キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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コラボ編8話 遊園地でのひと時 前編

車に乗り込むと早速遊園地へと向かって移動する一向。そんな車の中で蓮の気持ちは複雑化していた。

 

「(……夢乃ちゃんも俺の事が好きだったと知って……俺はどう彼女に答えれば良いんだ?)」

 

蓮は先程から自分への気持ちを隠さなくなって積極アピールをするようになった夢乃へとどう対応するべきなのか悩んでしまう。昨日もふたばに告白されてそれを断った。まだふたばであれば深い付き合いが無いだけに断るのも容易にできたのだが、影人の妹としてそれなりに付き合いのある夢乃となると話は別だ。

 

「蓮君、もしかして……夢乃ちゃんの事?」

 

すると心配そうな様子でなながこちらの方に向いてくる。加えて、うたからの視線も感じると蓮の心はかなり気まずかった。本来なら好きな人と一緒の空間にいられて幸せなはずなのに夢乃が好きだと完全にカミングアウトした影響で蓮はななと夢乃からの気持ちと自分が向けるうたへの気持ちに三方向から挟まれる形となってしまう。

 

「……私、夢乃ちゃんが蓮の事好きならちゃんと向き合うべきだと思う!」

 

そう言い出したのはうたであった。その言葉に蓮は目を見開く。こうなった以上、夢乃には断腸の思いで諦めてもらおうと思っていた。今の現状、うたとななの事でさえもいっぱいなのにそこに夢乃が入ったらどうなるかわからない怖さがあったのである。

 

ただ、蓮から気持ちを向けられているうたは蓮が自分へと向けている気持ちを知らない。そのために蓮へとキラキラした気持ちを向けている夢乃を応援するのはうたのポリシーからしても当然の流れだった。

 

「うた!?ッ、でも……」

 

「……私もうたちゃんの意見に賛成だよ。夢乃ちゃんの気持ちは尊重するべきだと思う」

 

ななの方も夢乃が介入してくる事を咎めなかった。ななからして見れば夢乃は蓮をターゲットにする上で恋敵のような存在になる。普通なら対立してもおかしくない。それでも夢乃を受け入れる道を選んだ。

 

「(うたもななも夢乃ちゃんの気持ちを後押ししてる……。こうなるとすぐには断りづらい。それに……)」

 

ただ、蓮には大きな不安要素があった。それは彼の性格上、単純に綺麗な女の子が複数人いる状況だとコロコロ目移りしやすいのだ。現にこの前もうたが好きな身でありながら天城に惚れかけてしまった。更に言えばさっきも本気を出した夢乃に一瞬見惚れている。

 

だからこそ、ここでコロコロ目移りして周りの女子全員から嫌われるのを嫌がったのだ。そんな中でのうたやななからの夢乃の気持ちを受け止めてほしい勧告。蓮はどうするのが正解なのかわからなくなってしまう。

 

「うた、なな。でも、俺は……その……」

 

蓮の好きな気持ちはうた一筋。未だにその結論は変わらない……が、夢乃が本気になってアピールしてきたらきっとうたにも、そして今は片想いに気持ちを向けてくれているななにも誤解されてしまう事をいつかするだろう。そうなった時に全員から嫌悪感を向けられるのはどうしても避けたかった。

 

「夢乃ちゃんは蓮が好きなんでしょ?だったら私はそのキラッキランランな気持ちを尊重するべきだと思う。ふたばの時も向き合ったんだから。夢乃にも向き合ってあげて」

 

「私も、好きな気持ちは止められないって知ってるから……夢乃ちゃんともちゃんと向き合ってあげてほしい。夢乃ちゃんだってその気持ちを伝えるために勇気を出したはずだから」

 

蓮はうたやななにそう言われては夢乃の事をすぐに切ってしまう方向から一度深呼吸をすると二人にここまで言われては断れないと感じ取った、

 

「わかった。……夢乃ちゃんの事もちゃんと向き合うよ」

 

「良かったぁ……」

 

「夢乃ちゃんの気持ちが蓮にも届くと良いね!」

 

