キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
チョッキリ団の動きがあった少し後。はなみちタウンを見渡せる展望台にあるハートの木にて。プリルンとメロロンの二人は座ってお弁当を食べる事になった。尚、メロロンは影人から言われてちゃんと人目に付かないようなルートを通って移動している。
「ねえたま、永遠の愛を誓う前にお弁当を食べるのメロ」
「プリ!丁度お腹が空いてたプリ。メロロンのお弁当、楽しみプリ!」
どうやらプリルンとしてもメロロンのお弁当は楽しみと言える物らしい。早速メロロンはお弁当を膝の上で開けるとその中にあるブロッコリーを箸で器用に掴むとプリルンへと差し出す。
「はい。ねえたま、あーんメロ」
「あーんプリ!はむっ!」
プリルンは幸せそうにブロッコリーを食べる中、メロロンはプリルンへと話しかける。
「ねえたまの好きな物、メロロンがいつでも作るのメロ」
「タコさんウインナーが良いプリ!」
「……タコさん?カニさんじゃなくてメロ?」
メロロンとしては影人のカニさんウインナーが好きなのでプリルンがタコさんウインナーと言い出して首を傾げた。
「うたのお弁当にいつも入っている美味しいやつプリ!大好きプリ!」
やっぱりプリルンにとってはうたがいつも出してくれるタコさんウインナーの方が好きなようである。プリルンがうたの事をまた持ち出したのを見てメロロンは複雑そうな顔つきになった。
「か、考えておくメロ」
メロロンとしてはうたの事を出されるのはあまり良い気持ちでは無いが、プリルンたってのお願いなら断る事もできない。そのため、一応了承する事になる。
その頃、ハートの木の後方にある草むらにて。そこから顔を覗かせていたのはプリルンとメロロンのデートを見守りに来た影人達五人だ。
「大好きかぁ……。嬉しいなぁ〜」
「見ててハラハラしますね、これ」
「メロロン、頑張って!」
そんな風に女子三人組が言う中、影人は呆れたような目線を向けていた。デートを覗くなんて行為、本人達にバレでもしたらどうするのかと思っているのである。
「……おい、レイ。何で俺達もここに来てるんだ?」
「そんな事言ったって仕方ないだろ?止められなかったんだからよ」
一応ここに来る前に影人は反対の意見を述べたが、三人は行くと言って聞かず。そのために半ば仕方なく変な事をしないように(特にうたが)着いていく事にしたのだ。
そんな中、ハートの木では未だに咲いている桜の花びらがヒラヒラとそよ風に揺られて舞い踊る中、メロロンが話しかける。
「……ねえたまの一番大切な物って何メロ?」
「プリ?」
「メロロンは……ねえたまメロ」
それから思い出されるキラキランドのビッグキラキラリボンが成す術なく切られてしまったあの日。それ以降、キラキランドから光は消え去ってしまった。
〜回想〜
ビッグキラキラリボンが切られた直後、ビッグキラキラリボンのあった場所から発生した闇が次々と周囲に拡散。それがキラキランド全体を闇に染めると同時にまるで隕石のようにその闇は周囲へと降り注いだ。
「キラキランドが襲われたあの日。メロロンも一生懸命に逃げたのメロ」
降り注いだ闇は次々とキラキランドの住人である妖精達へと命中。その影響で妖精達は水晶化。仲間達がやられていくのを見た妖精は必死に逃げ散っていく。それでもプリルンとメロロンを除いたほぼ全ての妖精は水晶に閉じ込められてしまった。
勿論、キラキランドの女王ことピカリーネも例外無くである。メロロンは命からがらに自分の住処である洞穴に逃げ込むものの、その入り口付近でも妖精達が何匹か水晶化していた。もう自分以外に仲間の妖精は誰もいない。その事実を受けてメロロンは本当の意味で独りぼっちになったと泣いてしまう。
「本当に独りぼっちになっちゃったのメロ……ううっ……」
キラキランドが闇に侵食されるその日まではメロロンにとっては周りに誰かがいるだけでも安心感があった。友達じゃなくても自分以外に生きてる仲間がいる。それだけあれば一人でいる寂しさなんて物は感じなかった。
だが、もう今はその妖精達は自分を除いて全滅した。メロロンは“はなみちタウン”へと妖精が幾らか出払っているという事実をまだ知らない。なので自分以外の妖精は全ていなくなってしまったという事を受け止めると胸に辛さが込み上げてきたのだ。
「メロロン!見つけたプリ!」
そこにやってきたのは偶然生き残っていたプリルンだった。プリルンもプリルンで必死に逃げ回った後だったのか、息切れこそしていたものの無事に動けていたのだ。
