キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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デート準備ともう一人のスラッシュー

影人とメロロンの話が終わった少し後。うたの部屋の上の階の部分ではメロロンが影人に慰められていた。

 

「落ち着いたか?」

 

「メロ……ありがとなのメロ」

 

メロロンはある程度影人の胸に顔を埋めたお陰でどうにか立ち直る事はできた。

 

「影人……ねえたまとデートしたいのメロ。メロロンはどうしても諦め切れないのメロ」

 

メロロンからの言葉を聞くと影人はメロロンにはまだやる気が残っていると感じ取る。そして、影人の視界には何かが映った。

 

「……そんなにプリルンとデートしたいなら行ってこいよ。ほら、向こうから誘いに来てくれたぞ」

 

「メロ?」

 

メロロンは影人からの言葉に目を見開くと振り向く。そこには前に影人達がこの家にお泊まりした際に共同で作ったキュアアイドルの衣装を着たプリルンがいた。

 

「メロロン!」

 

「ねえたま……何で」

 

「プリ?プリルンはメロロンとデートに行きたいプリ!はい、お揃いの衣装プリ!」

 

プリルンの手にあったのは彼女が着ている衣装とお揃いの小さな妖精用の衣装であった。勿論、お揃いという事でキュアアイドル仕様である。

 

「可愛いメロ……どうしたのメロ」

 

「うた達に作ってもらったプリ」

 

どうやら、プリルンとお揃い衣装に関してはうた達がまた別途で事前に作っておいたらしい。つい先日完成して今日サプライズで渡すつもりだったのでまだ渡せていなかったのだ。

 

「メロ?」

 

メロロンが首を傾げると上の階に上がるための階段の所にうた、なな、こころ、レイの四人が顔を揃えていた。ただ、メロロンの脳裏に先程デートを邪魔されてしまった事が浮かぶ。

 

「メロ……」

 

そんな相手からのプレゼントなので余計に難色を示していたのである。するとうた達は先程の事を謝るために声を上げた。

 

「さっきは邪魔してごめん!」

 

「私達、メロロンの事を応援したくて」

 

「プリルンとの折角のデートですし、オシャレはしないとです!」

 

「……仕方ないのメロ!ねえたまとのデートのために着てあげるのメロ!」

 

メロロンは押し切られる形で衣装を着るとそれはしっかりとサイズピッタリであり、似合っていた。そのためにうたは目をキラキラマークにするくらいにはしゃぎ、ななやこころもその可愛さに目を奪われる。

 

「キラッキランラン〜!」

 

「可愛い!可愛い!すっごく可愛い!」

 

プリルンとメロロンが二人揃うとキュアアイドルのコスプレをした可愛い妖精が並ぶ形であった。

 

「蒼風さん、普段は他の二人よりも大人しい印象だけど……やっぱりスイッチが入ると可愛い一人の女の子って感じだな」

 

レイはなながはしゃぎながら写真を撮りまくる姿を見て微笑ましい顔つきとなっている。ななは先程のうた同様に目がキラキラ状態であった。そんな中でこころも大好きなキュアアイドルの衣装を着ている二人に興奮する。

 

「二人が可愛すぎて心キュンキュンしてます!」

 

「キュアアイドルとお揃いプリ!」

 

「……そうメロ。危うくウキウキしちゃう所だったのメロ」

 

メロロンはそう言って頭に付けていたインカムをポイと外して捨ててしまう。そんな彼女を見たうた達女子三人組はしょぼんとする。

 

「「可愛いのに……」」

 

「はい……」

 

「咲良さんへの敵意が強すぎてキュアアイドルに対しても敵対心抱いてるなぁ、メロロンは」

 

「ただ……」

 

レイの言葉に影人がチラッとプリルンの方を見ると彼女も彼女で大好きなキュアアイドルが不評だった事にしょんぼりしてしまう。

 

「プリ……」

 

「ねえたま!?」

 

「メロロン、プリルンの前でキュアアイドルへの批判はあまり良く無いって事だ。プリルンの趣味に合わせるのも大事だぞ」

 

そう言って影人はメロロンへと優しく諭す。メロロンがプリルン大好きなようにプリルンもキュアアイドルが好きなのだ。誰だって好きな物が否定されてしまったらガッカリしてしまうだろう。そう考えるとメロロンの今の行動はあまり褒められた物では無い。

 

「……しょうがないのメロ。ヘアアレンジならやらせてあげても良いのメロ」

 

メロロンはガッカリするうた達を見て流石にいたたまれなくなったのか、自分の耳をヘアアレンジするのは良いと許可を出した。うたはそれを快く承諾する。

 

「オッケー。じゃあ、任せて!」

 

「ふんふんふん、とびきり可愛く〜♪可愛いメロロン〜♪」

 

うたの手によってメロロンは長い耳を普段耳に付けているリボンで留めると髪を途中までお団子ヘアにしたような形となり、その出来栄えにメロロンも思わずご機嫌になった。

 

