キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
スラッシュー及びクラヤミンダーとの戦闘を終えたソウル達。戦いを終えた以上、プリルンやメロロンのデートを邪魔するのも良くないためにソウルの一言で離れようとする。そんな中、プリルンとメロロンが隠れていた場所から出てくると遠巻きにアイドルプリキュアを見ていた。
「……プリルンもメロロンと一緒プリ」
するとプリルンが唐突に話し始めた。メロロンはいきなり話を振られた事に首を傾げる。
「メロ?ねえたま、どういう事メロ?」
「さっきメロロンが聞いてきたプリ、プリルンの一番大切な物は何かって」
メロロンはその言葉に納得すると改めてその質問をプリルンへと問う事にした。
「メロ。それで、何なのメロ?」
「プリルンはアイドルプリキュアにハートをズキューンと撃ち抜かれたプリ!」
プリルンの目線は真っ直ぐアイドルプリキュアの四人を見る。それはプリルンもメロロン同様にアイドルプリキュアへと向ける一途な想いがあるようであった。そして、その事実を知ったメロロンは内心落ち込んでしまう。
「メロ……。ねえたまの一番大切な物って……」
そして、その言葉をソウルはチラリとだが聞いてしまった。そのために彼もメロロンの気持ちはプリルンには全く届いてないと感じ取る。
「(やれやれ。良い意味でも悪い意味でもプリルンは気持ちに正直なんだよな。それでもプリルンに気遣いをできるようにしろと言ったとしても無理な話だろうが)」
ソウルはこのタイミングでもメロロンからの気持ちを上手く受け取れていないプリルンはごく自然に失言をしてしまう。そして、メロロンもそれに危機感を覚えていた。
「(このままじゃ、ねえたまが本当に取られちゃうのメロ。こうなったら……)」
「メロロン、今日はありがとプリ!また一緒にデートするプリ!」
一方でそんなメロロンの気持ちを知らないプリルンはメロロンへと今日のデートに対する感謝を伝える。しかしプリルンにとってデートというのはあくまで友達同士で仲良くお話ししたり、ご飯を食べる物であると勘違いしている節があった。
「ねえたま……」
それでもプリルンにお礼を言われてメロロンは嬉しい気持ちになる。ただし、やはりプリルンの目線はアイドルプリキュアへと向いているようで。メロロンへとお礼を言った後にすぐにアイドルプリキュアの方を向いてしまった。
この様子だとプリルンはメロロンがどんな気持ちを抱いてデートをしようと言ったのかわかってない。そのため、メロロンはある覚悟を決めた。
「(今度こそねえたまをメロメロにするメロ。……メロ!)」
その直後、メロロンは意を決するとアイドルプリキュアの方を向いていたプリルンの頬へと自らの唇を付けてキスをする。
「チュッ!」
勿論、いきなりそんな事をされたプリルンは完全に不意を突かれて驚く。更にその様子を移動しようとしたアイドルプリキュアの四人やレイも見ていた。
「プリ……?」
「あっ!」
「可愛い……」
「メロロン、大胆ですね!」
メロロンのこの大胆な行動にアイドルプリキュアの四人やレイは驚きの顔つきであった。そんな中、プリルンはメロロンの方を向くとメロロンはプリルンへとウインクしながら宣言をする。
「メロロン、今のって何プリ?」
「これはメロロンの気持ちなのメロ!」
「プリ?」
ただ、やっぱりプリルンにとっては効果が薄めだったのか首を傾げられてしまう。メロロンの気持ちがいつか届く日は来るのだろうか。
ほぼ同時刻。休憩を終えていた分身体の天城はバイトに励んでいた。彼女は本体の天城がやっていたような完璧な働きぶりで仕事を進めていく。
「(仕事は順調。分身体だとしても問題無くできますね)」
するとそのタイミングで本体からの連絡が入るともうすぐ合流するという話となった。
「田中さん。すみません、少しだけ外します」
「え?ああ、はい。わかりました」
そう言って天城は厨房の更に奥にあるロッカー室へと入る。するとそこにショートワープで侵入したのかスラッシューが現れるとまたエプロン姿の天城の姿に変わった。
「お留守番、ありがとね」
「ええ。スラッシュー様のためなら喜んでやりますわ」
そんな短いやり取りが終わると分身体の天城は暗い霧のような状態に変化。それを取り込むと分身体の核であった水晶が出てくるとそれをスラッシューが掴む。
