キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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コラボ編7話 お出かけ前のやり取りとスラッシューの提案

西片エレンとドリーム・アイのコラボ配信の翌日。遊園地に行くための面々が朱藤家の前に揃っていた。

 

「おはよう、蓮君」

 

「おはようございます!蓮先輩!」

 

「おはよ、蓮」

 

「なな、こころ、レイ!おはよう」

 

最初に来たのは車を出さない徒歩組の三人だ。三人共お出かけ用という事もあってそれぞれしっかりとした服装をしてきている。そして、蓮の方も二人の姉である陽葵や笑華と一緒にいた。

 

「皆おはよ〜」

 

「陽葵さん……今日は急なお願いですみません!」

 

「大丈夫だよ〜。折角のお休みだったし、タイミングが良かったからね」

 

こころはまず急にお願いする事になってしまったために陽葵へと謝罪。彼女は笑ってそれを許した。

 

そんな中、蓮達の近くにはもう一人、朱藤三姉弟とは別の女性がいた。それは笑華と同じくPretty Fruitsのメンバーでもあり、そのチームのリーダーを勤めている女性。七色希望である。

 

「希望さんもおはようございます」

 

「おはよう。ななちゃん、こころちゃん、レイ君」

 

「希望さんも空いてたんですね」

 

「うん、折角笑華ちゃんから誘われたし、私も丁度フリーだったから」

 

「そうだったんですね!希望さんも来てくれて嬉しいです!」

 

「そういえば……希望さん、ホプとしては参加できないんですかね?」

 

こころが彼女の参加に喜ぶ中、ななは最初から人間態を取っている希望へと疑問をぶつける。実は彼女、プリルン達と同じでキラキランドの妖精、ホプなのだ。そのため当然ながら妖精としての姿を持っている。ただ、今回のお出かけでその姿は封印しないといけない。その理由として挙げられるのが……。

 

「そうなんだよね。実は、陽葵ちゃんは私がキラキランドの妖精って事は知らないんだ。だからいきなり部屋とかで妖精の姿にはなれないし、今日はずっとこのままかな」

 

「あっ、そういう事なんですね」

 

ひとまず希望も合流している事が確認できた所で数分後に車が到着するとそこから影人と夢乃が乗った黒霧家の車も到着した。

 

「おはよ、皆」

 

「カゲ先輩!」

 

「時間的にはまだ余裕はあるから大丈夫だな」

 

車の中には二人の両親である魁斗と理沙の二人も乗っている。そのため、これで黒霧家の四人も合流した。そんな中、蓮が夢乃と目を合わせた。

 

「あっ……」

 

「その……蓮先輩、おはようございます」

 

夢乃は僅かに気恥ずかしそうな顔を蓮へと向けるものの、あくまで自然体であった。加えて、今日の夢乃は勝負服と言わんばかりに大人っぽいワンピースに子供の肌へのダメージを抑えた薄めの化粧。香水の香りも薄らと漂う。そんな少しだけ年齢に反して背伸びした大人っぽさと子供だからこそ出せるあどけない顔つきに蓮は僅かに胸が“ドキッ”としてしまう。

 

「ッ……」

 

「カゲ先輩……あれって」

 

「ああ。昨日の配信での発言もあったし、これからは隠さないようにするって」

 

「えっ、じゃあ夢乃ちゃんも本当に……」

 

要するに夢乃も本格的に蓮の争奪戦に参加するとの事だ。しかも、本来なら大人の美女には目移りしても夢乃くらいの歳下女子相手には行かなかったはずの蓮の心が動いている。

 

「多分だけど、夢乃ちゃんにドリーム・アイとしての側面があるって事やその時の声を実際に聞いている事。あと今日の夢乃ちゃんが気合いを入れてる事もあるんだろうな」

 

夢乃は昨日の発言の熱が冷めない内に一気に畳み掛けようとしている。それは彼女も一人の女としての持てる全部を使う策士になっているという事だろう。

 

「今日はよろしくお願いしますね!蓮先輩」

 

「あ、ああ……」

 

「夢乃ちゃん……私も負けてられない」

 

蓮の気持ちを掴みに行こうとする夢乃に危機感を抱くなな。夢乃が積極アピールを始めた以上、ななも負けてられないって所だろう。

 

そんな中、もうすぐ出発時間だというのに未だに到着しないうた。彼女が遅刻しそうなのは想定内だったために時間には余裕を持たせたものの、やはりいつも通りな彼女に影人やレイは呆れたような顔になっていた。

 

「うわぁああっ!ヤバいヤバいヤバいぃいっ!」

 

するといきなり遠くから何かが猛スピードで来るのを見た影人とレイはそれが誰なのか察すると呟くように話した。

 

「なぁ、レイ。いつも通りの調子で来たな」

 

「ああ、やっぱりと言うべきか案の定と言うべきか……焦りまくってるのがわかる」

 