「デートの行き先だけど、ハートの木とかはどうかな?すぐ近くに有名なデートスポットがあってね」

 

なながスマホを出して調べると彼女が見せた画像にはピンクの大きなハートの形をしたオブジェクトにかかった棒に小さな何かが沢山下げられているのが見える。

 

「恋人や友達同士で一番大切な物を教え合ってね、このハートのロックに永遠の愛を誓うんだって!」

 

どうやらこの画像に見える小さな何かはハートの描かれた南京錠みたいな物らしい。

 

「メロ!?そんな所があるのメロ?」

 

「ああ。この町では結構有名な場所になるな」

 

するとメロロンは永遠の愛という言葉があったからか、すぐにやる気になるとプリルンの手を引く。

 

「今すぐ行くのメロ!ねえたま、メロロン達も永遠の愛を誓うのメロ!」

 

「……プリ?」

 

メロロンが行く気満々になる中で、プリルンはキョトンとするとやっぱりその意味がわかってないような感じだった。

 

「……おーい、肝心なプリルン本人がそれをわかってないって色々問題だからな?」

 

そんな中、メロロンがふと何か思い出したのか影人達へとある疑問を問いかける。

 

「そういえば、メロロンが着てるこの服。サイズはどうやって測ったのメロ?ねえたまよりメロロンの方が少し小さいのメロ。ねえたまと同じサイズにしたらぶかぶかになるはずなのメロ」

 

そう。プリルンとメロロンでは体の大きさが多少違う。プリルンの方がメロロンよりも一回り大きめなのだ。そう考えると服を同じサイズにする事はできない。そのため普通ならアバウトでしかサイズが取れないはずなのだ。それなのに、メロロンの服は今のメロロンの体にしっかりとフィットする。

 

「ああ。それなら俺が測った」

 

名乗りを上げたのは影人である。メロロンはそれを聞いて目を見開く。確かにメロロンは他の面々と比べると影人への接触回数は多いが、でもだからって体のサイズを測れるほどには触られてないはずなのだ。

 

「影人が測ったのメロ?でもどうやって……メロ!まさか!!」

 

「ああ。プリルン、メロロンのお泊まり会の時だよ」

 

あの時、影人はプリルンやメロロンと一緒にお風呂に入った。つまり、それが普段よりも接触回数が比較的増加したタイミングになる。加えて、その時に影人はメロロンの背中を流して体を洗った。影人の事だ、メロロンの頼みを叶えるついでに体のサイズもある程度目視で測っていたはずである。

 

「影人……凄いのメロ」

 

ちなみに、一緒にお風呂に入るのも体を洗うのも頼んだのは全部メロロンだ。だから、メロロンから怒られる心配も無いしそれも全部わかった上で影人は了承したのだろう。こころとしてはかなり複雑だったが、彼女が許可を出したのはそのメロロンの体のサイズを測る目的があったのも大きな要因だろう。

 

「ああ、そうそう。キュアアイドル風なのが嫌だったらさ。これも一緒に付けなよ」

 

それから影人が差し出したのはインカムに外付けで合わせられるようにしたキュアソウルを連想させるバイオレットカラーのリボンである。

 

「メロ……これって、キュアソウルの」

 

「だからさ、インカムも一緒に付けてくれないか?折角作ったのに使わないなんて勿体無いだろ」

 

メロロンは影人からそう頼まれれば断る理由は無い。それにバイオレットのリボンがあるだけでも影人と一緒にいれる気がして嬉しかった。

 

「メロ、ありがとうなのメロ」

 

メロロンはリボンをインカムへと装着するとそのままインカムを頭に付ける。これでプリルンとメロロンは完全にお揃いの衣装を付けることになった。

 

「良かった……カゲ先輩の努力が無駄にならなくて」

 

「ああ〜。確かメロロンの分のインカムを作ったのって……」

 

「影人君……だったよね」

 

「メロ!?そうだったのメロ」

 

うた、なな、こころの話を聞いたメロロンは唖然とする。メロロンはそのまま自分はとんでもない事をやってしまったと焦ってしまう。

 

「影人、その……ごめんなさいメロ」

 

「別に大丈夫。最終的に付けてもらえたら平気だよ」

 

影人がメロロンを優しく撫でると怒られてない事を知ってメロロンは一安心する。

 

「それじゃあそろそろ長話するのも嫌だろうし、デートに行ってきな」

 

「メロ!影人。ねえたまとのデート、頑張るメロ!」

 

「プリ?」

 

メロロンがやる気を出しまくる中、やっぱりプリルンは彼女の気持ちと言うよりも楽しいデートができればハッピーと思う子なのでそこまで深く考えてなかった。

 

その頃。チョッキリ団アジトにて。そこではカッティーが何故か上がっていたアイドルプリキュアの三人でのライブ映像を観ていた。

 

『『『Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪』』』

 

そんな中、彼は周りに誰もいない事を確認。懐からとある物を出す。それはアイドルプリキュアを応援するためのキラキライトだ。どうやら前に球技大会での出撃の際に多くの生徒達がこのキラキライトを持って応援していたか、カッティーも欲しいと思ったのだろう。

 

『『『もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪』』』

 

「この輝きで自分も!」

 

そのままカッティーがオタクとかがよくやるようなヲタ芸のような動きをしようとする。ただ、それをする直前に何者かの手がキラキライトを横から奪った。

 

「ほいっと。何持ってんだお前?」

 

「な!?

