キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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ベールに包まれたズキューンキッスの正体を探せ!

エンタメブンブンの記者である貴島つむぐと共にズキューンキッスの正体を探る事になった影人達五人。ただ、正体を探るとは言っても何かしら手がかりがあると言うわけでは無い。

 

「早速探そう!」

 

「でも……」

 

「どこにいるんだろうね?」

 

「少なくともこんなに目立つ場所にいたら人だかりができるだろうし、近くにはいないだろうな」

 

今現在、影人達がいるのは街の中でもそこそこ人通りがある街の中で都市部と言えるような場所。ここに堂々といれば良くも悪くも目立つのは確実だろう。

 

「うん、ズキューンキッスの手がかりは何も無い。ただ一つ確かなのは、二人は何の前触れも無く“はなみちタウンフェス”に現れて、そのライブ配信で突然デビューしたって事」

 

貴島からのその言葉に五人は頷く。その直後、彼女は爆弾発言を投下する事になる。

 

「……あと一つ。ちょっと気になってるのがね?そのフェスに怪物みたいなのが出たとか何とか」

 

「「「……あ」」」

 

「それってどういう事ですか?」

 

うた、なな、こころの三人が心当たりがあり過ぎて呆然としてしまう中、レイは至って冷静に。話へとなるべく食い気味にその質問を投げる。

 

こうする事で如何にも初耳感を出すことができるのだ。尚、影人も顔には出さずに無反応だった。

 

「口からビーム出したり、“カッティンダー!”って叫んだり」

 

「まさかぁ。怪獣とかが出る某ヒーロー物のドラマじゃないんですから。現実でそんな事なんてあります?」

 

「そうですよ。“誰の出番だ?出番だ○バン”とかいう○ルトラ怪獣じゃないんですし、それを倒すために界賊合体した○ッキー・ゴールドツイカーこと○ーカイオー○ッキーじゃないんですから」

 

「あー。そうそう。あと他に例えるならアニメになっちゃうけど、“仕方ない、構ってあげる”とか言いそうなツンデレ猫さんね。その辺りの声は私や双子の妹の声によく似て……って違う違う!そうじゃなくてだよ」

 

「お、中の人ネタへのノリツッコミありがとうございます」

 

「カゲ先輩にレイ先輩、何言ってるんですか……」

 

こころは三人が某怪獣と戦うウルトラな巨大戦士や45周年記念のスーパーな団体ヒーロー。挙げ句の果てにわんだふるな先輩のキャラの話をしているのを見て呆れたような目を向ける。

 

「この“カッティンダー!”とか言ってる怪物の事だよ。それで、皆は何か知ってる?」

 

「いやいやいや!」

 

「全然何も!」

 

「全くもって!」

 

貴島からの質問にうた、なな、こころは慌てて首をブンブンと横に振る。ここで変に思わせぶりな回答をしたら詰め寄られるからだ。三人の明らかに何も知らないという反応を見て貴島は残念と言わんばかりの顔になる。

 

「さっきの冗談とかを聞いた感じだと男の子二人組も知らなさそうだし。流石に怪物はちょっと考え過ぎたのかなぁ」

 

「「「うんうんうん!」」」」

 

貴島の言葉に三人は息ピッタリと言わんばかりの連続頷きで後押し。そんな中で、貴島の中には何かの予感があった。

 

「怪物の事はさておき。この街には何かが隠されている。秘密の匂いがするの……」

 

その言葉を聞いて女子三人組は未だに動揺しており、その近くで男子二人組は割と平然としていた。この場面にて彼等も動揺したい気持ちはあったが、それは貴島へと何かを知ってる事の匂わせになってしまうと判断しているので動揺を出さない方向へとシフトしているのだ。

 

そんな中、貴島は突如として犬のように顔を地面を近づけるとズキューンキッスの痕跡を探し始める。

 

「ブンブン、ブンブン、ブンブン、ブンブン!」

 

「ああやって匂いを嗅ぐんだ」

 

