キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

122 / 329
コラボ編6話 夢乃からの質問 彼女の気持ち

オセロ対決にて惨敗を喫した蓮。続けて夢乃が選んだゲームだが、そのゲームというのが……。

 

「これは……神経衰弱ゲームだね」

 

『そうだよ〜。今度は記憶力で勝負したいな〜って』

 

蓮も記憶力での勝負なら夢乃相手でも戦える。加えて、このゲームにはどのタイミングで同じ数字のカードをドローできるかという運も必要になってくる。

 

「良いね。早速始めようか」

 

というわけでゲーム画面へと移行するとゲームスタートとなる。先攻が夢乃、後攻が蓮である。

 

『エレン君はこういう記憶ゲーム得意?』

 

「記憶ゲームか、あまりやった事は無いけど苦手では無いかな」

 

二人で会話をしながらカードをめくっていく。やっぱりその会話が自然すぎるためにコメントの方では“やっぱり話慣れしすぎでしょ”とか“もしかして付き合ってたりする?”みたいな疑惑をかける物も流れていた。

 

『んー?何だかコメントの方が私達付き合ってる?とか言ってるけど、全然そんな事無いよね?エレン君』

 

「うん。僕達はそんな関係じゃ無いよ。アイさんは結構気さくに話しかけてくれるから僕も話しやすいだけさ」

 

会話を進めながらカードを引いて数字を合わせていく両者。ここまでは互角の勝負を進めている。

 

『ね〜、エレン君に聞きたいんだけどさ。ここ最近巷で噂になってるアイドルプリキュアっているじゃん。誰が好きとかあったりする〜?』

 

そんな風に投げかけた夢乃からの質問。蓮は夢乃からの質問に少し考える仕草を見せた。

 

「うーん。好きなアイドルプリキュアか……」

 

『ほら、ここ最近色々と有名になってきてるじゃん?CM出演したり、握手会してたり』

 

それを聞いてネット民の多くが驚きのコメントを送ってくる。CMに関しては依頼主のPretty_Holicが全国展開を進めているチェーン店のために結構周知の事実だった。しかし握手会の方ははなみちタウンでやるとその街中では知らせていたものの、全国向けに告知をしたわけでは無い。

 

そのために殆どの人が初耳情報だったのだ。特にアイドルプリキュアファンのネット民達からは“握手会行きたかった”というメッセージや“いつの間にそんな事やってたの!?”等の驚きを隠せないメッセージが送られたのである。

 

「そうなんだ。握手会の方は僕も初耳だったけど、そういうイベントとかもやるようになったんだね」

 

『だからエレン君はアイドルプリキュアの中だと誰が好きなのかな〜って』

 

蓮はそれを聞いて少し考える。普通ならうたの件もあるためにアイドルと言いたい所だ。ただ、今の自分は西片エレン。王子様キャラのエレンとしての返事を返さないといけない。そのため答えは一緒ながらも言い回しを考えつつ答える事にした。

 

「僕はキュアアイドルかな。アイドルの歌を聞いてると僕もキラキラした気分になると言うか。嫌な気持ちとかを全部吹き飛ばしてくれる感じが好きかも」

 

蓮の答えにコメント欄は蓮の答えに共感する意見や蓮と同じ答えなのが嬉しいというファン達の言葉が流れる。

 

『ふ〜ん。エレン君は正統派タイプのキュアアイドルが好きなんだね』

 

「うん。そういうアイさんは?」

 

『私の好きなアイドルプリキュア?えっとねぇ……私はキュアブレイキンかな♪』

 

その答えを聞いた途端、蓮が少しだけ思考停止する。そして、コメント欄のファン達も同じように驚いたメッセージが来た。

 

『あれ?私何か不味いこと言ったかな?』

 

夢乃からの言葉にファン達はいきなり変な誤解をしたのか、“アイちゃんってまさかそういう……”とか“嘘……俺のアイちゃんが……”とか“まさかの百合派だった!?”とかいうメッセージが散見。加えて蓮も配信中であるのに同性のキュアブレイキン(ただし、中身は蓮なので男)と答えた夢乃へと動揺してしまった。

 

「(待て待て夢乃ちゃん!?その答えはヤバいだろって!ブレイキンは俺だけど変身中は女の子になるって事忘れてない!?)」

 

『ふふっ、皆動揺しちゃってるね〜。でも勘違いは良く無いなぁ。私はキュアブレイキンの事が大好きだけど、それはあくまでアイドルプリキュアのメンバーの中で誰を推せるかって話だよ〜?ほら、その話が通るんだったらさ。他の女の子が同性のアイドルを推したら性癖が百合って言ってるような物だからね〜』

 

