キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影に頼り過ぎた代償 堪忍袋が切れた夢乃

うた、なな、こころの三人はクラヤミンダーの登場に現場へと駆けつけると早速対応するためにプリキュアへと変身する。

 

「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」」

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

そして、三人が変身を完了させるとチーム名としての名乗りをキュアソウル登場前に一度やったきりでずっとやってなかった三人版としてやる。

 

「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」

 

それからザックリーやクラヤミンダーの前に姿を現すアイドル達三人。そんな中で彼も異変に気がついたのか目を一度細めた。

 

「……あん?おい、今日は三人だけか?キュアソウルはどうした?」

 

「うぇ!?え、えっと……」

 

「今日は私達三人だけでも十分って事です!」

 

アイドルは質問されて慌てふためく中、キュンキュンはソウルが来れないために不利であるという事を悟らせてはいけないと咄嗟にそう反論。ザックリーも侮られていることが気に食わないのか苛立ったような顔つきになった。

 

「何だと!?幾ら病み上がりだからってザックリ舐めやがって!クラヤミンダー、やっちまえ!」

 

「クラヤミンダー!」

 

アイドルプリキュアの三人とクラヤミンダーの戦闘が始まる中、喫茶グリッターでは夢乃に引っ張られた影人が夢見心地の腑抜け顔でお店から出てきた。

 

「うぅ、夢乃……。もうちょっとキッスのライブを……」

 

「何言ってるのお兄ちゃん、ここもクラヤミンダーが出た場所からそう遠くないし、危ないから逃げないと……」

 

それから二人が外に出ると一旦夢乃は疲れたような顔つきをする。何しろ、まず外に出すだけでもそれなりに苦労したからだ。影人はカウンターの席に座って全く動かないし、単純に小6女子の身体能力では脱力し切って動くつもりの無い影人を外に出すどころか少し動かすだけでも一苦労。それでもどうにか苦労して外にまでは出したのだ。

 

「もう、お兄ちゃん。動く気が無いのもあるけど私の力じゃ全然動かないし……」

 

「ん〜……キッス……どこ行くのぉお……」

 

そんな風に影人がブツブツ言うのを聞きながら夢乃は体力が少し戻るのを待ってまた動かそうとする。

 

「良し、じゃあ戦闘の現場から早く避難を……あれ?」

 

夢乃が顔を上げるとそこに影人の姿は無い。それからキョロキョロ探すとまさかのクラヤミンダーが暴れていてアイドルプリキュアが戦闘中の場所にフラフラとしながら向かう影人が見えた。

 

「へっ!?お兄ちゃん何で!?ちょっと、そっちは危ないよ!!」

 

夢乃が慌てて影人を連れ戻そうとするが、何故か影人は行こうとして仕方がない。

 

「お兄ちゃん、そっち行ったらうた先輩達の邪魔になっちゃうから!」

 

「嫌だぁ、キッス行かないでよ……」

 

「もう!周りに人がいなくて本当に良かった。こんなお兄ちゃん見せられないよ〜!!」

 

その場には夢乃の悲痛な叫びが響く。そんな感じで影人は戦闘の現場にフラフラと行ってしまうのだった。

 

再び場面は戻ってクラヤミンダーと戦うアイドルプリキュア達。クラヤミンダーはお腹の赤く丸い模様の部分からいきなり裏面が赤の鏡を射出。それが三人の元に飛んで行った。

 

「来た!」

 

「ここは任せて!」

 

ウインクが前に出ると相手の飛び道具を止めるためにブローチをタッチしてバリアを展開する。

 

「ウインクバリア!」

 

それによって最初に来た二発を防ぐ。しかし、クラヤミンダーからの攻撃の威力は思っていたよりも凄まじかった。

 

「うっ……くぅ……」

 

たった二発防いだだけなのにバリアにはあっという間にヒビが入ってしまう。

 

「不味い……このままじゃ」

 

