キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
はなみちタウンフェス当日。巨大な扉が開くと同時に不思議な空間から飛び出したプリルンとメロロンの二人はある場所に到着した。そこは懐かしさがありつつも、かつてのような風景の面影は全く無い。
「キラキランド……帰ってきたプリ!」
「メロ!」
プリルンとメロロンは現在、キラキランドにやってきていたのだ。しかし、当然ながらダークイーネ及びチョッキリ弾の侵攻によってかつてのキラキラした風景は最早跡形も無かった。そこには暗く闇に染まった空に枯れ果てた川や木々。他の妖精達が閉じ込められていると思われる紫の水晶石もあちこちにあった。
「プリ……」
「メロ……。ねえたま、本当に大丈夫なのメロ?」
「大丈夫プリ!とっておきの考えがあるプリ。うたの力になるプリ!」
そんな風に話すプリルン。そもそも何故二人がうたの家では無くここに来ているのか。まずはそこから話さないといけない。
〜回想〜
時間はこの数時間前。特訓を終えてうたの手によってうたの家に帰ってきたプリルンとメロロン。二人はうたが寝てしまった後も起きていた。
「メロ!?伝説のハートキラリロックの真実……メロ」
メロロンはいつものように本を読んでいるとハートキラリロックの真実について書かれた文面を見つける。
「元々は恋人達の永遠の愛を叶えるものじゃなかった。本物のハートキラリロックはどんな願いでも叶えられるアイテム……」
何とハートキラリロックにはどんな願いだったとしてもそれを叶えることが可能な正に伝説の力があるようだった。
「これにそんな力があったなんて……」
メロロンはそう言いつつ自分の持っているハートキラリロックを手に取る。そんな中、メロロンが座っている近くで窓が開く音がした。
「メロ?ねえたま、どこかに行くのメロ?」
メロロンが見る視線の先には窓を開けてコッソリと出て行こうとしたプリルンがいた。
「プリ……」
「何で何も言ってくれないのメロ?メロロン、ねえたまの気持ちが知りたいのメロ」
メロロンから詰められてプリルンは落ち込んだような顔つきをするとメロロンになら話しても大丈夫とばかりに話し始める。
「プリルンは、うた達と一緒に何でもできるって思ってたプリ。……だけど、違ったプリ。プリルンは、何もできなかったプリ……」
プリルンは悔しさのあまり目に涙を浮かべてしまう。それからあまりこんな顔を見せてはいけないと思ったのか涙を拭く。
「だから、決めたプリ」
「何をメロ?」
「プリルンは、キラキランドに戻るプリ」
「メロ!?」
それは大好きで大切なうたのため、アイドルプリキュアとして自分にできる事をしたいという彼女なりの決意だった。
「……だったら、メロロンも行くのメロ」
メロロンもプリルンと同じく覚悟が決まってるのかそう言う。メロロンもメロロンで大切なねえたまことプリルンを助けたいのだろう。
「メロロンは無理に着いていく必要は無いプリ」
「無理にじゃないのメロ。……メロロンは、メロロンの気持ちでねえたまと行きたいのメロ」
それを聞いてプリルンは心強い気持ちなのかコクリと頷く。それからプリルンは自分がいきなりいなくなってもうたが心配しないように自分が持っていたトイカメラにある映像を録画。それから荷作りを終えるとうたの家の窓から飛びながら移動する事になる。
「メロ。……ねえたま、行く前にほんの少しだけ寄り道しても良いメロ?」
「プリ?何するのプリ?」
「……メロロンもお別れの挨拶をするのメロ」
それから二人がコッソリと移動したのは影人達の家、黒霧家だった。ただ、もう時間が遅めなので電気は全部消えてしまっている。加えて窓は施錠されているのでプリルン達は入られないのだが、ここで偶然の出来事があった。
「メロ……どうしようメロ。鍵がかかっちゃってるのメロ」
「……メロちゃん?」
その声が聞こえると窓が開く音がした。そこから顔を出したのは影人……では無く夢乃である。
どうやらプリルンとメロロンは影人の部屋の窓を見つけたつもりが、夢乃の部屋の方に行ってしまったらしい。
「夢乃」
「丁度目が覚めちゃってトイレに行ってたとこだったから良かった。……あれ?プリちゃんも一緒なんだね。あ、もしかして二人で夜の散歩?」
