キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影人の説得 決まった覚悟

マックランダーが反撃のビームを放つ直前。走って行った影人やうたを追ってきたのか、ななが鞄を肩にかけながら走ってくる。

 

「はっ……はっ……あれって……キュアアイドル?」

 

キュアアイドルが怪物、マックランダーからの攻撃を慌てて躱し、その後に二発目を躱しきれずに直撃する様をななは見てしまう。

 

「ああっ……」

 

そして、マックランダーからのビームを受けて傷だらけになったアイドル。彼女が倒れて痛みに悶えていると影人やプリルンが慌てて駆け寄った。そんな影人を見たななは目を見開く。まさか、影人が生身でしかもキュアアイドルの近くにいる事が信じられなかったのだ。

 

「影人君が……どうしてキュアアイドルと?」

 

そんな彼女を他所にプリルンはアイドルへと心配の声をかけ、影人は小さく淡々とアイドルへと呟いた。

 

「キュアアイドル!大丈夫プリ?」

 

「……だから言ったんだよ。これは遊びじゃ無いんだ。俺達が今やっているのは……テレビでよく観てる憧れのアイドル達の活動じゃない。強大な闇から世界を救う戦いなんだ」

 

アイドルの心に影人の言葉が響くと彼女はいきなり頭から冷水をかけられたような感覚になる。

 

「プリ……」

 

「プリルンと言いましたな。お主、ダメダメですな」

 

「プリ?プリルン、ダメダメプリ?」

 

「こんな、イェーイなどと浮かれた者を頼りにするとは。お主が此奴を選んだせいで、世界がクラクラの真っ暗闇になるのですぞ!」

 

そんな風にカッティーがプリルンへと正論をぶつけるとプリルンは罪悪感に包まれてしまう。プリルンの目に涙が浮かぶ中、アイドルはプリルンを悲しませまいと立とうとする。しかし、レーザーの直撃を受けたせいで体に思うように力が入らずに崩れ落ちてしまう。それを見た影人は一度溜め息を吐くと立ち上がった。

 

「くっ……ううっ……」

 

「プリルンの……プリルンのせいプリ……?」

 

「……はぁ。プリルン、それと咲良さん」

 

「プリ?」

 

「……え?」

 

「俺はプリルンの事を責めるつもりは無い。勿論キュアアイドルに選ばれた咲良さんの事も」

 

その言葉を聞いて倒れていたアイドルとプリルンは目を見開く。さっきまで影人からの忠告を鬱陶しいと半ば無視し続け、結果的にマックランダーにやられてしまった自分達を責めないと影人は言ったのだ。

 

「影人君……?」

 

「俺はさ。咲良さんが羨ましいんだ。思わず浮かれてしまうぐらい、周りから褒められて、チヤホヤされて……」

 

「でも、私が調子に乗ったせいで影人君は……」

 

「……確かに咲良さんはちょっと褒められただけですぐ増長するし、テレビに出てクラスメイトの話題を独り占めして……その慢心が起こした結果が今回の事態だよ」

 

影人は二人の前に立つとマックランダーの姿を見据える。そして、彼は二人へとある事を言った。

 

「それでも、俺にとって二人は輝ける眩い光だと思う」

 

「影人君……」

 

「プリルンは自分勝手で、初めて出会ってから我儘ばっかで……。俺のお金を沢山溶かしてくれて……でも、いつも自分の気持ちに正直でさ。プリルンが咲良さんを見て、キラキラを感じたからプリキュアだと思って頼ったんだろ?……プリルン、お前の目は確かだよ。そして、咲良さん。いつも元気で、明るくて。歌が大好きで。……咲良さんには俺には無い人々をキラキラと輝かせられる光がある。咲良さんのおかげで元気を貰えた人は……きっと今まで数え切れない程いたんだろうな」

 

影人は二人の印象や良い所をつらつらと語る。そして、影人は決意する。自分の心に秘めた熱さを燃やして。

 

「俺には誰かを照らす輝きなんて無い。でも、輝く誰かを横から支えるぐらいならできる。だから……負けるな……キュアアイドル」

 

それは影人が初めて言ったうたのプリキュアとしての姿の名前だった。だが、カッティーはそんな影人を一瞥すると話にならないと言わんばかりにマックランダーに指示する。

 

「何を言うかと思えば、とんだ無駄な時間でしたな。マックランダー。アイツらを終わらせるのです」

 

「マックラン……?」

 

するとその瞬間、影人はマックランダーの視界から消える。そのタイミングではすでにマックランダーの足元に彼の姿はあった。そして、影人はすかさず手にしたスマホのライト機能を使うとマックランダーの顔に目掛けて翳す。