「大の大人が犬みたいな調べ方するのか」

 

「普通聞き込みとかでやるだろ……」

 

影人とレイの二人は貴島の調べ方が何も知らない人から見たら完全に変人扱いされてもおかしく無いようなだったので少し呆れたような顔つきになってしまう。

 

「あ!ズキューンキッスの匂い!がする!……気がする!」

 

「「「え?」」」

 

まさかの貴島的にはビンゴだったのか、ズキューンキッスの匂いを感じ取ったらしい。……彼女の言った表現的に見たらかなり曖昧だが。

 

「ズキューンキッスの秘密も絶対この街に隠されてる気がする!あっちは私に任せて!」

 

「「「は、はい……」」」

 

「「………」」

 

「それではいざ!ブンブンブ〜ン!」

 

「つむぐさん、キラッキラ〜ン!」

 

影人達が唖然とする中で貴島は一人、ズキューンキッスの匂いがしたという自分の勘を信じて行ってしまった。こうなると影人達にはどうしようも無いので彼女は彼女で探してもらう事になり、うたが貴島を見送る言葉をかけてから五人は改めて捜索を再開する。

 

それから一同はそれなりに人が通っているPretty_Holic前にあるそこそこ大きめな道の所へと移動した。

 

「よ〜し!ブンブンブ〜ン!」

 

「気になりますね、謎に包まれたズキューンとキッスの正体!」

 

「確かに、どんな二人なんだろうね」

 

「私達と同じプリキュア……だとは思いますけど」

 

ななとこころがやり取りを進める中でうたは一人何かを考えており、こころの言葉を聞いた後でレイが話へと入ってくる。

 

「……なぁ、一個良いか?」

 

「「「え?」」」

 

「もし仮にさ、ズキューンとキッスがキュアアイドル達と同じプリキュアなら……この捜索って割と無理ゲーじゃね?」

 

レイからの言葉を聞いてうた、なな、こころが首を傾げる。そこに影人が捕捉した。

 

「アイドルプリキュアは俺達四人が変身してなった姿だろ?それとズキューンキッスの二人が同じだと仮定するならその二人にも変身前の姿があるんじゃないのか?」

 

それを聞いた瞬間に三人は僅かに唖然としていたが、その言葉の意味が段々と飲み込めてくるとうたは思わず大声を上げてしまう。

 

それに続く形で三人揃ってガタガタと震え始める。ようやくこの状況についての理解が追いついたらしい。

 

「ああああっ!そうじゃん!」

 

「た、確かにそれは大いにあり得るね……」

 

「むしろ私達気づくの遅っ!?」

 

三人はここが大通りで他にも人がいるにも関わらず、割と大きな声で喋ってしまう。

 

「だとしたら変身する前の正体は誰なんだろう!?……てゆうか、もしその正体が……つむぐさんに突き止められちゃったら……」

 

うたは最悪の想像をしてしまう。キッスはともかく、ズキューンの方はキッスに止められるまであっさりキュアアイドルことうたと友達になろうとしていたので、頼まれたら割とすぐに了承してしまうかもしれない。

 

「プリキュアの正体は知られちゃいけないって……」

 

「女王様が言ってたけど……」

 

「だよねーっ!?これじゃあ大変な事になっちゃうかも!!」

 

何にせよこのままではヤバい。その気持ちが三人の中にとめどなく溢れていく。

 

「おーい、お前ら落ち着けって。今それで騒いで周りに変な人扱いされる方が面倒だぞ」

 

影人はこのままでは勢いでこの三人の方が変に正体とかについて話しそうで怖かった。

 

「ズキューン!!」

 

「落ち着いてください、うた先輩!」

 

「つむぐさんは誰が変身してるかなんて……」

 

ただ、その心配は杞憂でななとこころの方は割とうたのフォローをする状態に戻ったために自分達の正体バレのリスクは下がった。ただ、うたの方は興奮気味のまま目をキラキラさせる。

 

「こうなったら……私達が先に見つかるしか無い!それで正体バレないように気をつけてね!って教えてあげよう」

 

