キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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こころ対メロロン!?仁義なき女の戦い勃発

プリルンをクラヤミンダーから救出し、襲撃を仕掛けたスラッシューを退けた。その最中でプリルンは記憶を取り戻し、ようやくカッティンダー出現に始まった一連の問題は解決した。

 

「……と、思ってたんだけどなぁ」

 

事件解決したその日の夕方。影人の家では影人の前にいる四つの影があった。一つ目は自分の妹の黒霧夢乃。彼女は苦笑いしながら今の現状を見ている。

 

「あはは……こころ先輩もメロちゃんも落ち着いて……」

 

「「これのどこが落ち着いていられるの(ですか)(メロ)!!」」

 

黒霧兄妹の前では影人の彼女である紫雨こころと影人の自称妹を先程から叫んでいるメロロンがいがみ合っている。尚、本気の喧嘩にはまだなって無いために少しだけ余裕はある状態だ。

 

「カゲ先輩をアイドルプリキュアから引き抜くってよく言えましたよね!そもそも先輩は私の彼氏ですよ!」

 

「そんな事言ったらメロロンだって影人の妹なのメロ!義理だとしても肉親の方を優先するのは当然メロ!」

 

二人は完全に仁義なき女の戦いを初めてしまっている。影人は正直何故こうなってしまったのか。かなり胃が痛い状況だった。

 

「う〜ん!美味しいプリ!夢乃の作ってくれたクッキー最高プリ!」

 

「お前はちょっと状況を考えて自重しろ!?」

 

最後の一人はメロロンと一緒に来たプリルンである。と言うよりはメロロンが無理矢理立会人として呼んだのだが。彼女は能天気に夢乃が焼いたクッキーを美味しそうに食べている。

 

「……こころ、メロロン。頼むからそろそろその言い争いを止めてもらえると助かるんだが……」

 

「「それは無理(です)(メロ)!」」

 

「はぁ……」

 

影人は完全に頭を抱えてしまう。事の発端は今朝の事件解決後に言ったメロロンの特大爆弾発言である。

 

〜回想〜

 

「ねえたまとメロロン、影人にいたまの三人は合わせてズキューンキッスソウル!影人にいたまはアイドルプリキュアからズキューンキッスに移ってもらうのメロ!」

 

メロロンは事件解決後、まさかの影人ことキュアソウルをアイドルプリキュアから引き抜く趣旨の言葉を発言したのである。加えて、何故かこの瞬間から影人はメロロンに“にいたま”と呼ばれるようになった。

 

〜現在〜

 

「そのせいでこころがちょっと爆発しちゃったんだよなぁ」

 

こころとしては自分は影人の彼女である上にずっと前からアイドルプリキュアとして彼と共に活動している以上、自分達に一言も相談せずにこのような引き抜きをしてきたメロロンへと物申さざるを得ない。

 

「うん。それと、まさかメロちゃん。お兄ちゃんに了承を得る前に“にいたま”呼びしちゃうなんて」

 

「……その反応だとメロロンのにいたま呼びの事か?今朝言ってたメロロンの話したい事って。……あと夢乃が変に抵抗しない所を見ると、俺が寝込んでる昨日辺りに話を付けてたな」

 

「そうだよ。私もお兄ちゃんとメロちゃんが二人で話してたすぐ後にそれを相談された時はビックリしたけど、メロちゃんの事は私も大切だし。私の事はあくまでお兄ちゃんの妹同士として対等な立場にするために名前で呼んでもらう事にしたから」

 

「お前はそれで良いかもだが……はぁ」

 

影人はプリルンが元に戻ってようやく問題が解決して気持ちが楽になる……と考えていた矢先に早速これなのだから勘弁してほしかった。

 

「こころ、ちなみにメロロンが俺の事をにいたま呼びするのは大丈夫なのか?」

 

「え?……まぁ、それは別に良いですよ。メロロンと仲良くするにはそれが一番手っ取り早いですし」

 

「だったらこんな事で言い争いすんなよ……」

 

「こんな事って言いますけどね、それとこれとは別問題ですよ!メンバーの加入と脱退はリアルのアイドルの中でもかなりピリつく出来事ですし!」

 