「メロ?」
「無事で良かったプリ!」
「無事じゃないのメロ!すぐにメロロンだって皆みたいに……」
メロロンの気持ちはかなりやられていた。周りの妖精は水晶化して全滅し、未だに降り注ぐ闇は留まる所を知らない。メロロンが絶望してしまうのも無理はないのだ。それでも、プリルンはまだ希望を捨てていなかった。
「プリ……それじゃあ……こうするのプリ」
プリルンが小さく呟くとメロロンへと優しく抱きつく。それから彼女はメロロンの心に寄り添うようにそっと呟いた。
「大丈夫プリ。二人でいれば怖く無いプリ。どんな事があってもメロロンはプリルンが守るプリ」
「メロ……」
それからプリルンはメロロンから一度離れるとしっかりと向き合ってからメロロンへと笑顔を向けつつ更に続ける。
「プリルンはメロロンのお姉さんになるプリ!」
「メロ……」
その言葉が傷心状態だったメロロンにとって何よりも大きな光であった。彼女はプリルンからの言葉に見事に射抜かれてしまう事になる。
「(ズッキューンメロ!)……ねえたま」
それ以降、メロロンはプリルンの事をねえたま呼びするようになった。メロロンの中でのプリルンへの認識が大きく変わった瞬間でもある。
〜現在〜
「あの時初めて、メロロンは一人じゃ無いって思えたのメロ。ねえたまにハートをズキューンと撃ち抜かれたのメロ」
「ズキューン……プリ?」
プリルンはやっぱりメロロンの言う難しい表現はわかってないのか、キョトンとしていた。
「メロ。ねえたまの一番大切な物って何メロ?」
メロロンからの問いにプリルンは少し考え込む。そんな時だった。展望台から少し離れた所の上空にカッティーが姿を現す。
「光ある所に闇あり。アイドルプリキュアが輝くためにも自分のような存在が……ん?」
カッティーがある場所が気になってそこを向くとプリルンとメロロンがデート先に選んでいた永遠の愛を誓う場所ことハートキラリロックのスポットである。そこには若い男女のカップルが永遠の愛を誓おうとしていた。
「ここでハートのロックに愛を誓うんだね!」
「ええ!昔からの言い伝えを元にできた恋愛のおまじないだって!」
カップルはイチャイチャするくらいには仲が良いのか、二人で合わせる形で大きくハート型を作るとオブジェクトに付けるための南京錠と鍵を取りに行く。
「あれは目障りなキラキラを放ってるのですぞ」
「……やっぱりいたわね。カッティー」
「す、スラッシュー様!?」
そこに丁度タイミング良くスラッシューが到着。カッティーへと話しかけると彼女も現状を理解する。
「ふーん、なるほどねぇ。カッティーも男という事かしら?」
「な、何でそうなるのですぞ!?」
「わかるわ、自分の隣には誰もいなくて寂しいと思える気持ち……」
完全にスラッシューの言い回しはカッティーをおちょくってるような物である。そのため、カッティーは慌てて言い訳をした。
「べ、別に自分は寂しいなんて思わないのですぞ!」
「ああ、良いの良いの。そんな風に言わなくたって。私も隣に誰もいない辛さは感じてるわ。……前にブレイクが来てくれて嬉しかったのにすぐに逃げられちゃったもの」
それを聞いてカッティーはスラッシューにも複雑な事情があると察した。そんな中でカップルはその手に南京錠と鍵を持っており、準備が整う事に。
「はい、では儀式!始めちゃいまーす!イェーイ!」
どうやら二人は永遠の愛を誓うつもり満々であり、早速おまじないに乗っ取ってお互いの大切な物を伝える事にした。
「ロックの元、それぞれの一番大切な物を教え合います」
「僕の一番大切な物。それは君に決まってる!」
「あーっ!私も、嬉しい!」
「イラッ!」
そんな風にイチャイチャしながら儀式を進める二人を見て苛立つカッティー。二人はそんな彼など梅雨知らずで南京錠を二人でオブジェクトにある細長い棒に施錠した。
「これでずっと一緒です!」
「永遠にね……」
「ぐっ……むかーっ!目の前でイチャイチャしてくれて、とてもウザいキラキラなのですぞ!」
「結局我慢できてないじゃない。そりゃあ、その気持ちを埋めるためにアイドルプリキュアが好きになるわけね」
「だから違うのですぞ!」
スラッシューが目の前でイチャイチャするカップルを見て苛立つカッティーを呆れたようなジト目で覗いていると流石にカッティーもこれ以上イチャイチャを見るのは嫌だったのでキラキラを引き抜く事にした。
「お主のキラキラ、オーエス!」
「「うわぁああっ!」」