「うたちゃん、やる気満々……」

 

「キュアズキューンに会いたいだけだったりして」

 

「その通〜り!です!」

 

「凄い堂々と……」

 

「ああ、完全に私欲に走ってるな」

 

うたは後ろで爆発のエフェクトが見えるくらいに堂々とした態度で答えを返す。そんな彼女を見てレイは何度目かわからない呆れの言葉を言った。

 

「やれやれ、咲良さんは相変わらずのキュアズキューン推しって事だな。それで、結局ズキューンキッスを探さないとだけど、影人はどうした方が……」

 

レイが影人の意見も聞くべく話しかけようとすると影人が少し複雑な顔つきをしているのを見て彼の様子が気になってしまう。

 

「影人?」

 

「え?ああ、どうした?」

 

「……その感じ、また何か隠してるだろ」

 

「……隠し事はしてる」

 

影人は嘘偽り無く隠し事があるとレイに返した。ここで下手に嘘を吐くよりも最初から隠し事ありと言っておいた方が摩擦が少ないからだ。

 

「……当ててやる。お前はズキューンキッスの正体を知ってる……だろ?」

 

レイはうた達三人に聞こえないようにして話した。それを聞いて影人は同じく小声で返す。

 

「正解。レイにはやっぱりバレちゃうよな」

 

「……で、それを素直に言えないって事は何かしらは事情があるんだろ?」

 

「ああ。あの二人とは正体を他人にバラさないって約束をしてる。だからわかってても言えない」

 

影人はここまで来たら全ての事情をしっかり話すべきという事で大人しく話をする。その影人の言葉にレイは一度息を吐き出すと気持ちを整理。話を続けた。

 

「オーケー。これ以上は聞かないでおく。咲良さん達が正体に辿り着いてしまって、お前が二人に疑われたら俺がフォローするから」

 

「悪い、助かる」

 

影人はレイのフォローにありがたさを感じつつ、まずは目の前にあるズキューンキッス捜索について気持ちを切り替えた。

 

「よーし、探すぞ!」

 

「でもどうやってですか?」

 

「仮にズキューンキッスに変身者がいたとして。それに該当しそうな人を探すだけでも一苦労じゃないか?」

 

何しろ、プリキュアの変身前と変身後では姿にかなりの差が出るのだ。髪型やそのボリュームは大きく変化するし、服装もいつもよりも派手になる。四人を参考にすると瞳の色も変化するからアテにならない。

 

唯一変身前と後で変わらないのは顔つきだけだ。とは言っても瞳や髪色、髪型が変わるから同じ顔つきだとしても判別はかなり難しいだろう。

 

「カゲ先輩の言う通りですよ。変身した後に会うならともかく、変身前を見つけるなんて」

 

「そんなの、気合いで見つけるだけだよ!えっと、ズキューンに変身しそうな人は……」

 

そう言ってうたは周囲をキョロキョロと探し始める。そのありきたりな探し方にななは意外そうに見つめた。

 

「凄い普通に探すんだね」

 

「ちなみにどんな人を探してるか、その基準を聞いても良いか?」

 

「えっとね、凄く素敵な人!だってあんなにキラッキランだもん!」

 

うたの言うこともごもっともだ。あの二人の外見から判断するなら確実に歳上だろうし、うた達からしてみれば憧れの的とも言えるような美しい雰囲気を出している正に美女という言葉が相応しい。

 

「……だったら、身長を基準にしてみるのはどうだ?」

 

「え?それはどうしてですか?」

 

「ほら、俺達が変身するアイドルプリキュアの姿って派手な衣装や髪型にはなるけどそこまで身長や体格自体は変わらないだろ?」

 

「なるほど!つまり私達よりも背が高くて、尚且つ素敵なお姉さんを探せば良いって事だね!」

 

ズキューンキッスの正体を知る影人はそう言ってうた達三人の思考を上手く誘導。本当の正体であるプリルンやメロロンへと答えが行きにくいようにした。

 