 

「……カッティー、お前……まさか……」

 

『『『瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪』』』

 

それを受けてザックリーの手が震え、声色も同じように震えるとカッティーへと問い詰めようとする。勿論カッティーは慌てて動画を止めてから反論した。

 

「プリキュアを応援?」

 

「あばばばばっ!ピタッとですぞ!」

 

「ザックリ言って、す・き!になったんじゃ……」

 

ザックリーはわざと好きという言葉を強調するとカッティーへと問いかける。勿論カッティーはそれを聞いてまた慌てるわけで。

 

「す、す、す、好き!?違いますぞ!そういう好きじゃ……」

 

「じゃあ何なんだ?」

 

ザックリーに詰められてカッティーは押し黙ってしまう。それから彼はゆっくりと自分の気持ちを話し始めた。

 

「……プリキュアは自分にとって……推しなんですぞ」

 

「推し〜ぃ?」

 

ザックリーはまるで歌舞伎役者のような返しをするとカッティーは頬を赤らめながらアイドルプリキュアのライブの様子を思い浮かべる。

 

「ステージを初めて見た時から心の奥底がドキドキワクワクして……どーしてこんなに惹かれるか、自分でもわからん。でも、あのキラキラをまた見たいのですぞ」

 

そう言うカッティーからはハートのエフェクトが幾つも出ていると言わんばかりの状態となり、流石にザックリーもカッティーの豹変をもう擁護し切れなかった。

 

「あ、あ、あ、お前!推しだか寿司だか知らねぇが……俺達チョッキリ団は!」

 

「わ、わかってるのですぞ。自分が何をすべきかって事は!」

 

ザックリーからの圧に耐え切れなくなったカッティーは慌てて退出しつつ町へと出撃。ザックリーは完全に相方がアイドルプリキュアに洗脳されてると来て不安でいっぱいになっていた。

 

「あっ……ったく。本当に大丈夫か?」

 

また、場面は再び変わって喫茶グリッターへ。そこではプリルンとメロロンがうたの部屋の上の階にある窓から人目に付かないようにデートしに行ったのとほぼ時を同じくして。お店の中では田中が天城へと話しかけていた。

 

「天城さん。そろそろ私の小休憩が終わりですし、交代しましょう」

 

「あ、ありがとうございます!では失礼しますね」

 

天城は田中と入れ替わる形で休み時間に入ると一旦体を日の光に当てて疲れを癒そうとお店の外に出るとそのまま店の裏に移動する。

 

「ふぅ……。さてと。妖精達は多分デートに行ったわね。でしたら、ある意味チャンスですわ。恐らくあの子達なら……するから、先回りしましょう」

 

すると天城はその手にいつも使っている水晶のような物を召喚。それが禍々しく光ると自らの体から暗闇のエネルギーが水晶に取り込まれていく。そのまま水晶はフワフワと浮かぶとその姿が自分と瓜二つの姿となった。

 

「何でしょうか……スラッシュー様」

 

水晶はまるで意思があるかのように天城と全く同じ声色で流暢に言葉を話す。

 

「少しの間、私の代わりとしてここでの仕事を任せるわ。スラッシューとしてでは無く天城切音としての私自身をそのままコピー、トレースしたから問題無く仕事はできるはずよ」

 

「ええ。スラッシュー様こそご武運を」

 

「……ふふっ。ちゃんとそういう事を言えるのね。って事はやっとパワーアップした新しい力が馴染んできたって所かしら」

 

この様子を見るにやはり天城ことスラッシューが前にクラヤミンダーをこころの母親へと変えていたようだ。

 

前はクラヤミンダーを変身させるだけだったが、今回は水晶を媒体にする事で自律して自らの意思と記憶を完全にトレース。更に普通に喋る事も可能になる等、力をコントロールできるようになった事を裏打ちするような証拠が沢山出ていた。

 

「ん、スラッシュー様……」

 

「何かしら?」

 

「……少し遠くに仲間と思わしき者が出てきました。恐らくこの甘ったるさを含んだ仲間と言えばカッティーかと」

 

「甘ったるさねぇ、随分と辛辣な言葉をかけるじゃない。ま、事実だから良いわ。それじゃあ、留守番は頼んだわよ」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

コピー天城がそう言って頭を下げると天城の姿は一瞬にしてローブを纏ったスラッシューへと変化。そのまま彼女は撤退の際に使っていると思われる瞬間移動でその場からいなくなるのであった。




また次回もお楽しみに。
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