キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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前回まででコラボ編が終わったため、今回からまた原作アニメの範囲に戻ります。時系列はアニメ16話から再開しますのでよろしくお願いします。

加えて、コラボ編が終わったので世界線もこの小説本来の設定に戻りますので読む際にそこも注意してください。それではどうぞ!


メロロンの選ぶ道 アイドルプリキュアの新たなる仕事

プリルンとメロロンのデートから少しして。影人は朝、目を覚まして起き上がる。すると彼の指に何かが絡まっていた。

 

「メロ……メロ……」

 

「プリィ……プリィ」

 

「……やっぱ二人はまだ起きないよな」

 

この日もこの日とて影人はプリルン、メロロンと一緒に寝ていた。彼女達がいるのは今日が二度目のプリルン、メロロンのお泊まりの日だったからである。

 

「取り敢えず……」

 

影人が指をメロロンが絡ませていた耳から引き抜くとベッドから降りた。それから伸びをして眠気を吹き飛ばす。

 

「メロ……影人、起きたのメロ……?」

 

すると影人へと声が聞こえるとそこにはメロロンが寝ぼけ眼状態で起きていた。どうやら先程影人が絡んでいたメロロンの耳から指を引き抜いた時に起きたらしい。

 

「メロロンすまん。起こしたか?」

 

「大丈夫なのメロ。おはようメロ、影人」

 

メロロンは特に怒ってない様子であり、目もバッチリ開いたのか普通に起き上がっていた。

 

因みにメロロンの耳を指に絡ませていたのに関しては前にもあった通り、メロロンは好きな相手と寝る際に長い耳で相手が逃げないようにしっかりと捕まえ……抱きしめる癖がある。

 

そのため、前に影人はメロロンがお泊まりした際に彼女の耳が首の辺りに巻かれたせいで一度窒息しかけた。その件もあって影人はメロロンと一緒に寝る話になった際は手の指を最初からメロロンの耳で拘束してもらう事でどうにか寝てる間の窒息を回避してるのだ。

 

「ああ、おはよ。メロロン。……メロロンの方はやっぱり早起きが問題無くできるんだな」

 

影人からの質問にメロロンが頷く。メロロンは特段朝に弱いわけでは無い。むしろ前にうたやプリルンが寝ぼけていた時間にバッチリ起きていたので朝に弱いということは無い。

 

「……影人、今日はこころと朝練はするのメロ?」

 

「いや。今日はお休みの日だな」

 

「だったら、影人と初めて出会ったあの場所に連れて行ってほしいのメロ」

 

メロロンのその言葉をキッカケに影人は準備を済ませると早速移動を開始する。

 

「珍しいな。プリルンはまだ起きてないのにお出かけしようだなんて」

 

尚、未だに寝ているプリルンに関しては影人と同じタイミングくらいに起きていた夢乃に対応をお願いする事でどうにかプリルンが家の中を勝手に飛び回る被害を避けていた。

 

そんなわけで“はなみちタウン”の高台へと移動した影人とメロロン。そこでは丁度遠くに顔を出して少し経った太陽が見えていた。

 

「メロ〜」

 

「この景色が好きなのか?」

 

メロロンはこの時間帯に中々来れない高台からの太陽が水平線の向こうから顔を出した直後の風景に目を輝かせていた。

 

「メロ。まるであの太陽はねえたまみたいなのメロ。暗闇の中に沈んでいたメロロンの世界に温かい光を与えてくれる」

 

そんな風にいつものポエム口調全開のメロロン。メロロンは普段はうたの家に泊まっている……が、うたの場合は中々こんな朝早くに起きるなんて事はできない。プリルンもうた程では無いが、朝は遅めな側なのでメロロンが単独でこの景色を見に来る事はほぼ無い。だからこそメロロンはこの景色を見れて嬉しいという事だろう。

 

「メロロンは……この街に来れて良かったのメロ」

 

「それはプリルンと一緒にいられるから?」

 

「それもあるメロ。……でも、この世界でメロロンの事を救ってくれたのは影人なのメロ。……影人はねえたまとは違う寄り添い方をしてくれるからメロロンは影人の事が好きなのメロ」

 

影人はメロロンのその発言に安堵する。少なくとも、自分かプリルンといる間はメロロンは寂しい思いをしないのだと感じた。

 

「影人」

 

「何?」

 

