キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
プリルンとメロロンとの話をするためにまずは二人の居場所を見つけないといけない。そのため、田中が二人がいそうな場所の心当たりを当たる事にした。
「あれ?」
「どうしました?田中さん」
「……これを見てもらった方が宜しいかと」
田中は何かを見て固まった様子であり、それが気になったレイが声をかけると彼が何かを指差す。
「えっと、“プリルン♡メロロンの家”……は?」
影人は読み上げるとやはり意味がわからずに困惑。いや、勿論意味はわかる。しかし、影人としてはプリルンとメロロンがまさかの不法侵入をするという犯罪行為に手を染めるとは思っていなかったからだ。
「嘘だろ?」
「ひとまず入ってみましょう」
田中に促されて一同は家の中に入る。どうやら、ちょうど二人は中にいるようなのか鍵はかかっておらず。早速家の中を見ると何やら前に来た時と比べて色々と変わっている部分があった。
「あれ?ここってこんなに可愛い雰囲気だったっけ?」
「うん。って事はやっぱりいるのかな」
その視界に広がるのは女の子らしい可愛い装飾が施されたキラキランド出張所・キューティクルスタイルと言わんばかりの変わりようだった。
「田中さんの趣味にしては可愛過ぎますもんね。きっとあの二人の仕業ですよこれ」
「田中さん……可愛い趣味……あ、それもそれで結構良いかも……」
「姫野さん?何を想像してるんですか?」
「ハッ……ん、んんっ!兎に角、二人を探しましょう」
尚、約一名田中が可愛い雰囲気の趣味に目覚めた妄想をして夢乃から咎められた模様。
それから一同は声のする部屋を見つけるとその中をそっと覗く。その部屋は大きな広間の部屋であり、中からはちょうど食事の時間なのか良い匂いが漂っていた。
そして部屋の中ではプリルンが席に座っており、そこにメロロンがさながらメイドのようにお腹の辺りにハートマークが描かれたエプロンを付けて皿に乗ったオムライスを彼女の前に出していた。
「メロロン特製ランチなのメロ。どうぞメロ!」
「ハート可愛いプリ!」
メロロンはオムライスへとケチャップでハートを描く。そんな中、プリルンはメロロンへとある事をせがむ。
「メロロン。前にやってくれたおまじない、またやってほしいプリ!」
「ねえたまの頼みなら何回でもやるのメロ」
メロロンからの言葉に部屋の外から覗いている一同は首を傾げる。するとメロロンは手を合わせるとハートの形を作り出す。そして、メイド姿・オムライス・ケチャップによる絵と来たら次にやる事はアレと相場が決まっている。
「愛と旨みを、ハートに込めて。美味しくなぁれ♡こんこんにゅう〜メロ!」
「プリ〜。そのポーズ可愛いプリ!メロロン、ありがとうプリ!」
メロロンがやり出したのはまさかのメイド喫茶あるあるのオムライスへと愛情を込める儀式である。
「……メロロンってああいう事もやるんだね」
「ちょっと意外かも……」
「普段だったらやってって言っても速攻で拒否しそうなんだが……本当に何があった?」
流石にメロロンのキャラと合ってないこの謎行為に一同は困惑する。ただ、うたは何かを思い出したのか小声で声を上げた。
「あ、もしかすると前にメロロンに見せたあの雑誌のお店の事かな?」
どうやら、少し前のプリルンとメロロンがいなくなる前にうたはあるお店の記事を見せていた。
「ここ最近有名になってきたメイド喫茶があって。確か名前は“カフェ・○くらんぶる”だったと思う」
「そういえば、メロちゃんがうちに遊びに来てた時にプリちゃん相手にこのお店の儀式をやりたいって言ってたね」
