キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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紫雨家でのサプライズパーティー

影人とこころが二人で紫雨家への道を歩いていた。会話の方はこころの話を影人が聞いている状態である。

 

「そういえばカゲ君」

 

「どうしたの?」

 

「体の方、大丈夫ですか?」

 

「あー。そりゃあ、体力的にはちょっと疲れた感はあるよ。でも、こころを家に届ける事が彼氏としての俺の責任だからさ。だから頑張れるって感じかな。それに、こころが笑顔になってくれるなら俺はそれで十分だから」

 

それを聞いてこころはまた影人に気を使わせてしまったと感じ取った。こうして見ると自分はいつも影人に気を使ってもらってる。加えて、自分が未熟であるが故にこころは影人に守られてばかりだと、自分の不甲斐なさを実感した。

 

「(カゲ君、本当は私がもっと頼りがいのある人にならないとダメなのに。このままじゃ、カゲ君の隣にいる身として相応しくない)」

 

影人なら自分がそれを指摘したら“気にするな”とは言いそうだが、だからと言ってこころはずっと影人に守られる立場で居続けるのは嫌だった。偶には自分だって何かしらにおいて影人の力になりたいのだ。

 

「……カゲ君」

 

「何?」

 

「その、もしどうしても自分一人でどうにかできない事がありましたら……私の事も頼ってくださいね?」

 

こころは影人へと頼み込むような形で声をかける。影人はこころからの頼みにすぐに返事を返す事はできなかった。影人も影人でこころの手を煩わせるような事にはしたく無いのだ。

 

「うん……善処する」

 

影人はこころの彼氏である以前にまず、彼女よりも歳上である。影人はそのためか自分の落ち度によって発生する責任をこころにまで回すような事態にはしたくなかった。するとこころは影人と手を一度離すと腕に抱きつくような仕草を見せながら上目遣いとなって詰め寄る。

 

「カゲ君は……そんなに私に責任を負わせたく無いんですか?もっと、私の事を頼ってもらいたいです」

 

それはこころの気持ちの叫びのような物だった。頑なに責任を背負わせるのを拒否する影人にこころは少しでも力になるために多少強引でも言い寄る。影人はこころにここまでさせてしまうつもりは無かったために内心慌てるが、それを顔に出す事はしない。

 

「………ふぅ。わかった。こころ、もうこころも一つ大人になってるんだ。少しは頼るようにする」

 

影人は深呼吸するとこころの気持ちを受け止める覚悟を決め、彼はこころへと頼る意思を示した。その言葉を聞いてこころの方は影人の言い回しに少しだけ違和感を感じつつも嬉しそうに頷いた。

 

「はい!カゲ君。ありがと!」

 

「どういたしまして……っと、ほら。着いたぞ」

 

そんな風に二人で話を進めているといつの間にか紫雨家の前にまで着いていた。本当に話しているとあっという間である。

 

「……あれ?いつもならもう少し明るいはずなのに……」

 

こころは妙に外から見た自分の家が薄暗い事に多少慌てたような顔つきとなった。

 

「まさか、クラヤミンダーにお母さん達がまた……」

 

「いや。空はあくまでも普通の夕暮れだ。もう日も沈む所だけど、少なくともクラヤミンダーが出てる感じじゃ無い。それに、出てたら俺達にも連絡が入るはずだ」

 

影人が冷静に答えるものの、こころの焦りは更に高まってしまう。ひとまずこころは影人に一緒に家の中に入ってほしいと頼む事になった。

 

「カゲ君。一緒に家に入って……。お願い」

 

「わかった。……何かあったら俺が対応する」

 

影人はこころにそう返すものの、彼は特に取り乱していない。むしろ、想定通りの状況であった。ただ、こころだけは何も知らないのでこうなるのも無理はないとバレない程度に彼女に話を合わせている。

 

こころは玄関の戸を開けるとやはり家の中の電気は消えており、薄暗いままであった。

 

「ただいま」

 

「お邪魔します」

 

