キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クラヤミンダー相手に苦戦していたアイドル達。そこに夢乃の手によってどうにか変身させてもらった影人ことキュアソウルが合流する。
「アイドル、ウインク、キュンキュン。待たせて悪かったな。……で、状況は?」
そんな風にソウルが聞くとキュンキュンがソウルへと何か意味ありげなジト目を向けてきた。
「ジーッ……」
「キュンキュン?何でそんな若干疑ってるような目を向けるんだよ。俺が何かしたか?」
「……“何かしたか?”ですか……ふーん」
ソウルはキュンキュンが若干不機嫌そうな顔になったのを見て慌てたような顔つきになる。
「え、キュンキュン?アイドル、ウインク。マジで俺が気絶してる間に何があった?」
「えっとね……それは後でまた教えてあげるから……」
「う、うん!今はきっと知らない方が良いと思うよ?……多分」
アイドルやウインクは先程までのキュアキッスに魅了されまくって夢見心地の顔をして何をするにしても完全にやる気ゼロの状態のソウルを今教えたら戦いどころでは無くなるので、ここは一旦誤魔化す事をした。
「ちょ、アイドルにウインクまで。夢乃が怒ってたのも気になるし、俺がさっきまでどういう状態だったか余計気にするだろ……」
勿論ソウルの方はそんな二人の反応とキュンキュンからの言葉に焦る気持ちに駆られていく。もしかすると自分が気を失っている間、とんでもない事をしていたのではないのか。そう思えてならなかった。尚、とんでもない状態にはなってたのであながち予想は間違ってないが。
「おいおい!クラヤミンダーを前にお喋りなんてして余裕たっぷりってか?やっちまえ!」
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーが赤い丸の部分からまた鏡を発射。それを見てソウルはすかさず反応するとソウルメガホンを手にしつつ回避。他の三人も攻撃を避ける中、ソウルは今は目の前にいる相手を倒すべきと考えてメガホンを使う。
「キュンキュンの力、ソウルバレット!」
ソウルがソウルメガホンのダイヤルを紫に合わせてソウルバレットを使う……はずだった。突如として集約されていたはずのエネルギーが露散してしまうと技が中断されてしまう。
「あれ!?ソウルバレット!ソウルバレット!……嘘だろ?何で……」
ソウルはもしやと思うとソウルソリッドやソウルアブゾーブを使おうとダイヤルを合わせてみるが、まるで無反応だった。
「クラヤミンダー!」
「ッ!!」
するとソウルに隙ありとばかりにクラヤミンダーからの拳が迫る。それに対してソウルは攻撃を受け流す形でクラヤミンダーの腕を最小限のステップで回避しつつ、そのまま殴ってきた拳を一本背負いしつつ背負い投げを叩き込んだ。
「クラァ!?」
「どうなってんだよこれ。俺が気絶してる間にアイドル達の力が使えなくなった?」
「ソウル、どうしたの?」
「何でかわからないけど……アイドル、ウインク、キュンキュンの力が全く使えないんだよ。前みたいに力が抜けた感覚をしてないのに……」
ソウルはソウルメガホンの技が軒並み使用不可になってしまった事に困惑。これにより、ソウルメガホン由来の多種多様な対応が取れなくなってしまった。
「じゃあ、パワーダウンしちゃったって事?」
「そういう事になるだろうな……」
ソウルは単純な戦闘能力は据え置きであるものの、場面への対応策を失ってしまったのでこれはここからの戦闘において大きな影響を及ぼすだろう。
「へっ、能力が使えないキュアソウルなんて怖くねぇ!やっちまえクラヤミンダー!」
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーは先程と同じように光による目眩しをしようと手鏡を構える。それを見た瞬間、ウインクへと声をかけた。
「ウインク、ウインクバリアだ!」
「え?でも……」
「良いから!」
「う、うん!ウインクバリア!」
ウインクはソウルに促されてウインクバリアを発動。その瞬間、光が自分達の方に反射される……が、ウインクバリアはその光を更に反射。バリア自身が光ってる事もあってクラヤミンダーの顔面に倍返し状態で光が命中する。
「クラァ!?」
「やられたらやり返す!倍がえ……」
「ストップです!ソウル、それ以上はアウトですから!」
そんな中でクラヤミンダーにできた大きな隙。ここを逃すプリキュアでは無い。アイドルが前に出るとすかさず拳を叩き込む。
クラヤミンダーはそれを受けて押し戻されると苦し紛れか赤い穴の部分からまた丸い鏡を放ってくる。
「ッ!?」
アイドルは完全に攻撃が決まったと思ったためにこの反撃への対応は間に合わない。そんな時だった。
「「はあっ!」」
すると突如として空で一瞬何かが光ったかと思うと白と黒の光がそれぞれ降り注ぐ。その光がクラヤミンダーからの攻撃を粉砕して降り立つとそこには輝きを纏った二人の戦士達がいた。
「キュアアイドルは……私が守る」