要するにメロロンはプリルンが記憶喪失になった事で謀らずとも夢を一つ叶えた形となる。尚、同時刻のその噂のカフェ・○くらんぶるではメロロンと声の似た胸や尻の大きいナイスバディの弄られ役。とにかく主人公達や配信のアンチ達に振り回される不憫な女の子がくしゃみをしたとか。
『うぅ、作品を跨いでまでるーを弄らないでよぉ……』
その女の子は涙目になりながらも不憫な様を見せつける事になるのだが……それは正直どうでも良い話なので放っておこう。
「あ、そうなのメロ。これもあるのメロ」
部屋の中ではメロロンがプリルンへと新しい料理を提供していた。それはタコさん……では無く、メロロンが影人から毎日のように食べさせてもらっていたカニさんウインナーである。
「これは何プリ?」
「カニさんウインナーなのメロ。メロロンにとって大切な人との思い出の料理なのメロ」
それを聞いて影人は目を見開く。また、夢乃もメロロンの言葉に困惑の顔を向けた。何しろメロロンは戻ってきて以降、影人に突き放すような言葉ばかりを話しており、まるで影人を嫌いになったと言わんばかりの避けようだったのだ。
だからこそ影人との思い出の品をプリルンのご飯で出した事が驚きであった。
「カニさん!可愛いプリ!いただきますプリ」
プリルンは左手のフォークでカニさんウインナーを早速刺して口に運ぶと食す事になる。
「美味しいプリ!カニさん、最高プリ〜!」
「ねえたまと夢の二人暮らしメロ!メロ〜」
メロロンはプリルンとの二人きりの生活が順風満帆なためにクルクルとその場で回るくらいにはご機嫌な様子を見せていた。
「それにしても……私の家が、完全にピンク色に……」
部屋の中にはピンクのハートやリボンが散りばめられ、いつのまにか壁も下の方が綺麗にピンクの色が塗られてストライプ状態になっていた。場所によっては上の方にハートも描かれているくらいである。本当に職人でも無いのによくここまで綺麗に塗装できたものである。
ただ、少しの間留守にしたるだけでプリルンとメロロンに不法侵入された上に模様替えまでされて食料も減らされている田中は本当に泣いても良いだろう。実際本人もかなりのダメージだったのかその場に倒れてしまうくらいには精神的ダメージを負っていた。
「田中さん!?」
「何メロ?」
田中が倒れてななが声を上げてしまったがためにメロロンはこのタイミングで自分達の家(田中の家を乗っ取っただけ)に他人が入っている事を認識。そして隠れる必要も無くなったのでうたを先頭に部屋へと突入する。
「プリルン!」
「メロ、また邪魔しに来たメロ!?ねえたま泥棒!」
そう言ってメロロンは明らかにうたを目の敵にしたような発言をする。そんな中でもプリルンは未だにオムライスを美味しそうに頬張っていた。
「あれ?メロロンはうたちゃんの事覚えてるんだね」
「……残念ながら覚えてるのメロ」
「おーい、メロロン。本音が漏れてるぞ」
何にせよ、メロロンが封印した物は少なくとも影人達との思い出では無いという事がわかった。
「ねえ、メロちゃん。友達になるって約束したよね?どうしてこんな……」
「メロ……。そんな約束をした覚えは無いのメロ。メロロンとねえたまの時間を邪魔するなら夢乃でも容赦しないのメロ」
メロロンの言葉に夢乃は胸の奥がキリキリと痛むのか俯いてしまう。そんな彼女を見て影人は何かを言いたかったが、話が破綻するのでグッと我慢した。
「ねぇ、プリルン。私うただよ。覚えてるよね?」
「私はなな」
「こころだよ!」
「一応無駄だと思うけど、俺はレイ」
「全然わからないプリ」
うた達は自分達の名前を言っていくがやっぱりプリルンの記憶はキュアアイドルを除き、うたと出会って以降の部分が無い状態だ。そのためあっさりと知らない人扱いされてしまう。
