キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

125 / 328
コラボ編9話 遊園地でのひと時 後編

ジェットコースターの次にお化け屋敷へと向かった一同。それからお化け屋敷の前にまで到着はしたのだが……。

 

「無理無理無理無理ぃ!お化け屋敷だけは、お化け屋敷だけはぁ!」

 

そんな風に駄々を捏ねたような声を上げるのはまさかの笑華である。先程の希望からの話にもあったように笑華はお化け屋敷……と言うよりはホラー系統が大の苦手なのである。

 

「私もお化けは苦手かな……」

 

「私も怖いのはちょっと……」

 

笑華程では無いものの、うたやこころもお化け等のホラー系は二人も苦手である様子。

 

「こうして見ると意外と今年のプリキュアチームは夏に弱いチーム構成だな」

 

「何言ってるんだ、レイ……」

 

レイがまるでプリキュアは毎年必ず新しいチームが出ると言わんばかりのメタ発言をかます中、実際問題アイドルプリキュアは六人のメンバーの中の半数がお化けが苦手という事で夏の季節の肝試し系統にめっぽう弱いというのは明らかだろう。

 

それはさておき、そうなるとチーム分けは重要な要素となってくる。ここでお化け嫌いなメンバーだけをチームにして行かせるほど影人達は性格が悪いわけでは無いので2〜3人である程度チームを作る事にした。

 

「ひとまず、ニカ姉はひま姉や希望さんと一緒の方が良さそうかな?」

 

「ッ、皆で絶対に行かないといけないなら仕方ない。それでお願い!」

 

笑華は怖い所を一人で行くという心細さに比べたら姉の陽葵やチームメイトの希望がいた方が安心という事で三人チームが決定。

 

「父さんと母さんは……二人でも問題無いな」

 

「良いの?じゃあ、久しぶりにお化け屋敷デートしましょ」

 

「ああ、そうだな。理沙」

 

「もう、あまりイチャイチャしすぎないでよ?」

 

また、影人の計らいで黒霧家夫妻は二人でお化け屋敷デートをする形を取った。夫婦の間に一人部外者を入れるよりはこれが確実という判断である。尚、二人の言い回し的に結婚前の若い頃にお化け屋敷デートは経験済みらしい。

 

「っと、こうなると12人だからあと3人チーム一つと2人チーム二つになりそうだけど……」

 

「そう考えたらうたとこころは別チームが良いだろ。後は公平にぐっちっぱーで……」

 

「……やです」

 

そんな風に話しているとこころは影人の腕に抱きつくと少しだけ涙目状態になっていた。

 

「折角なので二人きりにさせてください……」

 

こころは縋り付くような形で頼み込む。先程のメリーゴーランドで影人と二人きりができなかった事もあって余計に二人きりになりたいらしい。

 

「蓮、レイ……」

 

「わかった。こころの気持ちもあるし、折角だから行ってきなよ」

 

「好きな人と二人きりって結構羨ましいけど、状況が状況だしな」

 

「すまん……」

 

影人は少し申し訳なさそうだったが、こころと折角二人きり状態になれるという事でありがたく二人で行く事になった。これで残すは蓮、うた、なな、レイ、夢乃の五人。そして、こうなると後は……。

 

「取り敢えず、お前ら。それぞれ意見があると思うけどここはあくまで公平に行くぞ」

 

レイは変にそれぞれの意見を聞いていたらいつまで経っても決まらないという事で今度こそ“ぐっちー”というじゃんけんのグーかチョキかでチーム分けする方針を取った。

 

この五人の中のレイを除いた四人が蓮を中心とした恋愛事情関連の関係者なのでこうなるのは仕方ない所だろう。というわけで結果は……。

 

うた、蓮チームとなな、レイ、夢乃チームという形に収まった。そして、妖精達だが全員纏めてなな、レイ、夢乃チームが連れて行く方法を取る。こうする理由として、プリルンが勝手に行動するのを防ぐと共に妖精を一箇所に固めておく事で中でややこしくしないようにする目的があった。

 

「メロロンは影人とが良かったのメロ」

 

「我慢するんだヨイ。俺もうたと一緒になった蓮が気になるが……こういう時に邪魔をするのは良く無いんだヨイ」

 

「お化け屋敷楽しみプリ!」

 