夢乃はそんな風にのらりくらりとした様子で簡単にファン達の誤解を捌いてしまう。そのため、少し先走ってしまったファン達のコメントは落ち着くと蓮もどうにか落ち着いた。

 

『エレン君もビックリし過ぎだよ〜。私だってアイドルプリキュアのメンバーがコスチュームから着替えた素の姿を見ても無いのに“大好き”なんて言葉は使わないよ?』

 

「あはは……そうだよね。アイさんも揶揄い上手だなぁ……あれ?」

 

その直後、蓮の脳裏に今の台詞の意味がまた浮かんでくる。“素の姿を知らないのに大好きという言葉は使わない”という言葉。周りにいる不特定多数のファンから見たら夢乃はアイドルプリキュアの正体を知らないので当然の反応と見て取れる。ただ、それはあくまで周りから見たらの話。

 

蓮の場合は夢乃がキュアブレイキンどころかアイドルプリキュアの正体を全員分バッチリ知っている。その上でブレイキンへと向けられた“大好き”という言葉。そのため、蓮は再び動揺してしまうと何割かだけ残していたゲームへの集中力が一時的に切れてしまうとゲームの事が頭から一回離れてしまった。

 

「(え?え?夢乃ちゃんってそういう事?いやいやいや、今までそんな素振りなんて……あれ?)」

 

そして、蓮は一度ゲームから集中力を切ってしまったがために今現在、神経衰弱ゲーム中だという事。加えてまだ場に残っていたカードの配置が頭から完全に抜けてしまった。

 

「あっ!」

 

蓮が引いたカードは思いっ切りハズレのカード。互角だったゲームの流れは一気に変化してしまう。

 

『これと……これかな♪やった、正解だね』

 

一方、仕掛けた側の夢乃はしっかり記憶を維持していた。そのため、夢乃は蓮がミスを繰り返す間にカードのペアを幾つも取ってしまう。

 

『はい、これでラストだね〜』

 

最終的に神経衰弱ゲームは16ペア対10ペアという差が付いて夢乃が勝利する事になった。

 

「アイさん……もしかしてこの話題振ったのって狙ってた?」

 

『さ〜て、どっちでしょうか?』

 

そんな風に悪戯っぽく微笑んだ夢乃の声色の返事が聞こえるとまた蓮は夢乃にハメられてしまったのだと察する。すると同時にサイレントで蓮のスマホにLINEが入るとそこのメッセージがチラッと見える。そこには夢乃からのメッセージが書かれていた。

 

“ちなみにさっきの大好きって言った言葉は嘘じゃ無いですよ”という物であり蓮は更に脳内が混乱。どうにか持ち直したものの、また夢乃に振り回される結果となった。

 

「そ、それじゃあ次のゲームをやろっか」

 

『うん、そうだね〜』

 

それから蓮と夢乃は幾つかゲームを進めていくものの、それからやったどの対戦ゲームでも夢乃に的確に弱点を突かれ続けて負けていく。

 

これは完全に蓮と夢乃のVtuberとしての経験の差だった。単純にゲームの腕が上手いのもそうだが、ゲーム中にするトークスキルやトークの内容を上手い事コントロールしてあくまで自然に自分が有利な話題へと持って行った事。

 

逆に夢乃が動揺しそうな話題(主に夢乃にはまだ刺激が強めな過激な話やファンからのセクハラ発言)は彼女がここまで培ってきたポーカーフェイスや感情のコントロールで動揺を最小限に抑え、ゲームへの支障を最低限にまで落とした。

 

「アイさん強すぎだよ……」

 

『褒めてくれてありがと。私もエレン君とのゲームの時間は色々楽しかったなぁ』

 

配信内でやったゲームは20個近くに登ったが、そのほぼ全てで蓮は完封されてしまう。逆に蓮がまともに実力を出せたのは二人で協力してクリアするゲーム及び勝敗が殆ど運でしか左右されないようなゲームだけであった。そして、もうここまで来ると完全に蓮は夢乃に弄ばれる形になってしまう。

 

ファン達もその様子にドリーム・アイの戯れに踊らされるエレンという構図で認識してしまった。

 

『そろそろ時間……かな?』

 

「うん。名残惜しいけど、もう配信も終わる時間になっちゃったね」

 

『今日は私達の夢の中に来てくれてありがと〜』

 

「今回の配信が面白かったらチャンネルへの登録、高評価をしてもらえると嬉しいな」

 

『この配信が好評だったらまた第二回をやるかもね〜』

 

「じゃあ、今回の配信は168プロダクション所属の西片エレンと」

 

『サウンドプロダクション所属、ドリーム・アイでお送りしました〜』

 

「『またね〜」』

 