 

「マックランダー!?」

 

「こけ脅しですぞ、マックランダー!あの小僧をやるのです!」

 

「影人君、逃げて!」

 

アイドルがそう言うが、影人は逃げない。マックランダーからの攻撃を全速力で走って回避しながら影人はこころから貰ったファンサうちわを出す。

 

「……その姿って事は多分お前もアイドルとかアーティストが好きなんだろ?そんな闇なんかに負けるな!……キュアアイドルなら、彼女なら、きっとこの場面で諦めたりなんてしない!」

 

影人は前回のマックランダーが素体となった人間の大切な物に反応する事、そして変身したマックランダーはその人にとって大切な物を模したマックランダーになると考えて一か八か、素体の人間はアイドルやアーティストファンの可能性が高いと読んで好きな物と思われるファンサうちわを見せたのだ。

 

「マックラン……」

 

マックランダーの素体となったアイドルことうたの友達。東中みことは影人が発したキュアアイドルという単語に反応。そして、彼女も変身する前に持っていたキュアアイドル研究会でのファンサうちわを見てマックランダーは動揺した。

 

「むぅ。小細工ばかり、鬱陶しいですな。マックランダー、気を取り直すのですぞ!」

 

マックランダーが慌てて首を横に振って影人への攻撃を躊躇する気持ちを振り切る。そして、そのままマックランダーが拳を振り下ろそうとしたその瞬間。

 

「はあっ!」

 

影人の後ろから一つの影が飛び出すとマックランダーへとキックをぶつけて吹き飛ばした。

 

「マックランダー!?」

 

そして、その影は影人の前に立つ。それは、先程まで倒れていたキュアアイドルだった。

 

「……ごめん、影人君。私、何も分かってなかった。……影人君は戦えないのにちゃんと誰かを救おうとする気持ちを持ってて……なのに私、自分の事ばかりで」

 

「今更立ち上がった所で浮かれた奴は相手になんか……」

 

するとアイドルは自分に気合いを入れるために自分の頬を両手でパシッと叩くと真っ直ぐにマックランダーを見据える。その目は覚悟を決めた者の目だった。

 

「何!?」

 

「影人君、私の目を覚まさせてくれてありがとう。おかげでやっと気が付けたよ。プリキュアとして戦うために必要な……本当の大事な事に!」

 

そんなアイドルや近くにいる影人の所へとプリルンも飛んでいくとアイドルはプリルンへと声をかけた。

 

「それと、プリルン。今回の事はプリルンのせいじゃ無いよ……あと、私はもう大丈夫。真っ暗闇になんか、絶対にさせないから!」

 

「ふん。黙るのですぞ!」

 

カッティーがそう言うとマックランダーはそれに合わせて両手のサイリウムに宿したレーザービームによる斬撃波を放つが、今度はアイドルもそれをしっかりと回避しながら接近して跳び上がる。

 

「影人君は浮かれてて何も分かってなかった私に……呆れながらもちゃんと教えてくれた。……だから、キラッキランランにしたい!プリルンも、君の事も!」

 

アイドルがそう言う中、プリルンがマックランダーを見るとその素体が東中みことであると確認する。

 

「プリ!みことが閉じ込められているプリ!」

 

「みことが!?……ッ、絶対に……助ける!私の……歌で!」

 

そのままアイドルがアイドルハートブローチをタッチ。そのまま彼女の技を使う。

 

「アイドル……グータッチ!」

 

アイドルが放ったグータッチことパンチが命中するとマックランダーが吹き飛ばされて東中へと光が差し込む。

 

「キラキラしたプリ!頑張ってプリー!」

 

「クライマックスは私!」

 

アイドルが最後にマックランダーを浄化するためのライブ会場を展開。頭にアイドルハートインカムを装着する。

 

「盛り上がって行くよー!」

 

そのままマックランダーは強制着席させられるとアイドルが音楽に合わせて歌い始める。

 

♪決め歌 笑顔のユニゾン♪

 

「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪……プリキュア!アイドルスマイリング!」

 

そのままマックランダーへと命中したハートのエネルギーによってマックランダーは浄化されていく。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

マックランダーが消えるとまた新たなキラルンリボンが生成。それをプリルンが付けるとポーズを取った。

 

「プリ!プリティキュートなプリルンプリー!」

 

どうやら、プリルンが付けるとそれに対応した様々なファンサをしてくれるらしい。そして、マックランダーが浄化された事に伴って壊れた街並みや影人の傷は元に戻って行った。

 

「影人君!」

 

「……ったく。あんな恥ずかしい台詞まで言わせてくれて……あんまり手間かけさせんなよな」

 

「ごめんごめん……」

 

