キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
記憶の戻ったプリルンが閉じ込められたクラヤミンダーとスラッシューを相手に持ち直したソウルとキッスが立ち向かう。
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーはピンクに発光させてからのアイドルグータッチを放つ。しかし、先程までとは違ってその拳には炎が宿っていた。
「はあっ!」
ソウルはグータッチを繰り出すために拳を前に出そうとした瞬間を狙って一気に接近するとガラ空きの胴体に拳を叩き込む。
「クラ!?」
「グータッチは威力高めだけど繰り出すまでに隙が大ありだからな!」
「私もいる事を忘れてないかしら?」
するとスラッシューが炎の斬撃波を放つとソウルを狙う。しかし、そのタイミングでキッスがカバーに入るとその斬撃波を弾いて防いだ。
「ッ!」
「あなたこそ私を忘れないで!」
「キッス!」
「ええ!」
ソウルとキッスはお互いが逆方向を向くとキッスはクラヤミンダーに、ソウルはスラッシューへと走り出す。
「クラヤミンダー!」
クラヤミンダーはそれを受けて紫に発光させると紫の炎を纏わせたレーザーを放つ。
「ソウルディフェンダー!」
それに対してソウルが手を翳すと先程スラッシューに弾き飛ばされたソウルディフェンダーが飛来。キッスがそれを手にするとクラヤミンダーからのレーザービームを盾で防ぐ事になる。
「「はあっ!」」
そして、そのまま二人は同時にクラヤミンダーとスラッシュー相手に攻撃を繰り出す。クラヤミンダーはキッスからの蹴りを受けて後ろに吹き飛ばされ、スラッシューの方は炎の剣と拳がぶつかる。
「ふふっ、その程度のパワーで押し切れるとでも……」
「だああっ!」
スラッシューが笑みを浮かべたのも束の間。ソウルはその防御込みでスラッシューを押し切ると後ろに下がらせる。
「ッ、嘘。パワーが上がってる?」
「俺達は戦えない咲良さんや記憶の戻ったプリルンの想いも背負ってるんだ。これ以上お前らの好きにさせるかよ!」
ソウルの背中には戦えない二人の気持ちも背負われている。それに、ソウルは折角うたが助け出して記憶を取り戻したプリルンが出てくるのを妨害されて多少苛立っている所もあった。
「ッ、でも……この程度で私を退ける事はできませんわ!」
スラッシューは持ち直すと同時に手にした剣先をソウルへと向ける。このままでは埒が明かない。少なくとも目の前にいるスラッシューをどうにかしないとクラヤミンダーに辿り着けない。
「……プ、プリ……」
しかもプリルンはスラッシューの力で無理矢理クラヤミンダーの中に閉じ込められているためにどんどん弱っているようにも見えた。
「お姉様!このままじゃ、お姉様が……」
「くっ……」
そんな時だった。ソウルは封印されているうたのブローチを視界に入れる。
「……だったら、この手に賭けてみるか」
ソウルはソウルメガホンを取り出すとすかさずダイヤルを白と黒で連続させる。それを見てスラッシューはソウルが最大の技を使うと考えた。
「ソウルスクリューを使うつもりね?……確かに今は歌によるブーストが無い分、真っ向勝負は私が不利。でも、対策は取らせてもらいますわ」
スラッシューはそう呟きながらソウルスクリューを迎え撃つべく構える中、キッスはそのタイミングを逃さない。
「ッ……ソウルの技はきっと受け切られる。でも、だからこそ私がカバーする!」
キッスはスラッシュー及びクラヤミンダーの目線がソウルへと向いた瞬間を狙うと化粧コンパクトを開いて口紅を塗り、投げキッス。技を使った。
「チュッ!キッスショック!」
キッスショックが飛んでいくとスラッシューはソウルからの攻撃に意識を割かれたせいで反応が遅れてしまう。
「なっ!?このっ!」
スラッシューはキッスショックを受け止める。ただ、そこから流れる電撃が彼女を足止め。これによってスラッシューは完全にソウルの方向から目を逸らしてしまう。
「今だ!二人の力、ソウルスクリュー!」
ソウルが放ったソウルスクリューはクラヤミンダーへと向かう。クラヤミンダーは咄嗟にバリアを張ろうとするが、ソウルの狙いはクラヤミンダーでは無かった。
「ここ!」
そのままソウルは技の軌道を変化させると水晶と化してしまったアイドルハートブローチへとそれは命中。そのエネルギーが流れ込むとあっという間に水晶にヒビが入っていく。
