キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
プリルンとメロロンが覚悟を決めると二人の姿が光と共に変化。プリルンの方は白に近いブロンドのボブヘアーの女性に、メロロンの方はややウェーブがかかった黒髪のロングヘアーとなっている。また、胸の辺りから下はそれぞれ変身用のライトグリーンと黒に発光する専用の物に変化。
様々な色が混ざった空間の中でいきなり出てきたキラキラショータイムマイクを人間態となった二人がキャッチ。プリキュアリボンを装填する。
「「プリキュア!ライトアップ!」」
二人はそう言いながら上部のカバーを半回転。中に描かれていたプリルンとメロロンを象徴する音符マークが見えると二人同時にマイクを三回タップ。
その直後に二人の髪型がいきなりプリキュアとしての物に変化すると掛け声を言った。
「「キラキラ!ショータイム!YEAH♪」」
二人が掛け声を言うといきなりワンピースが一気に出てくる形で展開。それから二人がクルクル回りながらスカート周りに一際目立つ腰のローブの光が出てくる。そして、二人がえび反りを披露しつつローブが完全に具現化。
「「キミと〜!YEAH♪」」
二回目のタップと共に両腕のグローブ、両脚のブーツが順番に出てくると二人は手を繋ぐ。
「「一緒に〜!YEAH♪」」
二人が三回目のタップをしてプリルンはリップ、イヤリング、そしてプリルンの耳を模したリボン。更に髪をなぞるようにしてピンクのメッシュが入る。そのまま右の腰辺りに鍵の化粧用コンパクトを装着。
メロロンも同じくリップ、イヤリング、髪飾りの黒いリボン、更に紫の髪のメッシュへと変わる。そして左の腰辺りにハートの錠前型化粧用コンパクトを装着。
最後に展開していたカバー部分を元に戻す形で変身を完了すると名乗ることになった。
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
二人が変身を完了すると降り立った。プリルンとメロロンが、本当の意味でキュアズキューン、キュアキッスだと判明した瞬間である。この光景に何も知らなかったうた達四人は勿論、事態を知っていた影人も改めて衝撃を受けた。
「えぇえええっ!?キュアズキューンとキュアキッスって……プリルンとメロロンだったの!?」
うたは驚き過ぎて開いた方が塞がらなかった。そんな中でななやレイも思わずプリルンとメロロンをズキューンキッスに重ねて浮かべる。
「キュアズキューンがプリルン……」
「キュアキッスがメロロン……」
「ええーっ!?全然違うじゃないですか!大きさも、喋り方も、モフモフ〜さも何もかも!?」
こころに至ってはジェスチャーを交えつつ驚きを表現。そんな中で影人はキッスへと僅かに申し訳なさそうな表情を向ける。
「ビックリ……。いやいやマジかよ!」
ザックリーもズキューンキッスの正体があの非力に見えた妖精二人組だと初めて知って驚いた様子だった。
そして、思わずうたはズキューンへと駆け寄ると嬉しそうな声色で話しかける。
「プリルン!キュアズキューンだったんだ!」
「……え?」
するとズキューンはうたに話しかけられて思わずキョトンとしたような顔つきになる。
「……プリルン、やっぱりそうなのか?」
ズキューンの反応を見た影人は事前に予想していた通りの一番起きてほしくない展開になりつつある事に言葉に不安の色が見える。
「……お姉様」
「うん」
そこにキッスがズキューンへと促すように声をかけると二人は目の前のクラヤミンダーと対峙した。
「「はあっ!」」
直後、二人は構えを取ると目にも止まらぬスピードで走り出す。その際に発生した風がうたの近くを吹き抜けていく。そして、クラヤミンダーへと向かって走るキッスは一人脳内で考えていた。
「(……再び交わる二人。これもまた、避けられぬ
キッスが考えている間にズキューンが更に加速するとキッスを追い越す。それに対してクラヤミンダーが待ち構えていた。
