キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影人とこころの仲直り 爆上げなクラヤミンダー

場面は再び、ショッピングモールにてデート中の影人とこころの方へと行くと二人は服を選んでいる所だった。

 

「……うーん、もうすぐ夏の暑い季節。夏服が色々売られる季節ですが……どうしよう。選択に幅があり過ぎて困ってしまいますね」

 

「こころ、かれこれ十分くらいは迷ってるなぁ……」

 

今現在、二人がいるのは女性用の服のコーナー。影人としては女性用服を選ぶ場所にポツンと男が一人いても良いのかと気にしたが、こころが来てほしいという一点張りをしたためにやむなく着いて行く事になった。

 

「うぅ……これは流石に露出が多すぎでしょうか……いえ、カゲ先輩の好みに合わせるならもっと多くした方が……」

 

「おーい、俺はもう普通な状態だからな?勝手に露出大好き魔にされたら困るんだけど……」

 

こころが影人のためにもっと大人っぽい服装にした方が良いと私服の露出を多めにしようとした所で影人が止めに入り、更に話を続ける。

 

「前にも言ったけど、無理に背伸びしなくても俺がこころの事を好きな気持ちは変わらないんだぞ?それに、幾ら戦闘でキッスの事を好きになったとしても……それはあくまで推しとしての好きだ。異性としての好きをこころから変えるつもりは無いよ」

 

「それは……そうかもしれませんけど」

 

こころはそう言いかけた所である考えに至る。それは今自分が抱いている感情についてだ。

 

「(……ダメだ。きっとこの感情はキュアキッスへの嫉妬。……私だってカゲ君にキュアアイドルを推すのを黙認してもらってるのに)」

 

正直な所、今回影人に付き合わせているのは半分は自分のせいだとわかっていた。何しろキュアキッスにメロメロな状態の影人を見てしまって以降、こころの中にいつか影人がキュアキッスに取られてしまうという危機感が募ってしまう。

 

だからこそ洗脳解除後に影人相手に不機嫌な態度を見せてしまった。影人は何も悪く無いのだ。キッスにメロメロだったのは洗脳された状態の影人。その洗脳も影人が好き好んで受けたわけでは無い。

 

「……こころ、気を悪くしたのなら本当にごめん。洗脳されていたとはいえ、こころが彼女としていてくれるのにそれを裏切るような態度を取ってしまった。彼氏として最低だよ」

 

影人は本気で自分のせいだと思って謝ってくれている。だとしたら、こころが取るべき対応は自ずと絞られていった。

 

「……ううん。カゲ君は……カゲ君はキュアキッスに洗脳されちゃってただけ。なのに、私は勝手にそれを間に受けて嫉妬してしまいました。謝るのは私の方です」

 

こころも今回の件において自分にも非があると考えると影人へと謝罪。それを聞いた影人は微笑むと優しく頭を撫でる。

 

「ッ!?」

 

「そっか。じゃあ、この話はこれでお終いにしよう。いつまでもこの話題をしていてもお互い悲しくなるだけ。だったら、ここからはデートを楽しも」

 

影人もこころも自分の悪い所をしっかり吐き出して謝罪した。これをもって今回の件での嫌な気持ちは全て水に流す形にしてここからはデートを楽しもうと影人は提案。

 

「……はい。そうですね!」

 

こころもそれを承諾し、改めて二人はデートの気分に変わるとそこから早速こころによるファッションショーが始まった。

 

「これとかどうですか?」

 

「おー……。こころってダンスする時とか結構キリッとしてる所もあるからカッコいい系も似合うな」

 

「じゃあ次は趣向を変えてみますね!」

 

こころはクール系衣装から女の子らしいフリフリの付いた可愛い物。体つきが幼い今だけの特権という事でロリータ系も試してみた。ただ、やっぱりロリータ系は本人があまり好きじゃないという事で試すだけ試して最終的には無しという判断になった。

 

「カゲ君、付き合ってくれてありがと。今度はカゲ君の服を見たいな!」

 

「いや、俺は別に……」

 

「ダメですよ〜。折角私といるんですから一緒に選びましょう!」

 

「しょうがないなぁ……」

 

二人の距離感はうたやなな、レイなどの他の友達と一緒にいる時よりも更に近く。初々しいカップルのような近さであった。勿論周りからの視線は微笑ましい物からリア充など爆発しろと思う者など様々だ。それから影人もファッションショーをする事になった。

 

 

そして、お互いが気に入った服を購入した後。二人は休憩も兼ねてショッピングモール内にあるカフェへと移動した。

 

二人は向かい合って席に座るとドリンクなどを注文してここ最近の事について話す事になる。

 

「そういや、こころは自分のクラスでは上手くやってるのか?」

 

「はい。ちゃんとクラスメイトの中にもお話しできる友達は沢山いますよ」

 

