キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

140 / 328
ハートキラリロック発動 謎の戦士達の初陣

〜回想〜

 

窮地に陥ったアイドルプリキュア達の前に二人の戦士が現れる少し前。キラキランドでプリルンはメロロンからハートキラリロックで願いを叶える際に受けないといけない代償について話を受けていた。

 

「メロロン、教えてプリ!」

 

「メロ。このハートキラリロックで願いを叶えるためには……その代わりにねえたまもメロロンも、一番大事な物を封印しないといけないのメロ」

 

それがハートキラリロックを使う際の最大のデメリット。プリルンもメロロンもそれぞれの持つ一番大切な物に文字通り鍵をかけないといけないのである。

 

「一番大事な物……プリ?」

 

「メロ、ねえたまの宝物。咲良うたとの思い出は全部無くなっちゃうのメロ。それでも良いメロ?」

 

「良いプリ!」

 

メロロンからのプリルンの覚悟を問いかける最後通告にプリルンは迷う事なく頷いた。プリルンからしてみればうたとの思い出はハッキリ言って失いたく無い。それでも、それでもプリルンはうたを……キュアアイドルを助けるためだったら自分の記憶を無くしても良い。

 

そう思えるくらいに彼女の事が大切で、プリルンにとって絶対に失いたく無い存在だった。

 

「それで、キュアアイドルを守れるのなら……。プリルンは、大丈夫プリ」

 

それでも辛い気持ちは抑えきれずに涙を流すプリルン。彼女の意思が固い事を見たメロロンも己の中で改めて自分の分の覚悟を再度決めるとプリルンの気持ちに同意した。

 

「わかったのメロ。それじゃあ、ねえたま。鍵をかけるのメロ」

 

メロロンはできる限り自然に。プリルンの覚悟を邪魔してしまわないように直球で鍵をかける事を勧めた。勿論プリルンの方はそんなメロロンが自分の願いを叶えるために何を無くしてしまうのかわからずに質問する。

 

「プリ?メロロンの大事な物と封印するプリ?」

 

「メロ。メロロンも覚悟はできてるのメロ」

 

メロロンはプリルンへと普通の声色で答えを返す。プリルンはあまりにも平然としているメロロンへと更に問いかけた。

 

「メロロンも何かを封印しないといけないプリ。メロロンは、メロロンは何を封印するつもりプリ?」

 

そんなプリルンからの問いに、メロロンの答えは決まっていた。まるで悪戯をする子供のような笑顔で、できるだけいつも通りで……それを話した。

 

「内緒メロ」

 

「プリ?」

 

「さぁねえたま。咲良うたを助けに行くためにも……鍵をかけるのメロ!」

 

プリルンはメロロンに促されると思わずコクリと頷く。すると二人の覚悟と全く同じ願い。加えてそれぞれの封印する物が出揃ったためにハートキラリロックは二人の願いを叶えるために眩い光を放ち出す。

 

「キュアアイドルは……プリルンが守るプリ!」

 

そう言いながらプリルンはメロロンの持つ鍵穴に自らの持つ鍵を差し込む。ハートキラリロックが虹の輝きを放つ中、プリルンは意気込んだような顔つきになっていた。

 

それと同時に……メロロンはそんなプリルンを見ながら一筋の涙を流す。そして、心の中で彼女は語った。

 

「(影人……折角友達になってくれたのに……ごめんなさいメロ)」

 

その直後。プリルンは願いを叶えるために鍵を回して封印を発動。これにより、プリルンは咲良うたとの思い出。メロロンも自らの持つ何かしらの一番大切な物を封印。それと同時に二人はハートキラリロックが与えた眩い光に包まれていった。

 

〜現在〜

 

アイドルプリキュアが倒れ、万事休すと思われたその時。そこに現れた二人の戦士。

 

誰も見た事の無いその戦士の一人は倒れていたアイドルプリキュア達へと声をかける。

 

「もう大丈夫だよ」

 