そこにやってきたのはキュアズキューン、キュアキッスであった。彼女達の登場にアイドルは興奮した顔になる。
「キュアズキューン!」
「そういえば、ソウルは……」
「……なんだよ?特に何も無いって」
キュンキュンはキッスが現れた事によるソウルの異変を予感したが、彼は特段何も無い様子で平然としていた。
「……何だ?お前達は」
するとザックリーはズキューンとキッスを知らないのでアイドルが得意げな様子で声を上げる。
「えー?知らないの〜?この二人は、キュアズキューンにキュアキッスだよ!」
「何でお前が自慢げなんだ!」
ザックリーが苛立ったような顔つきでそう返す。アイドルが自慢げにズキューンキッスの事を話したためにツッコミを入れたのである。そんな中でウインクとキュンキュンが声をかけた。
「あの、あなた達二人もアイドルプリキュアなんですか?」
「……それはどうかしらね?」
「あ、それと。キッス、ソウルになんて事したんですか!」
ウインクからの質問に素っ気なく返すキッス。そんな中でキュンキュンはキッスのせいでソウルがおかしくなってしまったと責めるような声色で問い詰めた。
それに対してソウルがキュンキュンを宥めようと考えるが、自分が気絶してる間に何をしていたのかわからないので何も言う事ができず。代わりにキッスがキュンキュンへと特に動揺する事も無く答えた。
「……別に。アレはキュアソウルにとって必要な事。終わったら説明くらいはしてあげるわ」
「えっ?」
キッスからの言葉にキュンキュンは凍りつく。あの気の抜けたソウルこと影人の姿が必要な事と聞いて困惑を隠しきれないのだ。そんな中でズキューンがキッスへと話しかける。
「キッス、行っくよ〜!」
「……はい、お姉様」
ズキューンとキッスは飛び出すとクラヤミンダーへと向かっていく。そんな中でズキューンはアイドルの方を見つつ声をかけた。
「ここは私に……私達に任せて!」
「ふぁああ……」
ズキューンのあまりのカッコ良さにアイドルは再び胸を撃ち抜かれたかのような顔つきになるとソウルは唖然とする。
「アイドル、お前何でこんなにズキューン推しみたいな顔になってんだよ……」
呆れたようなソウルの言動に思わずそれはブーメラン発言であるというツッコミをしたかったウインクやキュンキュンはさておき、ズキューンとキッスが向かう先にいるザックリーやクラヤミンダーも万全な状態となって二人に備えた。
「ズキューンだかバキューンだか知らねえが、やっちまえ!クラヤミンダー!」
「クラヤミンダー!」
クラヤミンダーも二人へと向かう中、キッスは一人で落ち着いた様子を見せるとクラヤミンダーへと囁くように声をかけた。
「……メロメロ夢中にしてあげる」
するとキッスは腰の辺りに付けていたピンクのハートの錠前のような形状をした化粧用のコンパクトを手にしつつ開くとそこにあるリップを小指に付ける。
それからリップを口に塗るとそのままウインクをしてから投げキッス。その際に出てきた二つの音符が繋がった連符がハート型のエネルギーへと変化しつつキッスの真上で巨大化した。
「キッスショック!」
そのままハート型のエネルギーはクラヤミンダーへと飛んでいき、命中すると凄まじい電撃がクラヤミンダーを襲う。
「クラララッ!?」
クラヤミンダーは電撃をまともに喰らったせいか、ハート型のエネルギーに囚われると痺れてしまい、動けなくなる。
「良いね!私も!」
「お姉様、お願い!」
そこにズキューンが飛び出すとジャンプ。それに合わせる形でキッスが投げキッスを放つとまた前のようにキッスの精が飛び出し、それがハート型の足場へと変化。そこにズキューンが飛び乗るとそのまま大ジャンプする。
「撃ち抜いちゃうよ〜!」
ズキューンは先程のキッス同様に腰にあった鍵の形をした化粧用コンパクトを手にして開くとそこにあるピンクのアイカラーを人差し指に付ける。
それからアイカラーを両方の瞼に塗ると左手に音符のマークが入った凄まじいエネルギーボールを生成。すかさずそれを真上に掲げた。
「ズキューンバズーカー!」
そのまま左腕を突き出す形で放たれた超強力なエネルギー砲がクラヤミンダーへと放たれて命中。タダでさえキッスショックで動きが鈍っていたクラヤミンダーがそのまま後ろに倒れてしまう。
「クラヤァ!?」
電撃とオーバーダメージによる二重のコンボで完全にダウンしたクラヤミンダー。それと同時にたった二人でクラヤミンダーを圧倒するズキューンとキッスにアイドルプリキュアの四人は感心していた。
「凄い……凄い!凄い!キラッキランラン〜!」
「悔しいですけど、カッコ良くて強くて……これは推したくなりますね!」
「推す!推してる〜!」
「………」
「ソウル?」
そんな中でソウルは何かあの二人を見て引っかかるのか無言になるとウインクがまたソウルの気持ちに変化があったのか気になって彼の方を向く。
「いや、何でも無い。ただの杞憂だ」
ただ、ソウルのいつもの返しにまたキッスに魅了されておかしくなる事は無いと判断してウインクもそれ以上は言わなかった。そんな中でダウンさせられたクラヤミンダーがどうにか立とうとする。
「はよ立て!気合い入れろ!……げ!?