「本当に覚えてないんだぁあっ!?でも、これならわかるでしょ?」
うたはひとまず確認の意味を込めてキュアアイドルのステージシーンが切り抜かれた動画を見せる。
『キミのハートにとびっきり♪』
「キュアアイドルプリ!」
「それ私!」
「キュアアイドルじゃ無いプリ」
「ダメか……」
うたが自分がキュアアイドルだとアピールするものの、プリルンはキュアアイドル=うたである事もわからないので困ったような顔をされてしまう。
「キュアアイドルが咲良さんって事もわからないのか。本当にキュアアイドルの事だけしか覚えてないって感じだな」
「ねえたまはあなた達の事なんて覚えてないのメロ!ねえたまはこの家で、メロロンと幸せに暮らすのメロ」
メロロンが無理矢理プリルンとうたを引き離すように割って入る。しかし、それに待ったをかけるのは当然家主の田中。彼はいつの間にか復活すると影人達の所にまで来ていた。
「あの、ここは私の家なのですが」
「……この人誰プリ?」
プリルンはうた達の記憶を覚えてないので当然田中の人間態としての姿も覚えてない。だが、田中にはそんなプリルンの記憶に触れるあの手段がある。
「ならば、これで」
田中はスッと手を出すと指を使ってプリルンの顎をスリスリと撫でる。するとプリルンは気持ち良さそうな顔を浮かべた。
「プ〜リ〜!こ、この感じは!」
「メロ〜!?」
「そう、私は……タナカーンなんタナ」
メロロンが慌てた様子になる中でプリルンは気持ち良さそうな顔つきを浮かべ、それと同時に田中はポンという音と共にその姿を妖精としての姿……タナカーンへと変身する。
そこにいたのは黄緑の色に眼鏡をかけ、頭には茶髪の名残りと言わんばかりの前髪があった。加えて首には黄色いネクタイを付け、音符マークがネクタイに入っていた。
「「「「可愛い〜!」」」」
「た、田中さんが……久しぶりにその姿に……!」
うた達女子組四人がタナカーンの姿に思わず声を上げ、姫野もいつものクールキャラはどこへやらと言わんばかりの興奮したような声を出した。
「若い頃はよく言われタナ〜」
「タナカーン!」
プリルンは久しぶりに会えたキラキランドでの友達に嬉しさを爆発。タナカーンへと抱きついた。それを見て姫野が唖然とする。
「やはりこの姿は覚えていタナ〜」
「勿論プリ!タナカーンは、プリルン家の裏に住んでた仲良しプリ!」
そのまま二人は手を取り合うとクルクルと空中で縦方向に回転。メロロンはその仲の良さに思わず黒いオーラが出る程に嫉妬。加えて、姫野も顔が若干青くなっていた。
「た、田中さんとあんなに仲良く……」
「姫野さん、さっきから様子が変ですよ?」
レイにツッコミを受ける姫野、そんな中でタナカーンは改めて影人達と向き合うと自己紹介をする。
「改めましタナ。向こうの世界ではこの姿でやってるんタナ」
「プリ!」
プリルンはタナカーンに後ろから抱きつくと嫉妬したメロロンが黙って見ているはずも無く。二人を引き剥がそうとその間に割って入ろうとした。
「ねえたまから離れるメロ〜!」
「そうですよ!田中さんと離れてください!」
次の瞬間、姫野がポンと音を立てると姿を変え、田中の空いている方の左手を引っ張る形でプリルンから引き離させようとする。
「姫野さん!?」
「ひ、ヒメーノ。ちょっと引っ張り過ぎタナ」
「あっ、ごめんなさいヒメ!」
そこまでやった所で姫野の妖精態ことヒメーノはうた達女子組から向けられるネットリとした目線に気がつくとハッとする。
「べ、べ、別にこれは違うのヒメ!ただタナカーンが大変そうに見えたから助けようとしただけなのヒメ!」
「いや、その主張は無理がありますよ……」
「はぁ。姫野さんも素直になれば良いのに」