「……またこの場所で二人で朝日を見るのメロ」

 

「そのうちな」

 

「約束なのメロ♪」

 

メロロンの声色はうた達、他の人間といる時とは比べ物にならない程に嬉しそうだ。それだけ影人はメロロンから信頼されているのだと思われる。

 

「そういや、メロロン。気になったんだが」

 

「何メロ?」

 

「……仮の話だぞ?もしダークイーネの事がどうにかなったとして、キラキランドに平和が戻ったとしよう。その後メロロンは……プリルンと一緒にキラキランドに戻る道を選ぶのか?」

 

それを聞いてメロロンは目を見開くと影人の質問を想定外に思っていたのか混乱する。今はキラキランドが真っ暗闇になった上に荒廃してしまっているので帰る事はできない。加えて、ダークイーネが残っている内は前のようにキラキランドに安心して住む事はできないだろう。

 

ただ、影人達アイドルプリキュアが戦いの中で順調にダークイーネの打倒に成功してキラキランドに光が取り戻されたその先。出張所で働く田中や夢乃のマネージャーである姫野達は兎も角、少なくともプリルンは元いた世界であるキラキランドに戻る事になるだろう。その時にメロロンはプリルンを取ってキラキランドに帰るのか、影人を取ってこの世界に残るか選ばないといけない。

 

「……そんなの、メロロンはねえたまと一緒に行くに決まってるのメロ。勿論、影人には沢山感謝してるメロ。でも、メロロンにとっての一番の大切は……ねえたまの方なのメロ。それは影人がこころが一番って事を誰にも譲れないのと一緒なのメロ」

 

影人はメロロンからの返しを聞くと一度息を吐く。それからメロロンを抱くように手を伸ばすとメロロンは自分からその腕の中に戻った。

 

「……そっか。それがメロロンの選択ならそれを尊重する。俺はメロロンが後悔しない選択をして幸せに暮らすのならそれで良い。……もし悩んでる事があるならちゃんと相談しろよ。プリルンには無理な事でも俺ならある程度は相手になってやれるからな」

 

そう言って影人はメロロンを優しく撫でる。それを聞いたメロロンの目から一筋の涙が落ちた。ただ、影人はタイミング悪くそれに気がつけず。

 

「(メロロンにとっての一番はねえたまなのメロ。影人にはこころが側にいるのメロ。メロロンが入るなんて……やったらダメなのメロ)」

 

メロロンは涙を急いで拭くとどこか悲しそうな顔つきを浮かべる。それはさておき、影人が家に帰るとそこにプリルンを抱えた夢乃が出迎える。

 

「ただいま」

 

「メロロン、お帰りプリ!」

 

「お帰り!おにいちゃ……」

 

「夢乃、ねえたまから離れるのメロ!」

 

「ふぶっ!?」

 

ただ、メロロンはプリルンを抱いていた夢乃を敵視すると早速出会い頭の顔面へのキックを炸裂。夢乃はまさかのメロロンからの不意打ちに尻もちを付くとプリルンを手放した。

 

「メロロン!?」

 

「痛たたっ……。プリちゃんと一緒に出迎えるのダメだったの?」

 

「取り敢えず落ち着けメロロン。夢乃、ごめんな。メロロンはプリルンへの愛が凄まじいくらいに強いんだ」

 

影人は夢乃へと手を差し伸べると夢乃は影人の手を取って立ち上がる。そんな中、メロロンはプリルンへと抱きついていた。

 

「メロロン、おはようプリ!」

 

「ねえたま、おはようメロ!」

 

「ごめんね、メロちゃん。次から気をつけるから気を悪くしないでね」

 

「むーっ、次から気をつけるなら……別に良いのメロ」

 

「やれやれ。大喧嘩にならなくて良かった」

 

影人は喧嘩という最悪の展開にならくて安堵した……のだが、このタイミングで母親の理沙からの声が聞こえてくる。

 

「影人〜!夢乃〜!知らない声が聞こえるけどこんな朝早くから誰か来たの〜?」

 

「「ギクッ!?」」

 

「プリルン、メロロン、ひとまず人形のフリしろ。誤魔化すから」

 

「わかったプリ」

 

「コテンメロ」

 

プリルンとメロロンの声が聞こえてしまったのか朝食の準備をしていた理沙に咎められた影人と夢乃。それから二人はどうにか誤魔化す事になる。

 