一応こころは自分が帰った事を伝えるために声を上げ、影人も他人の家に上がるので断りを入れる。

 

「お母さん……?」

 

こころがどこもかしこも電気が消えて薄暗い部屋の状態なので心の焦りはドンドン高まっていた。誰も自分を出迎えず、電気も暗いので心細さが募っていくのだ。影人が近くにいるので多少はマシだが、流石にここまで何の連絡も無く人気が無いと不安も高まっていくだろう。

 

「おばあちゃん?おじいちゃん?」

 

こころは部屋の戸を開けつつ台所等や食卓がある部屋を通り抜けていく。尚、影人はそこを後から通過する際に既に準備されてあったある物を見てもうここまで彼女を誘導したら大丈夫だと確信する。

 

その瞬間だった。目の前を歩くこころが母親がいないなら祖父、祖母を探そうと和室に続く襖を開けると同時にクラッカーが鳴り響き、いきなり部屋の電気が付く。

 

「うわっ!?」

 

「「「「「こころ(ちゃん)(先輩)!お誕生日おめでとう(ございます)!」」」」」

 

そこにいたのは既にこの部屋で待機済みであったと思われるうた、なな、レイ、夢乃の四人に母親の愛がクラッカーを鳴らし終えて誕生日祝いのメッセージを贈る。加えて祖父の西村誠、祖母の西村恵子の二人もこころの誕生日を祝っていた。

 

「あ……今日、私の誕生日。忘れてた……」

 

「はぁ……やっぱりか。どうりでわざと誕生日祝いの言葉を言わなくても不機嫌にならなかったわけだよ」

 

「えっ!?カゲ先輩まさか……」

 

「先に言ったらサプライズにならないだろ?改めて、誕生日おめでと。こころ」

 

影人はこのタイミングでようやくこころへの誕生日祝いの言葉を贈ると彼女はまだ困惑したような顔つきをしていた。

 

「って、そういえばうた先輩、なな先輩、レイ先輩に夢乃ちゃんまで……何でここに!?」

 

「ふっふっふーん!実はこころのお母さんからうちの家にオードブルの注文を貰ってたんだ!」

 

「そのタイミングで丁度店に来ていた影人君が元々サプライズで誕生日を祝う事の企画を提案していて。うたちゃんがそのサプライズをこころちゃんの家でやろうって事を言い出したのがキッカケ」

 

どうやらこころへのサプライズでの誕生日祝い自体を最初に言い出したのは影人らしい。それを今の形に昇華させる原因となったのはうたの発言である。

 

「ま、まさか提案した本人が当日いきなり連れ回されるなんて思わなかったけどな」

 

そこにレイが口を挟む。レイは前から話している通り、今回のサプライズをやる上での計画実行の総監督を担っていた。部屋の飾り付けやら計画の詳しい部分などを担当している。また、田中や姫野の方に協力を仰いだのは彼の働きであった。田中と姫野の二人は今、この場にいないがそれでも二人がいた事で作業は大きく捗ったのも事実だ。

 

「済まないな、レイ。任せきりにしちゃって」

 

「ああ。随分とヒヤヒヤしたよ。最後の方なんて手伝ってもらわないと無理だったし」

 

「え?」

 

影人が首を傾げる中、レイは更に説明を続けていく。どうやらその言い回しだと本来なら間に合ってないような言い方だった。

 

「あのね、お兄ちゃん。実は準備の最後の方、アレのせいでうた先輩達が途中で抜けちゃった事もあって結構間に合うか際どかったというか。……手伝いが無かったら下手したら間に合わなかったかも」

 

夢乃もクラヤミンダーの事はこころの家族に聞かれたらダメという事でわざと主語をぼかした説明をする。

 

「なるほど……。で、誰に手伝ってもらったんだ?」

 

「ああ。それは山上さん達先生四人集だ」

 

「……ん?」

 

影人はそれを聞いて一瞬固まってしまう。先生四人集といえば昨日影人達にアカペラを教えるために集まった四人の講師達の事である。

 

