キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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コラボ編2話 唐突のラブレター!?悩む蓮の気持ち

影人達が学校に登校した後。いつも通り喋りながら教室への道のりを歩いていく。

 

「カゲ先輩、皆さん!それではまたお昼休みで!」

 

「ああ、後でな」

 

今一緒に話していた六人の中で唯一の一年生。こころは学年が違う事による教室への道の分岐が早い。そのため彼女だけは途中、一人で別れる必要がある。

 

「そういえば、影人君。メロロンは大丈夫そうだった?」

 

「ああ、プリルンやヨーヨイと離れて途中で二人がいないのを寂しがると思っていたけど……案外平気そうな感じだったな」

 

「メロ、それは影人がいるからなのメロ。影人以外の家に行くならねえたまかにいたま無しでは絶対に行かないのメロ」

 

うたの心配は杞憂であるかのようにメロロンは毅然と反論する。メロロンがいつも通りの様子で一安心した影人達。

 

「それにしてもプリルンやヨーヨイ以外だと影人にだけ懐くなんて、お前本当に何をしたんだよ」

 

「別に何もしてねぇよ!初めて会った日にプリルンに会いたいって言ってたからそれに付き添ったくらいだし」

 

蓮からの質問に影人はそうやって返す。メロロンが影人にだけ懐く理由に関してはつい最近女王様ことピカリーネから聞いているものの、やはり他の人達から見ると不思議な話になるわけで。

 

影人以外には頑なに心を開かない一方で影人にだけは心を開き、甘えたような接し方をする。メロロンからして見ると影人だけは他の人間とは違う特別な何かを感じるのだろう。

 

そんな風に話をしていると一同は教室に到着。それぞれの席で荷物を置こうとする。するとそのタイミングにて、蓮は机にある違和感を感じた。

 

「……あれ?なんか知らない紙が何か入ってるな。一体誰がこんな……ん?」

 

そこに入っていたのは封筒だった。その色は真っ白で汚れが無く、それは丁寧な折り方でご丁寧にハート型のシールによって止められている。……そう、ハート型のシールだ。

 

「蓮、どうした?いきなり固まって……え?蓮、お前それ……」

 

「……これ、まさかと思うけど……ラブレター!?」

 

蓮はいきなり机の中に入っていたラブレターに慌てたような顔つきになる。

 

「その感じだと子役時代にラブレターを貰ったこと無いんだな……」

 

「たくさん貰ってたら多分もう少し慣れてそうだしね」

 

「ああ、俺が子役として活躍していた幼稚園ぐらいには女の子から結構モテてはいたけど……小学生になる頃には例の事件があってそれどころじゃ無かったし。ラブレターは今回が初めてだな」

 

蓮は子役時代に周りの同世代の子達……特に女子からの黄色い声やアピールとかはあったものの、小学生になる頃に両親が襲われる事件が起きてしまった。そのためにそれ以降は世間からのバッシングを受けた影響で小学校では孤立。そのために余計にラブレターを貰う機会には恵まれず……。という理由もあってラブレターに対する耐性は皆無だった。

 

「幼稚園時代にはモテてたんだね。例えばどんな感じで?」

 

「例えば……女子達がよくやるおままごととかに引っ張りだこになったり、あとは男女ペアを作る時に取り合いになるとか?」

 

「うーん、その幼稚園時代のエピソードは聞いてて少しイラッとしたけど……取り敢えずこれの差出人は誰だ?」

 

影人が蓮の過去のモテモテな話を聞いて少しだけ苛立ちで気持ちが乱れるが、それを今言っても仕方ない。ひとまずは差出人を確認する必要が出てきた。そうしないとただのイタズラでこの紙を仕込まれた可能性も出てくるからである。

 

「蓮君が……ラブレター……ちょっと複雑だけど、キラッキランランだね!この子への返事はどうするの?どうするの?」

 

「待てって。まだ中身を見てないんだからさ」

 

うたが蓮の貰ったラブレターに過剰反応する中、蓮はひとまず落ち着いて封筒を開く。まずは中身を見ない事には始まらない。そこにあったのは確かにラブレターに書かれるような文面であった。

 

「えっと、“おはようございます!蓮先輩、朝から突然すみません。私は蓮先輩にこの学校で一度お会いしたその時に一目惚れしてしまって。それから度々歩いている所を見るたびに胸が高鳴って仕方ありません。あの日から今日までずっと好きな気持ちでいっぱいです!もし宜しければ今日の放課後に屋上に来てお返事を聞かせていただけると嬉しいです。よろしくお願いします!新橋ふたばより”……新橋ふたば……って事は」

