キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クラヤミンダーの出現に影人とこころは気がつくとすぐにその騒ぎの元へと駆けつける。
「この音って……」
「はい、しかもクラヤミンダーって声も聞こえました」
「くっ、こっちは大事なデート中だっての!」
二人が行く先にいたのは完全に二人を待ち構えているスラッシューと○ンブンジャーロボを模したクラヤミンダー。
「スラッシュー、今回はお前か。なんかどっかで見た事あるような形したロボットだけど……まぁ良い」
「折角のデートを邪魔しないでください!」
ちなみに今目の前にいるのは天城の姿では無く、ちゃんとスラッシューへと戻って戦闘用のドレスを着込んでいる。
「それはごめんなさいね。でも、だからって私がわざわざ待つ道理はありませんもの」
「それもそうか」
スラッシューはやる気十分。影人達もそんな彼女相手に気を引き締める。少なくとも彼女は油断して勝てるような相手では無い。
「うた先輩達無しですけど、私達ならきっとやれます!」
「ああ。さっさと始めようか」
それから二人は対抗するためにブローチを取り出してアイドルプリキュアへと変身する事になる。
「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「君と昂る、ハートの情熱。高鳴る魂、キュアソウル!」
二人での変身を終えるとこの二人での変身の際のお約束と言わんばかりに手を重ねてからそれを上に上げつつ二人バージョンでのポーズを取る。
「「ふたりは!キミとアイドルプリキュア♪!」」
二人がアイドルプリキュアとして降り立つとスラッシューはクラヤミンダーへと指示を出す。
「クラヤミンダー。あなたはキュアキュンキュンを少しでも足止めしなさい。私が相手したいのは……」
「ッ!?」
ソウルは咄嗟に受け身の姿勢を取るとスラッシューが一気に踏み込んで接近。拳を叩き込むと二人はそのままの勢いで二階へと飛んでいき、移動する事になる。
「ソウル!?」
「クラヤミンダー!」
キュンキュンはソウルを心配するも、今は目の前にいるクラヤミンダーを相手しないといけないとばかりに注意をそちらに向ける。
「私一人だけど、どうにかするしか無いですね」
キュンキュンは目の前にいるクラヤミンダーへと向かっていくと空間の狭さを利用してクラヤミンダー以上の機動力を使って翻弄する。
「隙だらけです!」
「クラ!?」
キュンキュンはとにかくクラヤミンダーの視界に入りにくいように建物の物陰や壁の裏等のとにかく隠れやすい場所を狙って移動を繰り返す。
「クラ?クラ?」
クラヤミンダーはサイズの関係でそこまで狭い場所には行けない。そのため、動ける場所は中央の吹き抜け辺りにあるそこそこ広めな限られた範囲だ。
「クラヤミンダー!」
しかし、だからと言って対抗策が無いわけではない。クラヤミンダーは左腕のガントレットで建物を破壊。少しずつ自分の周りに自分が動きやすい空間を作っていく。
「はあっ!」
キュンキュンはあまりクラヤミンダーが自由に動ける空間を増やされると困るのでクラヤミンダーの背後から蹴りをぶつけるとクラヤミンダーへとダメージを与え始める。
「クラ!?ヤミンダー!」
しかし、キュンキュン一人だけでは明らかな火力不足。クラヤミンダーはすぐに反撃すると右腕のプラスドライバーで薙ぎ払われてしまう。
「きゃあっ!?」
キュンキュンが瓦礫の中に突っ込むと痛みが走る。幸いにも尖った瓦礫が無かったのでぶつかった瞬間大怪我にはならなかったものの、それでも自分一人ではクラヤミンダー相手にさえ無力であると嫌でも思い知らさせてしまう。
「それでも、それでもソウルのために私は!」
キュンキュンは立ち上がるとブローチをタッチ。跳び上がると同時に技を発動する事になる。
「キュンキュンレーザー!」
キュンキュンから放たれたレーザーがクラヤミンダーに命中して目の辺りに煙幕が発生する。それによってクラヤミンダーの視界が奪われた。
「やぁあっ!」
その瞬間を狙ったキュンキュンの渾身のパンチが命中。クラヤミンダーはそれを受けて数歩押し戻される……が、やっぱりキュンキュンのパワーではそれが限界だ。