そこに三発目が飛んでくるとウインクバリアを粉砕。その余波でウインクは吹き飛ばされてしまう。

 

「きゃあっ!?」

 

「ウインク!」

 

アイドルとキュンキュンがウインクを心配する中、クラヤミンダーは未だに健在。そのためキュンキュンは少しでも状況を良くするために跳び上がってブローチをタッチ、技を発動する。

 

「キュンキュンレーザー!」

 

キュンキュンが放ったレーザーがクラヤミンダーへと向かう中、クラヤミンダーは再度先程同様に丸い鏡を出す。ただし、今回は鏡をプリキュア達に向けて飛ばしたわけでは無い。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーは放たれたキュンキュンレーザーの本数の倍の数の鏡を展開すると一つ目でキュンキュンレーザーを受け止める。

 

「えっ!?」

 

その瞬間、レーザーは鏡の反射によって斜め上へと弾かれる。アイドル達三人がレーザーの行き先を見ると顔を青ざめさせた。その先に残りの鏡があり、その鏡の角度は自分達の方向を向いていたのだ。

 

「まさか!?」

 

そう、キュンキュンレーザーはプリキュアの技とは言ってもあくまでレーザー。鏡のような光を反射できる物があったら簡単に跳ね返されてしまうのである。

 

「「「うわぁああっ!」」」

 

アイドル達三人が慌てて上から降り注ぐレーザーを回避。キュンキュンの技は自分達の首を締める結果で終わってしまったのだ。

 

「アイドル、ウインク、すみません!!」

 

「だったら私に任せて!」

 

レーザーが一通り降り終わって雨が止んだタイミングでアイドルが跳び上がるとブローチをタッチ。アイドルも技を使う。

 

「アイドルグータッチ!」

 

アイドルがクラヤミンダーへと突撃するとそのタイミングでクラヤミンダーの方は先程の赤い丸の部分に手を突っ込むと何かを取り出す。それは先程までとは違った持ち手付きの鏡であった。そのまま鏡のある面を向かってくるアイドルやその後方にいるウインク、キュンキュンに向けると光が三人を襲う。

 

「ッ!?」

 

「眩しい!!」

 

「これじゃあ見えない……」

 

そのせいでアイドルはグータッチをキャンセルせざるを得ず。どうにかバランスを崩さずに着地こそできたが、クラヤミンダーは更に追い討ちで鏡で仰ぐとそれによって凄まじい衝撃波が発生。その威力は周囲の木々を何本も纏めてへし折ってしまう程だった。

 

「「「きゃああっ!」」」

 

三人はその衝撃波に持ち堪えられずに吹き飛ばされて地面に激突。何とか立ち上がるものの、クラヤミンダーの手強さに苦戦しっぱなしだった。

 

「強い……。私達の技が全然効かない」

 

「何で、いつものクラヤミンダー相手にだったらこんなに苦戦しないのに」

 

少なくともクラヤミンダーがいつも以上にパワーアップしたような様子は見られない。そんな中でも三人は苦戦。それに前回のカッティンダーと比べるとクラヤミンダーは確実に実力的に見たら格下になる。それなのに苦戦している現状だった。

 

「ううん……私達、もしかすると今までソウルに頼り過ぎていたのかも……」

 

ウインクの指摘に二人は目を見開く。ソウルがアイドルプリキュアに加入して以降完敗を喫したカッティンダーは兎も角、クラヤミンダー相手にそこまで大きな苦戦をした事は殆どない。一時的にクラヤミンダーの能力でやられた事こそあるものの、最終的には逆転勝利にまで持って行けている。

 

ただ、それはここにはいないソウルがずっと頑張ってくれていたからこその結果だった。ソウルは戦いの中で敵の弱点を的確に狙って攻撃。基本的に決め技はアイドル達三人に任せてサポート的役割に終始していたソウルだったが、ここに来て彼の担っていた役割の重さを痛感する事になる。