そう言って夢乃はプリルンとメロロンを一旦中に入れると話をする事にした。
「……それで、二人で黙ってどこに行くつもりなの?」
「プリ!?何で……」
「メロちゃんはともかく、プリちゃんはもうこの時間だとうた先輩と寝ちゃってるからね」
夢乃にはお見通しだった。影人の家に何度も泊まりに来ているうちに夢乃にも何となくプリルンとメロロンの事がわかるようになったらしい。
「……夢乃、お願いがあるのメロ」
その顔は普段は影人の隣を譲らないと言って聞かない彼女とは違う、覚悟の決まった物であった。
「……良いよ。お兄ちゃん関係の事なら任せて」
それからメロロンは夢乃にある物を渡した。夢乃が受け取ったのは手紙である。
「オッケー。これは明日お兄ちゃんに渡しておくね。……じゃあ、あまり私の所に長居するのも良くなさそうだし……気をつけてね」
それからプリルンとメロロンは夢乃に見送られてまた移動しようとする。するとメロロンは一度夢乃へと振り返るとゆっくりと話し始めた。
「……メロロンは影人と出会えて幸せだったのメロ。……やっとできたねえたま以外のお友達で……」
夢乃はそこまで聞いたところでメロロンの口にそっと指を当てると話を途切れさせる。
「そういう台詞は本当に別れて二度と会わない人が言う言葉でしょ?ちゃんと帰ってくるつもりなのにそんな事言うのはダメ」
そう言ってから夢乃はそっと手を離す。それからメロロンはこれを言い忘れたとばかりに夢乃へと話した。
「夢乃。……その、今まで影人の事で夢乃に当たってしまってごめんなさいなのメロ」
それを聞いて夢乃は目を見開く。あんなに影人の事になると誰にも取られたく無いと言わんばかりの事をするメロロンが、こうやって夢乃へと今までの事を謝ってる。
「そっか。……良いよ!その代わり……今度会ったらメロちゃんも私と仲良くしてね」
夢乃がメロロンへとそう言うとメロロンはプリルンに手を引かれる形でその場を後にする。移動の直前にプリルンは夢乃へと改めて彼女からもお礼の言葉を口にした。
「夢乃、メロロンのお願いを聞いてくれてありがとプリ!行ってくるプリ!」
そう言って夢乃の元から去っていく二人。そんな二人を見送った夢乃の元に夜のそよ風が吹く。
「(二人共、元気でね)」
夢乃は何となくの直感だったものの、プリルンとメロロンの二人はこれから暫く自分の前に姿を現さないと察していた。だからこうしてメロロンが去り際に影人に会いに来たと、そこまで考えたのである。夢乃は寂しさで一筋の涙を流すと窓を閉めてまた眠りに着くことになるのだった。
〜現在〜
場面は再び戻ってキラキランド。そこでプリルンとメロロンが目指す先はキラキランドのお城である。
「プリルンは……うたの力になるプリ!」
「メロロンも絶対に影人の力になりたいのメロ」
二人はそれぞれの決意を胸にお城への道を進む。そんな中、メロロンは近くに水晶に閉じ込められたままの妖精を見て不安な気持ちがよぎる。
「メロ……」
そこにプリルンがメロロンの手を優しく掴む。それを受けてメロロンはプリルンの方を見た。
「……ねえたま?」
「大丈夫プリ」
「……あなたの温もり。今も、あの時も……私を強くしてくれるのはあなた。だから大丈夫メロ。ねえたまと一緒にいるとメロロンは頑張れるのメロ!」
「プリ!」
メロロンはプリルンと一緒なら安心できる。頑張れると自分を鼓舞。それから二人はお城に入ろうとすると近くの地面に落ちて二つに割れたような形の何かの大きな物体を見つける。
「ビッグキラキラリボン……チョッキンされたままメロ」
どうやら二人の目の前に落ちている物体こそがキラキラを照らすためのビッグキラキラリボンのようだ。それをよくよく見るとリボンを真っ二つに切ったような形状をしている。そして、その事からやはりビッグキラキラリボンは切られてしまったままらしい。
それから二人はキラキランドのお城に入ると一番奥の部屋へと入る事になる。そこは大きな広間のような空間であり、奥の階段の上にある上座には水晶が存在していた。
勿論中に閉じ込められているのはキラキランドの女王様……ピカリーネである。
「「女王様!」」
『よく来ましたね。プリルン、メロロン』
ピカリーネは肉体を動かせないのでテレパシーで話しかける中、二人はピカリーネの元に飛んで駆け寄る。