「クラヤミンダー!」
「きゃあっ!」
キュンキュンは簡単に押し戻されてしまうとクラヤミンダーは胸の速度メーターを更に上昇。右腕に必殺のエネルギーを纏うと紫色に発光。
「ッ……」
キュンキュンは咄嗟にその攻撃が危険だと感じると射程距離から逃げるために後ろに離れようとする。しかし、そのエネルギーは更に伸びるとキュンキュンが逃げた先にまで命中するようになってしまう。
「しまっ!?」
「クラヤミン……ダー!」
直後、クラヤミンダーのメーターが最高値。いや、それ以上に振り切れると一気にキュンキュンへとその一撃は振り下ろされてしまうと轟音が鳴り響くと同時に攻撃の有効射程範囲内が凄まじい爆発に見舞われるのだった。
時間を少し遡り、スラッシューと対峙するソウル。スラッシューはソウルへと話しかける。
「……あなた、持ってる力の中身が変わったわね?」
「は?何の事だよ」
「とぼても無駄よ。じゃあ何であなたの中からキュアアイドル、キュアウインク、キュアキュンキュンの持ってる輝きが消えてるの」
ソウルはそれを告げられて唖然とする。自分では全く意識してなかったが、どうやら今のソウルの中からはアイドルプリキュアの他の三人が持っている力が失われてしまっているらしい。
「まさか、あの時力が抜けたのは……」
「えぇ。どういう原理でそうなったのか私もよくわからないけど、あの時、あなたが三人の力を失ったからね」
ソウルはそれを聞いてようやく何故昨日の戦闘でいきなり三人の力を使用不能になってしまったのかを理解した。
「何にしても、あなたはパワーダウンしてしまったという事。そして、私に抗う術も無くしたという事よ。さ、観念して私と一緒に来なさい」
「誰がそんな事受け入れるって?お断りだ」
ソウルは自分の力が失われたとしてもスラッシューと一緒に行く選択肢なんて無いと彼女からの誘いを拒否。それでもスラッシューはソウルに拒否権は無いとばかりにしつこく話しかける。
「あなたに決定権なんて無いのよ?そんなに嫌なら私が無理矢理にでも連れ去ってあげるわ」
スラッシューが手を横薙ぎにすると斬撃波が飛び、ソウルはそれを回避するとすかさず接近して殴り合いになる。
「ッ……」
「ふふっ、やっぱり力が落ちたんじゃない?前よりも弱くなってるわよ!」
スラッシューは余裕でソウルからの攻撃を全て受け切ってしまうと回転しつつ踵落としを命中させる。
「ぐうっ……」
更に右脚を軸にして左脚での足刀蹴りを叩き込むとソウルはそれを腹にまともに受けてしまう。
「がはあっ……」
ソウルは問答無用とばかりに壁に激突するとそのまま倒れ込み、咳き込んでしまう。
「ゴホッ、ゴホッ……」
ソウルはどうにか立ち上がると構えを取る。それに対してスラッシューはいつも通りの音楽を流す……が、今回は古い方であった。
「これは、前の方の歌か」
「えぇ、そうよ。今のあなた相手に新しい方を使う必要は無さそうですし」
それを聞いてソウルは目を見開く。ただ、曲は待ってくれない。直後にはスラッシューが歌いながらこちらへと走ってきた。
〜挿入歌 DARK FLARE THR WORLD〜
「さぁ漆黒の世界で♪心燃やしていく♪希望、照らす光さえ♪消えていくのだから♪」
スラッシューが接近してくるのに対してソウルは彼女の動きの先を見切るとそこに合わせる形で自分の腹があった辺りに合わせて拳を繰り出す。
「私の心が叫んでく♪この、鼓動見失わずに〜♪(Blaze up in my soul)
絶望の果てにある♪深淵の炎掴んでくの♪」
その場所はスラッシューの攻撃位置ドンピシャであったために二つの拳が激突。……ただ、やはりスラッシューの方は歌によるブーストが入る中でソウルの方は前よりも力を出せてない影響か押し切られてしまう。
「ッ……」
「今、握りしめた力……♪天を闇に染めて♪熱く燃え立つ♪」
《火炎連刃斬》
スラッシューが熱線による斬撃波を連射する中、ソウルはこれを防御する手段が使えないためにひたすら回避に専念。それでもやられっぱなしにはならないとばかりにどうにか距離を詰める。
「絶対染めてみせる♪絶望の闇♪届かないHope♪胸踊る我が焔♪誰にも邪魔させない♪」