「マジか。よく手伝うのオッケーしてもらえたな」

 

「まぁ、今日は元々四人共フリーの日だったし。本人達曰く自分達が好意でやった事だからあまり気にしないでという事らしい。だからありがたくその手を借りたって形だな」

 

影人は今度練習で会ったときは絶対にお礼を言おうと脳内でしっかり考えた後に長ったらしい話はそろそろ終わりにして、こころへの誕生日プレゼントを渡す事になった。

 

「じゃあ、まずは私達三人からの誕生日プレゼントだよ!」

 

最初にこころへと渡されたのはうた、なな、レイからのプレゼントである。

 

「わぁ……開けていいですか?」

 

「勿論だよ!」

 

こころが興奮したような顔つきでプレゼントを開けるとそこにあったのはPretty_Holicが発売しているフレグランスであった。

 

「ありがとうございます……」

 

「プリティーアップフレグランス!私達とお揃いだよ!」

 

「綺麗。見ているだけで心キュンキュンしてます」

 

こころがそんな風にフレグランスを見ていると今度は祖父母や母親からのプレゼントという事でそれぞれから声がかかる。

 

「ここちゃん。これは私達から」

 

「ありがとう!」

 

「私からもだよ。はい!お誕生日おめでとう!」

 

「ありがと……」

 

こころは愛から差し出された物を見て目を見開く。それはアイドルプリキュアのCDであった。

 

「ふふっ、ありがとう!」

 

「最近凄くハマってるでしょ?」

 

「うん!」

 

こころは既にCDは持っていたものの、母親からの愛情がたっぷり詰まってる贈り物であるのでこころは嬉しそうにそれを受け取った。

 

「えっと、じゃあ今度は私が……こころ先輩。お誕生日おめでとうございます」

 

続けてプレゼントを渡すのは夢乃だった。こころはそれを受け取るとそこにあったのは髪を解かすための可愛らしいヘアブラシであった。

 

「夢乃ちゃんも……良いんですか?」

 

「はい!先輩とは兄の件もありますし、これからも末長くお付き合いしたいので」

 

「ちょっ、夢乃。さりげなく俺のプレゼントのハードルを上げてくんなよ」

 

「お兄ちゃんは彼氏なんだからそれなりのプレゼントなのは当たり前でしょ!」

 

どうやら夢乃はそこの線引きは見逃せないらしい。それと同時にしっかりプレゼントしてよという夢乃からの後押しでもあった。

 

「……こころ。最後は俺からのプレゼント」

 

それを聞いて目を見開く。こころは今日の昼にデートでブレスレッドを買ってもらったばかりだった。それなのにまたプレゼントを貰うのは少し気が引けてしまう。

 

「待ってください、カゲ君は昼にもうプレゼントは……」

 

「いや、アレはあくまで誕生日プレゼントとは別の物。だから気にしなくて良いよ。むしろ、こっちが本命だから」

 

そう言って差し出したのは四本の花束状態の赤いカーネーションであった。

 

「これってもしかして……」

 

「ああ。あのとき別で買った物だよ。店員さんから言われてたのはその事。というか、その前に誕生日の件でこころに隠し事をしちゃった事も含めて色々と不安にさせてごめん」

 

それを聞いたこころは慌てたような顔つきとなる。そして自分が疑ったがために影人にこのような気持ちを抱かせた事に彼女も申し訳なく感じた。

 

「いえ!?私も悪いんです。誕生日のサプライズ事なら隠しても仕方ない事なのに、私こそ疑ってしまいました」

 

「そっか。ひとまず誤解は解けて何よりだよ。……こころ。これは俺からの気持ち。誕生日おめでとう」

 

「はい!あ、ありがとうございます!」

 

影人はこころへとカーネーションを手渡すとレイはその様子を微笑ましい物で見ていた。その隣ではななと夢乃が多少顔を赤くしている。うただけは変わらずといった感じだ。

 

「影人、随分と大胆なプレゼントするなぁ」

 

「うっせ。正直、中身が中身だから後から渡すか迷いはしたんだよ」

 

