくれ」
そんな中、アイドルとウインクは自身を追尾してくる生クリーム、イチゴミサイルの双方を後ろに背負いながらソウルの方へと走ってきた。
「ソウル!これで良いの?」
「ああ……あとはコイツを追加して!」
ソウルはスパチュラを真上に投げるとそれが消滅。そのまま拘束しておいたホイップ兵をボウルの中に投げ入れると同時にアイドル、ウインクがソウルの横を通過。生クリームやイチゴ達がボウルの中に吸い込まれるとそれが巨大なチョコのエネルギーボールとなる。
「後はアイドル……クラヤミンダーに向けてこの球体をぶん殴れ!」
「ええっ!?じゃ、じゃあやるよ!アイドルグータッチ!」
アイドルは方向転換するとブローチをタッチ。そのままグータッチを繰り出すとチョコのエネルギー球体を殴るとそれがクラヤミンダーへと飛んでいく。
「アレを喰らうのはザックリ不味いぜ。クラヤミンダー!」
ザックリーがクラヤミンダーへと止めるように指示するとクラヤミンダーは生クリームエネルギー波とイチゴミサイルを連射。しかし、球体はそれを取り込むと膨張。そのまま破裂してクラヤミンダーの体を包み込むとその体をチョコのコーティング及び、リーゼントのあるてっぺんの平面にはチョコクリームの飾りもあった。
「チョコケーキクラヤミンダー……出来上がりってな!」
「何だよ、ビビらせやがって。ただチョコでコーティングしただけか。クラヤミンダー、反撃……を?」
ザックリーがクラヤミンダーを見るとクラヤミンダーの体がコーティングの影響で外装が固まるとその場から身動き一つ取れなくなってしまう。更に言えば、ミサイルや生クリームを放っていた出口もコーティングで全部塞がれたのでクラヤミンダーが使っていた技が全て封じられてしまう。
「俺がただ意味もなくここまで体力使うマックスパワーのソウルソリッドをやると思ったかよ。これでクラヤミンダーを無力化した。キュンキュン!」
ソウルの叫びに応えるようにキュンキュンが飛び出すとクラヤミンダーへと正面から突撃。ブローチをタッチする。
「今日は絶対、お母さんに……いつもありがとうって伝えるんだからーっ!キュンキュンレーザー!」
キュンキュンが技によってレーザーを放出。それがクラヤミンダーへと向かっていく中、クラヤミンダーは完全に動きを止められても使える切り札として残していたのか紫のエネルギー砲をチャージ。すぐさま放つ。
「嘘、あんなの残してたの!?」
「このままじゃ……」
クラヤミンダーから放たれたエネルギー砲はもう少しで自身に激突してしまうキュンキュンレーザーを迎え撃つ。そのパワーはキュンキュンレーザーを上回っているのか、どんどんレーザーを押し込んで行ってしまう。
「くううっ……」
キュンキュンはレーザーを一箇所に集約する形でどうにか持ち堪えているが、このままでは力負けするのも時間の問題だ。
「キュンキュンを助けなきゃ……あ……ううっ!?」
そしてソウルはキュンキュンの窮地にキュンキュンを後ろ側からフォローしようとするが、もう完全に体力の限界なのか崩れ落ちてしまう。
「ソウル、無茶しすぎだよ!」
「キュンキュン……」
「キュンキュン、頑張るプリー!」
「メロ……」
ソウルが体を動かせなくてもキュンキュンを信じるために彼女の方を向く中、プリルンは全力でキュンキュンを応援。メロロンはキュンキュンが放つレーザーが少しずつ強く輝くのを見て目を見開いていた。
「お母さん……」
そして必死に負けまいと力を込めるキュンキュンの瞳は、心は……ただクラヤミンダーに囚われた母親の事だけを想っていた。
ちょっと今回はキリ的には少し悪いですが、ここまでとなります。一応アニメ14話の分はあと1〜2話分ですね。というわけでまた次回も楽しみにしてください。