キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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フェスへの参加決定とトレーニングメニュー(地獄)の作成

田中の方から話されたはなみちタウンフェスの話。そのイベントすら知らない影人は例外だが、他のアイドルプリキュアの三人は驚きを隠せなかった。

 

「あの“はなみちタウンフェス”でですか!?」

 

「私達がライブ!?」

 

「って事は……」

 

「ああ。大勢の人達の前でこっちの世界のアイドルみたいにライブをやるだろうな」

 

それを聞いてうた、なな、こころが顔を見合わせる。同時に田中の方は冷静なまま、一同へと質問をした。

 

「ただ、皆さんは実際に大勢の人達の前で歌った事はこれまでありませんでしたよね?」

 

「あー、そう言えば私達のライブステージって浄化技をやる時のアレですし、あのライブの時はほぼ無意識ですもんね」

 

「こころ、そういうメタ発言すんなよ……」

 

影人はフェスを知らないために話についていけないものの、ツッコミだけはいつも通りの感じで行う。

 

「勿論お断りする事もできます。……どうしますか?」

 

田中からの質問にななやこころは多少不安なのか顔を見合わせる。ただ、そんな中でも一人やる気に満ち満ちてる者がいた。

 

「キラッキランラ〜ン!やろうよ!私達で!」

 

「もう、うたちゃんならそう言うって思ったよ」

 

「絶対に成功させましょう!」

 

そんな風にやる気になる中、影人はやはり話についていけない。ただ、アイドルプリキュアがイベントでライブをやる。その事実だけはしっかり受け取っていた。

 

「マジか……」

 

「勿論カゲ先輩もやりますよね?」

 

「影人君がいてくれたらとっても頼もしいし!」

 

「影人君、観に来てくれた皆をキラッキランランにしよ!」

 

そんな風に3人から詰め寄られる。影人はそれを聞いて脳裏に嫌な光景が浮かぶ。それは自分が本番の舞台の上で客達に溜め息を吐かれたあのトラウマの光景だった。

 

「ッ……」

 

影人は手を見ると僅かに震えていた。自分が出たってあの時と同じになるのじゃないのか。そんな考えのせいで手は震え続け、その震えはどんどん強くなる。

 

「影人君も一緒に頑張ろうよ!」

 

「俺は……俺は……」

 

影人は思わず拒絶しそうになってしまう。それだけあの時の嫌な光景が蘇ってくるのだ。それを見たこころは影人の手を両手で握る。

 

「ッ……こころ」

 

「カゲ先輩。……もしかして、昔の事を気にしてたりしますか?」

 

影人はこころに自分の内心を見抜かれたことで少し驚くが、何も間違ってないので小さく頷く。この小さな頷きからも恐れによる彼の心に芽生えた恐怖の大きさが伺える。

 

「……でしたら、もし罵倒されたとしても言われるのはカゲ先輩だけじゃないですよ」

 

「え……?」

 

「私達はアイドルプリキュアという一つのチームです。もし、カゲ先輩が昔みたいに周りから白い目を向けられたら……その時は私達も一緒にその目を向けられます。だからカゲ先輩が一人で辛い思いをしてしまうような事にはなりませんよ」

 

影人はこころに励まされると少しだけ心への負担が軽くなったように感じた。そして、それと同時に影人は思い至る。今回のステージはあくまでチームでの登壇。昔の時は自分一人だけに向いていた視線はアイドルプリキュアというチーム全体に向けられる。

 

もし仮に罵倒されても一人だけ辛い気持ちをするわけでは無いのだ。加えて、無名だった昔と違い、今回はアイドルプリキュアとして行くのだからむしろ観客は大喜びで自分達を迎えてくれるだろう。

 

「まずはカゲ先輩のトラウマを克服するためにも、一緒に頑張りましょう!」

 

「……ああ。俺もずっとこのままなんて嫌だ。……こころ、皆。頼む」

 

「勿論!」

 

「私達皆で頑張ろ!」

 

「俺達も全力でバックアップするさ」

 

「プリ!」

 

影人が頭を下げるとうた達も影人が乗り気になってくれて良かったとばかりに頷く。そして、それと同時にプリルンも同意の声を上げる……そんな中でプリルンが首を傾げて質問した。

 

「そういえば、“はなみちタウンフェス”って何プリ?」

 