それはさておき、朝食を食べ終わると影人はプリルンとメロロンの二人を連れてグリッターへと行く事になった。二人をうたの元に無事に送り届けないといけないからである。

 

「じゃ、行ってくる」

 

「うん、行ってらっしゃい。お兄ちゃん。プリちゃんとメロちゃんもまたね」

 

「夢乃、また遊ぶプリ!」

 

「影人と一緒に寝ると安心できるメロ。……また来るのメロ」

 

それから二人が影人に連れられていなくなると夢乃は空を見上げてポツンと呟く。

 

「……凄まじい愛……か。私も誰かを好きになったらわかるのかな」

 

そんな風にボソッと呟く夢乃。ちなみに別の世界線の夢乃は思いっきり恋をしており、好きな人と結ばれるためにあれこれと動いているのだが……それは別世界の話なので置いておこう。

 

時間が経って喫茶店グリッター。そこに入った影人は待ち合わせ時間に丁度いたうたと合流する。

 

「おはよう、咲良さん」

 

「影人君おっはよ〜!」

 

「うた!おはようプリ!」

 

そう言ってプリルンがうたへと速攻で向かったためにメロロンは“ガーン”という効果音が鳴りそうなくらいに一瞬唖然とするものの、すかさず正気に戻ると飛びつくプリルンを超えるスピードでうたへと突進する。

 

「ねえたま泥棒は引っ込むのメロ!」

 

「ぶえっ!?」

 

メロロンの突進が顔面に命中したうたはそのまま目を回して後ろに倒れる事になった。

 

「……最初からこんなんでこの後大丈夫なのかよ」

 

影人は完全に修羅場と化した状況に唖然としてしまう。ただ、これもいつもの日常であると受け入れてる節もあるが。

 

「ふんふんふん♪ふふんふんふん〜ふんふんふふ〜ん♪ふふんふんふん〜ふんふんふふ〜ん♪ふんふん♪ふんふん♪ふんふん♪ふんふん♪」

 

それから少しして、うたは鼻歌を歌いながらグリッターの開店のための準備をするべく手にふきんを持ってテーブルを拭いていた。それに合わせて影人やプリルンもふきんでカウンターを拭き、犬のきゅーたろうも床の雑巾掛けをしていた。

 

ただ、メロロンは手伝っていないのかこの場にはおらず。いつもの二階のスペースで本を読みつつ調べ物をしていた。

 

「お手伝いありがと!」

 

「プリ!」

 

「わん!」

 

そうやってプリルンやきゅーたろうが返事を返す中、影人の顔は僅かに引き攣っていた。それと同時に声を上げる。

 

「何で俺も流れで手伝う事になってんの?プリルンとメロロンを送るだけじゃなかったのか?」

 

影人はうたにお願いされた影響で手伝いをやっていたらしい。ただ、彼としては割と不本意なようで。

 

「え〜。影人君だって良いって言ってくれたじゃん!だからお願いしたんだよ?」

 

「よくそんな事言えるな……。俺が帰ろうとしたタイミングで声かけて止めた挙句、プリルンやきゅーたろうとグルで手伝うように無理矢理頼んだ上に断ろうとしたら前みたいに泣き落としのようなつぶらな瞳を向けてきて。俺がこういうやり方に弱いって知っててやってるだろ」

 

影人が苛立ったようにな顔つきで額に青筋が立つ。ただ、文句を言いつつも影人はちゃんと手伝った。それが彼の優しさが出ている証拠だろう。本人の意見は無視されてるが。

 

「えへへ〜。折角なら手伝ってくれないかなって」

 

「はぁ……」

 

そんな中、二階のメロロンは調べ物をする中で本を読み進める。調べる対象は自分が持っているハート型の南京錠とハートの鍵のペア……はなみちタウンに伝わる伝説のアイテム。ハートキラリロックについてだ。

 

「あの看板に描かれたハートキラリロック。メロロンの鍵とおんなじだったのメロ。これが本当に伝説のハートキラリロックなら……言い伝えみたいに永遠の愛が叶っちゃうのメロ……?」

 

メロロンはそう言うと真っ先に影人を思い浮かべる。しかし、メロロンは慌てて首を横に振った。

 

「(そうじゃないメロ!影人はダメなのメロ!……影人にはこころがいるのメロ。だから使うならねえたまとなのメロ)」

 