影人とアイドルがそんな風に話していると二人が知り合っているのを見たななは困惑が隠せなかった。ひとまず彼女は二人に見つからないようにそのままそっと立ち去る事になる。

 

「さて、アイドル。東中さんは無事だったし、後は彼女が目覚めれば……」

 

影人は去って行こうとするとアイドルはそんな影人へと慌てた様子で声をかけた。

 

「待って!影人君。立ち去る前に、やりたい事があるんだ」

 

影人は面倒な事を持ち込むなという趣旨の話をしようとしたが、アイドルの真剣な目を見てその言葉は引っ込んだ。

 

「……わかった。アイドルのやりたい事、やりなよ」

 

「ありがと」

 

そんな中、アイドルのライブを領域の外から見ていたカッティーは思わず歌詞を口ずさんでいた。

 

「キミと歌を咲かそ……いやいやいやいやいや!今度は負けませんぞ!!」

 

カッティーは首をブンブンと横に振ると慌てて撤退。そんな中、東中は意識が戻るとボーッとしたようなうろ覚えの記憶を起こそうとする。

 

「私、何してたんだろ……?キュアアイドルのステージを見ていたような……夢?」

 

「……夢じゃないよ!」

 

東中はいきなり自分の前に現れたアイドルにビックリするとアイドルは東中へと優しく話しかける。

 

「!?キュアアイドル!?」

 

「みことちゃん!」

 

「え?あ、はい!!」

 

東中は何故彼女が自分の本名まで知っているのか困惑するが、一呼吸置いて慌てて座り直しつつ返事をする。

 

「応援してくれて、ありがとう!これからもよろしくね!」

 

すると東中はそう言われて顔を赤らめると手にしていたファンサうちわを見せつつ照れ隠しと言わんばかりにその後ろに顔を隠しつつその横からそっと彼女を見た。

 

「!!ふふっ!」

 

アイドルはそのうちわに書かれていた“わらって!!”という文字に応えるように手で指ハートを作ると彼女へと眩しい笑顔を向ける事に。その様子を東中に見つからないような遠目から見ていた影人はそんな彼女の眩しさに一人呟く。

 

「……これだから俺にとって咲良さんは……キュアアイドルは眩し過ぎるんだよ……」

 

それからアイドルは東中へのファンサービスを終えると影人に合流。尚、合流の所は見られていないので東中への身バレはバッチリだ。ただ、ななには思いっきりキュアアイドルと影人の関係がバレてしまったが。

 

それから二人は前にうたが教えてくれた展望台に向かうとアイドルは景色を見ながらある事を呟いた。

 

「……私、わかったことがあるんだ」

 

「プリ?」

 

「すっかりアイドル気分になっちゃってたけど……私はただのアイドルじゃない。光で闇を照らす救世主……歌って踊ってファンサして!真っ暗闇をキラッキランランにする。アイドルプリキュアなんだって!」

 

影人が見たアイドルの目は完全に戦う戦士としての覚悟を決めた顔だった。

 

「……咲良さん。さっきはごめん。咲良さんがしつこいって思えるぐらいに色々と外野から……」

 

「ううん。むしろ謝るのは私の方だよ。浮かれてた私をずっと心配してくれてたのに。……影人君、これからも私の事をサポートしてくれる?」

 

アイドルは真剣な目で影人を見ると問いかける。その言葉を聞いた影人は同じく真剣な目でアイドルを見つめ返し、頷いた。

 

「ああ。任せろ」

 

「それとさ、これからはこの姿の私の事はキュアアイドルって呼んでよ。流石にあの場面で本名呼ばれたら近くに誰かいたらバレちゃうし」

 

「……あ。そういや、俺普通に咲良さんの名前で呼んでたけど知り合いが誰かいたら思いっきりバレちゃうのか」

 

影人は今更街中でアイドルの本名を叫び続けた事を思い出して以後気をつけようと思う。

 

「ふふっ。影人君、明るくなったよね」

 

「べ、別に俺は何も変わってない」

 

「ううん。初めて会った時なんて俺に関わるなーみたいな感じだったし。かと思ったら人一倍助けて欲しそうだし。でも、やっぱり今の影人君。キラキラしてるよ!」

 

「……言っただろ。俺の光なんて枯れ果ててるって。それはずっと変わらねぇよ」

 

影人はそう返すが、それでもアイドルから見た彼は本当に輝いているように見えた。こうして、アイドルことうたは闇と戦う決意を固める。これから先に待ち受ける困難に立ち向かう事を決めたうた。そして影人もそんなうたの覚悟を受けて自分も全力でサポートすると誓うのだった。




また次回もお楽しみに。
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