 

「……私達、ずっとソウルに支えてもらってたんですね」

 

「スラッシューの相手をしてたのもいつもソウルだった。カッティーさんを助けようとした時だって……きっと私達三人だけだったらもっと早くやられてたと思う」

 

マックランダーの時からそうだったが、ソウルは三人の手の届かない痒い所をずっとフォローし続けてきた。そんなソウルの存在抜きでは自分達は目の前のクラヤミンダー相手にすらまともに戦えない。そんな現状を思い知って悔しさが込み上げる。

 

「ひゃははっ!何が三人で十分だっての!余裕があるのは俺達の方だぜ!さぁクラヤミンダー!もっとやれ!」

 

クラヤミンダーからの猛攻撃が続く中、戦闘の現場に近い場所。そこには影人がやってきていた。

 

「お兄ちゃん止まって!お願い、このままじゃ……」

 

夢乃は自分に影人の避難を任せてほしいと言った手前、彼をクラヤミンダーとの戦闘に巻き込みたくなかった。それでも影人はアイドル達三人が戦う姿を見る。

 

「んぁあ……キッスぅ。今度はあそこで歌いたいの?」

 

「お兄ちゃんってば……」

 

夢乃は影人の目の前に立つと頬を両手で挟むようにして叩く。しかし、また影人に物理的なダメージは通用しない。せいぜい、夢の中で何かにぶつかって脳に刺激が行った程度の事でしかないのだ。

 

「ああもう!どうやったら……どうやったらお兄ちゃんを……」

 

夢乃は考える。今の現状でどうやったら影人を元に戻せるか。このままでは自分達が見つかって巻き添えを受けてしまうのがオチだ。

 

「夢乃、キッスがまたライブやってくれるって。こころもあそこにいるみたいだし、三人で一緒に……」

 

そんな時だった。夢乃の中で何かがキレたのは。自分達がこんなに頑張ってるのに何で影人はこんなにも能天気な事ばかり言ってくるのか。幾ら普段から自分を助けてくれる兄だからって夢乃にも苛立ちの限度はある。

 

普段はブラコンであり、兄にベタベタの夢乃でさえももう我慢し切れなかったのだ。

 

「もう、良い加減にして!このバカゲ兄!」

 

夢乃は馬鹿と影人を掛けた怒りを込めた呼び方をすると思いっきり顔面を殴り飛ばす。それを喰らった影人は思いっきり回転しながら吹き飛ばされると地面に倒れ込む。

 

「ごふあっ!?」

 

「うえっ、カゲ先輩!?」

 

「夢乃ちゃんも何やってるの!?」

 

「余所見すんな!」

 

影人を殴った夢乃を見て普段の彼女からはあり得ない行動にウインクやキュンキュンは動揺。しかし、クラヤミンダーからの攻撃を受けてまた戦いに集中する。

 

「うぅ……キッスに殴られたぁあ……ガクッ」

 

そのまま影人は夢見心地の状態のまま気絶してしまう。夢乃も一瞬遅れてやり過ぎた事に慌てた。

 

「お兄ちゃん!?嘘、やり過ぎちゃった!?」

 

夢乃はどれだけ物理的なダメージを与えても無駄だと思ったために自分の怒りによる本気の火事場の馬鹿力をぶつけたのだが……流石にこれはオーバーキルだったようで影人を気絶させてしまう。

 

「どうしよ……。これじゃあ……ん?」

 

そんな中、夢乃はふと影人が先程吹き飛ばされた時に落とした変身アイテムのアイドルキラキラブローチとプリキュアリボンを見つける。

 

「あ……これって……」

 

夢乃がそれを手に取ると何かを思いつく。それから戦闘中のアイドル達に声をかけた。

 

「すみません!誰か一人こっちを手伝ってもらえますか?」

 

「えっ!?」

 

「お兄ちゃんを変身させます!手伝ってください!」

 