「プリルン、うた達の力になりたいプリ!うた達はキラキランドのために凄っごく頑張ってくれてるプリ!だから……」
プリルンは急いで自身のポシェットを開くと何かを探し始める。そんなプリルンを見て彼女が何を言いたいのかピカリーネはわかっているのか、先に答えた。
『わかっていますよ、プリルン。キラルンリボンを持ってきたのでしょう?』
ピカリーネの言葉の直後にプリルンはキラルンリボンが入っているリボンケースを出す。そのサイズはプリルンの体より一回り小さい程度ぐらいのサイズでどうやってポシェットの中に入れていた問題があるが、アイドルハートブローチの件もあるのでそれは大人の都合という事にして置いておこう。
それからプリルンがリボンを見せるとそこにはこれまでの戦いの中で集めてきたリボンがズラリと並んでいた。その数、約20個近く。
「うたとななとこころと影人が頑張って集めたキラルンリボンプリ!」
「いっぱいメロ」
『よく集めましたね。……キラルンリボンはダークイーネによって真っ二つにされたビッグキラキラリボンの欠片』
「欠片メロ?」
『そう。キラルンリボンを集めれば、ビッグキラキラリボンは元通りになるのです。そしてそこから光が溢れ、キラキランドを包む闇もはなみちタウンで人々のキラキラを狙うチョッキリ団も消え去るのです』
ここまでマックランダーやクラヤミンダーを浄化して手に入れたキラルンリボンを集めてきた事にはちゃんと意味があった。ビッグキラキラリボンが光を取り戻せば、チョッキリ団を撃退できるという事である。
「プリ〜!チョッキリ団がいなくなれば、キュアアイドル達ももう大丈夫プリ〜!!」
プリルンは嬉しさで大はしゃぎしつつ飛び回るとそのままビッグキラキラリボンへとキラルンリボンを戻すべく飛んでいく。これでうた達を助けられる、アイドルプリキュアとして力になれるとプリルンは嬉しそうだった。
「ねえたま!」
『……メロロン』
メロロンがプリルンの後を追いかけようとするとピカリーネが声をかけて止めた。そして、彼女へとある事実を伝える。
「女王様、どうしたのメロ?」
『……恐らくですが、プリルンの願いは叶いません』
「メロ!?どうして……」
メロロンは目を見開く。先程までの流れであればプリルンの願いが叶ってハッピーエンドになる。メロロンもそう思っていたのだ。
『ビッグキラキラリボンを元に戻すには、キラルンリボンが足りないのです』
「そんな……」
その事実はビッグキラキラリボンの力がキラキランド全体だけで無く、はなみちタウンにいるチョッキリ団にまで効果が及ぶ程に凄まじい力を持っている事を考えれば至極当たり前の事かもしれない。ただ、プリルンは自分の力でうた達を助けられるという気持ちでいっぱいとなっているのでその事実を聞く前に先に行ってしまったのだ。
「じゃあ、ねえたまは咲良うた達を助ける事はできないのメロ?願いは叶わないのメロ?」
そんな風に言うメロロン。ピカリーネはメロロンからの問いに無情にも頷いてしまう。
『はい』
「……メロ!それなら女王様!」
それからメロロンは自身のリュックの中に入れてきていた箱を開けるとそこにあるハートキラリロックをピカリーネへと見せる。
「メロロンが生まれた時から持っていたこれは何メロ?」
メロロンは一応これがハートキラリロックという断定ができていなかったためにそれをピカリーネへと見せる。
『……そろそろ話す時かもしれませんね。その……ハートキラリロックの事』
「やっぱり……これはハートキラリロックなのメロ!あっちの世界で調べたら、願いが叶うって書いてあったメロ!それは本当なのメロ?」
『そう。それは二人の願いを何でも叶えられる伝説のアイテム』
「メロ!じゃああの本に書いてある事は本当なのメロ!これならねえたまの願いを叶えられるメロ」
メロロンはそう言って歓喜する。これで全て解決できるかに思えたが、そのハートキラリロックにも大きな秘密があった。
『いいえ、メロロン。そのハートキラリロックを使ってはいけません。それは、とても恐ろしいアイテムなのです』
「どういう事メロ!?」
それからピカリーネは語り始めた。ハートキラリロックに秘められた恐ろしさについて。そして、それを聞き終えたメロロンは呆然としたような顔になると頷く事になるのであった。
また次回もお楽しみに。