そんな風に話すうたとなな。ただ、うたの方はタイミング悪く遮られてしまったとはいえ、前にお出かけした時に蓮は彼女へと告白をしようとした事もある。それなのにうたは蓮からの気持ちに気が付いてなかった。そんな事もあって蓮は内心で頭を抱えてしまう。

 

「(うぅ……うた、やっぱり俺からの気持ちに気が付いてないのかよ……。しかも多分これ、ななから俺への気持ちも知らないな!?もうメチャクチャだよ)」

 

そんな中、その様子を聞いていた前の座席に座っていた陽葵達歳上女子三人衆が微笑ましい顔をしていた。

 

「ふふっ、皆青春真っ盛りだね〜」

 

「そうだね、陽葵ちゃん。笑華ちゃんはカイト君と……」

 

「なっ!?希望ちゃん、何でその話になるのよ!」

 

「え〜?偶には会ったりしないの?笑華ちゃん」

 

「お姉ちゃんも揶揄い側に回らないでよ!カイト君だって忙しいんだから!」

 

最初は青春の中にいる蓮を微笑ましい目で見ていたはずなのに何故か途中から二人のターゲットが笑華へと変わって笑華が焦る事になるが、それは余談である。

 

そんな風な会話が続くうちに一同は遊園地へと到着。それから入場券を全員分購入すると早速アトラクションを回る事に。

 

「さてと、早速着いたわけだけど……どこから回る?」

 

早速そう聞いたレイ。遊園地と一口に言っても単純な話、回るための場所は沢山ある。そのためにどの順番で回るか、今日一日を過ごすために割と重要な要素となり得るのだが……。

 

「プリ、あれに行きたいプリ!」

 

そんな中、その質問に対してプリルンが大きな声を上げる。そのため、プリルンを知らない黒霧家の両親と陽葵が首を傾げた。

 

「「プリ?」」

 

「うわあっ!」

 

「な、何でもないプリ……」

 

「あはは……」

 

どうにかうた達がプリルンを隠すと声真似をする形で誤魔化す。勿論プリルンはヨーヨイ達に小声で言われるわけで。

 

「プリルン、ここはたくさんの人がいすぎるんだヨイ。静かにするんだヨイ」

 

「プリ〜。プリルン、折角遊園地来たプリ!あれに乗りたいプリ!」

 

プリルンが指差すのはメリーゴーランドであった。ゆったりと回転する馬が気に入ったらしい。

 

「メロ、ねえたまが行きたいのならメロロンも行きたいメロ」

 

「わかった、わかったから静かにしててくれ」

 

ひとまずこれ以上プリルンが駄々を捏ねる展開は面倒な事になるので最初は彼女の要望通りにメリーゴーランドに乗ることになった。勿論プリルンの事は伏せてになるが。

 

「私はパスで良いわ。その代わり外から写真を撮ってあげる」

 

「あ、笑華ちゃんがそう言うなら私もそっち側に行くね」

 

ただ、高校生以上のメンバーとなる陽葵や笑華、希望や黒霧家両親の五人は外側から写真を撮る役割となった。そのため、影人、蓮、うた、なな、こころ、レイ、夢乃が乗ることになる。

 

「やっぱ俺もなのか……」

 

「逃がさないぞ、レイ」

 

ただ、レイとしてはメリーゴーランド自体がそこまで乗り気じゃなかったために消極的ではあった。ただ、影人が無理矢理レイを連れ込む事でこれを解決する。

 

「メロ、メロロンは影人の前に乗るのメロ」

 

そんな中でメロロンは真っ先に周りから見えないように影人の元に移動するとさりげなく彼の座る馬の上に乗った、

 

「ああっ!メロロン。何でカゲ先輩の前を取っちゃうんですか!」

 

「早い物勝ちなのメロ。それに、こころじゃ影人の前に乗ったらダメなのメロ」

 

「だからってカゲ先輩を取らないでくださいよ!」

 

こころが慌てて影人の座った馬に行こうとすると、影人が慌てて来るのを止めようとする。

 

「いや、そんな事言っても俺達の年齢で馬に二人乗りは危険だって」

 

「むううっ!だからってズルいですよメロロン」

 

「これが妖精である事の役得なのメロ」

 