それからそれぞれのチームで列に並ぶと順番に入っていく。先頭は陽葵・笑華・希望のお姉さんチームだ。理由は勿論笑華が逃げ出す可能性を考慮して他のチームを邪魔しないために前にしか進めないような状況を作るためである。

 

「お姉ちゃん、希望ちゃん……本当に大丈夫だよね?」

 

「大丈夫大丈夫。私が付いてるからね〜」

 

「は、は、離れたらダメよ?悪戯とかも絶対禁止だからね?」

 

「平気平気。怖かったら不本意だけど地獄って笑華達がいっつも言ってる私からのトレーニングメニューを思い出して」

 

「うっ、それはそれで思い出したくは無いけど……」

 

笑華が希望から笑顔でそう言われて思い出したからか、少しだけ顔が引き攣る。

 

それから笑華は二人に押される形で先頭でお化け屋敷に入っていく。勿論数秒後には笑華からの本気の悲鳴が響く事になるがそれは置いておこう。

 

「ちょっと作者、置いておかないでよ!怖いったらありゃしな……ひぎゃぁああっ!」

 

「笑華ちゃん、大丈夫だからね〜」

 

「私達がしっかりフォローしてあげるから」

 

「ちょっ、二人で手を強く握らないでよ!逃げられないじゃな……うぎゃああっ!」

 

「ニカ姉、怖い気持ちはジェットコースターの時で知ってるからわかるけどそこまで叫ばなくたって……」

 

蓮としては笑華がアイドルをやってる時の姿だけしか知らない彼女のファンに今の姿を見せたら色々幻滅されそうで心配になるくらいのキャラ崩壊をしてしまった笑華を見やりつつ隣で不安そうにしているうたを気にかける。

 

「うた、大丈夫か?」

 

「う、うん……。大丈夫……じゃ無いけど大丈夫」

 

そう言う彼女は恐怖でキョロキョロと落ち着きなさそうに周りを見ていた。普段から彼女は落ち着きが無いのだが、お化けの事になると本当に普段とは比べ物にならないくらい落ち着きが無い状態になってしまう。

 

「ひとまず行かないと終わらない。だからゆっくりで良いから行こう」

 

「うん」

 

それから二人がお化け屋敷の中を進む中、お化け屋敷特有のライトの当て方による雰囲気が思ったよりも本格的な所を見て蓮は感心する事に。

 

「ここのお化け屋敷、流石に有名所のお化け屋敷には劣るけど……割とガチに近い感じの雰囲気が出てるな」

 

今回のお化け屋敷はネットやメディアで話題になるくらいの場所と比べると見劣りするが、それでもお化けが苦手な人とかが行くにはそれなりに勇気がいるくらいの完成度だった。

 

そのため、先程からうたは震えっぱなしであり蓮との距離感がいつもより近い状態になっている。

 

「うぁああっ!」

 

「きゃあっ!」

 

うたは仕掛けのゾンビに驚かされると蓮へと体を一度密着させる。蓮はそんな風にしているうたを見てドキドキしていたが、うたは更に蓮へとこんな事を言い出した。

 

「れ、蓮……お願い。腕、借して……」

 

その言葉は恐怖に支配されており、声色もいつもの元気さは失われて今にも恐怖で立ち尽くしそうな人が発する物である。

 

「わかった、俺の腕で安心できるなら」

 

「ありがと」

 

普段の明るさは本当にどこへやらと言わんばかりの怯え切った声で蓮の腕に抱きつくと更に密着。何なら蓮は抱きつかれている方の腕がうたの胸に当たってる状態になっていた。更に蓮の方が身長が高いのでうたの髪からほのかに彼女の匂いが鼻の奥をくすぐる事態になっている。

 

そのため、蓮はこのせいで別の意味でピンチに陥ってしまう。理性というブレーキを強引にかける事でその一線を越えないように踏み止まっていた。

 

「(抑えろ俺……うたが目の前にいるって言っても彼女は今弱り切ってるんだ。そんな時に欲を出したら絶対ダメだからな……)」

 

蓮としてはうたが自分から密着してくれてる数少ない機会。加えて彼女に恋心を寄せている蓮にとってうたの気を引くチャンス……なのだが、今のうたはそれどころでは無い。こんな時にアピールしたって空気が読めない男として見られてしまう。

 

だったら全力でうたをカバーすべきだが、蓮の中にいる煩悩という悪魔が囁く。今の彼女になら弱みにつけ込んで色々できると。

 