一人は白に近いブロンドのロングヘア。ブランドの髪の一部は薄緑とピンクのメッシュが入っていた。加えて、左側のサイドのみを前方に流した髪型になっている。薄緑のメッシュのある前髪に音符型のアクセサリーを着け、頭部左右には動物の耳とも取れる白とライトグリーンの髪飾りがある。瞳は赤いが、ハイライトは黄色。口元には口紅があって大人っぽさを出していた。

 

コスチュームは白を基調としたデザインであり、スカートの背面には大きなリボンがある。左袖には大きなフリルが出ており、右肩は肩出し状態になっていた。ブーツの方は左足がショート。右足がサイハイブーツと左右非対称。手には白のロンググローブ。スカートの下にはグレーのスパッツを重ねている。

 

もう一人はピンクと黒のツートンカラーの髪色で、よくよく見るとピンクと黒のカラーリングがツイストしているような雰囲気にも見える。加えて濃いピンク色の髪を束ねたツーサイドアップに黒のメッシュ。前髪には紫のメッシュがグラデーションとして入っていた。瞳の色は紫。白がメインカラーの女性とは違ってハイライトの色の変化は無い。逆に共通点として口元の口紅は同じだ。しかし、こちらの方がより大人の色気を強く感じられるような容姿をしている。

 

衣装は黒と薄紫を基調としつつ、背面の腰辺りに大きなリボンがある。両手にはリボン付きの黒のグローブを装着しており、足元には黒のサイハイブーツを履いている。メインカラーは黒であり、あくまでピンクや紫は差し色程度に収まっているので他のプリキュアとカラーの被りは無い。

 

「二人の……新しい戦士?」

 

すると様子を見ていたスラッシューもまさかの事態に出るのを中断して見守る方向に徹していた。

 

「あなた達は……うっ……」

 

ソウルが声をかけるものの、痛みが彼の体を襲って顔を歪ませてしまう。それを見た黒い衣装の女性は悔しさを噛み締めるように少しだけ口元が歪むが、すぐにその顔つきは再びキリッとした凛々しい物に戻った。

 

「ッ……」

 

それから二人は息ピッタリのタイミングで歩む。そんな彼女達の歩く先にはレッドカーペットのような物が出てくると周りからの視線を受けながら無言で、尚且つ美しい姿勢で進んでいった。

 

「……チュッ」

 

すると黒い衣装の女性が投げキッスの要領でハートに二枚の黒い翼が生えたような精霊のような物を出す。

 

「チュ〜!」

 

その精霊は落ちていたプリルンのトイカメラへと勝手に入るとそれを操作。フワフワと浮かび上がると二人組の女性の映像を映させた。勿論、この様子を中継で観ていたライブビューイング勢や避難していた東中達もスマホ等から確認する。そして、二人の女性は正面に回ってきたカメラへと目線を向けるとポーズを取って名乗った。

 

「キュアズキューン!」

 

「キュアキッス!」

 

「キュアズキューンに、キュアキッス……」

 

アイドルがそう呟く中、キュアズキューンと名乗った白い衣装の女性は更に話す。

 

「……私達のキラキラショータイムを見せてあげる!」

 

それと同時に突如として場面が変化。それはアイドル達が浄化技を発動させるためのライブ会場であった。スポットライトに照らされたズキューンとキッスは問答無用で技を使う。

 

「「二人の誓い!今、輝け!」」

 

二人は取り出した新しいリボンを既に装填していたリボンの代わりに装填。それと同時にカッティンダーがお決まりの強制着席を喰らう。

 

♪決め歌 Awakening Harmony♪

 

「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」

 

「その笑顔♪」

 

「勇気♪」

 

「涙♪」

 

「夢♪」

 

「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪」」

 

スポットライトから二人のステージのためにライブステージが照らされると観客達はズキューンとキッスのイメージカラーである白と黒のキラキライトを振り、着席していたカッティンダーも同じように振る。どうやら二人の技は強化されているカッティンダーを完全に封殺できるらしい。

 

「「プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」

 