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーは腕組みポーズをしていたが、いきなり跳び上がりつつ自身の体に付いているカメラのレンズからエネルギー光線を放つ。
光線がズキューンやキッスへとぶつかると煙が発生。ザックリーは二人相手に一撃が入ったと喜ぶ。
「良し!クラヤミンダー、このまま……」
だが、その直後には煙から二つの影が飛び出す。どうやら二人揃って攻撃を回避しており、無傷のままだった。
「あれ!?」
「こっちだって行くよ!」
ズキューンはそう言うと先程のお返しだとばかりに腰の化粧用コンパクトを手にするとアイカラーを塗り、エネルギーを左手に構える。
「ズキューンバズーカー!」
ズキューンから放たれた強力なエネルギー砲はクラヤミンダーへと命中すると空中にいたクラヤミンダーをたった一撃で地面へと撃墜させてしまう。
「たった二人だってのに!もう!」
ザックリーはクラヤミンダーがいつもより人数が少ない二人相手の状態でボッコボコにされているため、悔しそうにしていた。そして、ななやこころが唖然とした顔を向ける中でうたは興奮しつつ手を振ってズキューンへと声を上げる。
「やっぱり凄い!ありがとうプリルン……じゃなかった、キュアズキューン!」
うたの言葉を聞きつつ地面に降り立ったズキューンは嬉しそうにうたの方を見てピースサインと笑顔を向ける。
「えへへっ」
「ねぇどうして?二人共どうやってプリキュアになったの?」
うたの問いにズキューンはとても純粋な笑顔のまま、正直にその答えを返す。
「キュアアイドルを守りたくてなったんだよ!……でも、あれ?どうやってなったんだっけ?」
「ッ……」
ズキューンは思わず首を傾げてしまう。その挙動を見て影人の中に浮かんでいた疑惑や予感は完全に確信へと変わる。ただ、これを話して良いのかわからずに口に出すことができなかった。すると、そのタイミングでキッスがズキューンの肩に手を置く。
「お姉様、その話は後に……」
キッスがズキューンへと戦いに集中するように促したその時だった。先程ズキューンバズーカーを喰らって倒れていたクラヤミンダーが起き上がるといつの間にか溜めていたエネルギー砲をまたズキューンとキッスへと向ける。
「クラヤミ!」
「喋って油断したな!今度は更にパワーを上げてやれ!」
「「ッ!?」」
「ズキューン、キッス、危ない!」
完全に不意を突かれた形のズキューンキッス。そのタイミングで咄嗟に反応したのは影人だ。彼は一瞬にしてキュアソウルへと変身する。
「ヤバい!キラキラ!ドレスチェンジ!」
「カゲ先輩!?」
こころは一瞬で変身した影人を見て自分を盾にするつもりなのかと焦る。何しろ、今はウインクの力由来の攻撃吸収の障壁が使えないのだ。
うた、なな、レイの三人も慌てたような顔をする。……しかし、今のソウルには強力な力が宿っていた。
「キッスの力、ソウルディフェンダー!」
「ンダァアアッ!」
クラヤミンダーからのフルパワー砲が放たれるとそれをソウルがソウルメガホンを使用して出した盾、ソウルディフェンダーで完全に攻撃を止めてしまう。
「うげ!?何だよそれ!?」
ソウルの手助けに助けられたキッスは彼へと詰め寄るとその行為を咎める。
「ソウル、何で助けるの!助けてなんて一言も……」
「……理由は二つ。この前助けられた借りを返せてないから。もう一つはキッス達の正体がバレてしまった事への償い。……約束守れなくてごめん」
それを聞いてキッスは口籠もった。それから彼女は少しだけ考え込んでから答えを返す。
「……ソウルは悪くない。そもそも、あなたが自分から私達の正体を他の人達にバラすなんて思ってないわ。今回の件はあくまで事故よ」
「そうか」
キッスはソウルへのフォローを終えてからまた脳内で考える。それは自分達がキュアズキューン、キュアキッスになったあの日の事だ。
「(“咲良うたを助ける”という願いを叶えるため、お姉様と私が選んだ事)」