「さて。長く離れると怪しまれますし、仕事に戻りましょうか」
こうしてスラッシューこと天城は何事も無かったようにバイトへと戻っていく事になる。
その日の夕方。咲良家から出てそのまま解散した影人達。あの後、グリッターに戻ってきた影人達は丁度タイミング良く夢乃以外の全員が揃っていたという事もあって一時間だけ自主的なアカペラの練習をした。
それを終え、また暫く雑談やら色々しつつ時間が過ぎ去っていくととうとう帰る時間となったのだ。
「それじゃあカゲ先輩、レイ先輩。明日もまた学校で!」
「またね!」
今日はなな、こころの二人が一緒に帰る事になると影人はレイに連れ出された。その理由を影人は何となく察すると単刀直入にレイへと聞く。
「なぁ、レイ。俺と二人きりになったのって何か意図があるんだろ?」
「……影人?」
「というか、多分だけどお前がこれから話そうとしている事も何となくわかる。……俺の中のキラキラの話だろ?」
それを聞いてレイは頭を掻きつつ影人を見やる。彼の目つきは真剣そのものであった。
「……ああ。よくわかったな。って、お前がそんな風に最初から断定してきたのならもう他の誰かに同じ事説明された口か?」
レイからの問いかけに対して影人は頷く。そして、影人は自分がスラッシューからその話を聞く事になったと素直にレイへと話した。ここで彼にそれを隠す理由が無いからである。
「スラッシューがそんな事を……。その感じだとアイツはもっと早くから知ってた事になりそうだな」
そんな中、影人は少しだけ俯くものの彼はレイへと開き直るような形で声を出した。
「まぁ、俺自身の光なんて戻ってないって。俺が一番良くわかるしな。アイドルプリキュアになれたのも結局借り物の力でしか無いって事も」
「……影人、お前大丈夫か?」
「ああ。少し気持ちがぐちゃぐちゃになってただけ。すぐに戻せるよ」
影人はそう言って取り繕う。ただ、レイはしっかりと見抜いていた。今の彼の内心では相当ショックを受けている事を。
「影人がそう言うなら俺は信じる。でも、あまり溜め込んで爆発させんなよ?」
「わかってる。……それにさ」
影人はレイの方を向くと彼へと明るいような顔つきと声色を向けつつ前向きに話した。
「俺自身のキラキラをこれから見つければ全部解決する話だろ?だからレイも俺への配慮とか無くていい。普通に接してくれ。俺も頑張って乗り越えるから」
影人はそう言うものの、一度枯れてしまったキラキラの泉がまた湧くようになる……つまり、新しい自分のキラキラを見つけるのは時間がかかるだろう。そしてそれはいつになるかわからない。
それでも影人は前向きに話すことで気持ちをどうにか保たせているとレイは感じ取っていた。
「そうかよ。……だったら明日辺りにでもこころにも同じ事を話してやれ。彼女、相当心配していたからさ」
「ああ」
それから二人は別れるとそれぞれの道を歩いていく。影人自身に課された課題。自分のキラキラを見つける事。それを影人はどうにか達成するためにこれから頑張ろうと決意するのだった。
その日の夜。咲良家のうたの部屋にて。うたやプリルンは既に就寝済みであった。ちなみにうたは部屋の中における下の階のベッドで、プリルンは妖精用のベッドの代わりことピンクのクッションの上で緑の薄めな毛布をかけつつ寝ている。
昨日の夜も含めてここ最近は毎日こうである。少し前まではプリルンはうたの布団で寝ていたが、メロロンが来て以降は彼女はプリルンと二人きりで寝ると言って聞かなかったためにバラバラでの布団で睡眠を取るようになったのだ。
「プリィ……プリィ〜」
そんな薄暗い部屋の中。窓から薄らと差し込む月の光で僅かに視界はあったためにメロロンは妖精用である小さな台の上に自身のリュックの中にあった小さな宝箱を取り出す。
「メロ」
メロロンはその時、今日の昼に見たハートキラリロックの絵が描かれた看板を思い出すと宝箱を開ける。そこにはあの絵と全く同じ物……本物のハートキラリロックがあったのだ。
実物は絵と同じくハート型の南京錠のような形であり、その隣には施錠のためのハートの形をした持ち手の鍵もあった。また、それに加えてハートと呼ぶだけあって南京錠にも鍵にもピンクのハート部分が存在していたのだ。
そのためにメロロンも一発で自分が持っている物であると見分けられたのだろう。
「……これが伝説のハートキラリロック、メロ?」