「(煩い、マジで黙ってろ煩悩!今のうた相手にそんな事できるか!取り敢えず彼女を安心させないと……)」

 

蓮はどうにかうたを上手く励まそうとするが良い言葉は浮かばない。それどころか驚かされる度にうたが身を縮ませては蓮へと密着。蓮も蓮でその度に頭が煩悩でいっぱいになってしまうとどうにかその気持ちを散らしてうたへの手出しを抑えた。

 

「お、終わった……」

 

「はぁ……良かったぁ……」

 

そんな風に二人がお化け屋敷から出ると蓮の方は色んな意味で疲れ切ってしまう。そんな中でうたは蓮へと話しかけた。

 

「蓮、ありがと……それと抱きついてばかりでごめんね」

 

「あ、ああ……。俺の方も頼ってくれて嬉しい」

 

「そっか、良かった……」

 

うたのホッとしたような顔つきを見ていると蓮は胸がドキドキして頬が熱くなる。周りがそれを見たら確実に顔が赤いと言われるだろう。この様子を見ると蓮の本命はやはりうた一択という動かぬ証拠となる。

 

「カゲ君、隣にいてくれてありがと」

 

「どういたしまして。彼氏として当然の事をしただけだし」

 

「楽しかったですね!先輩」

 

「夢乃ちゃんって意外とホラー系大丈夫なんだね」

 

「はい、ホラー系ならゲームを偶にやってるので耐性は付いてますし!」

 

そんな中、他の面々も次々とお化け屋敷から出てくる。尚、最初に行った笑華は迫り来るお化けに叫びまくった挙げ句陽葵と希望という笑華をとにかく弄り倒す系の二人に挟まれたせいで完全にライフがゼロになるとお化け屋敷の外にあるベンチでグロッキーになりつつ倒れ伏した模様。

 

「ってか、笑華さんが完全にダウンしたな」

 

「思っていたよりも耐性無さすぎたな。ペアの二人がこうなった原因の何割かは請け負ってそうだけど」

 

影人とレイの二人がそう言う中、夢乃は二人の元に行くと次に行く場所を提案する。

 

「ねぇ、お兄ちゃん、レイ先輩。次はあそことかどうですか?」

 

「……まぁ、お化け屋敷で何人かアウトギリギリだし」

 

「ああ。高い所がダメな人以外だったら落ち着けるし、そこを提案するか」

 

それから影人とレイが他の面々にその行き先を提案。満場一致でその場所に決定した。

 

ちなみにそのタイミングで黒霧家夫妻が出てきたのだが、二人共何故かお化け屋敷だというのに腕を組み合った状態でラブラブカップルみたいな姿を見せていたので影人と夢乃の二人は頭を抱える事になる。

 

「もうお父さん、お母さん。恥ずかしいから辞めてよ……」

 

「というか、俺と夢乃が妙にお化け屋敷での耐性が強いのって……」

 

「多分そういう事だろうなぁ」

 

影人は自分がもう少し成長したらこころを相手にお化け屋敷を楽しみながらデートをする日が来るのかと思ったが、彼女の方はお化け屋敷を克服するのは難しそうなのを思い出してそっと断念する事になった。

 

それから一同は先に昼食を済ませてから夢乃が提案した場所へと移動するとその先にあった物を見上げる。その乗り物とは……。

 

「なるほど、遊園地と言えば確かに定番だね」

 

「笑華ちゃん、これなら大丈夫でしょ?」

 

「うぅ……あ、これなら何とか乗れそうね」

 

そこにあったのは遊園地の定番こと観覧車だった。ゴンドラに乗り込んでから外周を一周するまで景色を見ながらゆったりとした時間を過ごすことができる場所である。

 

「さてと、またチーム分け問題になるけど……」

 

一応今回の観覧車は最大四人乗り。そのために単純計算で三チームに分かれれば全員乗り切れる……が、妖精の三人を考慮すると全部四人チームにするのは厳しいので三人×四チームで陽葵や黒霧夫妻がいない所にプラス妖精という形が良さそうに思える。

 

「あの、陽葵さん」

 

「はい?」

 

「三人で乗るって話なら一緒に乗ってもらっても良いですか?」

 

「私、実は陽葵さんのファンで」

 

