キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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目覚めたソウルの新たなる力 キッスとの対話

スラッシュー相手に戦うソウルの元に降り立ったのは謎に包まれた二人組の片方、キュアキッスであった。

 

「キュアキッス……」

 

「ソウル、大丈夫?」

 

キッスはあくまで淡々とした聞き方でソウルへとダメージの具合を聞く。そんな彼女にソウルは答えを返した。

 

「ああ。ちょっとやられたからダメージはあるけど、そこまで酷くは無い」

 

「そう」

 

キッスの返しを聞くとソウルはふと彼女へとある疑問が浮かんで問いかける。

 

「そういえば、ズキューンは来てないのか?」

 

「お姉様も来てはいる。……こっちにはいないけど」

 

キッスは話を広げたく無いのか、あくまで素っ気ない反応ばかりを示す。そんなやり取りを聞いたスラッシューも焦れてきたのか声を上げた。

 

「お喋りばかりするのは味気無いでしょう?良い加減そろそろやり合いましょう。あなたがいてはキュアソウルを連れて行けませんし」

 

スラッシューの言葉を聞いてキッスは溜め息を吐くと彼女の相手をしようとする。そこにソウルが彼女を遮るようにして出てきた。

 

「ッ!?ソウル。どうして止めるの?わざわざあなたが行くまでも無いわ。ここは私が」

 

「いや。俺としてはスラッシュー相手にやられっぱなしのまま引き下がるのは気分悪い。それに、折角スラッシューが俺とやる気になってるんだ。だから俺が決着を着ける」

 

「……そう。なら、一つアドバイス。今のあなたには私とお姉様の力が入ってる。それを上手く使う事ね」

 

そう言ってキッスはソウルとスラッシューの戦いを見届けるために一旦離れる。それと同時にソウルがスラッシューの前に出た。

 

「あら?わざわざあなたが出てくるなんてね」

 

「これがお前の望みだろ?」

 

スラッシューはソウルがまだやる気を持ってくれてる事が嬉しかった。だからこそそんな彼を全力で叩き潰すべく歌を発動した。

 

〜挿入歌 BIGBANG My BLAZE〜

 

「幸せはいつの日も唐突にすり抜ける♪」

 

スラッシューが手に召喚した剣を掴むとソウルへと向かってくるのに対して、彼もそれに対応する形で迎え撃つ。

 

「弱い自分はその時をただ見てるだけ〜♪」

 

二人の距離が近づくとスラッシューが剣の刀身に炎を纏わせつつ振るってくる。それに対してソウルはソウルメガホンを手にすると太刀を防ぐ盾代わりとして使用。

 

「くっ……」

 

ただ、やはり防御のためのアイテムではないメガホンで攻撃を凌ぎ切るには限界がある。そのためにソウルはメガホンを滑らせる形で刀身の横に移動させるとそのままメガホンごと横から押す形でスラッシューの太刀を受け流した。

 

「どんなに足掻いたとしても叶わない夢はある〜♪」

 

ソウルはスラッシューにできた一瞬の隙を使って腹へと掌底を放つ……が、それはスラッシューが召喚した二本目の太刀によって防がれると彼女は後ろに下がる。それと同時にスラッシューは弾かれた方の太刀を捨てると同時に口元に笑みを浮かべた。まるで太刀を捨てる事に意識を引っ張らせているようにも見える。

 

ソウルはその直後、死角である後ろ側に何かの影を感じて咄嗟に後ろを振り向く。その時にはスラッシューがいつの間にか仕込んでいた炎に燃え立つ短剣が次々と飛んできていた。

 

「ッ……」

 

ソウルが受け切れないと思ったその時、突如としてソウルの持っているメガホンの黒いダイヤルが光る。

 

「まさか?」

 

ソウルが咄嗟にダイヤルを黒にセットすると能力が発動。メガホンから飛び出したピンクのハート型のエネルギーがソウルのカラーであるバイオレットに染まるとそれが手に武装できる盾として生成された。

 

「キッスの力、ソウルディフェンダー!」

 

カラーリングとしてはハートの形をしており、カラーリングはバイオレットを基調としつつ黒の差し色。縁取りは薄いピンクである。敵の攻撃を防御するという点を考えるとソウルアブゾーブと役割が被るだろうが、ソウルアブゾーブは自力で空中に留まれるので遠隔で出す事が可能という点が違う。

