キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
再度場面はキラキランド。メロロンがピカリーネとの話を終えた頃、先に移動していたプリルンは二つに切られてしまったビッグキラキラリボンの元に到着していた。
「あったプリ!これにキラルンリボンを戻すプリ!」
プリルンが早速持ってきていたキラルンリボンのケースを開けると中に入っていたキラルンリボンが次々と飛んでいくとビッグキラキラリボンの中へと吸い込まれていく。
ビッグキラキラリボンの力はキラルンリボンが補充された事である程度は戻ったのか光り輝く。それを見てプリルンは嬉しそうにしていた。
「これでうたを、キュアアイドル達を守るプリ!」
プリルンはキラルンリボンを戻せばビッグキラキラリボンが復活する。ピカリーネからの言葉を信じて疑わなかった。しかしビッグキラキラリボンは少しの間輝きを取り戻しこそしたものの、結局光ったのは少しの間のみでまたすぐに光を失ってしまう。
「どうしてプリ!?キラルンリボンを戻したのに……どうしてキラキラにならないプリ!!」
プリルンは聞いていた話と違うと言わんばかりに慌てた顔つきになる。そこにピカリーネとの話を終えたメロロンが到着するとようやくプリルンにもピカリーネから告げられた補足説明を聞く事になる。
「……ねえたま」
「メロロン!」
「キラルンリボンの数が……まだ足りないのメロ」
「プリ!?」
「女王様がそう言ってたメロ」
メロロンからの言葉を聞いたプリルンはようやく自分は先程の話を最後まで聞かずにぬか喜びをしてしまったのだと察すると落ち込んでしまう。
「プリ。そんな……それじゃ、プリルンは。プリルンはうたを……キュアアイドルを守れないプリ?」
プリルンの瞳からは涙が零れてしまう。そんな彼女をメロロンが優しく励まそうとしたその時。
「ブルっと来たプリ!?」
「メロ?」
「キュアアイドル達が大変プリ!?」
このタイミングでプリルンもやっとカッティンダーの襲来を察知。しかし、今自分達がいるのはキラキランド。はなみちタウンに戻るにしても自分達が通ってきた扉を潜らないといけない。
加えて、今の自分達では結局前日と同様で戦力にさえならない事も明らかであった。
「キュアアイドル……皆……プリーッ!!」
プリルンはその場で悔しさを叫ぶ事しかできない自分が嫌になってしまう。恐らく、この間もアイドルプリキュアの四人は窮地に陥っているだろう。
「プリルン、何にもできないプリ!キュアアイドルを守れないプリ!プリィ〜……プリィ……」
プリルンがそう言って泣き始めてしまう。自分に出来ることと思ってやった事は何の成果も挙げられず。ただ無駄に時間を消費しただけであると、プリルンは己の無力さを嘆くしか無かった。そこにメロロンが話しかける。
「……ねえたま。ねえたまはそんなにキュアアイドルが大事メロ?」
メロロンからの問いにプリルンは一旦泣くのをどうにか止めると前日にうたから貰ったスプーンマイクを取り出した。
「メロ。それは……」
「プリルンもアイドルプリキュアのメンバーって言ってくれたプリ。初めて会った時から、うたはずっと一緒に居てくれて。笑顔で歌ってくれて。キラッキランランで」
プリルンが思い出すのはこの数ヶ月でうたと過ごしてきた大切な思い出ばかり。プリルンにとってうたはかけがえの無い大切な存在として胸の中を温かくしてくれるのだ。
「キラキランドを救うためにキュアアイドルになってくれて。今だって、いっぱいいっぱい頑張ってくれて。プリルンはうたが。うたが大好きプリ!うたと出会ってからの思い出はプリルンの一番大事な宝物プリ!」
「それが、ねえたまの一番大事な物……メロ?」
「そうプリ!」
メロロンの問いにプリルンは“そうだ”と断言。メロロンの心は複雑なのか少し寂しそうな顔つきになる。
「キュアアイドルを守れるのなら……プリルン、何でもするプリ!」
そんな中で、プリルンはうたを……キュアアイドルを守るためだったら何でもできる覚悟があった。
「メロ!何でも……メロ?」
「プリ!キラルンリボンを探すプリ!」