「まさか、狙いは……」
「ああ、最初から咲良さんのブローチだ!」
次の瞬間、ソウルスクリューの威力を受けた水晶が砕けるとブローチがまた使用可能となる。
「ブローチを使わせるか!」
スラッシューはそのタイミングでキッスショックを粉砕。自由になるが、すかさずキッスがキックをぶつける。
「はあっ!!」
「ありがとうキッス!咲良さん、受け取れ!」
ソウルはキッスがスラッシューを足止めする間に封印を解いたブローチをうたへと投げる。うたはそれをしっかりとキャッチ。
「ソウル、ありがとう!プリルン、今助けるよ!」
うたはソウルから受け取ったブローチを使うとそのままプリキュアリボンを装填して変身する。
「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」
うたの姿が一瞬でキュアアイドルへと変化。そのままプリキュアとしての名乗りを行う。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
うたがキュアアイドルに変身するとすかさずブローチをタッチする。それからクラヤミンダー相手に走った。
「クラヤミンダー!」
クラヤミンダーは再度ブローチを封印しようとライトを紫色にしてエネルギー砲を構える。
「させない!ソウルソニック!」
ソウルはそんなクラヤミンダーに対してソウルソニックによる衝撃波を放つとそれはクラヤミンダーの顔面に命中。
「クラァ!?」
その一瞬の隙をアイドルは見逃さない。踏み込むと渾身の力を込めた技を放つ。
「アイドルグータッチ!」
アイドルからの拳がクラヤミンダーに命中するとクラヤミンダーが纏っていた赤い装甲の一部が砕けると同時にクラヤミンダーからまた先程と同じような眩い光が出てくる。
「プリルン、私の手を取って!」
アイドルはグータッチした手をそのままクラヤミンダーのヒビが入った部分に突っ込むと手を伸ばす。それと同時に内部にいるプリルンはアイドルが助けに来てくれたと感じると無我夢中で手を伸ばす。
「うたプリ!?うた、プリルンはここプリ〜!」
そして、伸ばされた二つの手は繋がれるとアイドルはプリルンが自分の手を取ってくれたと判断して力強く引き抜いた。
「プリルン、行くよ。せーのっ!」
「プリ〜!」
そのままクラヤミンダーからプリルンが飛び出すとプリルンの首のリボンが完全に元の色を取り戻すと同時にプリルンがアイドルの胸に飛び込む。
「うた〜!」
「プリルン……私の事……」
「全部思い出したプリ。うたとの大切な想い出……無くしちゃったポッカリか見つかったプリ!」
そんなプリルンを見てスラッシューを全力で止めていたキッスは複雑な思いでいっぱいになる。
「(……やっぱり、お姉様にとっての一番は……咲良うた。あなたなのね。それに、結局奇跡を起こしたのは咲良うたの力……)」
「こんなはずは……ッ!?クラヤミンダー、何をしてる?」
するとスラッシューはクラヤミンダーの異変に気がつく。改めてクラヤミンダーを見ると突如として思考回路がバグったかのようにキラキライトの色が次々と変わりつつ発光。変な声を出しながら暴走した。
「ワァートンニモヤルク……」
「クラヤミンダーがまだ動いてる!?」
「マジか。素体の人間が抜けても動けるみたいだな」
しかし、核が無いせいで力を上手く制御できないのかクラヤミンダーは変な動きをしていた。
「クラヤミンダー、落ち着きなさい!相手はあっちの……」
「クラヤミンダー!」
その瞬間、クラヤミンダーは召喚した主であるスラッシュー相手にも攻撃。その暴れっぷりにスラッシューさえも手がつけられなかった。
「もう!言う事を聞きなさい!」
「キュアアイドル、プリルンも戦いたいプリ!」
「うん!一緒に戦お!」
プリルンはアイドルの言葉に応え、キラキラショータイムマイクを単独で呼び出すとそのまま変身する。
「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ショータイム!YEAH♪」
どうやら、メロロンとは違ってプリルンは単独での変身が可能らしい。そのまま彼女はキュアズキューンへと変わる。
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「キュアズキューン!」