ザックリーもクラヤミンダーが中々立てないのを見て慌てる中、ズキューンとキッスが既に万全な状態で立ち塞がったのを見てこのままではやられてしまうと感じた。
「絶対キラッキラにするよ!キッス!」
「えぇ!」
そのまま二人が一気に決めるべくライブステージを展開するとリボンをキラキラショータイムマイクに装填。クラヤミンダーを強制着席させるとライブ技を発動する。
「「二人の誓い!今、輝け!」」
♪決め歌 Awakening Harmony♪
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪……プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」
ズキューンとキッスが放った白と黒の光の一撃を放つとそれがクラヤミンダーへと降り注ぎ、その体を浄化。クラヤミンダーはお決まりの台詞を言う。
「「キラッキラッタ〜」」
クラヤミンダーが浄化された事によってまたキラルンリボンが出現。それをキッスが回収するとザックリーは撤退する事になる。
「ズキューンキッス……ザックリ言って眩しいじゃねぇか……」
それからクラヤミンダーに素体にされた女性も近くのベンチで休ませる形となり、一同は一旦話をするために移動。尚、女性は無事に目を覚ましてからズキューンキッスのステージを見る夢を見られたと喜んで行ったとか。
そして、話をするために移動したアイドルプリキュアとズキューンキッス。更に現場に来ていた夢乃もそっと遠くから見つめていた。
「ズキューンキッスのステージ。凄かったね、アイドル!……ん?」
「凄っごく、凄っごく……キラッキランラン〜!」
アイドルは嬉しさで興奮したような顔つきになってからその場に座り込む形で夢見心地のような幸せな顔となる。
「おい、あの二人の前なのにそんな風になって……」
「……ソウルも危うくそうなる所だったんですけどね?」
「え?」
ソウルが呆れたような声を上げる中、キュンキュンがそんなソウルの台詞は完全に自身へのブーメランであると指摘する。
「それはさておき。今のアイドルは推しのステージがやっぱり凄すぎて、改めて衝撃を受けちゃってるやつですね!」
「あ、だからこんな顔なんだ……」
ウインクとキュンキュンがそんなやり取りをする中でズキューンが近づいてきた。
「キュアアイドル、大丈夫?」
「はっ……はい!大丈夫です!」
ズキューンに話しかけられてアイドルは慌てていつも通りのピシッとした姿に戻る。そんな彼女を見てズキューンも安心したような顔を向けた。
「良かった。じゃあ、また……」
「……あ、あの!」
「……ん?」
「助けてくれて、ありがとうございます!この前も今日も!」
「……ふふっ、そんなの当然。言ったでしょう?君、キュアアイドルは私が守るんだから」
それからズキューンはアイドルへと指鉄砲を向けるとファンサのズキューンをやる事になる。
「ふぁああ……」
アイドルはまたズキューンにファンサをしてもらって頬をほんのり赤くするとまたキュアズキューンが好きという気持ちが溢れていく。
「あ!あの感じ。更にキュアズキューン沼にハマってますよ!」
「……そうなの?」
「沼って。ニチアサの女児向け番組で話して良い内容じゃ無いだろ……」
「いや、そのネタは今日の昼にもうやったからね?」
「……は?」
ソウルはまた唖然とした顔つきになる。自分のツッコミが悉くブーメランか既にやったネタと言われてしまう事自体、想定外なのでこうなるのも仕方ない。
「……キュアズキューン、私と友達になってください!」
「……え?」
「「「……え?」」」
突如としてアイドルはズキューン相手に友達になりたいと宣言。その言葉にキッスを除く一同は唖然としてしまう。そして、アイドルも自分が何を言ってるか一瞬遅れて理解すると慌てる。
「うわあっ!?いきなり友達っていうか……あの、仲良く。いや、そういう意味じゃなくて……」