 

それに対してソウルディフェンダーは手持ちにしないと盾として機能しない代わりに純粋な防御力はこちらが上となる。更に、これにはもう一つ機能があった。

 

ソウルはそのソウルディフェンダーを使って短剣を全て防御してしまう。だが、スラッシューは狼狽えない。

 

「だからこそ、私は手段を選ばない〜♪」

 

《撃炎乱舞》

 

スラッシューは落ち着いたまま手にした炎の剣を蛇腹剣の如く鞭として伸ばすとそれを振り回してソウルへと繰り出す。

 

「させるか!」

 

それによって不意を突こうとしたスラッシューに対してソウルはソウルディフェンダーを盾として使おうとするとそこから電撃が放出。ソウルはこれを見て脳裏にある考えが浮かぶと咄嗟にそれを投げた。

 

「電撃……そうだ!」

 

「そして、私はいつも奪われる♪大切な物全て♪だからもう奪われぬよう、強く燃えるんだ♪」

 

スラッシューは防御では無く攻めに転じた事に驚くとその間に回転しながら投げられたソウルディフェンダーは電撃を纏って向かってくる。スラッシューは何とか上体を逸らして回避。しかし、それは彼女にとって大きな隙を作る事になる。

 

ソウルがそこに追撃しようとする中でまたメガホンが光を放つ。それを見ると今度は白いダイヤルの方が発光していたのだ。

 

「そうか、今度はこれを使うのか!」

 

「闇の中、深く沈む私の体全て〜♪どんな試練、私に立ち塞がろうと♪(BURNING!BURNING!)」

 

スラッシューは歌いながらソウルの新たな力を警戒する中で彼はダイヤルを白に合わせて力を行使した。

 

「ズキューンの力、ソウルインパクト!」

 

するとメガホンから飛び出した白く大きなエネルギー弾が自身の前に生成されて停滞する。そのままソウルはメガホンに導かれるままにそのエネルギー弾へと突撃。エネルギー弾の中にソウルが飛び込むと白いエネルギーを纏ったままソウルが一気に突進する。

 

「はぁああっ!」

 

「燃え立つ私は今、生まれる♪(BURNING!BURNING!)誰かを頼るんじゃ無い♪新しい自分が今!♪ここにビッグバン!誕生だ!♪」

 

豪炎烈斬(ごうえんれつざん)

 

スラッシューはそれに対して手にした炎の剣を青い炎を纏わせた大剣へと変化させるとそのままそれを勢いのままに振り下ろす。

 

「「はぁああっ!」」

 

二つの攻撃がぶつかり合うと凄まじいパワーが駆け抜けていく。それが少しの間拮抗すると爆発。二人が爆風から出てくるとソウルはダメージからか膝を着いた。

 

「ぐっ……はぁ……はぁ」

 

「ッ……」

 

ソウルが苦しんでいるのを見てキッスは思わず飛び出そうとする。そんな時だった。スラッシューの体から煙のような物が立ち上ると同時に手にしていた大剣の根本にヒビが入っていくと真っ二つに折れる。

 

「ふふっ、なるほど。流石にズキューンキッスの力は凄まじいわね。…….今のであなたを仕留められれば良かったけど、次はきっとキッスも加勢するわね。そうなると仕留め切るのは困難。……仕方ありませんわ。ここは退かせてもらいましょう」

 

スラッシューはそう言うと未だにクラヤミンダーが残っているにも関わらず撤退の手を取る。そのため、さっさと目の前からいなくなったスラッシュー。それを見届けたソウルは一息吐くとキッスの方を向いた。

 

「キッス、助けてくれてありがと」

 

「別に、私は何もしてないわ。それに、まだ終わってないわよ」

 

「そうだな」

 

それから二人は移動するとクラヤミンダーと交戦しているキュンキュンの元に行く。

 

「クラヤミンダー!」

 

そんな中でクラヤミンダーが凄まじい音と共に倒れるのが二人の目に映る。

 

「これは……」

 

そこにいたのはキュンキュンともう一人。左手を前に突き出すと同時に手から煙が上がっている白い衣装の女性……キュアズキューンがズキューンバズーカーを放った後の状態で立っていたのだ。

 