スラッシューはそんなソウルを見て笑みを浮かべると手を翳して火炎弾を連発。ソウルは一発目の火炎弾を真っ向から受け止めると爆発に包まれる中、その直後の攻撃はその煙の中を通過してもまるで手応え無しな事にスラッシューは僅かに動揺。その直後にはソウルはスラッシューの左側の死角に入っていた。
「ソウルソニック!」
そのタイミングでソウルがソウルメガホンに残った自分自身の技を発動させると衝撃波としてスラッシューへと放つ。
「生み出される♪地獄への獄炎だから♪あなたの希望、燃やす♪歌うの誰かのため?違う、私自身のために♪
しかし、スラッシューはソウルの攻撃をまともに喰らいながらも歌を歌い続けると共にサビのラストで一番力が高まってる瞬間を使って漆黒の炎の龍による攻撃を放つ。
《深炎黒龍波》
「なっ!?がああっ!!」
ソウルはスラッシューが歌を中断してしまうようにソウルソニックをかなり強めにしたのだが、それでもスラッシューの歌を止めるには至らず。反撃をまともに受けるとそのまま崩れ落ちてしまった。
「はぁ……はぁ……」
ソウルが息を吐く中、スラッシューはそんなソウルを見下ろすと冷たい声色で彼へと話しかける。
「弱い、弱すぎるわ。よくそんな程度の力で彼女さんを守るなんて言えたわね?」
「ッ……」
スラッシューとしては幾らパワーダウンしたと言ってもソウルの事だから少しは楽しませてくれると思っていた。だが、実際に蓋を開けてみたらスラッシュー相手に手も足も出ない現状。スラッシューからしてみたらまるで期待外れと言わんばかりである。
「もう少し善戦しても良いと思うのだけど、ま、やっぱりそのメガホンを使う事による手数の選択肢無しじゃこれが限界みたいね」
「く……」
「キュアキュンキュンでしょう?デートの相手。あの子のどこが良いのか知らないけど、所詮あなたに守る力なんて物は無いのよ」
スラッシューはそれからソウルを片手で掴んで持ち上げると一気に彼を潰すべく、ソウルの顔面へと拳を放つ。ただ、その瞬間。その拳は受け止められると、ソウルの体から突如として熱気のような力が溢れ出る。
「お前、ふざけんな。キュンキュンのどこが良いかわからない?俺の事を貶す分にはまだ我慢できる。ただ、キュンキュンを馬鹿にする奴に……負けるつもりなんて無い!」
「ッ!?」
するとスラッシューはある事に気がつく。彼女視点から見て、ソウルが纏っている力が白と黒に発光しているのを……。
「まさか、このキラキラの正体は……」
「はあっ!」
ソウルが起き上がると同時にスラッシューへと右腕のパンチを放つとスラッシューは炎の壁で防ぐ……が、それさえも貫通した一撃がスラッシューの頬に命中して彼女は吹き飛ばされた。
「がああっ!?」
スラッシューは押し戻されて止まる中、ソウルの纏う輝きが今ので前以上の強さになったのを感じ取った。しかも、アイドル、ウインク、キュンキュンの力抜きでである。
「俺の力は所詮誰かの借り物。だからそれが断ち切られれば力だって落ちる。それでも俺は、俺の手で大切な誰かを守りたい。それに、彼女の事を馬鹿にするような奴を俺は許したくない!」
そのソウルの熱い気持ちを受け止めたスラッシューは立ち上がると同時に笑みを浮かべる。
「ふふっ……。そう、確かにさっきのは失言だったわ。撤回しましょう。それにあなたの力は別物にこそなったけど、ちゃんと宿ってる。少しは楽しめそうで安心したわ」
スラッシューはようやくソウルが本調子に戻ってくれたと感じ取ると戦いを継続するべく攻撃をしようとする。
「キッスショック!」
しかし、突如としてソウルの後ろ側から飛んできたハート型のエネルギーにスラッシューは咄嗟に回避するとそのエネルギーは近くの壁にぶつかって爆発。その煙幕が晴れると一人の女性が降り立っていた。
「……これ以上はやらせないわ」
そう静かに言ったのは謎の二人組、ズキューンキッスの片割れであるキュアキッスである。
「チッ……良い所なのによくも水を差したわね」
「別に今あなたがお楽しみの最中とか私は知らないわ。ただ、これ以上ソウルを傷つけるつもりなら……手加減はしないわよ」
キッスはソウルを守るようにして前に立つとスラッシューは面倒な敵が現れたと顔を顰める事になるのだった。
また次回もお楽しみに。