「ほら!あのドギマギしてる感じ!」
「完全にファンだね!」
「アイドルプリキュアが同じアイドルプリキュア?っぽい人のファンって。もう完全にキュンキュンがアイドル、ウインクに向けている感情と一緒だな……」
そんな風に外野であるソウル、ウインク、キュンキュンが話す中、ズキューンは笑顔で対応しようとする。
「ふふっ、仲良くするなんてもちろ……」
「いえ、お姉様。参りましょう」
そこにキッスが水を差すかのようにして言葉を遮ってしまう。そんな中、キュンキュンが声を上げた。
「あっ、そういえばさっきソウルが変だった事について話してくれるって……」
「……そうね。その話がまだだったかしら」
キュンキュンが咄嗟にそう言った事でキッスは一度ソウルの方を見やると小さく頷いて淡々と返した。
「簡単に言えば、キュアソウルに私達の力を手っ取り早く馴染ませるためよ。あなた達三人と違って私達とキュアソウルに少なくとも現時点で深い絆は無い。だからああやって洗脳まがいな事をしないとキュアソウルの中に私達の力を馴染ませる事ができなかったの」
それを聞いてソウルは耳を疑う。自分がキュアキッスに洗脳された。その事実が余計に心を混乱させる。
「まさか、あの時の投げキッスか?」
「そうよ……。ネタバラシは終わった事だし、長居は無用よ。お姉様」
「うん……。ごめんね、キッスは本当は……」
「お姉様」
キッスは何かを言おうとしたズキューンの手を取るとそのまま二人揃ってさっさと行ってしまう事になるのだった。
「あ……」
「慌ただしくてごめんね!また会お!」
ズキューンが去り際に最後に軽く挨拶をすると二人は揃ってさっさとどこかへと行ってしまう。そんな二人の後ろ姿を見届ける中、アイドルはキュアズキューンの髪飾りを見て目を見開く。
「……うん?」
それから少しして。移動中のズキューンとキッスの方ではズキューンがキッスへと何故話を止めてしまったのか聞く。
「ねぇ、どうして仲良くなったらダメなの?」
「……あの日あの時、あなたと決めた
そう呟くキッスの声色は少し辛そうであった。そんな彼女を見てズキューンはある事を言う。
「……キッス。私にはその難しい話はよくわからない事ばかりだけど……私にもわかるよ?本当はあの子の事が……」
「……それでも、私達が守るべき誓いに……あの子がいたらいけないんです」
そうキッスは冷たく言い切るとズキューンはそんなキッスと共にどこかへと去っていくのだった。
場面は戻ってソウル達四人。そこに遠目で見ていた夢乃がやってくるとアイドルへと四人で話しかける。
「行っちゃったね」
「でもまた会える気がします!」
「ズキューンキッス。遠くからしか見れなかったですけど、あのライブは生で観ると圧巻でした」
するとアイドルは三人の言葉を聞いてある気持ちが高まっていく。その気持ちというのが……。
「ううん、そんなの待てない!」
「「「……え?」」」
「おい、アイドルまさか……」
「今すぐ……追いかけちゃうぞ〜!」
アイドルはズキューンやキッスが去って行った方向へと猛スピードで走ると急いで追いかけるのであった。
「「「えぇ〜!?」」」
「はぁ……。やっぱズキューンに魅了されてもアイドルはアイドルだよ……」
ウインク、キュンキュン、夢乃が慌てたような声を上げる。そんな中でもソウルはただ一人、キュアアイドルならそういう考えに至ると予想していたために改めて呆れた顔つきになるのだった。
すみません。一つお知らせというか小説内での表記の変更です。キュアソウルの技の掛け声を変更します。
ソウルソリッド……アイドルの力、ソウルソリッド
ソウルアブゾーブ……ウインクの力、ソウルアブゾーブ
ソウルバレット……キュンキュンの力、ソウルバレット
この方が誰の力を引き出しているかわかりやすいという判断で変更します。今までの話に出てきた掛け声も上記の物に順次更新しますのでよろしくお願いします。
それではまた次回もお楽しみに。