「キッス、そっちは終わったの?」

 

「えぇ。それとすみません。お姉様のお手を煩わせて」

 

「ううん。大丈夫だよ」

 

そんな風にズキューンとキッスが会話する中、キュンキュンの元にソウルが行くと彼女の無事を確認した。

 

「キュンキュン、大丈夫か?」

 

「えぇ……。実は先程、クラヤミンダーからの攻撃を受けそうになったのですが……」

 

この少し前、キュンキュンがクラヤミンダーからのドライバーによる一撃を受けそうになった瞬間の事。

 

〜回想〜

 

「ッ……」

 

キュンキュンは逃げた先にまでクラヤミンダーの攻撃射程圏内にされて窮地に陥った。ただ、その時に突如として飛び込んできた影にキュンキュンは抱き抱えられて難を逃れたのだ。

 

「……あなたは」

 

「大丈夫?」

 

「キュアズキューン……。どうしてここに?」

 

「キッスにあなたを助けて欲しいって頼まれたからだよ。無事で良かった」

 

そう言って微笑むズキューン。キュンキュンはそんな彼女を見て心強い味方が来てくれたという気持ちになるが、同時に結局自分一人では何も解決できなかったという事実が残る事になった。

 

〜現在〜

 

「……私はズキューンに助けられましたが、私一人じゃ何もできませんでした。私はソウルの彼女なのに……」

 

キュンキュンが自分の実力の無さのせいでまた思い悩もうとしたその時、ソウルがキュンキュンの手を取った。

 

「それは気にしすぎだよ、キュンキュン」

 

「どうしてですか?私、何の力にも……」

 

「俺はそう思ってなんか無い。少なくとも、キュンキュンは自分のやれる事をやろうとしてくれた。俺はそれだけでも十分力になってると思う。キュンキュンがいてくれたからさっきもスラッシュー相手に集中できたしな」

 

キュンキュンはソウルの言葉にコクリと頷く。そんな彼女と入れ替わるようにソウルが前に出るとその手にソウルメガホンを構えていた。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーの方はズキューンによって地面に倒れていたが、まだまだやる気な様子である。そんな中でソウルメガホンの白と黒のダイヤルが同時に発光すると白、黒の順でダイヤルを合わせる。

 

その瞬間、ソウルの体へと真上から白と黒の雷が降り注ぐ。それが腕を伝ってメガホンへと装填された。

 

「二人の力、ソウルスクリュー!」

 

そのままメガホンのトリガーを引くと白と黒の雷のエネルギーが混ざり合うように螺旋回転しつつツイストしながら電撃の奔流として向かっていく。

 

「クラヤミンダー!?」

 

その一撃をモロに喰らったクラヤミンダーは電撃で完全に動けなくなってしまう。

 

「ズキューン、キッス、後は……」

 

「いいえ。お姉様と私の力を使いこなせているあなたにならきっとできるわ」

 

ソウルはラストは確実に相手を浄化できるズキューンとキッスに任せようとするが、キッスは首を振って否定。最後までソウルが決めてほしいと言わんばかりだった。

 

「そうなのか……?わかった。やってみるよ」

 

ソウルはキッスに促される形でクラヤミンダーを浄化するべく浄化技の領域を展開。

 

「クライマックスはこの俺!フィナーレ、決めるぜ!」

 

ソウルはインカムを装着した上でクラヤミンダーを強制着席させた。クラヤミンダーが抜け出そうとするものの、キッスの言った通りクラヤミンダーの拘束に成功しており、そのまま彼の歌が始まった。

 

♪決め歌 魂の鎖を解き放て♪

 

「己の力〜♪(my soul!)そんな物はな〜♪(my soul!)鎖を壊し、強くなるためにある♪!君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪……プリキュア!ソウルシャウト!」

 

ソウルから繰り出された星のエネルギーが降り注ぐとクラヤミンダーは浄化。素体の親子と共にお決まりの声を上げて消滅していく。

 

「「「「キラッキラッタ〜」」」」

 

そして、生み出されたキラルンリボンをソウルが手にすると壊されてしまったショッピングモールは元に戻っていった。

 

「ソウル、クラヤミンダーを浄化できるだけの力が戻ったんですね」

 

「ああ。そうだな」

 