メロロンはどうにか影人相手に使う事を頭から排除する。そのタイミングでいきなりグリッターのお店の扉が開いた。

 

「うた先輩!!」

 

「こころ、ななちゃん?」

 

「お、丁度良く影人もいた」

 

お店に来たのはなな、こころ、レイの三人。入る順番としてはこころが先頭で飛び込むように入り、後からゆっくりななやレイが入る形である。

 

「レイも来てたか。で、こんな朝からどうしたんだ?」

 

「これ、ネットでまた話題になってるの。見た?」

 

それからななが見せたスマホの画面にはアイドル、ウインク、キュンキュンの三人でのライブシーンであった。尚、影人ことソウルはこのライブには不参加であるためにいない。

 

『『『Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪』』』

 

「うえっ!?またアップされてるの!?まさか……」

 

うたは四度目の無断アップロードに驚くと同時に流石にこう何度も無断アップロードが続けばその犯人も何となく察しが付いてしまう。

 

「皆に見てほしいプリ!」

 

案の定アップロードをしたのはプリルンであった。彼女としてはアイドルプリキュアのキラキラしたステージを皆に見てもらいたいらしい。……ただ、当然のことながら違法アップロードはNG行為になるわけで……。

 

「プリ!?」

 

「……知ってた」

 

お約束とばかりに違法アップロードのツケとして頭がモッサモサになる刑に処された。

 

「プリィ〜!?」

 

「やっぱり女王様にバレてるね」

 

「というか、女王様は次のアップロードはモッサモサで済まないとか言ってたはずなのに結局モッサモサだけだったな」

 

「多分半分脅しのつもりで言ってたんだろ。まぁ、プリルンは自分の気持ちに素直すぎるから最終的に言われても何かしらはやると思ったが」

 

ここまで来るとプリルンのアップロード癖は余程キツい刑にしないと治らないのかもしれない。影人やレイも呆れ果てる始末である。

 

「でも、皆とっても喜んでくれてますよ!三人のステージ最高!元気が出たって!」

 

そんな風にコメント欄でのコメントを見るうた達三人。そしてこうやって元気が出ると視聴者に言ってもらえるのはうたとしても嬉しい気持ちになる。

 

「嬉しいな〜!アイドルプリキュア、絶好調!」

 

それに合わせる形でうた、なな、こころが三人でポーズを取る。すると影人は何とも言えない気持ちとなり、それが気になったこころが声をかけた。

 

「あれ?カゲ先輩、嬉しくないんですか?」

 

「……いや、嬉しいよ?嬉しいんだけどさ……」

 

「影人、一人だけ除け者にされてる感じで寂しいんだとよ」

 

「「「……あっ」」」

 

影人ことソウルはこのライブ技に未参加であるために完全に一人だけ疎外感を感じてしまっていた。そしてそれをレイが指摘すると三人は慌ててフォローする。

 

「大丈夫だって!影人君含めて四人でアイドルプリキュアだから!」

 

「うん、気を落とさなくたって今度の新曲ではちゃんと四人でやろう!」

 

「カゲ先輩、もしどうしても気持ちが晴れないなら私が慰めますから!」

 

「こころはそこまでしなくてよろしい。……それにこうなるように仕向けたのは俺だしな」

 

実際この技が初使用された時、ソウルは三人とは別れてしまっていた。加えて次の時に入ろうとしたら強制的に弾かれたので恐らくどのみち入る事は出来なかっただろう。

 

ただ、コメント欄の方はソウルがいない事を惜しむ声や中にはソウルだけ仲間外れにされてる事をネタにする人もいて対応が大きく二つに分かれていた。

 

「……それはさておき、そんな絶好調のアイドルプリキュアに出演依頼が来ました」

 

そのタイミングでグリッターの厨房に繋がるのれんを掻き分けて出てきたバイト姿の田中。そんな彼は新しい仕事のニュースを持ってくる。

 

「田中さん!?」

 

「えっ!何の?」

 

「……はなみちタウンフェスのスペシャルゲストとしてライブをして欲しいという事です」

 

田中の言葉を聞くと一同の空気が僅かに固まる。それから影人とプリルンを除くその場の全員が驚くのであった。

 

「「「「ええっ!?」」」」

 

絶好調なアイドルプリキュアの元にやってきた新しい仕事の話にその場の話題は一気に持っていかれる事になる。




また次回もお楽しみに。
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