メロロンは前々からこのアイテムを所持していた。ただ、メロロンはハートキラリロックがこの町では有名な存在である事を彼女は知らなかったのだ。そんなわけで今回のデートでメロロンは初めて知った形となる。
「最初あの絵を見た時はびっくりしたのメロ。まさかメロロンの持ってるこれが正にそのアイテムだったなんて」
そう言いつつメロロンは現物を机の上に置く。それからハートキラリロックを眺めるとある決意をした。
「メロ、ハートキラリロックの伝説。ちょっと調べたくなってきたのメロ。この町でハートキラリロックは伝説も含めてそこそこ有名なのメロ。実際の伝説はどうなのか確認するのメロ」
メロロンとしては自分の持っている物が伝説の存在であると知った以上、色々とその核心を知りたいと思った。一応彼女自身、キラキランドの自分の家にあった古い文献も持ってきている。恐らく探せばどこかには載ってるだろう。そして、折角自分は他の誰よりも詳しく調べられる条件が整っている。そうなればそのまま調べるのも自然な流れだろう。
「それと、今回のデートはあまり上手くいかなかったのが事実メロ。だからどうすれば上手く行くか。それももう少し考えないとメロね」
メロロンとしては今回のデートが失敗の部類に入ると自分でしっかりわかっていた。なので、彼女は次のデートではちゃんと成功できるようにしないとと考える。
「……影人、苦しそうだったメロ」
メロロンはふと影人の事を考える。あの時、誤魔化してこそいたものの彼は苦しそうにしていた。メロロンはそんな影人が心配なのである。
「メロ、影人のためにメロロンができる事……」
メロロンがそう考えているとドキドキとして少しだけ胸が苦しくなるのを感じた。
「何でこんな風に感じるのメロ。影人には、影人にはもう相手がいるのメロ」
メロロンの気持ちはその想いで揺れていく。メロロン自身、この気持ちの正体を知っていた。でも、知っていてもメロロンにはその権利が無いと言うのも承知していたのだ。だからこそこうやって胸が苦しくなっている。
「……メロロンにできるのは影人が幸せになるのをお手伝いする事だけメロ。こころから奪うなんて……できないのメロ」
メロロンが悲しい気持ちになっているそんな中であった。メロロンが色々とやってる後ろで何かの音が鳴ると彼女がそれに気がついて振り向く。
「プリ〜」
「何なのメロ?」
メロロンが振り向いたタイミング的に少し遅めだったのか、その際にはプリルンの姿が二人のベッドにしていたクッションの上には無かった。プリルンの姿が見えたのはその後ろ。クッションから転がりつつ壁を器用に伝いながら下の階へと行く様であった。
「ねえたま、どこ行くメロ!?」
メロロンは知らない間にプリルンが下の階へと落下しつつ行ってしまった事実を受け止めると彼女は下の階を覗く。そこにあったのはクッションの上からいなくなったプリルンが下の階にあるうたの布団に入ると二人が仲良く近い距離で添い寝している姿であった。
「メロ……」
メロロンの顔つきはそれを見て一気に凍りつくと怒りの形相に変わっていく。先程まで影人を想って胸を痛めていたのだが、プリルンまでもうたに奪われたような気持ちになったのである。加えて、うたは寝ている中で無意識なのかプリルンへとキスしようとしていた。
「メロ」
「チュッ、チュッ……」
「プリィ〜」
そのままうたはプリルンへと寝ている状態ながらも額にキスをしていた。しかもプリルンもこの行為に割と幸せそうな顔を浮かべてしまう。そうなるとメロロンの怒りが大爆発するわけで。
「メラメラメロ!」
こうなってしまうともうメロロンは止まらない。既にこころと結ばれている影人は兎も角、今はフリーであるはずのプリルンまでも奪われるという行為をメロロンが認めるはずがない。しかもNTRの形となれば怒りは更に増していく。メロロンからうたへと向けられた嫉妬の炎は熱く彼女の中で燃えたぎると大声を上げながらうたへと突撃する事になった。
「このねえたま泥棒!!」
「ぐえ〜っ、へっ、へぇっ!?」
その直後には凄まじい音と共にうたはメロロンからの突撃を喰らって叩き起こされてしまうのだが、それはこの物語の話の範囲外での出来事である。
今回でアニメ15話分の話が終わりとなりますので告知しましたコラボの方に次回から入ります。あの二人の登場回は少しの間お預けとなりますが、ご了承ください。
それでは次回もお楽しみに。