そして、二人がそれぞれ普通の音符マークと二つの音符が連なった音符マークのエネルギーを出すと手にしたマイク……キラキラショータイムマイクをタッチ。そのまま手を繋ぎ、技名を叫びつつ二つの音符のエネルギーを合体。カッティンダーへと降り注がせる。

 

これには流石のカッティンダーも堪らず浄化されるとクラヤミンダーも話していた浄化後の言葉を口にした。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

カッティンダーが消滅するとカッティーが助け出され、目元のアイシャドウのような模様が消え去ると切られていた彼のリボンも復活する事に。

 

「キュアズキューンにキュアキッス。あの状態のカッティーも退けるなんて……中々やるじゃない」

 

スラッシューはカッティンダーが浄化された事でこれ以上はいる必要も無いとその場から撤収。空は晴れ渡った青空を取り戻すのだった。尚、カッティンダーを浄化して出たキラルンリボンはしっかりと黒い衣装の女性ことキュアキッスが回収している。

 

そして、事態が収束したためにアイドルプリキュアの四人も立ち上がるとステージの上に立つズキューンとキッスを見た。

 

「最高にキラッキランラン……」

 

アイドルが興奮したような顔つきをした中、ひとまずは倒れているカッティーを連れて移動する。彼は長い事カッティンダーに呑み込まれていたので余計に体調が心配だったのだ。

 

「……ここは」

 

「あ、気が付いた!」

 

大の字で仰向けになっていたカッティーが目を覚ます中、そんな彼を上から覗くアイドル、ウインク、キュンキュンの三人。尚、ソウルはそこまでする必要は無いだろうと一歩離れて立っていた。

 

「ここは、天国ですぞ……」

 

「ちゃんと生きてるから安心しろ」

 

「大丈夫ですか?」

 

そんな風にソウルに言われ、ウインクに心配されるとカッティーは起き上がってアイドル達と向き合う。

 

「えぇ、自分は心が洗われたようですぞ。……何と爽やかな気持ちですぞ」

 

「取り敢えず、一件落着ですね!」

 

キュンキュンにそう言われるとカッティーは改めてソウル達四人の前で土下座をする。

 

「これまで、酷い事をして申し訳なかったのですぞ……。謝っても、謝りきれないですぞ」

 

カッティーは申し訳なさそうに涙を流す。今まで自分は人々からキラキラを引き抜いて苦しめてきた。その罪の重さに彼は改めて向き合ったのである。

 

「私達は何も……」

 

「歌って踊ってファンサして。キラッキランラン〜!にしてくれたのは……キュアズキューンとキュアキッスだもんね!」

 

アイドルが興奮したようにそう言うと四人は自分達の奥に立っているズキューンとキッスの方を向く。

 

「……俺達が救ってあげられなくて悪かった。これは俺達の実力不足だ」

 

「そんな事はありませんぞ!」

 

ソウルが申し訳なさそうにするとカッティーが食い付くように声を上げて反論する。

 

「確かに、あのキュアズキューン、キュアキッスのステージは眩しかったのですぞ!しかし、しかーし!この闇に塗れた自分を……キラキラと照らしてくれたのは……あなた達に他ならないのですぞ!アイドルプリキュア!」

 

「……そうか」

 

「日頃の積み重ねが効いたって感じですね」

 

ソウルとキュンキュンがカッティーの話に納得する中で当のカッティーは四人を指差す。

 

「ビシッ!自分カッティーながらファンクラブ会員番号……自称、一番ですぞ!」

 

そう言って上機嫌になって去っていくカッティー。この様子だともう悪事を働くつもりは彼には無いだろう。チョッキリ団からも完全に脱退する事になる。何にせよ、彼は救われたのだ。アイドルプリキュアや謎のコンビであるキュアズキューン、キュアキッスに。

 

「さ、チョッキリ団ともおさらばして。新しい働き先を探すのですぞ!」

 

「……カッティー。幸せそうだな」

 

「うん。キラッキランランになったって感じ」

 

それから四人は自分達を助けてくれたズキューンとキッスの方を向くと二人は事件の解決を受けて立ち去ろうとする。

 

「あ、待って!あなた達は……」

 

「キュアキッス」

 