そんな中、黒霧夫妻は陽葵と乗りたいと言い出した。どうやら妻の理沙が陽葵のファンらしく。折角一緒に来てるのだからゆっくりお話しをするタイミングが欲しかったらしい。

 

「あ、そうなんですね!蓮君〜。私、影人君や夢乃ちゃんのお父さんお母さんと乗って良いかな?」

 

「え?ひま姉達が良いなら良いけど……」

 

そんな風にあっさりと妖精が乗らないゴンドラの件は決着が着いた。黒霧夫妻+陽葵の三人乗りが一つできた所であと三つである。

 

「プリルンはうたと乗りたいプリ!」

 

「うえっ、ねえたま泥棒と……うぅ、メロロンはねえたまに付いて行くのメロ」

 

「なら、ヨーヨイも一緒に行くんだヨイ」

 

妖精ズはうたと乗りたいと言い出す。特にヨーヨイに関してはうたにプリルンが取られた際に暴走しかねないメロロンを止めるために乗るという事だ。

 

「だったら私も乗るよ。妖精達を纏めるなら私も一緒が良いわ」

 

そんなわけでうたと希望、妖精ズがひとまずで一括りのチームとなる。後のひと枠は取り敢えずの保留だ。

 

「残りは七人か。じゃあ、ひとまず公平にぐっちーで別れるか」

 

チーム数的に見るとここでぐっちーで二つに分けて四人チームの所から一人うた達の方に行くか、そのまま四人で乗るのが手っ取り早いという事で早速残りのメンバーでぐっちーをする。その結果は以下の通りだ。

 

チームA・影人、蓮、夢乃、笑華

チームB・なな、こころ、レイ

 

「あらら、ものの見事に兄妹チームとそれ以外の三人って感じになったな」

 

「でも公平に決めた結果ですし、大丈夫ですよ」

 

「うん。一緒になれなかったのはちょっと残念だけどね……」

 

ひとまずチーム分けの結果は結果なのでなな、こころ、レイはゴンドラに乗るために移動。そして残された影人、蓮、夢乃、笑華の四人。そんな中で影人は笑華へと話しかけた。

 

「……笑華さん。お願いがあります」

 

「このタイミングって事は何となく影人が言いたい事がわかったわ。任せて」

 

それから笑華はそう言うと四人で一応乗り場へと移動し、そのまま乗るつもりの蓮へと話しかける。

 

「蓮、夢乃ちゃんと二人で乗ってあげて」

 

「……え?」

 

「ほら、アンタももうわかってるんでしょ?少しくらい空気を読んであげなさい」

 

蓮の方はいきなりそう言われて困惑する。確かに夢乃の気持ちは蓮も知っているしちゃんと受け止めるつもりだった。それでもまだ気持ちの整理は遊んだ後にしようとして後回しにしたせいでしっかりとは纏まって無かったのである。

 

「とは言ってもまだ整理が……」

 

「この際よ、整理する事も含めて夢乃ちゃんに向き合いなさい。それじゃあ、私達は二人って事で申請するから」

 

「ちょっ、ニカ姉!?」

 

そのまま影人と笑華は二人組という話で進み、先にゴンドラに乗ってしまった。そのため取り残された蓮と夢乃。夢乃の方も影人から特に何も言われてないので状況がまだ理解できてなかった。

 

「あれ?お兄ちゃんや笑華先輩は……?」

 

「……俺達を置いて先に二人で乗った。ひとまず、俺達も二人で乗るよ」

 

「えっ……」

 

夢乃は少し困惑するが、この状況を作ったのが何となく影人と笑華であると察すると二人に感謝の気持ちを持つ。それから蓮と夢乃が最後にゴンドラに乗る形となり、そのまま観覧車での時間が始まるのだった。

 

同時刻、遊園地のお土産屋がある建物の上。そこではアイドルプリキュアを襲撃するために来たスパット、スラッシュー、カッティーの三人がいた。

 

「アイドルプリキュアが来てるのはここですかな?」

 

「ええ。しっかりこの遊園地の敷地内にいますわよ」

 

「では、まずはターゲットとなる人間を見つけましょうか。作戦決行はそれからです」

 

スパットがそう言うとそれぞれがクラヤミンダーに必要となる素体の人間探しを始める事になる。




後編と銘打ったものの、一応もう少しだけ平穏な時間は続きます。観覧車シーンまで今回で終わりきれなかったので……。それではまた次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。