こうなったらアイドルプリキュアに変身させる事による余計な邪念を振り払う事に賭けることにした夢乃。勿論、影人をこんな風にさせている力の源がキュアキッスによる物なので邪念扱いされるかはわからない。

 

ただ、前に影人本人やレイから説明を受けた時にキュアソウルの力は影人の中にある闇の力を光の力に反転させているという趣旨の話を聞いた。だとすればアイドルキラキラブローチにとってキュアキッスの光の力は邪念扱いされて、弾き出す事ができるのでは無いのかと感じたのである。

 

「(何にせよ、お兄ちゃんが変身して元に戻ればきっと……)」

 

そんな夢乃の真剣な目を見たアイドルはウインクとキュンキュンへと目配せ。二人もそれに了承するとウインクとキュンキュンがクラヤミンダーからの攻撃のヘイトを取っている間にアイドルは夢乃の元にやってきた。

 

「お待たせ、夢乃ちゃん。どうすれば良い?」

 

「お兄ちゃんを後ろから軽く羽交い締めして立たせてあげてください。やり方はこんな感じで」

 

夢乃はアイドルの前でわかりやすく軽く実演。これなら理解力が低めなアイドルでもわかるので彼女は言われた通りに影人を立たせる。

 

「こ、こう?」

 

「ありがとうございます。お兄ちゃんの腕をちょっとだけ動かしますけどそのまま捕まえててください」

 

「オッケー」

 

それから夢乃は影人の片手にブローチを握らせた状態でプリキュアリボンを装填。同時に変身のBGMが鳴り響く中、夢乃はもう片方の手を持ってくると影人に三回ブローチをタッチさせる。

 

「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!」

 

夢乃が変身の掛け声だけセルフで入れる。仕上げに影人の両手でブローチの押し込み部分を押させ、もう一度夢乃がセルフで掛け声を言う。

 

「YEAH♪」

 

それと同時にブローチがひとりでに浮かぶと影人の体が眩い光に包まれる。

 

「アイドル、離して大丈夫です!」

 

夢乃がそう言うと次の瞬間には影人の姿がキュアソウルへと変化。アイドルがソウルの拘束を解くと一瞬ソウルは前に倒れかける。

 

「うぉおっとと!?」

 

直後、ソウルはいきなり倒れかけたために慌ててバランスを取ると自分の姿を見つめる。そして困惑したような声を上げた。

 

「……あれ?何で俺プリキュアになってんの?」

 

「ソウル!良かった……やっと目が覚めてくれた!」

 

アイドルが喜んだのを見てウインクやキュンキュンがソウルを正気に戻せたと知れて安堵の顔を浮かべる。そんな中でソウルは今日一日の記憶。正確には前日の夜の寝た瞬間からの記憶が完全に飛んでいるために慌てて記憶を辿った。

 

「ん?まさか俺気を失ってた?いや……確か昨日はちゃんと夜ベッドで寝たはずだし……うーん……」

 

「げ!?キュアソウルも来やがった!」

 

そんな中でザックリーが焦ったような声を上げるとソウルも目の前にザックリーやクラヤミンダーがいる事に気がつく。

 

「あーっ!ザックリーにクラヤミンダー!?夢乃まで何でこんな所にいるんだよ。危ないから避難して……」

 

「散々こころ先輩達に迷惑かけておいてその態度?良いから行ってよ!このバカゲ兄!」

 

夢乃は半分苛立ったような声色でソウルへとタックルをぶつける。流石にいつも自分に甘えてくる妹からこんな反抗的な態度を取られてソウルは困惑を隠し切れなかった。

 

「ええっ!?」

 

「ソウルも戻ってきたし、ここから反撃だよ!」

 

「うん!」

 

「勿論です!」

 

それからアイドルプリキュアの三人はソウルも含めた四人となってクラヤミンダーとの戦いを再開するのであった。




また次回もお楽しみに。
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