あの時、プリルンとメロロンがハートキラリロックへの一番大切な物を封印。その影響でプリルンの付けていたリボンが石化。プリルンの大事な物が封印されてしまう。
ただ、それと同時に鍵から飛び出したリボンが二つ生成されて結ばれた。それと同時にリボンはプリキュアに変身するために必要なプリキュアリボンへと変化。
その際に二人がうたから受け取っていたスプーンマイクを媒体にし、今し方出てきたプリキュアリボンが重なる形でキラキラショータイムマイクも完成。その力によって二人はキュアズキューン、キュアキッスへと変身したのだった。
「(こうして私達はプリキュアになった。……お姉様の願いは私の願い。私の力はお姉様の力。……それに、黒霧影人。どうして……どうしてなの?あれだけキツい言い方をして突き放しても尚、私達を助けるなんて……)」
キッスは困惑していた。前回の戦闘が終わった後に質問に来た影人相手に強く突き放す物言いをしてしまう。それなのにも関わらず、影人は窮地に陥った自分達をフォローしたのである。
「キッス、私達もあの子に負けてられないよ!キュアアイドルのために絶対にキラッキラにしてあげよう!」
そんかキッスの迷いを振り切るようにズキューンが手を差し出す。それをキッスは手に取って頷く。
「うん!」
「く、くそ……だったらもう一発……」
するとクラヤミンダーは元気無さそうに座り込んでしまう。それを見てザックリーが唖然とする。
「おい、お前なんで座るんだよ!さっさと動いて……あれ!?」
ザックリーが何故か動かなくなってしまったクラヤミンダーに慌てる。彼がよくよくクラヤミンダーを確認してみるとそこにはバッテリーが今にも切れてしまいそうだった。どうやら二発目のエネルギー砲にパワーを使いすぎたせいで自分が動くためのエネルギーも使ってしまったらしい。
「ズキューンの力、ソウルインパクト!」
「クラヤミンダー!?」
その間にソウルはメガホンを白に合わせると突撃しつつ白いエネルギーと重なり、クラヤミンダーへと体当たり。クラヤミンダーは吹き飛ばされて近くの壁に激突。完全にグロッキー状態となった。
「ソウル強っ!?」
「というか、いつの間にあんな技を使えるようになったの!?」
うた、なな、レイの三人は影人の使う新たな力については初見なのでこちらも驚きに包まれる。
「決めろ!ズキューン、キッス!」
ソウルの言葉に二人は頷くとズキューンとキッスはクラヤミンダーを浄化してしまうために領域を展開。
「「二人の誓い!今、輝け!」」
二人は掛け声と共にクラヤミンダーを強制着席させると浄化のための歌を歌う。
♪決め歌 Awakening Harmony♪
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪……プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」
ズキューンとキッスが放った白と黒の光の一撃はクラヤミンダーへと降り注ぐとクラヤミンダーの体を浄化。お決まりの台詞を残して消滅した。
「「キラッキラッタ〜」」
クラヤミンダーが浄化された事によっていつも通り、キラルンリボンが出現。それをキッスが回収するとザックリーはまた負けた事に悔しさを感じつつ撤退する事になる。
「チッ……。ザックリ言って、無駄に眩しい奴等だぜ」
ザックリーが撤退すると助けられた貴島が爆睡してしまっていたが、彼女が目を覚ますとその視界に自分を助けてくれたズキューンキッスの二人が映る。
「んぁ?私、何で……んんっ!?」
「……大丈夫だった?」
「キュアズキューンとキュアキッス!?」
「そうだよ!」
貴島が急いで飛び起きると思わず二人から距離を取るが、貴島は緊張した面持ちで二人へと例の件を頼み込む。
「あの、突然なんですけど……。私、エンタメブンブンの貴島つむぐと言います」
貴島は名刺を手渡すとズキューンは初めてみる名刺にキョトンとした顔を向ける。