「ギリギリセーフ!」

 

「ああ、集合時間二分前。本当にギリギリだな」

 

「プリ……何とか間に合ったプリ」

 

「咲良うた、メロロンが起こさなかったら間に合って無かったのメロ。少しは感謝するメロ」

 

どうやらやっぱりうたは信頼と安定の寝坊をかましたらしい。そのため、メロロンが苛立っているのが目に見えてわかった。

 

〜回想〜

 

時間はこの約三十分程前にまで遡る。咲良家のうたの部屋ではうたが鼻提灯を出しながらいつも通り爆睡していた。尚、メロロンはこの三十分程前に起床したものの未だに起きていない彼女に呆れている状態だ。

 

「メロ、目覚ましが鳴ってもやっぱり起きれて無いのメロ。良い加減起きないと遅刻するのメロ。ねえたまもそろそろ起こさないといけないし」

 

メロロンはそう言ってまずは上の階で寝ているプリルンを起こしに行く。プリルンに関してはそこまで準備に時間が必要無いので遅くまで寝かせた方が良いというメロロンの判断だった。

 

「ねえたま、そろそろ起きるのメロ……メロ?ねえたま?どこに行ったのメロ?」

 

メロロンはいつも通りプリルンと一緒に寝ているクッションへと行くとプリルンを起こそうとする。ただ、そこにプリルンの姿は無く。メロロンはキョロキョロとプリルンを探す。

 

「ねえたま、起きないと不味いのメ……ロ?」

 

それからメロロンがうたのベッド付近に行くとそこにはプリルンとうたが二人で添い寝をしている状態だった。しかもプリルンもうたと同様に鼻提灯を出す始末である。

 

「プリィ……」

 

「プリルンも来てくれたんだぁ、えへへ……」

 

勿論こんな光景を見せられたメロロンは激怒するわけで。その体に嫉妬の炎を燃やすと黄金のオーラのような物が立ち昇る。その姿はまるで○ーパー○イヤ人であった。

 

「メラメラメロ……メロロンは怒ったのメローッ!咲良うたぁああっ!」

 

メロロンは怒りの声を上げるとうたへと突撃。その顔面に激突するとうたはその痛みと共に跳ね起きる。

 

「ぐへえっ!?」

 

「どうしたのプリ……」

 

その隣で凄まじい音が原因で起きたプリルン。彼女は眠たそうに目を擦る中、メロロンがうたを睨んでいた。

 

「このねえたま泥棒、しっかり寝坊までして……時間を見るのメロ!」

 

「時間……え?あの、メロロン。集合時間まであと何分だっけ?」

 

「……あと三十分なのメロ」

 

「……あああーっ!」

 

それからうたは慌てて準備を済ませて猛ダッシュ。勿論朝食を食べる時間なんて無かったので車の中でも食べられるようにとうたの両親からグリッターの方で作ったパンを持たされていた。

 

「メロロン、うたを起こすのご苦労様」

 

「本当メロ!だからちょっとは感謝するのメロ!」

 

「ごめんね、メロロン。助かったよ」

 

メロロンがいなかったら確実に寝坊からの遅刻確定コースだっただろう。本当にうたの朝への弱さに関しては取り返しが付かない所にまで来たのかもしれない。

 

「ひとまず、全員が揃ったし乗る車を決めよっか」

 

それから黒霧家と朱藤家でそれぞれ車があるので六人ずつで別れる事になった。とは言っても黒霧家と朱藤家の人はそれぞれの車に乗るので残りはうた、なな、こころ、レイ、希望の五人分だけだが。

 

「私は笑華ちゃんと一緒に乗るからこっちに行くわ。後は……」

 

「私はカゲ先輩の方が良いです!」

 

希望はパートナーである笑華の方に乗るべきという判断で朱藤家の方へ。こころも彼氏のいる黒霧家側へと即決で行くと残すは三人。このメンバーを見るとレイはスッとこころの方へと移動する。

 

「あれ?レイ先輩はどうしてこっちに?」

 

「どうしても何も、これが一番揉めない方法だろ?」

 

今現在、それぞれの車に乗る人数は黒霧家側が黒霧家とこころの五人。朱藤家側が朱藤家と希望の四人。最大乗車人数が六人で残ってる面々の中の二人は蓮と一緒になった方が良いという事であればレイは消去法的に黒霧家側に行った方が揉めないのは明白だった。

 

「ごめんね、レイ君」

 

「私達に譲ってくれてありがと!」

 

「むーっ、蓮先輩と一緒の車じゃない」

 

「夢乃、気持ちはわかるが行きは取り敢えず我慢しろ。その話は向こうでゆっくりしてくれ。今は時間の問題もあるから」

 

尚、自分だけ蓮と違う車で争奪戦に参加できないと夢乃は膨れた顔をすると影人はどうにか彼女を宥めて抑えた。そうしないとここでも取り合いになりかねないからだ。

 