「キュアズキューン」

 

アイドルに呼びかけられた二人は改めて自らの名前を名乗る。特にズキューンはアイドルへとファンサのためのズキューンの指先を向けた。

 

「ッ……」

 

アイドルはズキューンからのその目線に思わず顔が赤くなる。ウインクやキュンキュンも思わず二人に見惚れていた。

 

「……うっ!?」

 

そんな時に突如としてソウルの体から更に力が抜け始めると纏っている衣装さえも点滅を始め、今にも変身が解けてしまいそうになる。

 

「えっ!?」

 

「ソウル、ここで変身解除は不味いですよ!」

 

「わかってる……でも、もう力が入らない……ダメだ。このままじゃ変身さえも維持できない!?」

 

このままではズキューンやキッスの前で正体を晒してしまう。そんな時だった。今まで割と静かだったキッスがズキューンへと小さく呼びかける。

 

「……お姉様。お願いがあります」

 

それからキッスがズキューンへと小声で何かを話すとズキューンは笑顔で頷く。

 

「うん。キッスのお願いなら良いよ!」

 

「ありがとうございます、お姉様」

 

それからズキューンが手を出すとそこから白い光の球体が生成。キッスはそれを受け取ると自らの手に同じように黒い光の球体を生成。二つを混ぜるとキッスはそのエネルギーを纏った手を口元に持っていく。

 

「……メロメロ夢〜CHU♡!」

 

その言葉と共にキッスが投げキッスを放つと白と黒の光に包まれたハートのエフェクトがソウルの体へと入っていく。それと同時にソウルの衣装の点滅が消えて力を取り戻したのか体に力が漲るのを感じる。

 

「え……今のは何?」

 

「力が……戻った」

 

「本当!?」

 

「ああ。むしろ、前よりも強い力を感じてるくらい。……えっとキュアキッスだっけ。何で……」

 

「……別に、ただの気まぐれよ」

 

そう素っ気なく返すキッス。彼女は背を向けるとそのまま歩き始める。そんな彼女に置いてかれないようにズキューンも軽く別れの言葉を告げた。

 

「あ、キッスってば。それじゃ、私も。……バイバイ」

 

ズキューンは最後にさりげなくアイドルへとズキューンをすると彼女の心は何かに撃ち抜かれたように彼女の気持ちを抑えるためのガラスが砕け散るような感覚を感じ取った。

 

アイドルが呆然とする中でズキューンとキッスは去っていく事になる。そして、そんな彼女達をアイドルプリキュアの四人は見送る事しかできないのであった。

 

「……キュアズキューン」

 

そして、ソウルの方も先程受けたキッスからの投げキッスを受けて心の中で何か変な感覚を感じていた。

 

「……キュンキュンの事を異性として好きになるとはまた違う。何だこの感覚は……」

 

ソウルの胸は何故か高鳴っていた。キュアキッスとは一度も会った事無い初対面のはず。それなのにこんなにも惹かれてしまう。勿論、キュンキュンことこころへと向ける気持ちとは全く別物だ。だからこそ彼は困惑するのだった。

 

〜おまけ〜

 

アイドルプリキュア達と別れたズキューンとキッス。それから少しして。誰もいない場所。

 

「ふぅ……やったね!キッス」

 

「えぇ、お姉様。……ただ」

 

「え?どうしたの?」

 

その直後、突如としてポンという音と共にキッスの髪がモッサモサになってしまう。

 

「え!?キッス、どうしたの!?」

 

「……うぅ、やっぱりこうなるわよね……」

 

どうやらキッスは何故かこうなることがわかりきっていたらしい。また、ズキューンの方はいきなりモッサモサの髪になったパートナーに慌てる。

 

「本当にこれ、どうして?」

 

「気にしないで大丈夫。すぐに治るわ。まぁ、キュアアイドル達の前でこうならなかっただけマシね」

 

こんな感じでネットへの無断アップロードをやってしまったキュアキッスは一応戦闘終了後の周囲に誰もいない場所でしっかりとピカリーネからの罰を受ける事になるのであった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。