「キュアアイドルに助けてもらった分。私も頑張るよ!」
ズキューンは飛び出すと錯乱するクラヤミンダー相手に接近しつつ肘打ちを命中させる。
「クラァ!?」
「ズキューンバズーカー!」
そのままアイカラーを塗ってゼロ距離でのズキューンバズーカーを解き放つ。それをまともに喰らったクラヤミンダーは吹っ飛んで地面に激突した。
「クラァアアッ!?」
後は決めるだけ。そのタイミングでキッスはズキューンと決めようとする中、ズキューンが僅かに苦しそうなのを感じ取った。
「ッ……」
「お姉様!?」
「大丈夫……ちょっと体が重いだけだから」
どうやら先程スラッシューに無理矢理炎でのコーティングをされた際にズキューンことプリルンの肉体に大きな負担がかかったらしい。どちらにせよこのままではズキューンのコンディションの低下で浄化技が失敗する危険がある。
「……そうだ。ソウル!」
「え?」
「……ソウル、お姉様の代わりに私とあなたで決めましょう」
「そんな事できるの!?」
キッスの提案にアイドルは驚く。そして、その言葉にソウル本人が一番驚いていた。
「キッス……だが、変身の時は代役が効いても浄化技もズキューンの代わりには……」
「……何言ってるの。あなたが私に二人でならやれるって信じさせてくれたのでしょう?今度はソウルが私を信じる番。それに、お姉様をここまで酷い目に遭わせたあのクラヤミンダー。私が浄化しないと気が済まないの!」
キッスはズキューンが弱る原因を作ったクラヤミンダーが許せなかった。それに彼女はズキューンの力を受け取り、同じ光を使えるソウルになら技の代役も行けると信じたのである。
「……そうか。だったら、俺も応えないとな」
それからソウルは一度メガホンを白に合わせ、キッスの隣に並ぶとそのままクラヤミンダーを浄化してしまうために領域を展開。イントロとしてかかる曲は勿論ズキューンとキッスの歌。ズキューンのポジションに立つと観客達はソウルの歌も受け入れたような形だった。
「「二人の誓い!今、輝け!」」
二人は掛け声と共にクラヤミンダーを強制着席させると浄化のための歌を歌う。
♪決め歌 Awakening Harmony♪
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪」」
二人は最後まで歌を歌い切ると観客達は白と黒のキラキライトを振る。その歌はズキューン本人の時と比べるとズキューンサイドの歌詞の低音の色合いが強い。ただ、キッスのサポートに加えてソウルの芯の通った歌は観客達に響き渡った。
プリルンという核を失ったクラヤミンダーにもそれは通用し、二人はフィナーレを決める。
「「プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」
ソウルとキッスは白と黒の光の一撃をクラヤミンダーへと放つ。ただし、技名に関してはズキューンキッスディスティニーのまま。これはソウルがキュアズキューンの代役としてキュアズキューンの力の穴埋めを行なっているからである。
そして、二人の技はクラヤミンダーへと降り注ぐとクラヤミンダーの体を浄化。ご丁寧にソウルはその際もズキューンと同じ決めポーズを取り、クラヤミンダーは勿論お決まりの台詞を残して消滅した。
「キラッキラッタ〜」
クラヤミンダーが浄化された事によっていつも通りキラルンリボンが生まれる……はずだったが、浄化の際にキラルンリボンとなるのは素体の人間のリボンが浄化された時だけ。
今回はクラヤミンダーの素体となったプリルンは既にキラキラを取り戻しているので出てくるのはクラヤミンダーに取り込まれていたズキューンことプリルンのキラキライトのみである。空中から落ちてきたそれをズキューンがキャッチ。大切そうに胸の辺りで握った。
「良かった……」
ズキューンが小さく呟く中でソウルやキッスもホッとしたような顔を浮かべる。そんな中、一人面白く無さそうな顔をしたスラッシューはそのまま四人を攻撃しようとした。
「くっ……調子に乗るのも良い加減に……」
その瞬間だった。どこからかブローチをタッチする音が聞こえるとスラッシューの進む先にレーザーが降り注ぐ。
「キュンキュンレーザー!」
「なっ!?くっ!」
スラッシューは咄嗟に後ろに下がるとそこに応援に駆けつけたウインクとキュンキュンが降り立つ。
「アイドル、大丈夫?」
「遅くなりました!」