それから一同は滑る。まずはその概要説明からという所だ。影人も引っ越しをしたばかりで一人だけ知らないために気になる所である。するとメロロンもタイミング良く本を読み終わったのかフワフワと浮かびながら降りてきた。

 

「ねえたま、何の話をしてるのメロ?」

 

「アイドルプリキュアがはなみちタウンフェスに参加するプリ!」

 

「はなみちタウンフェス?」

 

「メロロンも降りてきた所ですし……早速説明しよう!」

 

すると田中はいきなりキャラ変すると某昔のニチアサにやっていたカードゲームアニメの○ャラクシー○辺のような口調となる。

 

「へ?」

 

「田中さん……?」

 

それはいつもの田中のクールキャラはどこへやらと言わんばかりの陽気さで一同はキャラの振れ幅が大き過ぎて困惑した。

 

「はなみちタウンフェスとは、この街で毎年開かれるお祭りの事だ!楽しい事がとにかく盛り沢山!メインのステージには今一番話題のアーティストが出ることになっている!それこそが我らアイドルプリキュアというわけだ!皆もわかったかな?それじゃあ最後に合言葉は……セクシー?No!ギャラク……」

 

「ストーップ!田中さんストップ、キャラ崩壊し過ぎですって!それに、幾らプリキュアも過去作に遡ればそのニチアサアニメとしての同期がいるからって最後のは完全にアウトですからね!?」

 

影人は途中メタ発言をぶちまけながら慌てて○ャラクシー○辺としてのハイテンションキャラになってしまった田中へとツッコむ。

 

“田中さんの中の人が演じられていたこのニチアサアニメシリーズを知りたい方は2009年〜2010年のニチアサキッズタイムで検索検索ゥ!”

 

「おい作者!お前も悪ノリしてんじゃねぇ!」

 

影人がツッコミし過ぎて疲れたように肩で息をする中、キャラ崩壊状態から戻った田中がいつも通りの口調で話す。

 

「と、このように“はなみちタウンフェス”というのは年に一回のビッグイベントなんですよ」

 

「あ、いつも通りの田中さんに戻った」

 

「さっきまでのハイテンション田中さんとギャップあり過ぎですよ」

 

「……でしたら同じアニメでもこっちの方が良いですかね?」

 

「は?」

 

「……ありがとうございました。良いバトルでし……」

 

「だからダメですって!アウト!アウトですからそれも!」

 

田中はそう言って同じアニメで中の人が同じな別キャラ(○ンテーラ)の台詞を言う。今度はキャラ崩壊こそしなかったものの、同じくアウト発言なので影人は慌てて止めた。

 

クールな田中が珍しくボケに回ったせいで混乱したものの、ようやく話が進んだ。はなみちタウンフェスとはこの街の中でも一年に一回のビッグイベントであり、アイドルプリキュアはそのスペシャルゲスト枠という大役を任されるという事だ。

 

「やっぱり凄いプリ!」

 

「……そんなに凄い事なのメロ?」

 

「一年に一回きりのフェスという事は去年の開催から今年の開催までの一年の中で一番街の人々の印象に残ったって事だからな」

 

「しかも、私達は登場してからまだ数ヶ月程度しか経ってないし。それだけ皆からの期待も大きいって事だよ」

 

レイとななの説明にメロロンは何となくだが、アイドルプリキュアがそれだけ人々に人気であるという情報を理解した。するとうたとプリルンは気分ルンルンで二人揃って腰を振りながらワクワクした様子を見せるくらいに興奮する。

 

「私達のステージでお客さん達がキラッキランランになってくれたら嬉しいよね!」

 

「心キュンキュンさせたいです!」

 

「折角やるんだし、勿論だよ!」

 

「皆、頑張れプリ〜!」

 

そんな風にプリルンがキラキライトをピンク色に発光させるとそれを振る。うたは嬉しそうにするとそんなプリルンを持ち上げた。

 

「ありがとう!……でも、プリルンも!」

 

「プリ?」

 

「プリルンも一緒に頑張ろ!……プリルンもアイドルプリキュアのメンバーでしょ?」

 

うたからの言葉にプリルンはキョトンとする。それはプリキュアもアイドルプリキュアとしてチームの一員だと言われたという事だ。

 

「プリ?プリルンもアイドルプリキュアのメンバープリ?」

 

「あったり前じゃん!」

 

「今まで気づいて無かったの?」

 

「頼りにしてるよ!」

 