 

「ごめんね、蓮君。ふたばにお願いされて机の中にラブレターを仕込んだのは私だよ」

 

そこに来たのはクラスメイトで2年生にしてバレー部のエースを担うスポーツ系女子。新橋わかばだ。確かに彼女であれば放課後又は朝の学校において、違和感無く蓮の所属するクラスの教室内に入って蓮の机の中にラブレターを仕込められる。

 

「なるほど、それでふたばさんの気持ちは本気なのか?」

 

「うん。ほら、入学した後暫く経った後の事を覚えてる?」

 

「ああ、そういえばあの時にわかばと一緒に会ってたな」

 

蓮は思い出したかのようにわかばからの言葉に答えた。どうやら蓮とわかばの妹ことふたばには面識があるらしい。そうでなければラブレターを贈る事にはならないだろうが。

 

「なるほど。ちゃんと面と向かって会ってるのか。だったら向こうが遠目に見て勝手に好きになった事による面倒な展開になる心配は無さそうだな」

 

この手のラブレターを贈る人の中には偶に厄介な人もいる。例えば断るために会って実際に断ったらしつこく付き纏われたとかいう面倒ごとに巻き込まれる展開の可能性も無いとは言えない。

 

「ふたばはそんな事する子じゃないよ。私が保証する」

 

「面白そうな話をしてるな」

 

「わかばちゃんの妹さんが蓮君に恋したってね」

 

そこにレイやななも話の輪の中に参加。これにより、登校の際に話をしていた面々プラス新橋の計六人が蓮の机の付近に集まっていた。

 

「ふたばってばラブレターにある通り、あの時蓮君に思いっきり一目惚れしちゃったみたいで」

 

話に出ているラブレターの内容はガチであり、蓮はわかばの妹・ふたばと面識がある。あれは少し前の移動教室の時だった。

 

〜回想〜

 

「次は体育か。体操服にならないとだし更衣室に行かないと……ってわかば?」

 

「あ、蓮君。あはは、ちょっと忘れ物をしちゃって遅れちゃった」

 

「早く行かないと間に合わないだろ」

 

「うん、だから急いで……」

 

この日、偶々わかばは体育で必要な物を教室に忘れてきてしまっていた。そのため蓮と鉢合わせるとわかばは最低限の会話をしてさっさと行こうとする。そんな時に一人の影が通りかかるとその影は声を上げた。

 

「お姉ちゃん、何してるの?確か今日のこの時間って……」

 

「あはは、体育の移動教室だよ」

 

「もう、おっちょこちょいなんだから……って、あっ。すみません。私、新橋ふたばと言います。姉がいつもお世話に……ッ」

 

そのタイミングで通りかかったのがわかばの妹、ふたばである。彼女は蓮の姿を見ると頬がほんのり赤くなった。どうやら蓮の顔や姿を見て一目惚れをしたらしい。蓮も何となく彼女の心境の変化に気がついたが、ひとまずは普通に自己紹介をした。

 

「初めまして、わかばのクラスメイトで2年生の朱藤蓮だ。お姉さんのわかばがお世話になってるね」

 

「は、はい!その……おっちょこちょいなお姉ちゃんが迷惑をかけてませんか……」

 

「こら、ふたば。おっちょこちょいって何よ」

 

「おっちょこちょいはおっちょこちょいでしょ」

 

そんな風に姉妹として親しく言い合う二人。そんな彼女達のやり取りが一通り終わるとふたばは自分が移動教室だと思い出す。そのため、彼女は会話を切り上げて蓮へと再度頭を下げた。

 

「っと、見苦しい所を見せてすみません!蓮先輩、これからも私の姉の事をよろしくお願いします!」

 

「うん。これからもクラスメイトとして仲良くするよ」

 

「ッ……ありがとうございます!失礼します!」

 

ふたばは頬を赤くしたまま蓮と話せた事が嬉しそうな顔つきでその場を去っていく。それを見送った二人が自分達もこの後の授業が移動教室と思い出して慌てて駆け出したのはそのすぐ後である。

 

〜現在〜

 

事情の説明が終わると一同はようやく詳しい事情を理解できた。そして、わかばの熱心な説明にふたばの想いも強い事を改めて知る。

 

「なるほど、だからあの時わかばが来るのが遅かったんだね」

 

「蓮も蓮で隅に置けないなぁ、いたいけな子を虜にしちゃって〜このこの!」

 

うたが納得の顔になるとレイが蓮へと揶揄うような顔つきで肘で軽く蓮をつつく。

 