「チッ……。もうクラヤミンダーの追加は無理。幾ら私でも六人を同時に相手取るのはリスクが高い……くっ。次こそは必ずキュアソウルを連れ去ってくれるわ」
スラッシューは珍しく不機嫌そうな顔つきをしつつその場から撤退。いなくなる事になるのだった。そんな中でアイドルはズキューンやその近くに来たソウルやキッスの元に駆け寄る。
「ありがとう、ズキューン!それにソウル、キッスも。私が戻るまで時間をかけちゃってごめん」
「……ううん。お礼を言うのは私の方だよ。初めて会った時もうた言ってたよね?諦めずにキラッキランランにするんだって」
その言葉を聞いてアイドルは目を見開く。そんな中、ズキューンは笑顔のままアイドルの元に歩み寄ると更に続けた。
「諦めずに歌いかけてくれてありがとう。私、うたの歌のお陰でキラッキランランになれたよ!」
ズキューンのこの言い方。そして、うたがキュアアイドルに覚醒した日。……初めてうたとプリルンが出会ったあの日の事を話すズキューンにアイドルは確信を持つ。
「……ズキューン、本当に記憶が戻ったの?」
「うん!」
それからズキューンは優しくアイドルの手を取ると二人は同時に変身解除。その際にピンクの桜の花びらが風に吹かれて舞い踊った。それからプリルンはうたへと嬉しそうに話しかける。
「思い出せたプリ!うたの事も、皆んなの事も。ぜーんぶプリ!」
「えっ!?」
「プリルン、記憶が戻ったの!?」
「なんと……」
その場にいた他のプリキュア達も変身解除。なな、こころが驚く中でその隣にいる田中もパジャマ姿のまま驚いたような顔を浮かべる。
「本当に……本当の本当の本当に!?」
「本当の本当の本当にプリ!」
うたはプリルンの言葉に思わず聞き返す。その言葉は必死そのものだった。そんな中でプリルンが記憶を取り戻したことが間違い無いとわかるとうたの目には涙が溢れ出す。
「良かったぁああっ!うううっ!想い出はこれから作れば良いって言ったけど、でも……忘れちゃうの悲しかったから……良かった。本当に良かったよ」
うたは父親の和の言葉で前向きにこそなれたものの、やはりここまででかなり心に応えていたようで。だからこそこうして記憶が戻った事が人一倍嬉しかったし、ここまでプリルンにわからないと言われ続けたのはかなりショックだったらしい。
「うた、ありがとプリ。もう絶対忘れないプリ……」
うたとプリルンの様子を見てななもこころも安堵の顔つきを浮かべていた。これで全てが元通りだと。プリルンは封印による代償から抜け出したのだ。
「……奇跡が起こったのメロ。でも、ねえたまを助けるのはメロロンのはずだったのに……メロ」
「……メロロン、咲良さんの事を責めないであげてほしい。今は、今はプリルンが笑顔になれて良かったと思いたいから」
影人はメロロンへと今はプリルンが記憶を取り戻した事を素直に喜ぶべきだと諭す事になった。そんな中でななやこころがうた達へと話しかける。
「うたちゃん、プリルン。良かった」
「最っ高に心キュンキュンしてます!」
「これからは六人でプリキュアだね!よろしく!」
うたはプリルンの記憶が戻ったために六人でアイドルプリキュアになれると考えてそう提案する……そんな時だった。メロロンがいきなりプリルンの手を引っ張って影人の近くにまで連れて行ったのは。
「メロ!」
「プリ!?」
「勝手に決めないでメロ!」
「プリ?」
「メロロンとねえたま、それと影人にいたまは合わせてズキューンキッスソウル!……三人組メロ!あなた達のライバルメロ!」
メロロンからのその言葉を聞いて一同はいきなり凍りつく。それからうた、なな、こころは驚きの声を上げた。
「「「……え?ライバル!?」」」
その声は森の中に反響し、エコーとして響き渡った。それと同時に影人も恐る恐るメロロンへと問いかける。
「……なぁ、メロロン。俺の聞き間違いじゃないよな?お前今何て言った?」
「何度でも言うのメロ。ねえたまとメロロン、影人にいたまの三人は合わせてズキューンキッスソウル!影人にいたまはアイドルプリキュアからズキューンキッスに移ってもらうのメロ!」
「にいたま……?ズキューンキッスソウル?……は?は?……はぁあああっ!?」
それから一呼吸置いて影人の方の叫びも響き渡った。メロロンの言い出した三人組によるズキューンキッスソウル。加えてメロロンのにいたま発言に影人も影人でわけがわからずに混乱する事になるのである。
また次回もお楽しみに。