うた、なな、こころの三人にそう言われるとプリルンの瞳が嬉しさで潤む。そして、心の底からやる気が漲ってきた。

 

「嬉しいプリ……とってもとっても嬉しいプリ!」

 

そんな中、プリルンのやる気の力が黄金のオーラとして溢れ出るとその情熱が背後に炎のエフェクトが出るほどに爆発する。

 

「プリルン、はなみちタウンフェスのステージを絶対成功させるプリ!」

 

「メロ。ねえたまが燃えてるのメロ」

 

メロロンがそう言う中でプリルンがうたの言葉でやる気になったということで少しだけ嫉妬が出てきた。

 

「メロロンもだよ」

 

「メロ?」

 

「メロロンもアイドルプリキュアの一員。だからお前の事も頼りにしてる」

 

「……仕方ないのメロ。ちょっと手伝うくらいなら良いのメロ。それに、ねえたまがこんなにもやる気になってるのだからメロロンも応援したいのメロ」

 

メロロンの方も影人が上手く乗せ、これによりアイドルプリキュアがチームとして一丸となった。

 

「さてと。皆がやる気になった所で俺からの話だ。……アイドルプリキュアがはなみちタウンフェスに出るために今必要な事がそれなりに出てきた。まずはアイドルとしての力を磨かないとな」

 

「「「アイドルとしての力?」」」

 

「なるほど、俺達は全員大舞台で歌った事が無い。って事は当然緊張とかもする。その状態で意識しながらパフォーマンスをやらないといけない。アイドルプリキュアのステージでの動きが浄化のプロセスに合わせて無意識でやる振り付けだからな。つまり……」

 

「「「つまり?」」」

 

「はなみちタウンフェスに出るために特訓が必要だって事さ」

 

一同はレイからのその意見に賛成である。緊張に関しては前にCD収録の際にこころが緊張感から何度もミスを連発した挙げ句、スライム化してしまった前例があるのだ。ましてや今回のステージには収録とは違って数多くの観客がいる。その中で緊張せずに歌うにはトレーニングが必要となるだろう。

 

「でも、特訓って何をすれば良いのでしょうか?」

 

「特訓かぁ……」

 

「特訓ね……」

 

「「「チラッ」」」

 

うた、なな、こころの三人の視線は田中へと注がれた。ついでにレイからの視線もおまけで注がれる事に。

 

「え?私……ですか?」

 

田中が疑問符を浮かべると同時にまずはこころがカウンター席にしゃがみつつ手を置く形で田中の方を向く。

 

「だって田中さんは、アイドルプリキュアのマネージャーなんですよね?」

 

「なんかアイドルプリキュアがガツンとパワーアップするやつ。お願〜い!」

 

「します!」

 

「プリ!」

 

こころの後ろにうた、ななの順番で立つとプリルンも加えた四人でおねだりする小動物のような目を田中へと向けた。

 

「あ、三人揃って可愛くお願いしたな?というかその攻め方に俺は参加できないんだが」

 

「田中さん、俺も手伝いますからお願いします」

 

そんな風に言われた田中は皿を拭く作業を進めながら少し考えると期待に応える必要があると考える。

 

「……わかりました。マネージャーの名にかけて考えましょう。地獄の……特訓メニューを」

 

田中は知的キャラがよくやるような眼鏡をクイッと上に上げる動作を行うと特訓メニューを考えるフェーズに移った。

 

それから時間が過ぎ、この日の昼。はなみちタウン出張所の中で田中達はメニューを考える事になった。翌日からのトレーニングに向けて今日中に中身やらを色々と決定しないといけないからである。

 

「………」

 

「……では、これよりはなみちタウンフェスに向けた会議を始めます。議題は勿論トレーニングメニューについてです」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

「………あのですね」

 

「何でしょう?影人さん」

 

「何で俺も強制参加になってるんですか!?一応アイドルプリキュア側なんですけど!?」

 

影人は思いっきりツッコミを入れる。何故アイドルプリキュアとしてトレーニングを受ける側の自分が会議に参加しているのかどうしても気になってるのだ。尚、この場にいない他のメンバーは夢乃と共にアカペラ練習に励んでいる。

 

ただし、今日はこの会議室を使う関係で街にあるコミュニティーセンターの一室を借りてやってもらっていたが。

 

「影人さんは昔、芸能人になるためのレッスンに通ってましたからね。……こういうトレーニングメニューを考えるための力になってもらえるかなと」

 