「ステージ、とっても素敵でした。お二人の言葉をファンの人達に伝えられたら、絶対……ブンブン!ブーン!だから取材……お願いします!」
「勿論良いよ!ね!」
「はい、お姉様」
「ブンブンブ〜ン!」
貴島の取材依頼をズキューンとキッスは承諾。そのため、貴島は喜ぶと彼女達への取材は特に問題無く行われた。そして、取材終了時にはそれなりに時間を要したのか、夕方となると日が沈みかける。
ちなみに、ソウルこと影人は貴島が目覚める前の時点で変身解除しているので特に彼の方がバレる事は無かった。
「ありがとうございました〜!ブンブンブ〜ン!」
貴島は無事に取材できて満足なのか、走り去ってしまう。それを見送った一同。そんな中で手を振っていたズキューンへとうたが話しかける。
「キラッキランラン〜。凄っごかったよ、キュアズキューン!キュアキッス!」
「ありがと!」
ズキューンが嬉しそうにそう返すと二人揃って変身解除。プリルンとメロロンの姿へと変わる。そして、そんな二人を見て五人は改めてズキューンとキッスがプリルン、メロロンだと確認した。
「本当にプリルンとメロロンだなんて……」
「ビックリです!」
「……ほんと、ちょっと見ない間に凄い強くなって戻ってきたって感じ」
ななとこころ、レイの三人がそう言う中、うたは思わずプリルンへと抱きつく。
「プリルン!私、凄っごくキラッキランランだよ!」
「……プリ?」
「だって大好きなプリルンがキュアズキューンなんだから!……何で懐かしいって思ったのかわかった。ズキューンのリボンがプリルンと似てたからだ……」
プリルンが困惑したような声を上げる中、うたは久しぶりにプリルンと再開できた嬉しさで彼女へと話し続ける。
「お帰り、プリルン!」
「……プリ?」
「プリルン?どうしたの?」
するとプリルンは首を傾げてから一瞬メロロンの方を向く。それから改めてうたの方を向くと彼女は悪意の無い純粋な声である疑問を口にする。
「……どうしてプリルンの事を知ってるプリ?君……誰プリ?」
その言葉はその場の空気を一瞬にして凍り付かせた。プリルンの言葉に隣にいるメロロンや薄らと状況を察していた影人を除くその場の全員が驚きや困惑の声を上げる。
「「「「……え?」」」」
「それ、本気じゃないよね?……私の事……」
「知らないプリ!初めましてプリ!」
うたは確認の意味も込めてプリルンへと問いかける……が、やはりプリルンの答えは同じ。プリルンは……ハートキラリロックで願いを叶える際に言われた代償通り……咲良うたとの思い出を全て封印し、完全に忘れてしまっていたのだ。
ただ、うた達は封印した事自体をまだ知らない。そのため、少しの間キラキランドに行くと言ったきり会えなくなったプリルンにやっと会えたかと思ったら“初めまして”と言われた形になる。
「なんで……」
「カゲ先輩、どうしてプリルンはあんな風に……」
「俺にもわからねぇよ。でも、ただ一つ言えるのは……俺の予想が最悪の形で当たったってだけだ」
「ねえたま、行くのメロ」
「プリ!」
メロロンに促されてプリルンは彼女の元に向かう。そんな二人にななは思わず声を上げる。
「メロロン!メロロンは……」
「……何も話す事は無いのメロ」
メロロンからの言葉は冷たく、まるでうた達の事も拒絶しているかのようだった。
「何でこうなるんだよ。なぁ、プリルン、メロロン。本当に戻ってこないつもりか?」
レイからの問いにメロロンは答える事無くプリルンへといつも通りに話しかける。
「行くのメロ」
「バイバイプリ〜!」
そのまま二人は飛び去って行ってしまう。五人はそれをただ見送るだけしかできなかった。
「プリルン!?」
「どうしちゃったんです!?」
「プリルン、私の事……忘れちゃったの……?」
ようやく再開できたプリルンとメロロン。しかし、プリルンの方は記憶を喪失してメロロンはそれを説明してくれない。果たして、この先……どうなってしまうのだろうか?
また次回もお楽しみに。