そう言ってプリルンはキラルンリボンが落ちていないか探そうとする。……とは言っても百歩譲ってキラルンリボンが偶々近くに落ちていて見つかったとしてもせいぜい数個が限界。
その程度ではビッグキラキラリボンは戻らないだろう。また時間を無駄に消費するのがオチだ。メロロンは何となくそう感じ取ったが、プリルンがそれでも探そうとするのを見て……メロロンは声をかけた。
「ねえたま!」
「プリ?」
「……メロロン、ねえたまの願いを叶えられるのメロ!」
「プリ!?本当プリ!?流石メロロンプリ!」
プリルンはそう言ってメロロンへと近寄ると彼女の手を握る。メロロンはそれを受けて微笑むとプリルンへと自分が生まれた時から持っていたアイテム……ハートキラリロックを出した。
「これは、伝説のハートキラリロックメロ。二人の願いを叶えてくれるのメロ!」
「プリ〜!」
プリルンがメロロンからハートキラリロックの鍵の方を手に取る。すると鍵と錠がそれぞれ別の所有者の手に渡ったからか、共鳴して一瞬だけ光る。
「これで、キュアアイドルを守れるプリ?」
「メロ!」
「凄いプリ〜!」
そう言って嬉しそうに飛び回るプリルン。そんな中でプリルンがある事に気がついてメロロンへと聞く。
「プリ?そういえば、プリルンの願いを叶えて良いプリ?メロロンの願いは良いプリ?」
今まで触れてこなかったが、ハートキラリロックの使用条件として両者の想いが完全一致する必要がある。つまり、プリルンの願いを叶えるためにはメロロンは自分の願いを捨てる必要があるのだ。
「メロロンの願いは、ねえたまの願いが叶う事なのメロ!」
だが、メロロンは自分の願いをプリルンの願いが叶う事にすることによって両者の願いは完全一致。使用条件をクリアした事になる。
「メロロン……。ありがとプリ!」
そう言ってプリルンはメロロンへと抱きつく。それと同時にメロロンの中で二つの場面が思い出される。一つはキラキランドが真っ暗闇に染まったあの日。プリルンが自分のお姉ちゃんになる。そう言ってくれた場面だった。
もう一つは自分がプリルンを追ってはなみちタウンにやってきた日に影人と初めて出会い、彼に頭を撫でて貰った事である。それはメロロンにとって、プリルンと同じくらいに影人との関係が大切になっている証拠であった。
それからメロロンは先程のピカリーネとの会話を思い出す。ピカリーネから言われたハートキラリロックを使用してしまう事による代償。……その代償が発動してしまえば……もう元通りの状態には戻らないかもしれないという事。
それから最後に、ピカリーネは自分へとこう言った。ハートキラリロックを決して使ってはならない……と。
「(メロロンの覚悟は、もう決まってるのメロ。……例え、それが元に戻らなかったとしても、構わないのメロ)」
メロロンはそんな風に考えてからプリルンを抱き返すと改まった様子で彼女へと話す。
「……ねえたま。ハートキラリロックで願いを叶える前に、一つ問題があるのメロ」
「問題……プリ?」
それから、メロロンはプリルンへとその事について話す。プリルンはメロロンの説明を聞いて驚いたように声を上げるのだった。
同時刻。はなみちタウンのフェス会場にて。先程から暴れているカッティンダーを止めるべくアイドルプリキュアの四人が必死に抵抗を続けていた。
「アイドルグータッチ!」
「「はあっ!」」
アイドルがアイドルグータッチ。ウインクとキュンキュンが二人での同時キックを放つ。
「カッティンダー!」
しかし、カッティンダーには三人での同時攻撃でも全く通用せず。逆に殴られたせいで吹き飛ばされてしまう。
「「「うわぁああっ!」」」
三人が叩きつけられる中でソウルがカッティンダーへと肉薄。至近距離からのソウルバレットを放つ。
「キュンキュンの力!ソウルバレット!」
すると紫のエネルギー弾が放たれるとカッティンダーの顔面に命中。カッティンダーは流石にダメージを受けたのか声を上げた。
「カッティンダー!?」
「やっぱり、俺の攻撃なら多少は効くのか」
しかし、すぐに立て直したカッティンダーが反撃のビームを目から放つ。
「ッ!!」
ソウルは咄嗟に後ろに跳んで回避する中、カッティンダーはその一瞬で距離を詰めるとソウルを蹴り飛ばしてしまう。
「がはあっ!?」
