キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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未だに帰らないプリルンとメロロン ブンブンな記者

こころとのデートを終えた翌日の朝。影人は朝起きてこころのダンス練習を見てから朝食までの間の時間。一人、自分の部屋で考えていた。

 

「……メロロン。あの感じは一人で悩んでるな」

 

それは昨日わかったズキューンキッスの正体の片割れ。メロロンについてである。彼女と話した影人はその心の中に大きな悩みを持っていると見抜いた。

 

「……もしかしてメロロンの悩みの中にはプリキュアの力も関係してるのかな」

 

影人はメロロンの異変はプリキュアの力も何かしら関係していると予想。ただ、その何かまではわからない。加えて、もう一つ違和感があった。

 

「……キュアズキューンが……プリルンにしては大人しすぎる」

 

前日、キュアズキューンの正体がプリルンという事をメロロンの反応から何となく察した影人。ただ、正直な所……プリルンがキュアズキューンだと言うには彼女の態度があまりにも大人しい。

 

「プリルンは良い意味でも悪い意味でも純粋な子供みたいな奴っていうイメージがあるからな……。そんなプリルンがプリキュアに変身できたからと言ってあの好奇心旺盛でそこらをウロチョロしてはやらかしをして騒ぎを起こすという行為を直せるとは思えない」

 

現にメロロンはプリキュアになる前と後で多少の気持ちの変化があっても根本的な性格は変わってない。プリキュアになったメロロンが変わってないならプリルンも同じように変わらないはず。だからこそあの静かすぎるプリルンの態度の理由がわからない。

 

「……まさかと思うけど、プリルンの身にとんでもない事が起きてるってわけじゃないよな……」

 

影人はそこまで言った所でプリルンが大人しくなっている理由について薄々浮かんだある答えに辿り着きかけてしまう。

 

「……いや、そんなはず無い。幾らプリルンがああいう性格でもそこまでの事態にはなってないはずだ」

 

ただ、影人はその考えを捨て去るかのようにして否定する。今はまだ確かな事は言えない。だからこそ浮かんでしまった一つの結論を肯定したく無かった。

 

「お兄ちゃん、そろそろご飯だよ〜」

 

「ああ、今行く」

 

影人は丁度部屋の前を通った夢乃に扉越しに促されて返事をすると考えを中断して移動するのだった。

 

それから少し後。朝食を食べてから今日の集まりの集合時間までのちょっとした時間での事。場所は変わって咲良家にあるうたの部屋にて。うたは朝食を摂り終わった後に自分の机の上で何かの絵を紙に描いていた。

 

「うーん、キュアズキューン。何で懐かしい気がするんだろうなぁ……」

 

うたはそんな風に考えながら鉛筆を紙の上に滑らせる。それから何かを描き終わったのか自慢げに笑顔を浮かべた。

 

「良し、出来た!キュアズキューンのイラスト!」

 

そこにあったのはキュアズキューンの全身絵……なのだが、うたのあまりの絵心の無さに普通の人が見たらお世辞が入ったとしても上手いと言えるものでは無かった。

 

「我ながら良い感じ〜」

 

尚、うた本人は上手く描けたつもりらしい。うたは芸術においても独特の感性の持ち主という事だろう。

 

「……あ〜あ。キュアズキューンの正体も気になるけど……どこ行っちゃったんだろ?……プリルン」

 

うたは落ち込んだような顔つきで机の上に置いていたプリルンのトイカメラを手に取る。それははなみちタウンフェスの練習をした日の夜に撮影した二人でのツーショット写真であった。

 

「……キュアズキューンの事とか、話したい事いっぱいだよ……」

 

うたが珍しく落ち込んだように天井を仰ぐ中、そのタイミングで窓の外にフワフワと浮かびながら移動する小さな影……プリルンがいた。

 

ただ、うたの家の近くに来ているのに彼女はまるでボーッとしたかのようにそれをスルーしながら進もうとする。よくよく見るとプリルンが首元に付けているリボンは石化したかのように色が失われてしまっていた。

 

「メロ!」

 

「プリ?メロロン、どうし……」

 

「こっちはダメなのメロ。あっちに行くのメロ!」

 

そこに慌ててやってきたメロロン。プリルンのリボンが石化したような感じなのに対して、彼女の方のリボンは未だにいつも通りの色合いをしていた。それはさておき、メロロンはプリルンに咲良家に近づいたらダメだとばかりに別の方向に連れて行ってしまう。

 

「プリ〜ィイ!?」

 

プリルンはわけがわからないと言わんばかりに連れて行かれてしまった。このため、うたが気がつく事は無かったのである。

 