若いカップルは二人揃ってカッティーによってキラキラを抜かれて叫ぶ。どうやら一人のチョッキリ団が二人以上の素体である人間のキラキラを同時に引き抜く事も可能らしい。ただしその場合はあくまで同じ方向性のキラキラになるからか、出てくるリボンも一つだけであった。
「カッティーン!」
カッティーは早速引き抜いたキラキラを切ってクラヤミンダーを召喚。地面に叩きつける。
「出でよ!クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするのですぞ!」
「クラヤミンダー!」
カッティーが呼び出したクラヤミンダー。今回の個体は体が南京錠であり、手には鍵を持っていた。スラッシューはそんな彼を見つつ笑みを浮かべる。
「さて、クラヤミンダーは呼んでもらえたし。後は彼らが来るのを待つだけね」
スラッシューとしては自分でわざわざキラキラを探す手間が省けた(尚、カッティーが来た時点でこれを狙ってた)ので今度は影人達が早くこちらに来てくれる事を願う事に。
そして、時を同じくして。メロロンからの質問に答えようとしたプリルンだったが、クラヤミンダー登場を感知して声を上げる。
「ブルっと来たプリ!」
「「「クラヤミンダー!?」」」
プリルン達を見ていたうた、なな、こころはクラヤミンダーの出現に思わずそこそこ大きめな声を上げ、そのせいでプリルンとメロロンに気が付かれてしまう。
「あ、馬鹿!そんなデカい声を出したら……」
「着いてきてたのメロ!?」
「やっぱバレたな……。だから反対したのに」
「こればかりは仕方ねぇよ。ひとまず、俺は付近の人達を避難させる」
「わかった。頼むぞ」
影人達は人々の避難などをレイに任せると早速クラヤミンダーに対応するために変身する事になる。四人はブローチにリボンを装填するとプリキュアへと変身するための光に包まれていった。
「「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」」」
四人は同時に掛け声を言うとブローチの両側のスイッチを押し込む。これにより、四人は姿をプリキュアへと変えていく。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「キミと昂る、ハートの情熱。高鳴る魂、キュアソウル!」
「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」
それから四人が現場に到着するとその後ろにはプリルン、メロロンが来る。そして、そこにいたカッティーとクラヤミンダー、スラッシューの三人と対峙した。
「チョッキリ団!」
「むほほ!アイドルプリキュア……」
「変な声を出さない!」
「痛だっ!?」
するといきなりカッティーはアイドルプリキュアに惚れたような顔や変な声を見せたからか、スラッシューに頭を引っ叩かれるとベシンという音が鳴り響く。これはカッティーが興奮のあまり変な声を出したので当然と言えば当然だった。
「何やってんだよ……」
「ご、ごほん!気を取り直して……待ってましたぞ!アイドルプリキュア!」
カッティーが改めて名乗るとスラッシューはそんなカッティーをスルー。早速彼女は手にした変身のアイテム鳴らすとローブを脱ぎ捨てると同時に久々に変身を披露する。
「踊りなさい。私の闇の炎達!暗闇シャドーアップ!クラクラ!ドレスチェンジ!」
するとスラッシューの体は炎に包まれると同時に少しずつ体に戦闘用の衣装が展開していった。
「燃えろ、全てを焦がすまで!震えなさい、私の漆黒の炎に!光なんて要らない、全ては闇の炎の中へ!」
スラッシューは降り立つと同時に背後で漆黒の炎の爆発をエフェクトとしながら変身後の名乗りを挙げる。
「獄炎の歌姫・スラッシュー。地獄の業火で死ぬまで踊りなさい」
「スラッシュー、珍しく名乗りをやったな」
「まぁ、良いじゃない。それにキュアソウルの前でやるのは初めてですし」
スラッシューの言葉はマジである。彼女は初めて変身を披露して以降、こうやってフルでの変身の掛け声と名乗りをやった事は一度もない。そして、初変身時には影人とメロロンはいなかったので二人に対しては初めてやる事になる。
「そういやそうだったな」
「そういう事ですわ。さて、今回は私も混ざらせてもらいますわよ」
どうやらスラッシュー本人はやる気らしい。こうして、アイドルプリキュアとクラヤミンダー、スラッシューによる戦いが早速始まる事になるのだった。
また次回もお楽しみに。