「夢乃ちゃん……影人君って」

 

「うん。私が思っていた以上に大胆でした……」

 

「え?え?ななちゃん、夢乃ちゃん、どういう事?」

 

うたはまるで意味がわからずに困惑する中、あまり詮索しない方が良いと誤魔化した。今ここでそれを言ってしまったらうたが興奮のあまり暴走する危険があると考えたからである。

 

ちなみにこころはまだこのカーネーションに込められた意味に気がついてない側なので特に恥ずかしがる様子は見えなかった。

 

「えっと、カゲ君が何で後で渡すか迷ったのかはわかりませんが嬉しいです!」

 

「そっか。贈ったこっちとしては伝わってなくて少し複雑だけど……どうしても気になるなら後でこっそり調べてくれ……」

 

影人は途中からこのプレゼントにしたのがやけに恥ずかしくなってきたのか顔を赤くしながらこころに補足し、こころはコクリと頷く。そんなわけでこころの誕生日プレゼントを渡す時間は終わったために最後に愛がこころへと遅くなった事を謝った。

 

「こころ、今日はこころの大事な日だから急いで帰ってきたけど……ちょっと遅くなっちゃった。ごめんね」

 

「わ、私も!今日は母の日だから、プレゼント……これ!」

 

そう言ってこころは母の日のプレゼントとして買ってきたカーネーションを愛へと手渡す。それを貰った愛は嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

「わぁ……。ありがとう!素敵なカーネーションね!」

 

「ほんとはメッセージカードとかお迎えとか考えてたんだけど……上手く出来なくて」

 

その一方でこころはプレゼントを渡す時から母親へと上手く母の日の感謝を伝えられずに申し訳ない気持ちが募っている影響か、声色は少しずつ沈んでいく。

 

ただ、当の愛はこころからプレゼントを贈られたこと自体が嬉しい事であるためにメッセージカードが無い事やお迎えができなかった事なんて物は些細な事であった。

 

「私のために色々考えてくれただけで、とっても嬉しいよ!」

 

愛はそう言ってからこころの事を優しく抱き締める。そして、彼女はこころへの気持ちを曝け出した。

 

「それに……こうやって私の側にこころがいてくれるのが、一番幸せな事なの。こころは私の……ううん。私とお父さんの宝物だから」

 

その瞬間、こころの脳裏には一瞬ある光景が浮かんだ。それは生まれたばかりの赤ん坊の自分が愛に抱かれ、近くには父親の信二も優しく自分を見てくれる物であった。

 

〜回想〜

 

「こころ!」

 

「こころ〜!」

 

それから二人は顔を見合わせると赤ん坊であるこころへと二人で同時にある言葉をかける。

 

「「生まれてきてくれて、ありがとう」」

 

生まれてそんなに経ってない赤ん坊のこころはまだ言葉を上手く聞き取る所にまでは至ってない。それでも両親が自分を優しく見てくれて、自分を大切に想ってくれている気持ちはちゃんと伝わっていた。

 

「あう?あーう!」

 

こころはまだ上手く言葉を話せないので生まれたばかりの赤ちゃん特有のクーイングと呼ばれる話し方で嬉しそうに返す。そして、それを一瞬だが、想い出の描写として見ることができたこころは嬉しさで満開の笑顔となった。

 

〜現在〜

 

「いつでもどこでも、お父さんも。私達の事、見守ってくれてるからね」

 

「……お母さん。ずっと一緒だよ!いつもありがとう!」

 

「こちらこそ、ありがとうね!」

 

二人は改めて抱き合うとお互いの愛を抱き締めるように口にする。その様子を見た祖父母は微笑ましいように頷き、うたは号泣。ななも思わず涙を抑えきれない様子だった。そんな中でレイは影人へと小さく話しかける。

 

「影人……」

 

「わかってる。……これからもこころの笑顔は俺が守る。こころには色んな物を沢山貰ってきたんだから」

 