姫野ことヒメーノはどうにか落ち着くと改めて彼女も挨拶をする事になる。ちなみに色合いとしては薄い紫の体に人間態を想像させる小さめな黒髪のポニーテール。ただ、眼鏡の方はしておらず、可愛らしい妖精としてのクリっとした愛らしい瞳をした姿であった。また、音符マークは姫野の丸いハイライトの中に薄らと入っている形である。
「申し遅れました。キラキランドではこの姿でやってます。この時の私はヒメーノと呼んでください」
姫野が焦りを誤魔化すかのように言うと影人がヒメーノとしての姿では眼鏡が無い事を指摘した。
「あれ?ヒメーノさん。その姿では眼鏡をしないんですね」
「じ、実はあれ……伊達メガネなんです。だから普通に視力はあって……その」
ヒメーノは眼鏡をしている理由を自発的に話そうとしなかった。彼女の反応と彼女がタナカーンへと見せる反応から考えるに……という事だろう。
ヒメーノが伊達でも眼鏡をかけている理由は一応読者のご想像にお任せします。
「田中さんも姫野さんもキラキランドの妖精だって改めてわかりましたね」
「でも、これで一個わかった事があるね」
「ああ、プリルンは昔の事なら覚えているって事だな」
「それ、どういう事?」
ななとレイが理解する中でうたはやっぱりわからないのか首を傾げる。それを夢乃が説明しようとするとそれを影人が制した。
「えっとですね、うた先輩……」
「いや、ここは俺が話す。……簡単に言ったら咲良さんと川で出会ったあの日以降の事はキュアアイドルの事を除いて全部忘れてるって事。逆に言えば、キラキランドに住んでいた頃に出会った人の事はちゃんと覚えてるって事だ」
「なるほど……」
影人はうたの尊厳の事も考えて敢えて夢乃では無く自分の口から説明。うたも何となく理解する事はできた。
「良し、じゃあ決めた!」
「え?何をですか?」
「プリルンが忘れちゃったのなら、私達が思い出させるしか無いでしょ!」
そう言ううたは自信満々の顔でななやこころと肩を組む。つまり、失われた記憶をどうにかしてこちらから働きかける形で思い出してもらおうということだ。
「メロ!?」
「そうだ!皆でピクニックとかどう?」
「プリ!ピクニック大好きプリ!」
「じゃあ決まり!名付けて、ピクニックで思い出してもらおう大作戦!」
それを聞いて影人は滑ってしまう。それは流石に名前の付け方が安直すぎると感じたからだ。
「ちょっ、もう少し捻った名前は無かったのか?」
「思い出すプリ?」
プリルンが首を傾げる中、うた達の方で話は盛り上がっていく。そんな中でメロロンは捲れたような顔をしていた。
「むーっ……でも、ねえたまや影人とのピクニックはちょっと楽しみ……」
「……メロちゃん。ごめんね……」
「メロ!?」
すると夢乃が優しくメロロンを抱くと驚いたような仕草を見せた。影人の事を聞かれたく無いタイミングで夢乃が来てしまったからである。
「メロちゃんとしてはプリちゃんと一緒にいたいのにこんな風に連れ回して苦労をかけて。……それと、お友達の件。メロちゃんがどうしてもダメだったら……それでも良いよ。でもせめて、お友達がダメでも困った時に少しお話しできるくらいの関係にはなりたいな」
そんなメロロンの気持ちを知ってか知らずか、夢乃から優しく話をされてメロロンの心はズキリと痛む。ただ、彼女はそう思っているのを悟られてはならないとばかりにそっぽを向く。
「メロ!」
夢乃はそんなメロロンへと優しく微笑むと一応プリルンのいる方向を向かせる。そんな中でプリルンがメロロンの所にやってきた。
「メロロンも行くプリ!」
「……ねえたまが行くなら仕方ないのメロ。付き合ってあげるのメロ」
そんなわけで今度の週末に一同はピクニックへと出かける事に決定する事になる。
また次回もお楽しみに。