「何にしてもふたばちゃんは本気って事だよね?」

 

「うん。ふたばもこのラブレターを贈るのは結構勇気がいるって言ってたし、その気持ちに嘘なんて無いって事は私が保証するよ」

 

姉でありふたばを一番よく知っているわかばがそう言っているのだ。これはもう確定と言って差し支えないだろう。

 

「それでそれで、蓮君はどうやって返すの?」

 

うたはそう言って聞く。ただ、蓮の中で告白の返事に関してはもう決まってしまっている。

 

「……」

 

ただ、蓮はそれをふたばの姉であるわかばの前で言ってしまって良いのかと少しだけ迷ってしまう。そのタイミングでホームルームのチャイムが鳴ってしまうと担任である富士見先生が来てしまった。そのため、いつも通りにホームルームが始まる事になる。

 

それから数時間が経過した授業の境目の休み時間。影人が蓮の元に行くと先程の件に関して話しかける。

 

「……言いづらいのか?新橋さんに」

 

蓮は無言だったものの、影人からの問いに頷く。影人はわかっていた。蓮の恋心はいまだにうたの方向へと一直線であると。こうなるとふたばの恋が実る事はあり得ない。確実に彼女の恋は失恋する結果として終わるだろう。

 

「なるほどな。でも、お前を取り巻く三角関係……?も薄々気がついてるけどさ。仮に今蒼風さんがお前に告白したらしっかり断る勇気はあるんだろ?」

 

蓮の気持ちはうたへと向いているので忘れがちではあるが、その一方でこの世界線ではななが蓮へと惚れている。そしてうたとななは友達だ。この辺りの複雑な人間関係については影人は最初、知らなかったが蓮と仲良くなると特に説明は無かったが彼も何となく察しがついてきていた。

 

「……」

 

「その様子だと無いんだな。……なるほどね。でも、お前の恋の気持ちはふたばさんには向いてないのは確かなんだろ?ちゃんと断らないとこの後が辛いからな?冷たく突き放す事も必要だ。それはふたばさんのためにもなる」

 

「ああ、わかってるよ」

 

影人は蓮が今、色々と複雑な気持ちになっているのは察していた。赤の他人からの告白では無く友達の妹からの告白。そうなると余計に雑な断り方は絶対にできない。かと言って自分の気持ちはうた一筋だ。

 

「蓮ってそういう時優しいもんな。だからモテるんだろうけど」

 

何にせよ放課後の時間までにはまだもう少し猶予がある。そのために蓮は断るための一番揉めない言い方をを探す事にした。それからチャイムが鳴ったのでまた授業へと時間は進んでいく。

 

同時刻、喫茶グリッターではいつもの通り天城が接客を中心としたバイトをしていた。彼女が働き始めてから二週間以上が経過。田中に続いて彼女もこのバイトに少しずつ慣れてきた。

 

「お待たせしました!クリームソーダです」

 

天城はプロのウエイターのように片手でお盆を持つとその上に絶妙なバランスで商品を所狭しと並べている。普通はこれだけ物を乗せていると崩れそうなものだが、しっかりと天城はバランスをキープ。それだけ彼女のバランス感覚が凄まじいという事だろう。

 

「よくそうやって沢山乗せられますね」

 

「はい。実は私、結構こういうバランス感覚をキープするのが得意で」

 

同じくバイト中の田中にそう言われると天城はそう微笑んで返す。そのタイミングで彼女のスマホが震えた。

 

「……ッ、すみません。電話がかかってきて……」

 

天城が携帯を取るとその通話相手を見て目を見開き、それから内心で溜め息を吐く。

 

「スパット様……何の用事ですか?」

 

天城が通話した相手はチョッキリ団の幹部にしてナンバー2に当たる人物。スパットであった。どうやらこの世界では天城ことスラッシューとスパットが一緒に所属しているらしい。

 

『スラッシューさん、人間界の方への潜入、お疲れ様です。あなたほどの方がどうして潜入してまで捜査しているかは気になりますが……まぁ、あなたのその行動には余程の理由がなければ不干渉と決めていますからね』

 

「……という事は私に干渉してきたのは……」

 

『ええ、察しが良くて何よりです。今夜、我々のアジトにまで戻って来てください』

 

「……わかりましたわ」

 

幾らスラッシューでもスパットからの指示には逆らえないらしい。というわけで彼女は渋々ながらこの日の夜にチョッキリ団アジトへと向かうのが決定するのであった。




また次回もお楽しみに。
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