それから時間が経って、街中ではうた、なな、こころの三人が待ち合わせの場所でプリルンのトイカメラの動画を観ていた。

 

『だから待っててプリ!キュアアイドルはプリルンが守るプリ!』

 

この動画を最後にプリルンはずっとうた達の前に帰ってきていない。いや、厳密には何度かキュアズキューンとして来てはいる。ただ、プリルンとしての姿は見せてないので三人にはわからないのだ。

 

「プリルン、いつキラキランドから帰ってくるんだろう」

 

「様子を観に行った田中さんも戻って来ないし……大丈夫かな?」

 

「うん……」

 

かれこれプリルンとメロロンがキラキランドに行ってしまってからもうすぐ二週間近くになってしまう。良い加減戻ってくれないとうた達も不安になるのは当然だ。

 

「……もしかして、ピカリ〜ネ!様をプリプリ怒らせちゃって、モッサモサのモサモサ、モッサ〜にされちゃってるとか!?」

 

こころは想像力を豊かに働かせるとプリルンがキラキランドから帰って来ないのは向こうで何かしらヤバいやらかしをしてしまったと予想。そのせいでピカリーネを怒らせた上でのお仕置きを喰らっていつものモッサモサ刑を数倍マシマシな状態にされてしまっているのではと考える。

 

「更に、田中さんもその巻き添えに!……ふ、ふふっ……心、ちょっとキュンキュンしてます……」

 

そんでもってプリルンが罰を受けている間に田中が到着。監督責任やらを問われて彼も巻き込まれてしまったのだと想像。ただ、田中の方は妖精の姿を知らないので人間状態のままモッサモサを想像したらしく。こころは思わず笑ってしまっていた。

 

「「こころ(ちゃん)……」」

 

「……なわけあるかって。大体、キラキランドはダークイーネによって廃墟化してるんだ。プリルンが向こうで緊張感を無くす要素が無いだろ」

 

そこに到着したのが影人とレイの男子組であった。影人は自分の彼女が変な想像をしてしまっている事に呆れの顔になっている状態だ。

 

「別に良いじゃないですか。こういう時に少し笑えるような話をするくらい」

 

「ま、こころの言う通りポジティブ思考に向けておいた方が気が楽だぜ」

 

「それもそうか」

 

影人とレイの男子組の会話が纏まる中、五人は早速ズキューンとキッスの正体について探るための話をしようとしたその時であった。

 

「あ、皆〜!丁度良い所に!」

 

そこに走って来たのは影人達のクラスメイトである東中みことである。そして、彼女の後ろからカメラを首から下げつつ両手に持ったいかにも雑誌の記者と思わしき女性もついてきていた。

 

「みこと!」

 

「みこと先輩、どうしたんですか?」

 

「こころちゃん。うたにななちゃん。影人君にレイ君も知ってる?キュアズキューンとキュアキッスの正体!」

 

「「「ええっ!?」」」

 

東中の言葉にうた、なな、こころのトリオが驚く中、影人とレイは首を傾げる。

 

「「正体?」」

 

影人はこの時、あくまで知らないフリを装うために何があっても知ってるようなリアクションをしないように落ち着いた対応を取ると決めておいた。そんな中で話は続く。

 

「この記者さんが調べてるの!」

 

「そうなの!謎のアイドルの正体に迫る!ブンブンブーン!私、貴島つむぐと申します!」

 

そうやって自己紹介をする女性。彼女の自己紹介を聞いて影人は目を細める。“ブンブンブーン”という単語、つい最近どこかで聞いたような気がしたからだ。

 

「(……あれ?その言い回し、昨日ぐらいに何かで聞いた気がしたんだけど……気のせいかな?)」

 

影人がそう考える間にも貴島は自らの名刺をせっせと五人へと渡す。そこに書いてあったのは“エンタメブンブン”という会社だった。

 

「あ!エンタメブンブン!」

 

「知ってくれてるの?」

 

「勿論です!エンタメブンブンは芸能人とかの素敵なニュースがいっぱい載ってる雑誌なんです!」

 

「そういや、朝練とかでこころと会った時に偶に見せてくれてたな」

 

影人はふとそれを思い出す。どうやらこころもここ最近は愛読者になってるらしい。

 

「そう!エンタメブンブンは元気の出る記事で読者の心も……」

 

「「ブンブンブーン!」」

 

「って、ノリノリにしちゃう雑誌なんだ!」

 

こころと貴島は二人でバイクのアクセルをかけるかのようなポーズを取る。

 

「こころ、楽しそうだな」

 