メロロンは勝ち誇ったような顔をする中、重量制限もあるためにこころは仕方ないとばかりに影人と二人で馬に乗るのを断念。近くにあった別の馬に乗る事に。

 

それからメリーゴーランドはゆっくりと回転。プリルンは嬉しそうな顔つきである。

 

「楽しいプリ〜!」

 

「メリーゴーランドを初めて乗ってみたけどこんな感じなんだヨイ」

 

うたや夢乃辺りはカメラを構えてくれている陽葵や笑華達へと手を振り、メリーゴーランドを満喫。男三人衆も皆の笑顔が見れて満更でも無い様子だった。

 

「今度はジェットコースターとかどう?折角の遊園地だし!」

 

「賛成です!楽しみですね!」

 

「えっ、ジェットコースター?」

 

うたやこころがそう言う中、蓮が僅かにブルっと体を震わせると顔が少し青くなった。そんな蓮を見たななが蓮へと心配そうに声をかける。

 

「蓮君、大丈夫?」

 

「あ、ああ。ただ、ジェットコースターか……うぅ」

 

蓮はどうにか平静を取り繕おうとするものの、やっぱり一度乗るという話になってしまった以上は今から反対するのは気が引けた。

 

「蓮先輩、どうしたんでしょうか……」

 

「蓮はね、昔から絶叫系の乗り物がダメなのよ。ジェットコースターは特にダメって感じね」

 

昔から蓮の事をよく知る笑華がそうやって解説すると蓮は脚が僅かに震え始めていた。ただ、中学二年にもなって自分よりも歳下の子達。(主にこころや夢乃)がやる気になってるのに自分だけ乗らないという選択肢を彼は取れなかったのである。

 

蓮がジェットコースターが苦手そうなその様子を見たレイは夢乃へと小声で聞くように話しかける。

 

「……夢乃ちゃん、ごめんだけど……」

 

「え……」

 

それから夢乃はレイからある言葉を聞くと少しだけ迷うような顔をしてから頷く。

 

「ありがと。……蒼風さん。蓮の隣に座ってあげて」

 

「え?蓮君の隣?夢乃ちゃんは良いの?」

 

「なな先輩、今回は隣にいてあげてください……。その、私じゃこういう時にどう接すれば良いかわからないので」

 

そんな風にななは夢乃からも公認した上で蓮と隣り合わせで座る事になった。このタイミングで夢乃にしなかった理由は主に二つ。一つ目は配信の件の事を含めて蓮の気持ちが未だに整理されてない可能性を考慮したという事。

 

二つ目は単純に過ごした時間の長さの差。夢乃は学校で一緒になれないので必然的に蓮との時間は短くなってしまう。そのため、蓮の事を上手く理解できてない危険があった。その点、ななであればこういう時の配慮も含めて対応可能と思ったのである。

 

ちなみに夢乃は敢えて遠めな位置でこころと隣り合わせになって座る事に。順番は陽葵とうたを先頭にななと蓮、笑華と希望、影人とレイ、こころと夢乃、魁斗と理沙の黒霧夫妻の6ペアとなっていた。尚、プリルン達妖精組もコッソリ乗ろうとしたのだが……。

 

「すみません、ぬいぐるみは荷物置き場の方に……」

 

「プリィ!?」

 

「うわあっ!すみません、何でもありません!」

 

「ごめんなさい、すぐに置きますね」

 

ジェットコースターの座席に事故の元になりそうなぬいぐるみとなったプリルン達妖精組を持ち込めるはずが無い。そのため真っ先に係員に注意されると荷物置き場に預けざるを得なかった。そのため、お留守番を喰らったプリルンは不機嫌そうな顔になってしまう。

 

「プリルンも乗りたかったプリ……」

 

「ねえたま、仕方ないのメロ」

 

「ヨーヨイ達がいたら蓮達の迷惑になるんだヨイ」

 

基本的にぬいぐるみ等の持ち込みが禁止となるジェットコースターにおいてこうなってしまうのは仕方ない事なのだ。そんな中で蓮はどうにかジェットコースターへの恐怖で気持ち悪くなる事も無く着席までは行けた。それでも恐怖心が強いのかガタガタと震えている状態である。

 

「大丈夫、大丈夫……それに皆の前だし、怖がってなんか……」

 