一方で人形のフリをしている状態のままずっと座っていたプリルンとメロロンの二人のうち、プリルンは全員の視線がこころと愛の方を向いているのを確認してパチパチと目を瞬かせるとキラキラが沢山浮かんでいるのを見た。

 

「皆とってもキラキラプリ」

 

「ねえたま、いつもありがとうなのメロ」

 

するとメロロンもプリルンへと感謝の気持ちを伝えたくなったのか、唐突にプリルンへとお礼を言う。

 

「プリルンはお母さんじゃないプリ?」

 

「何となく、言いたくなったのメロ。ダメだったのメロ?」

 

「ダメじゃないプリ!プリルンからも、ありがとプリ!」

 

「メロ……メロ!」

 

メロロンからの気持ちを聞いたプリルンも嬉しくなったのか、メロロンへとお礼で返す。そして二人は手を繋ぐとメロロンはプリルンからの感謝に嬉しさからか、頬を多少赤く染めるのだった。

 

「じゃあ、皆で写真を撮ろう!集まって〜!5秒タイマーだからね!」

 

うたはそう言ってプリルンが使っている小さいカメラを使用して写真のタイマーをセットする。こころと愛をセンターにしたそんな中でこころは影人も手招きして自分の近くに招待する。

 

「カゲ君もこっち来てください!」

 

「え?」

 

「ほら、こころ先輩が来てって言ってるんだから早く行く!」

 

夢乃に尻を蹴られる形で影人はセンターにいるこころの隣に並ぶ。それから最後にうたが時間内に合流し、彼女がプリルン。なながメロロンを抱える中、レイと夢乃はhappy birthdayの英語の風船が見えるように両サイドの位置に立つ形で移動。そして、カメラは音と共にシャッターを切るのであった。

 

こうして影人達はまた1ページ、新しい思い出を作る事になる。そして、こころはあの後改めてメッセージカードを書いて母に手渡すのだった。

 

〜おまけ〜

 

その1……結婚挨拶

 

影人達は紫雨家にて母の日サプライズをする関係でオードブルをうたの実家から持ってきている。そのため、そのまま夜ご飯はパーティーに参加する事になった。

 

「あ、そういえば。影人君」

 

「はい、何でし……」

 

「こころとの結婚のための挨拶にはいつ来てくれるのかしら!?」

 

愛から投げられた特大の爆弾発言に影人は思わず噴き出しそうになってしまうが、ここでそれをやるわけにはいかないと理性を働かせて止める。

 

「けっ!?」

 

「お母さん何言っちゃってるの!?カゲ君とはまだそんな……」

 

「えー?こころともう何回もデートしちゃってるし、キスも済ませたんでしょう?何だったらお養母さんって言ってくれても良いのよ」

 

「へえっ!?」

 

どうやら愛としては度々こころが影人との思い出を家族の中で語る間に影人の事を余計に気に入ってしまったらしい。

 

「結婚の挨拶はまた後程!改めてしますので!こころにだってまだその覚悟はありませんし!」

 

「えー?影人君、あんなに情熱的なプレゼントを贈ったのに?」

 

「それはそれ!これはこれです!」

 

影人はそれからも愛に詰め寄られて色々と質問されたが、どうにかそれを振り切るのでただでさえ疲弊しかった体を更にすり減らしたようだ。尚、レイはこのやり取りを聴きながら笑い過ぎて腹が痛くなったとか。

 

 

その2……黒霧家の母の日

 

こころの誕生日パーティーを終えてどうにか帰宅したら影人と夢乃。尚、愛からは夢乃が手を回していたのか、こころとの添い寝も本人には黙ってコッソリ勧められた。影人はこれをどうにかして辞退し、家に帰宅したのである。

 

「お帰り、影人。夢乃」

 

「「ただいま」」

 

出迎えたのは二人の母である理沙である。彼女も彼女でここまで父親である魁斗と共に影人と夢乃を育ててきた。影人と夢乃はすぐにアイコンタクトを取ると夢乃がまずは声をかける。

 