「ある番組を視聴後だと凄い既視感がある言葉だから複雑ではあるけどな……」

 

尚、影人は昨日出てきたクラヤミンダーの事を思い出すとその素体となったロボット……○ンブンジャーロボの件を連想して複雑そうな顔をする。

 

「へぇ〜。エンタメブンブン、キラッキランラン〜!」

 

「「「「ブンブンブーン!」」」」

 

そのままうたも流れに乗ってブンブンし始めるとうた、こころ、東中、貴島の四人がノリノリでまたブンブンポーズを取る。

 

「皆、ノリノリ……」

 

「蒼風さんはやらなくて良いの?」

 

「うえっ!?う、うん。恥ずかしいからちょっと難しいかな……」

 

「そっか。その方が蒼風さんらしくて良いよ」

 

ななとレイがやり取りをしていると四人のブンブンタイムが終わり、東中がうたへと話しかけ始める。

 

「アイドルプリキュアの特集もよくやってるんだよ〜!」

 

「そうなんだ!」

 

「当然、持ってます!」

 

「(確か、CDの時も田中さんが電話で取材のアポ取られてる所があったな。多分貴島さんからだと思うけど……)」

 

こころが自慢げにアイドルプリキュアのデビューCDの雑誌を見せると影人も田中が前にどこからか取材を受けた事を思い出す。

 

「おお、ありがと。でも、ズキューンキッスはアイドルプリキュアと違って活動の情報が全く無いんだ。だから特集を組むために二人を見つけて取材したいの!」

 

これに関してはアイドルプリキュアはアイドル、ウインクの二人体制だった頃にやったPretty_HolicでのCM出演を皮切りに少しずつメディア露出を増やす方針に変わって行った。

 

対して、ズキューンキッスは誕生したてな上に加えて本人達は恐らくメディア露出を嫌がるだろう。だから余計に情報が少ない。

 

「それなら探すの手伝います!私、キュアズキューン推しなので!」

 

鼻息が出てしまう程にズキューンキッスへの取材をやる気満々な貴島。そんな彼女のやる気にうたも乗ると彼女もズキューンとキッスを探す事への意欲を示す。

 

「そうなの!?」

 

「はい!ズキューンにズッキューン〜!ってやられてからズキューンの事ばかりズキューンって考えちゃって。だから一緒に探したいんです!」

 

「そうなんだ……絶対に見つけよう!」

 

「はい!」

 

二人が意気投合してテンション爆上げになっていく中で。影人はそんなうたを見て唖然としていた。

 

「……まだ咲良さんの方はキュアズキューンの沼にハマりっぱなしなのか……」

 

「影人もキッスの沼にハマりっぱなしでも良かったんだぞ?」

 

「結構だ。あれ以上の黒歴史量産は勘弁だしな」

 

レイに言われた影人はバッサリと彼の言葉を切り捨てる。影人としてはあの時キッスにメロメロになってしまった件は今すぐにでも忘れたい黒歴史と化してしまっていた。

 

「ま、俺がフォローするのも大変だし。その方が俺も助かるか」

 

レイも一応影人がおかしくなってる間はサポート側に回っていたのでその面倒さはよくわかっている。

 

「ごめんね、凄っごく一緒に探したいんだけど、私……この後用事があって……」

 

どうやら東中は時間の都合でこれ以上の参戦は難しいとの事。だからこそ影人達を見つけられてタイミングが良かったと言える。

 

「オッケー!みことの分まで頑張るから!ね、ななちゃん。こころ、レイ君、影人君!」

 

「はい!頑張ります!」

 

「準備オッケーだな」

 

「え?私も?」

 

「はぁ、乗り掛かった船だ。付き合うよ」

 

これにより影人達五人が貴島と共にズキューンとキッスを探すためのチームとして纏まる事になる。

 

「ありがとう。それじゃあズキューンキッス捜索隊、結成だね!せーの!」

 

「「「「「ブンブンブーン!」」」」」

 

チーム結成を祝して合言葉で掛け声をした一同。ただし、恥ずかしさからななは小声。影人に至っては掛け声を言う気になれなかったのでポーズだけ真似をする事になった。

 

「(さてと。探すのに参加するとは言ったけど、果たしてアイツら二人を見つけられるのかな?メロロンの意思を尊重するなら無駄足になってくれる方が助かるけど……)」

 

影人としては自分が一緒にいるタイミングでズキューンキッスの正体がバレるとメロロンにバラしたのかと疑われる危険があるためにできれば見つからない方が良いと考えつつ、探すのはちゃんとやろうと考えるのだった。

 




また次回もお楽しみに。
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