「お兄ちゃんだって昨日の夜言ってくれたじゃん、応援するって!」

 

「それはそれ、これはこれだ。蓮を困らせるのは夢乃だって嫌だろ」

 

「そうだけど……」

 

夢乃はまだ納得してなさそうな感じだった。夢乃としては自分が他二人よりも争奪戦で不利な位置だとわかっているからこそ少しでもアピールがしたいのである。今の状況に焦っているとも言えるだろう。

 

「ほら、そろそろ時間だし行かないとだよ」

 

理沙にもそう言われて夢乃は納得できない顔のまま黒霧家の車へと連行。これ以上の蓮へのアピールは向こうですると考えて連れて行かれる事になった。

 

こうして、一同は早速車に乗り込むと遊園地に向けて出発する事に。尚、ヨーヨイ、プリルン、メロロンは三人共ぬいぐるみ状態で蓮、うた、ななの三人が所持している状態だ。メロロンは今回、プリルンやヨーヨイを優先した形である。

 

その頃、喫茶店グリッターでは田中と天城の二人が咲良家でバイトをしていた。

 

「あれ?うたちゃんは珍しくお手伝いじゃないんですね」

 

「ええ、咲良さんはお友達と遊園地に旅行中らしいです」

 

「そうなんですね!それは青春真っ只中って所で……」

 

天城はそう言って関心を示しつつ仕事を進めている。彼女は今日のシフトを元々から午前中のみにしていた。スパットにも一応自分はフルパワーで参加できても午後からであると伝えている。

 

流石にバイトの予定を事前予告も無しにキャンセルにはできないからだ。また、ここから今日は偶々バイトの予定自体が午前中だけになっていたからこそあの時進んで自分も出ると言えたわけだがそれは置いておこう。

 

「(分身体使ってバイトを並行させても良かったけど、本体が離れすぎると悪影響出るかもしれないし……そうなったらフォローできないから仕方ないわ)」

 

スラッシューの分身も万能では無い。やれることの限界はあるし、トラブルが起きた際に本体が離れすぎた位置にいると分身体との合流前に誰かに見つかるリスクが増えてしまう。スパットもその事情は流石に汲んでくれたようだ。

 

「そういえば田中さんも午前中でしたよね?田中さんって空いた時間って何か趣味をやってたりするんですか?」

 

「趣味……ですか。私は基本的に空いた時間は町のパトロールやゴミ拾い。あとは私がマネージャーをやってるアイドルチームの裏方仕事をしてますね」

 

「……えぇ、田中さんもブラック企業社員に負けず劣らずの仕事脳なんですね……」

 

天城はまさかの田中の空き時間の過ごし方に唖然としてしまう。このせいで数ヶ月後にアイドルプリキュアの面々から休むようにツッコミを入れられてしまうのだが、それはさておこう。

 

「(さて、アイドルプリキュアの行き先も知れましたし……スパット様に話だけ通しておきましょうか)」

 

天城は心の中でテレパシーを飛ばすとチョッキリ団アジトに待機中の自身の分身体に連絡する。一応スパットからの指示で本体がグリッターで仕事をするのは構わないが、その代わりに分身体をこちらに置いてほしいという事を聞いていたのだ。

 

「……スパット様」

 

するとローブ姿で変身前の顔を隠した状態のスラッシューの分身体がそう呟くとスパットがスッと姿を現す。

 

「どうしました?スラッシューさん」

 

「アイドルプリキュアの移動先が判明しました」

 

「ほう?随分と早い発見ですね。私も珍しく街の中に彼女達がいなくて少し手間取っていました。それで、どちらに?」

 

「……町外れの遊園地に出かけてるみたいです。証拠映像もこちらに」

 

スラッシューが目を光らせると体内にある水晶が映像を投影。そこには二台の車で移動中の変身前のアイドルプリキュアの姿があった。

 

「これはスラッシューさん、お手柄ですねぇ。あなたがアイドルプリキュアの内部に潜り込んだのを咎めずにいて正解でした」

 

もしスラッシューがアイドルプリキュア内部に潜り込んでおらず、外部から探していただけでは幾らスパットでも多少時間を食っただろう。これで計画を立てやすくなった。

 

「それで、時間は予定通り午後からでしょうか?」

 

「ええ。午前中は彼女達を泳がせましょう。それに、遊園地であればクラヤミンダーの素体に適したキラキラもそこら中にあるでしょうしねぇ」

 

そんな風にスパットが話す中、スラッシューは少しだけ考え込むとスパットへと話しかけた。

 

「スパット様……私の本体の方から一つ……提案があるのですが」

 

「……ふむ?スラッシューさんからの提案ですか。……聞かせてもらっても?」

 

「はい。それではお話しします」

 

それからスラッシューの分身体がスパットへとある提案をする事に。それからスパットは彼女からの提案を聞いて面白そうにほくそ笑むのであった。




また次回もお楽しみに。
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