「ソウル!……ッ、そんな」
「ソウルでもダメなの……」
ソウルはダメージを受けるものの、どうにか倒れずに後ろに下がる程度で踏み留まる。
「ヤバいな、俺は兎も角……アイドル達三人の方は全く通用してない」
前回の強化前でさえアイドル達三人は押されてしまってたのだ。こうなってしまうと勝ち目はかなり薄いだろう。それこそ、奇跡の類いに賭けないといけない。
そんな中で、木々の影からこの戦闘の様子を見守るスラッシュー。今回、彼女は珍しく割と大人しかった。パワーアップしたカッティンダーにアイドルプリキュアがどう対抗するか気になった所だろう。
「……このままではアイドルプリキュアの負けは誰の目にも明らか。流石のキュアソウルでも一人での逆転は難しいって所かしら……」
スラッシューは真剣そうな顔つきで見守るものの、少し寂しそうな声色だった。恐らく、カッティンダーが勝てば容赦なくソウルこと影人にトドメを刺してしまうだろう。そうなれば、もう影人を自分の方に引き込むことができない。
「……最悪負けて気絶した所を連れ去ろうかしら」
スラッシューがそう考えている中、またアイドル達三人がカッティンダーに向かっては返り討ちにされて地面へと倒れ伏していく。
「ッ、ダメだ。アイドル達にこれ以上戦わせたら本当に不味い……」
三人共が既に疲弊し切ったように息を荒げており、どうにか立ちあがろうとしてこそいるが……満身創痍なのは目に見えて明らかだ。
「……お願いだ。ソウルメガホン……この力を俺に!ソウルスクリュー!」
ソウルは前にスラッシュー相手に通用したソウルスクリューを使えばどうにかできるかもしれないと白と黒のダイヤルを合わせる……しかし、やはりメガホンは何も反応してくれない。
「ッ、動け……動いてくれ!お願いだ、このままじゃ……このままじゃ不味いんだよ!」
ソウルは珍しく焦っていた。このままでは全員纏めてやられてしまう。それだけはどうにかして避けたかった。
「単体の力だけでも良い。お前だけが頼りなんだよ!」
ソウルは白や黒のダイヤルの単独使用を試みるが、やはり無反応を貫いたまま。するとカッティンダーがソウルの目の前にやってきていた。
「カッティンダー!」
「ソウル、危ないです!」
カッティンダーが拳を振り下ろす中、ソウルはどうにかそれを受け止める。凄まじいパワーを前に後ろに押し戻されるが、どうにか全力を使ってソウルは攻撃を止めた。
「クソッ……俺がどうにかするんだ。こんな事でアイドル達の晴れ舞台を台無しになんてしたく無いんだよ!一生のトラウマになんて……したく無いんだよ!」
「「「えっ……」」」
アイドル、ウインク、キュンキュンの三人がそれを聞いて目を見開く。ソウルが焦っていた理由。それは三人の事を想っての事だった。折角待ちに待ったアイドルプリキュアのイベント参加による公の場での初ライブ。
アイドル達はここまでの一週間。観客達をキラッキランランにするために必死に努力していたのをソウルは、影人は見ていた。
だからこそソウルは昔の自分と同じような事になんてしたく無かった。観客達は今回の件でアイドルプリキュアに嫌な印象を持ってしまったかもしれない。ただ、カッティンダーを無事に浄化すれば苦しい言い訳なものの、パフォーマンスの一環としての誤魔化しがギリギリ通用する。
しかし、ここで自分達が負けて観客達に実害が及べばどうなるか……。世間の人気者のアイドルプリキュアから一転。野外の公開ライブで人間への実害を出したという事で悪評が広まり、世間からのバッシングとかも受けてしまうかもしれない。
ソウルはアイドル、ウインク、キュンキュンの三人にそのような事態を見せたく無かったのだ。
「ソウル……まさか私達のために」
「それなら尚更倒れてなんか……」
「ソウルを助けないと……」
三人がどうにか立ち上がると、ソウルはそれを見てギリギリカッティンダーを押し返す。
「逆転のチャンスは……もうここしか無い!」
ソウルはすかさずライブ技を発動。技を命中させて一気にカッティンダーの動きを封殺。そこから前にウインク→キュンキュンのライブを立て続けにやったようにアイドル達三人の技に繋げられれば或いはと考えていた。