「……でしたらこれ以上何かを言うつもりはありません。続けましょう」

 

影人は割と真面目な理由だったのでこれ以上噛み付く事は無く話に参加する事にした。実際にこういうトレーニングをやった事のある人の意見は貴重である事も踏まえると妥当な判断であるだろう。

 

「あの……そういえば私の方は参加して良かったんですか?私は夢乃さんのマネージャーですし専門外ですよ」

 

この場に集うメンバーは四人。特訓メニュー考案総督の田中、監督者のレイ、参考人の影人、そして一見関係なさそうな姫野である。

 

「姫野さんはデータとか纏めるの得意ですし、話をスムーズに進めるためにも手伝って欲しいと思いました」

 

「そ、そうなんですね……その。頼っていただきありがとうございます……」

 

そう言いながら姫野は僅かに顔を赤らめる。それを見て影人は無言になった。

 

「(……この人仕事の時とこういう緩んでる時でギャップが凄いんだよなぁ。多分緩んでる時に本来の人柄が出てるだけだろうけど)」

 

「さて、影人。メニューを考える上で何か案はある?」

 

「……まずは基礎的な体力だな。一にもニにもそれが無いと話にならない。体力無しじゃ長いダンスに耐えられないし、耐えられても質を落としたらアウト。声質を維持するためにも体力がいる。だから体力トレーニングは必須だな」

 

「確かにそれはそうね。他のアイドルグループを見てもパフォーマンス中に大きく移動したりダンス等の激しい動きをする方々もいる。それを考えると体力は必要だと思うわ」

 

「(姫野さんの切り替え早っ……)」

 

影人は姫野がさっきまで緩い顔をしていたはずなのにいきなり切り替わったので苦笑いする。

 

「そうだな。体力トレーニングか。……ただ、トレーニング場所はどうする?流石に本格的なジムというのは……」

 

そう、あくまでトレーニングするのは体のできあがってない中学生。トレーニングジムを使うのも手だが、無理はさせられない。加えてジムには年齢制限とかもあるし、無理にトレーニングをして体を壊すのが最悪だろう。

 

「ふむ。それに期間中はアカペラ練習の方を家でコツコツやれそうな反復練習だけに絞ってもらうにしても、彼女達の生活もありますから大規模な事はやりづらいですもんね」

 

「……でしたら、トレーニングをここでやるのはどうでしょう?」

 

それから姫野はパソコンのタイピングを早打ちしてとある場所を見せる。そこに映っていた画像を見て一同は目を見開く。ただ、約一名ギョッとした顔だったが。

 

「マジすか?」

 

「ええ。ここなら体は壊しにくいでしょう?」

 

「それはそうですけど……」

 

やる側の影人は僅かに嫌そうな顔になる。この場所は割と手頃でお金もかからず、トレーニングには打ってつけだったがキツさで考えたら割と上位に入るものだった。

 

「私は賛成ですね。体を壊しにくいかつ体力を鍛えるには最適かと」

 

「ッ……背に腹は変えられませんね。俺も賛成です」

 

「……理解を得られて何よりです。では、次にメニューですが……やれそうな物は既にリストアップしました」

 

「……は?」

 

影人はそれを聞いて凍りつく。先程まで場所に関して話していたのにもうその場所が通る事大前提でリストを作った姫野のスピード感に戦慄したのだ。

 

「嘘だろこれ……本当に地獄になりません?」

 

影人の顔が少しずつ顔面蒼白になる。姫野のメニューはどれもガチ過ぎて体を壊しはしないがスタミナ面で死にかける事を想像したからだ。

 

「流石姫野さん。誘った甲斐がありましたね」

 

「レイお前、こうなるのわかってたよな?」

 

「ん〜?チョットナニイッテルカヨクワカンナ〜イ」

 

「まずその白々しい片言止めろ!」

 

影人は周りにいるボケ要因が多すぎてツッコミに疲れ切っていた。そして、そんな影人を他所に無情にも地獄(割とガチ)のトレーニングメニューは決まっていった。

 

「……俺はともかくせめてあの三人が潰れない程度に抑えてくださいよ?」

 

「安心してください、わかってます。潰れる一歩手前で寸止めしますから」

 

「鬼か!?安心できねーんだよその言い方だと!!」

 

というわけでトレーニングメニュー(地獄)は完成。翌日のトレーニングへと話は繋がることになるのだった。




また次回もお楽しみに。
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