勿論、正体を知らなかったとしても影人の事だから最終的にこの思考に辿り着きそうな気はするが。

 

「流石影人君。こういう時の観察力とか凄いね」

 

「ああ。影人の言う通り、その辺りを探すのが良いのかもな」

 

影人の考えにななやレイも同調。ただ、レイに関しては先程の影人との話があるので影人の意思に合わせる形にしつつ、ごく自然な話の流れとしただけだが。

 

「そうだ!折角だし、絵に描いてみよう!」

 

「「「「……絵に描く?」」」」

 

それからうたが一人スマホで絵を描き始める中、影人達四人も暇を持て余してしまうので一旦ズキューンキッスに該当しそうな人を手分けして探す事にした。

 

「きっとズキューンみたいな素敵なリボン付けてるんじゃないかな〜」

 

「あのリボン素敵だよね!」

 

「うん!何だか懐かしい感じがするんだよね〜。どっかで見た事ある気がするというか……」

 

「う〜ん?確かにそんな気がしなくも無い……ですけど」

 

「それに、キラキラな服にメイクはバッチリカッコよくて。うん!こんな感じ!」

 

うたが描き終わったという事で少し離れていた影人やレイも合流。二人からの手応えはあまり良いものでは無かったので改めてうたの絵を見て考える事にした。

 

「じゃあ見せるよ、せーの!」

 

「「「「………え?」」」」

 

うたの絵を見た瞬間、四人の顔が凍りつく。そこにあったのは青いドレスに身を包み、キュアズキューンとしてのリボンを髪に付け、体からはキラキラとしたオーラを出し、まるでどこかの国のお嬢様……というにはちょっと不細工な顔つきや髪をした絵。

 

美しくするために厚化粧をしたかのようなその絵は相変わらずうたの感性が前面に出てきた画伯クオリティだ。

 

「咲良さん、これ何の絵?」

 

「え?キュアズキューンの変身前の絵に決まってるでしょ?」

 

「………」

 

影人は思わず色々とうたにツッコミを入れたかったが、あまりのうたの自信満々っぷりにツッコミを入れる気も無くなってしまう。うた的に見たらこれは自信作で、あまりそういう感性を否定するのは良くないと影人は思えたからでもある。

 

「素敵なリボン……」

 

「キラキラな服に」

 

「メイクはバッチリ……」

 

なな、こころ、レイのトリオもあまりの芸術的な作品に唖然とするとうた抜きでコソコソと話を始めてしまう。

 

「うた先輩の絵、芸術的過ぎません?」

 

「流石にこういう感じの人は……」

 

「まず間違いなくいないだろうな」

 

ななやこころは困ったような顔つきをし、レイはバッサリと言い切ってしまう。そのくらい、目の前にあるのは絶望的な絵と言えるのだ。

 

そんな時だった。五人の近くを通る何かの影が見える。そこにチラッと映ったのはキュアズキューンのようなリボンにキラキラとしたブロンドの髪。脚にはヒールの付いた靴。服はキラキラとした青い衣装。

 

正にうたの描いた絵に限りなく近い人が通ったことが後ろ姿だったものの、確認できたのだ。

 

「「いたぁああっ!」」

 

「えええっ!?」

 

「……何でこういう時の運は良いんだろうな?咲良さん達」

 

「俺的にはこれで時間が稼げるなら何でも良いや……」

 

うた、こころは思わず大声を上げ、ななは唖然とした顔になってしまう。そんな中でズキューンキッスの正体がわかってる影人は半ば諦めたような顔になり、レイもうた達の豪運に思わず感心してしまうのだった。

 

果たして、あの後ろ姿を見せる人がキュアズキューンの正体なのか?次回に続く!(とは言ってもズキューンキッスの正体は既に告知済みなので特に言っても意味は無いが)

 

「おい、天の声。最後に変なおふざけを入れるな」

 

天の声へと影人のツッコミが刺さった所で五人は通り過ぎていくあの人間の後を追う事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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