前回、アイドル達三人の技が通じなかった事やそこから更にカッティンダーそのものが進化している事を鑑みるともうこれしかカッティンダーを止める術は無いのでソウルも最後のチャンスに賭ける事にしたのだ。
ソウルが展開した領域の内部では彼の曲の音楽が鳴り響き、インカムを装着する。
「クライマックスはこの俺!」
これにより、カッティンダーは席への強制着席が発動すると座らされてしまう。
「カッティン!?カッティン!」
カッティンダーはどうにか席から抜け出すために暴れようとするが、ソウルの気持ちによる拘束力強化が入っているためか抜け出す事ができなかった。
「フィナーレ、決めるぜ!」
その間にソウルの曲が始まると彼は歌い始める。そうなったためにカッティンダーはライブを聴きながら手にしたキライライトを振った。
♪決め歌 魂の鎖を解き放て♪
「己の力〜♪(my soul!)そんな物はな〜♪(my soul!)鎖を壊し、強くなるためにある♪!君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪」
ソウルが歌い終わるとソウルの技のエフェクトとして胸から飛び出した紫の星が浮かぶとソウルが上に乗り、空中へと移動してからそれを蹴り込む技を発動。
「プリキュア!ソウルシャウト!」
ソウルから繰り出された星のエネルギーをカッティンダーへと蹴り込もうとしたその瞬間。
「ッ!?」
突如としてソウルの体から力が抜けてしまうとライブモードにして手にしていたソウルメガホンがいきなりバグが発生したかのように色がチカチカと点滅。
それと同時にソウルが蹴り込もうとした星のサイズが一気に小さくなると着席していたカッティンダーが飛び上がって抜け出してしまう。
「クソッ!せめて技だけでも!」
ソウルがどうにかカッティンダーの逃走先を予測してそこへと蹴り込むが、カッティンダーは攻撃を回避するまでも無いと手を前に出して攻撃を受け止めて握り潰してしまう。
「カッティンダー!」
「そんな……」
「どういう事!?」
「ソウルの技が弱体化したって事!?」
「でも、私達の心が弱まったわけじゃ無いですよ!」
原因はわからない。何しろ、まだアイドル達三人の気持ちは揺らいで無いのだ。だが、何故か突如としてソウルの力が一気に抜けると弱体化してしまったのである。
「くっ……」
「カッティンダー!」
するとカッティンダーから繰り出された拳をソウルが先程同様に受け止めようとするものの、先程よりも体に力が入らずに抵抗する間も無く一瞬にして吹っ飛ばされてしまった。そのままライブ会場にある観客達とステージを隔てるための柵を粉砕しながらステージの下にある壁に激突。ドサリと音がすると倒れ込んでしまう。
「あ……があっ……ゴホッ、ゴホッ……」
ソウルはあまりの激痛に加えて発生した埃を吸い込んでしまったせいでむせていた。
「ソウル!しっかりしてください!ソウル!」
キュンキュンが慌てて駆け寄る中、ソウルは力が抜けた上にカッティンダーに吹っ飛ばされたせいでまともに動けなくなってしまう。
「止めて!カッティーさん!」
「止まって!」
ウインクとアイドルが口々に呼びかけるが、カッティンダーは止まらない。キュンキュンはそれを見てソウルの元から離れるとアイドル、ウインクと共に並ぶと共にブローチをタッチする。
「ソウルのためにも……絶対にキラキラにします!キュンキュンレーザー!」
キュンキュンがレーザーを放つとカッティンダーはそれを迎え撃つために口に破壊光線のエネルギーを溜めるとそれを放つ。
「カッティンダー!」
破壊光線はあっという間にキュンキュンレーザーを呑み込むと粉砕。そのまま向かってくる。
「まだまだ!キュンキュンレーザー!レーザー!」
キュンキュンがブローチを二連続でタッチしてレーザーを追加するものの、まるで焼け石に水とばかりに簡単に掻き消されてしまう。
「そんな……」
「ッ、ウインクバリア!」
キュンキュンが渾身のレーザーを連続で放っても無意味な事に絶望感が広がる中、ウインクが咄嗟にバリアを発動。
「くううっ……」