そんなやり取りをする中でキッスは背を向けると歩き出そうとする。そんな彼女を見てソウルはキュンキュンへと小さく声をかけた。

 

「……キュンキュン、お願いがある。クラヤミンダーの素体になってた人達を近くのベンチに連れて行ってくれないか?」

 

「え?良いですけど……」

 

ソウルがそう言うと彼は急いで駆け出す。キュンキュンはいきなりどこかへと行ったソウルに動揺するが、彼の事だから意味のある事だと考えて自分のやるべき事を始めた。

 

「お姉様、帰りましょう」

 

「うん」

 

「待ってくれ。ズキューン、キッス」

 

「……何か用?」

 

「何でここにクラヤミンダーが出たってわかったんだ?」

 

それを聞いてズキューンが何かを答えようとするが、キッスはそれを予想したかのように先に答える。

 

「別に。偶々近くを通っただけ。そうしたら空が暗くなってた」

 

「嘘だな」

 

「ッ……」

 

ソウルはキッスが吐いた嘘を一瞬で見抜くと一度溜め息を吐いて彼女へと話しかけた。

 

「何でそこまでして隠すんだよキッス。……いや、メロロン」

 

それを聞いてキッスは一瞬だけ目元と口元が動いてしまう。ソウルはその反応だけでキッスにとってその言葉が図星だと感じると更に続ける。

 

「その反応だと図星か。って事はズキューンはプリルンだな」

 

「………」

 

「……これ以上俺が何かを言うつもりは無いし、この事をアイドル達を含めた他の人に言うつもりは無い。だからこれだけ言わせてくれ。いつの日か、お前達が秘密を隠さなくて良いその日が来たら……ちゃんと戻ってこい」

 

ソウルにそう言われてキッスは口元を歪ませる。それはまるで苛立ったようにも見えた。

 

「何も知らないくせに……知ったような口を効かないで」

 

キッスはそう言ってソウルを突き放す。そして、まるでソウルと決別するかのように彼へと言葉を放った。

 

「あなたのその言葉が叶う日なんて永遠に来ないわ。少なくとも、もう全てが元に戻る事なんて絶対に無いのよ」

 

キッスはこれ以上ソウルと話したく無いと言わんばかりに背中を向けて飛び去っていく。そんな中、ズキューンは慌てたような顔つきでキッスを追いかけて行った。

 

「キッス、流石に言い過ぎだよ。それに……誰かよくわからないけど、キッスの知り合いなんでしょ?」

 

「これで良いんです、お姉様。私はもう影人とは友達として一緒にいたらいけないんですから……」

 

それからズキューンとキッスはどこかへと去っていく。そして、誰にも見られてない場所で変身解除すると大人の人間だった二つの影は小さな妖精のサイズへと変化してどこかへと消えていくのだった。

 

「(……メロロン)」

 

ソウルは辛そうなキッスの顔を見てまずはこの気持ちを押し殺す事を選び、変身解除。そこに変身解除したこころがやってきた。

 

「カゲ君、クラヤミンダーにされていた人達はちゃんと目を覚ましました。……その感じだとズキューンやキッスと話してたんですよね?」

 

「ああ」

 

「何かわかった事があったんですか?」

 

「……いや、謎は深まる一方だ。俺の予想も外れてたしな」

 

「そうですか……」

 

影人はこころ相手に約束通り、ズキューンとキッスの正体を話す事は無かった。それから二人はデートの続きをする事になる。

 

その日の夕方、デートが一通り終わるとこころが帰り際にある提案をしてきた。

 

「カゲ君。提案なんですけど良いですか?」

 

「提案って?」

 

「明日、一度キュアズキューンとキュアキッスの正体についてうた先輩やなな先輩、レイ先輩を交えて探してみませんか?」

 

「……なるほど、今までは俺や咲良さんの頭のネジが飛んでいたせいで色々と忙しかったから考えるのができなかった。けど、一通り落ち着いたから一回探してみる。そんな感じ?」

 

「そんな感じですね」

 

「わかった。明日も空けておく。集合場所とかも今日のうちに連絡しておこうか」

 

こうして、影人とこころのデートは終わると翌日はズキューンとキッスの正体探しの日にするという事で決定するのであった。




今回でデート部分が終わり、次回からまたアニメ19話の話に入っていくと思います。それではまた次回も楽しみにしてください。
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