どうにか蓮が自分を鼓舞する言葉を口ずさみながら恐怖を抑えようとするのを見てななは覚悟を決めるとさりげなく勇気を出すためのウインクをした。そして……。

 

「……ッ!?」

 

ななはそっと震えていた蓮の手を繋ぐと蓮は驚いたようにななの方を向く。そんな中、ななはそっと蓮に話しかけた。

 

「蓮君、怖かったら私の手を握ってて。こうすれば少しでも恐怖は消えると思うから」

 

「なな……ごめん、頼む」

 

蓮は小さくななへと謝ると彼女の手を握る事で少しでも恐怖心を和らげさせた上で失われていた安心感を取り戻す。それからジェットコースターがスタートして進むとそのまま上にまでゆっくり登り始める。

 

「夢乃ちゃん、もうすぐ来ますよ!」

 

「はい、準備オッケーです!」

 

後ろの方ではこころと夢乃がもうすぐ降り始めるジェットコースターに興奮しており、影人とレイの方も登るジェットコースターに揺られつつ話をしていた。

 

「影人、ビビってるんじゃねーよな?」

 

「な訳あるか。絶叫系はそこまで苦手ってわけじゃねーよ」

 

「……そっか。じゃあ一回手を挙げてみろよ?」

 

「へ?」

 

その直後、レイが躊躇なく影人の手を掴むと安全バーから手を離すと同時に両手を上に上げる。勿論そんな事をすれば影人の手も上に上がるわけで。更にその勢いで影人は逆の手も上に上げてしまった。そのままジェットコースターは加速しながらいきなり降り始める。

 

『うわぁあああっ!』

 

それからジェットコースターエンジョイ勢は歓喜の声を、苦手勢は叫び声を上げたりしながらコースターの稼働する数分間を過ごしたのであった。

 

「クソ……レイお前……俺はジェットコースターで手を離すのが初めてだったんだけど」

 

「意外だな影人。さっきの強気な言い方的に一回はやってそうだったが……。ま、でも楽しかっただろ?」

 

「まぁ、思ってたよりはな」

 

「陽葵さん、楽しかったですね!」

 

「うん、うたちゃんも楽しそうな声出してたね〜」

 

「そういえば笑華先輩って意外と絶叫系大丈夫なんですね」

 

「このくらい当然よ!」

 

夢乃からの質問に笑華はいつも通りの調子で返事をする。そんな中で希望はクスリと笑う。

 

「ふふっ、でもそんな笑華にも弱点はあるよ?」

 

「え?そうなんですか?」

 

「の、希望ちゃん!?」

 

「ねえ〜、皆。次はここにしない?」

 

笑華が自分の弱点を知っている希望にそう言われて少し慌てたような顔になる。それと同時に陽葵が声を上げると指を差す。その先にあった物を見て笑華は顔を引き攣らせた。

 

「……あ、あぁ……」

 

「あー、そういう事ですね」

 

「うん。笑華はね、ホラー系が大の苦手なんだよね〜」

 

笑華は自分が苦手なホラー系の施設を次に行こうと言われて唖然としてしまう事になる。尚、勿論陽葵はわかっててそう言ったのだが。その頃、蓮はななへと頭を下げていた。

 

「なな、すまん……助けてくれてありがとう」

 

「ううん、私もできる事をしただけだよ。だからお互い様で行こ」

 

そんな風にななが微笑むと蓮は彼女の顔にドキリとしてしまう。やっぱり蓮は周りからモテる分、気持ちはフラフラとあっちこっちに変わりやすいのかもしれない。そして、それを蓮本人が一番危機感を持って考えていた。

 

「(ダメだダメだ……。こんな調子じゃ最後皆から嫌われる。どうにかしないと……)」

 

「それじゃ、蓮君。次はお化け屋敷らしいから。そこは大丈夫だよね?」

 

「お、おう」

 

「ふふっ、良かった。じゃあ行こっか」

 

こうして、一同は次の施設であるお化け屋敷に向かって歩みを進める事になるのだった。尚、約三名程お化け(ホラー系)嫌いの面々が少しの間抵抗したのだがそのまま行く事になる。




また次回もお楽しみに。
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