「お母さん。いつも私達のためにありがとう!これは私からのお礼の気持ちだよ!」

 

「夢乃……ありがとう!」

 

「これは俺から。その、それとここ数年は俺のせいで色々と迷惑をかけてごめんなさい。俺からもプレゼント」

 

影人の方はこの街に来るまでの間、色々と両親には苦労をかけてしまったと自負している。だからこそ余計に今回の母の日ではちゃんと感謝を伝えようと決めていたのだ。

 

「影人……私のためにありがとうね」

 

それから理沙はその場に座るような形で二人を優しく抱き締めると彼女は二人への気持ちを溢す。

 

「二人は私達の宝物。こうして感謝の気持ちを伝えてくれただけで嬉しい」

 

そしてその様子を父親の魁斗もコッソリと微笑ましい様子で見ており、彼も二人が立派に育っている事が誇らしい様子だった。

 

「ふふっ。それにしても、影人。こころちゃんには感謝しないとね」

 

「……ああ。感謝してる」

 

「私はてっきり影人は泊まってくると思ってたんだけど……」

 

「……は?」

 

影人は理沙が半分くらい感極まったような話し方をしながらこれまた爆弾発言を投げられた事に困惑する。

 

「こころちゃんは良い子だから影人のお嫁さんとして最適の子だわ。絶対に手放したらダメよ」

 

「ああもう!何でどこの家でも母親は皆言うことが一緒なんだよ!?」

 

尚、いきなりでこんな爆弾発言を言うのは黒霧家や紫雨家ぐらいだろう。むしろこの両家が周りと比べて異常なのである。

 

その3……カーネーションの意味

 

影人達が全員帰り、こころもお風呂で体をサッパリさせた後。ふと自分の部屋に戻ると影人から貰った四輪のカーネーションの花を花瓶に入れて飾っていた。

 

「そういえば、カゲ君達は皆顔を赤くしたりして恥ずかしがってましたけど……どういう事でしょうか」

 

こころはその理由が気になると早速スマホの検索サイトで調べてみる事にした。

 

「えっと、まずはカーネーションとしての全体的な意味。“女性の愛、感覚、感動、純粋な愛情”……多分カゲ君が込めた意味はあの感じだと最後の純粋な愛情でしょうか」

 

こころはまず、カーネーション全体にかかる意味を調べる。ただ、これは影人なら込めてきそうな内容だと考えて特に気にはしなかった。

 

「それで、次に赤いカーネーションの意味ですね。“母への愛、母の愛、純粋な愛、真実の愛”前二つの母関係の愛を差し引いたら、うっ……流石にこれは花言葉がわかってる人が見たら恥ずかしいですね」

 

こころが赤いカーネーションの意味を見て少しだけ恥ずかしさが高まってくる。真実の愛とかとなってくると段々年齢が上がるに連れて言いづらくなる言葉なのは間違いないだろう。ただ、こころはまだ中1という事もあって許容はできた。

 

「これで意味は終わり……って、そういえばさっき検索の時に本数って候補が出てましたね。……もしかして本数にも意味があるのでしょうか」

 

こころはふとそれが気になった。……気になってしまったのだ。そして、躊躇いも無く本数の意味について調べた。すると……

 

「えっと、カーネーションを四本贈るとい、“一生愛し続けます”……ふえっ!?」

 

こころは最初、その意味を上手く飲み込むことができなかった。いや、意味はちゃんとわかる。ただちょっと脳の処理が追いつかなかっただけだった。

 

「か、カゲ君……こんな恥ずかしい事を……」

 

そのまま純粋な心を持っているこころは顔から湯気を出しながらその場に倒れて目を回してしまう。尚、こころはその日は興奮のあまりなかなか寝つく事ができなかった。そのため、翌日の朝。彼女にしては珍しく寝不足になってしまう事になった。




今回でやっとアニメ14話分が終わりとなり、次回からは恐らくアニメ15話の内容です。モチベーションが上がるのでお気に入り、評価、感想を貰えると嬉しいです。それではまた次回もお楽しみに。
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