「そっか、良かった」

 

「もしかしてカゲ君。私がクラスメイトと上手くやれてないかもって心配してました?」

 

「ああ。だって昼休みってアイドル研究会にいるか俺達上級生と中庭でご飯だろ?クラスメイトから付き合いが悪いとか思われてないか心配になるというか……」

 

「あー……。でも、その点は大丈夫ですよ?……クラスメイト達からは彼氏さんと会ってるって思われてるみたいで……」

 

「……は?」

 

その言葉に影人は凍りつく。こころのその言い回しを聞くと自分達の関係はこころのクラス内で公認されているような言われ方だった。

 

「まさか……こころのクラスにもバレてるの?」

 

「……多分一年二年の間では公然の事実じゃないですか?ここまで来たら下手したら全学年共通の認識ですよ」

 

こころもこの件に関しては半ば諦めている所がある様子だった。とは言え、だからといって特段不都合は無いので否定もしていない。それどころか、昼休みに毎回教室からいなくなる事もそれによって正当化されてる現状なのでわざわざそれを無理に変える必要も無いだろう。

 

「そっか。やっぱバレてるよな……」

 

「私は別に気にしてませんよ?流石にカゲ君との時間を邪魔されたら怒りますけど、逆に皆わかってくれてるから色々と融通が効きやすいですし」

 

何にせよ、こころはクラスメイトと上手くやる事はできているらしい。影人としてはそんな彼女の現状が聞けただけでも安心できた。

 

「そういえば改めてカゲ君に聞きたいのですが、その……カゲ君の推しって誰ですか?」

 

「アイドルプリキュアの?」

 

「はい」

 

それを聞いて影人は考え込むような仕草をしつつチラリとこころの方を向く。こころは若干緊張したような面持ちであり、影人はそんな彼女を見てから答えを返す。

 

「……秘密だ」

 

「うえっ!?そこは私って言ってくれないんですか!?」

 

「わざわざ言わなくてもわかるだろそのくらい。改めて聞いて答える方が恥ずかしいって」

 

影人がそう返すという事はそういう事だろう。彼の中の推しは改めて問うまでも無いらしい。

 

「カゲ君、この後はどうします?」

 

「そうだな。折角だしゲーセンにでも行くか」

 

それから二人はゲームセンターに向かうと早速クレーンゲームエリアへと移動。二人は欲しい物が何か無いか探していると、こころがある物を見つけた。

 

「あっ。カゲ君!これ!」

 

そこにあったのは猫耳や猫の尻尾を付け、和風の衣装に身を包んだアイドルのような姿をした可愛らしい女の子を模したぬいぐるみがあった。

 

「これって……」

 

「これに何だか心キュンキュンします!」

 

影人はそのアイドルのぬいぐるみを見るとどこかこころに近い何かを感じる事になる。

 

「確かこのキャラは……」

 

“にゃんにゃん!画面の前の皆、○川みくはいつでもお仕事ウェルカムにゃん!猫ちゃんみたいに頑張るから応援よろしくにゃん!”

 

「……あー。このキャラって確か○イマスの○川みくかぁ。声質とかこころに似てるしシンパシーを感じるのも当然か」

 

ちなみに○川みくの中の人は当然……なので、こころは完全にこのぬいぐるみが欲しい気持ちになっていた。

 

「良し、あのぬいぐるみ。俺が取ってみるよ」

 

「良いんですか!?」

 

「ああ。丁度取りやすそうな場所にあるし」

 

影人はこころのためにもぬいぐるみを取ろうと決意。それから早速クレーンゲームにお金を投入する。

 

「その感じだとカゲ君、上手いの?」

 

「……いや、クレーンゲームはあまりやった事無い!」

 

「うえっ!?大丈夫なんですかそれ!?」

 

こころは自信満々に言った影人に対してクレーンゲームがほぼ未経験という事実を聞いて慌てた。ただ、影人は思いの外冷静である。

 

「まずは……ぬいぐるみを位置調整してと」

 

「カゲ君、一発で取りに行かないんだね?」

 

「ああ。本当に偶にだけどこういうクレーンゲームが上手い人の動画を見てて思うのが、クレーンのアームの部分をどう活かすかというのがあって。普通の人はぬいぐるみの真ん中を掴もうとするんだけど、それだと良くないんだ」

 

ぬいぐるみには箱タイプとは違って重心という物が存在する。それは頭が大きいならそこが必然的に重くなるので、それがぬいぐるみにとっての重心となり得るだろう。

 

加えて、ぬいぐるみにはちゃんと掴みやすい位置というのが存在する。影人は今の位置だとそれを満たしてないと判断。一発で無理に狙うのでは無く、まずは多少のお金の犠牲を持って位置をズラす事に重きを置いたやり方をした。

 

「位置が十分に変わった所で……こう」

 