そんな風に二人は最後の締めの言葉を言うと配信画面が終わり、しっかりと配信が終了して終わる事になる。

 

そして、配信がしっかり終わった事が影人からの連絡で確認できると蓮は寝転がる。

 

「終わったぁ……」

 

「……蓮、夢乃に終始フルボッコだったヨイね……」

 

「ヨーヨイ、そんなの俺が一番わかってるさ」

 

配信が終わったという事でやっと動けるとばかりに動き出すヨーヨイ。そして、蓮は配信内で夢乃が言ってきた大好き発言に少しばかりまだ動揺していた。

 

「それにしても夢乃ちゃんのあの宣言……マジなのか?」

 

「うーん、ヨーヨイは夢乃が何となくそういう気持ちだって事には気が付いてたヨイ」

 

「……へ?」

 

蓮はまさかのヨーヨイが夢乃の気持ちに気がついてる発言をして驚いていた。少なくとも、自分が見た限り夢乃にその気があるようには思えてなかったので余計に混乱したのである。

 

「まさか気が付いて無かったヨイ?夢乃、さりげなくだけど会う度に蓮へとアピールしてたんだヨイよ」

 

「嘘だろ……それ早く言ってくれよ……」

 

「いや、ななへの気持ちに気がついた蓮なら気がつくかなと思ってたんだヨイ」

 

何にせよ、蓮はこれで夢乃からも好意を向けられている事に気がついた。それと同時に夢乃からまたメッセージが来る。

 

“お疲れ様です。今日は配信でのコラボ、ありがとうございました!明日の遊園地でもまたよろしくお願いします。それでは失礼しますね!”

 

夢乃からのメッセージ内容は先程の自分の気持ちへの答えを求めるものでは無く、ただ単にコラボに対するお礼と明日の遊園地へのお出かけに関する挨拶だった。

 

「ほんと、夢乃ちゃん……小学生って思えないくらいにハイスペックな子だよな……。いや、それだけ影人が上手く仕上げたのか。ドリーム・アイとして配信をやらせるために」

 

蓮は改めてただの小学生だった夢乃をここまでの逸材に育て上げた影人の手腕に感服する事になった。また、それと同時にマネージャーの流川からも大丈夫というメッセージが届いたために今日は機材を片付ける流れになるのであった。

 

同時刻、黒霧家の夢乃の部屋にて。配信の中とはいえ好意を寄せている蓮へと間接的に自分の気持ちを伝えた夢乃は顔を赤くして悶えていた。

 

「うぅ……やっちゃった……。流石に蓮先輩もあれだけやったら気づくよね」

 

「はぁ……。あの話題をあなたが振った時点でやると思ったけど……」

 

「ひ、姫野さん……ごめんなさい……」

 

そこに来たのは夢乃のサポート役として家にいた彼女のマネージャーである姫野だった。夢乃は独断であのような事をしてしまった事を咎められると思って覚悟する。

 

「……今回の件はアイドルプリキュアの核心には触れてないし、西片エレンとリアルで知り合いっていうのは視聴者達に勘付かれてないからギリギリセーフ。ただ、今度からああいう発言には気をつけなさいよ」

 

姫野は割と厳しめな口調だったものの、夢乃があまり深く傷つき過ぎないように配慮された言い方であった。そのために姫野視点ではアウトラインはギリギリだったものの、踏み越えて無いという判断らしい。

 

「すみません……。次から気をつけます」

 

「……でも、私も夢乃さんのその気持ちはわかるわ」

 

「……え?」

 

姫野からの言葉に夢乃は目を見開く。その言い回しを見るに姫野も何かしら過去にあったかのように思える。

 

「……カッコいい人が身近にいると、さりげなくアピールしたくなる気持ちも……その人に告白したいって思う気持ちもね」

 

姫野の声色は固いままだったものの、どこか恋する乙女のような感情が混じっていた。そして、夢乃もそれを彼女から感じ取れたために姫野へと聞き返す。

 

「姫野さんもなんですか?」

 

「……昔の話よ。もうとっくに無理だと感じて諦めた恋だわ」

 

姫野はそう言うと機材の片付けを開始する。その黙々とした手つきに夢乃はそれ以上聞く事ができなかった。彼女にその話題をこれ以上聞いてはいけない。そんな気がしてならなかったからである。

 

「……メンタルケアだけど、明日の事もあるから今日は無し。代わりに影人さんに後でやってもらえるとの事なので今回は影人さんにお願いしました」

 

それから機材の片付けを終えると姫野はやるべき事を済ませてから彼女は自宅へと帰っていく事になるのだった。尚、姫野が帰った後に影人が夢乃の部屋に来て先程の夢乃の勝手な発言に対する軽めのお説教が影人から入る事になる。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。