ウインクは必死に踏ん張るとカッティンダーからの破壊光線をどうにか止め切る。……しかし、もうバリアはボロボロで亀裂が入りまくっていた。そこに追撃とばかりにカッティンダーが二度目を放つ。
「カッティン……ダー!」
カッティンダーは両腕を斜めに広げるポーズと共に放った光線は既に限界近かったバリアを一瞬で粉砕。後ろにいたアイドル、ウインク、キュンキュンを爆発と同時に簡単に吹き飛ばすとソウルの前に叩きつけさせる。
「「「うわぁああっ!?」」」
「皆……クソ……ダメだ……負ける」
ソウルはこの絶望的状況に心が折れかけてしまっていた。どうにかしようにも、自分の力さえも残ってない。
ただの無力な一人のアイドルプリキュアでは……どうする事も叶わなかった。それを見たスラッシューは仕方ないとばかりに介入しようとする。
「はぁ……ダークイーネ様からペナルティを受けるでしょうけど、このままじゃアイドルプリキュアは消される。……せめてキュアソウルだけでも確保しておかないと……」
そんな中、アイドルはどうにか傷ついた体を動かしてカッティンダーを見上げる。しかし、もう自分ではどうする事もできない。
そして、避難した人々もいつまでも終わらないこの絶望的状況のせいで不安が募っていた。
「はぁ……はぁ……」
ライブを観に来ていた東中は手にしたスマホを見ると先程ライブとして中継されていた映像が一時中断を示す“暫くお待ちください”に変わっているのを見て不安そうに呟く。
「暫くお待ち下さい……?一体、何が起きてるの?」
「……大丈夫よ。すぐにライブができるようになるわ」
するとそこに一人の女性がしゃがみ込むと彼女へと励ますように声をかけた。
「あなたは……」
そこにいたのはアイドルプリキュア及び、夢乃ことドリーム・アイのアカペラの先生である山上であった。
その周囲には他のアカペラの先生である環木、南、仙石の三人も周りの不安な気持ちをどうにかしようと励ましの言葉を言っている。彼女達もアイドルプリキュアの晴れ舞台を観に来てくれていたのだ。
そして、もう一人。会場に来ていた影人の妹。夢乃もアイドルプリキュアがどうにかしてくれると……諦めない顔つきでいた。
「(お兄ちゃん達ならきっと、きっと何とかしてくれる……)」
そんな中、場面は再びプリキュアとカッティンダーへ。アイドルはどうにかカッティーへと呼びかけようと痛む体を動かして前に動く。
「カッティー!うっ!?」
しかし、ダメージでもうまともに動けない中で無理に動いたのでバランスが上手く取れずに前のめりに転んでしまう。
「はぁ、はぁ……今日のライブのために皆で頑張ってきたの……。だから、もう止めてカッティー!」
必死に呼びかけるアイドル。カッティーもカッティーでカッティンダーの中で頭を抱えていたが、アイドルプリキュアがやられる所は観れていても、アイドルの声は全く届いていないためにどうにか自分を止めて欲しい気持ちでいっぱいになっていた。
「自分はなんていう事をしてしまったのですぞ……」
アイドルは絞り出すような声でどうにかカッティーへと声を届かせようとするが、もうウインクもキュンキュンも……ソウルさえも……ダメージで動く事すらできていない。
「沢山の人達が楽しみにしてくれていたのに……」
アイドル達は完全にダウンし切って動く事すらできず。最早カッティンダーを止める者は誰もいない。
「誰か、誰か……自分を……止めてくれですぞ……!」
カッティーの言葉は誰にも届かない。ソウルは悔しさで拳を地面に打ち付けるものの、立つ事ができない自分には何もできないと痛感させられたその時だった。
「……はぁっ!」
そこに突如として聞こえる声。それと同時にカッティンダーが殴られたような凄まじい音が響く。
カッティンダーがその衝撃をどうにか向きを変えつつ後ろに下がって抑える中、更にそこにもう一つ声が聞こえた。
「はっ!」
二度目の声の直後にカッティンダーは蹴りを受けて吹き飛ばされるとそのまま後ろに倒れ込む。その光景を見たアイドル、ウインク、キュンキュンが思わずその方向を見る中、降り立つ二つの影。
「誰……」
そして、ソウルもいきなり現れた二つの影を見て目を見開いた。 そこにいたのは……その場にいる誰もが初めて見る新たなる二人の戦士達の姿であった。
また次回もお楽しみに。