最後の仕上げとばかりに影人は上手い事ぬいぐるみの重い部分を掴むとそのまま最後の押し込みをするようにして穴へと落とす。

 

「わぁ……」

 

「はい、取れた」

 

ここまでにかかった回数は約十回前後。それなりにお金を使ったが、最終的に取れたので成功である。

 

「カゲ君、ありがとう!」

 

「こころのためだし、当然だよ」

 

するとそんな中で周囲から拍手が聞こえると二人は慌てて振り返る。そこにはそこそこのギャラリーがおり、ゲーム初心者の影人が彼女のために頑張って景品を取ろうとするという微笑ましい出来事を見られてしまっていた。

 

「何でこんなにギャラリーできてるの!?」

 

「カゲ君、ほ、ほら。行きましょう!」

 

二人は恥ずかしそうに顔を背けつつ慌ててその場から退避。どうにか抜け出す事になるのであった。その頃、一人出撃していたスラッシューは天城切音の姿をして周囲に溶け込みつつ歩いている。

 

「さてと、どうしようかしら。影人君をピンポイントで見つけられれば良いんだけど」

 

スラッシューが狙っているのは影人が単独でいる時に乗じて上手い事彼を連れ去る事だ。だが、それが上手く行かない事は重々承知している。場合によってはクラヤミンダーを陽動に使って影人だけを自分が引き摺って連れて行こうと考えているくらいだ。

 

「……ん?あれは」

 

そんな中でスラッシューは影人とこころが二人きりでデート中なのを遠目に見つけてしまう。

 

「思いの外楽に見つけたわね、影人君。……ただ、隣にいるあの子が邪魔と。結局クラヤミンダーは必要そうかしら」

 

スラッシューはそう考えると影人とこころがこの場からいなくなってしまう前に素体を探そうとする。

 

「さてと、どうしようかしら……」

 

スラッシューこと天城がキョロキョロと探しているとその視線の先に玩具売り場が目に入り、そこには丁度玩具を手に取った子供とその両親がいた。

 

「パパ、ママ、これが欲しい!」

 

「そっか。今日は誕生日だし、良いぞ」

 

「ホント!?パパ、ママ、ありがとう!」

 

そんな幸せな家族のひととき。だが、スラッシューにとってはこの展開は好都合。キラキラが溢れている現場がすぐ近くに存在する事になるために早速それを引き抜く事にした。

 

「あなたのキラキラ……頂くわ」

 

スラッシューが親子三人のキラキラを鷲掴みにするとそれを無理矢理引き抜いてしまう。

 

「「「うわぁああっ!」」」

 

「切り捨てスラッシュ!」

 

スラッシューがすかさずリボンを真っ二つに切り裂くと三人を暗闇に閉じ込め、水晶と合体させると地面へと叩きつけた。

 

「現れるのです、クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にしなさい!」

 

その瞬間、クラヤミンダーが召喚される……かと思いきや今回は何故か手順が違った。

 

「……あら?どういう事かしら?」

 

するとどこからともなくクラヤミンダーのサイズに匹敵するトレーラーやそれに追従する形で二台の車が走ってくる。

 

「これって……」

 

そのまま三体の車は謎の空間の中で変形。トレーラーは両側に大きく開く形でゲートのような物になるとそこを二台の車が通過。二台の車の車体が展開して片方はプラスドライバーのような物、もう片方はガントレット型になるとそのままトレーラーが起き上がる。

 

「ブンブンブーン!」

 

「……はい?」

 

スラッシューは何故かクラヤミンダーが変な言葉を口にした事に困惑が隠せない。そのまま両手脚が形成されると人型ロボットへと変形。武器や手に変わった車二台が両腕に武装。最後に頭部が上から降りてくる形で合体すると胸の速度メーターが振り切れて頭部が発光。メーター部分にクラヤミンダー特有の緑の鋏が生成されて合体完了する。

 

「クラヤミンダー!」

 

「○上合体!○ンブンジャーロボ!ブンブン作りタイヤ!」

 

完成したのはまさかの○ンブンジャーロボ型のクラヤミンダーであった。これに関しては恐らく、子供が買ってもらおうとした玩具に引っ張られてしまったのだろう。

 

「……はぁ?何で私こんな事口走ってんのよ!!馬鹿じゃない!?」

 

スラッシューが思わず合体の際の言葉を言ってしまった事に慌てる。ひとまず、後はクラヤミンダーが動けるくらいには比較的広めなショッピングモールの一階の中央部で暴れ、このまま影人とこころがここに来るのを待つだけとなる。

 

「さぁ、来るのよ影人君。私とまたやり合いましょう」

 

そして、空の変化自体には室内につき気が付かなかったものの、騒ぎを聞きつけた影人とこころの二人も急いでここに到着するのだった。




また次回もお楽しみに。
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