それは事実だから影人は否定できなかった。実際問題、リアルのアイドルの中でも運営者の都合でメンバーが加入したり脱退したりする事は勿論ある。加入の際に既存メンバーが新メンバーを受け入れるか否か。受け入れなかった場合、最悪メンバー内での虐めにも発展する。更に言えば脱退に関しても一人抜けるだけで人間関係は大きく変化する事が多い。

 

例えば抜けてしまったメンバーが険悪な雰囲気になりつつあるチームをどうにか抑えていたのだとしたら、それだけで残されるメンバーの雰囲気が悪化してチームそのものが空中分解するリスクも大きくなる。

 

「俺としてはメロロンが六人でやる事を受け入れてくれるのが一番手っ取り早いと思うけど……」

 

「それは絶対にダメなのメロ!影人、言ってくれたのメロ!メロロンにとって後悔しない幸せを手にしてほしいって。メロロンは影人と離れ離れになるなんて嫌なのメロ!それだったらねえたまとメロロンと三人でズキューンキッスソウルをやるのメロ」

 

影人はまさかの昨日の自分の発言がこの状況を作り出したのだとわかってまた頭を抱えてしまう。恐らくメロロンのにいたま呼びもメロロンのこの心理に起因する物だ。

 

前日まで無理して影人を捨てようとしていたメロロンが自分の気持ちに素直になった結果。影人を捨てて後悔するよりはこうして義理の兄妹として一緒にチームとしてプリキュアをやりたいということだろう。

 

「嘘だろおい……メロロンの事を心配して言ったあの言葉が完全に裏目に出たのか」

 

「お兄ちゃんドンマイ……」

 

「こころ、メロロン。一応聞いておくけど、二人共自分の意見を曲げるつもりは無いんだよな?」

 

「そうですね。こればかりは譲れません。私はカゲ先輩と一緒にアイドルプリキュアをやりたいです」

 

「こころと同じメロ。メロロンはにいたまと一緒にズキューンキッスソウルをやるのメロ」

 

このままでは二人は自分を取り合ってそのうち喧嘩に発展するかもしれない。そう思った影人はどうすべきか迷う。

 

「流石に兼任……ってわけにはいかないよな」

 

「多分そうなると所属ポジション的にはズキューンキッスソウルがメインになると思う。チーム名にプリキュアとしての名前が入っちゃってるし」

 

「うぅ……」

 

「皆で一緒にやるのはダメなのプリ?」

 

影人がどう対処するのが正解か迷っているとプリルンが影人へと聞いてきた。どうやらクッキーを食べるので夢中だったためにさっきの話をちゃんと聞けてないらしい。

 

「だから、皆でやるのができないから悩んでるんだよ」

 

「プリ?でも、アイドルプリキュアとしては皆一緒プリ。仲良く皆一緒プリ!」

 

「……何だよその理論……あれ?一緒……あっ!」

 

プリルンの発言を聞いて影人は何かに気がつく。それは、アイドルプリキュアもズキューンキッスも活動する時は同じ場所であるという事だ。

 

普通、同じ事務所のアイドルグループだとしても活動する場所は大体違う。ただ、アイドルプリキュアもズキューンキッスも活動場所は殆ど同じ。

 

それにアイドルプリキュア、ズキューンキッスはどちらか片方が仕事で呼ばれたら大体の場合もう片方にも全く同じ仕事がある。つまり、アイドルプリキュアもズキューンキッスも世間一般で考えたらセット売りなのだ。

 

だから肩書きがどちらになるかはこの際は置いておくとして。アイドルプリキュア、ズキューンキッス。どちらも活動する場所は同じであれば少なくとも影人、こころ、メロロンの三人は同じ空間内で活動する事になる。後は活動する際の人員の配置とかの問題をどうにかしてもらえば全てが丸く収まるだろう。

 

「……プリルン」

 

「プリ?」

 

「……珍しくプリルンの意見が参考になった。ありがと」

 

「プリ?どういたしましてプリ!プリルン、影人の役に立てたプリ〜!」

 

プリルンが無邪気に喜ぶ中で影人は未だに言い合っているこころやメロロンにこの事を話す。

 

「二人共。俺の意見を話しても良いか?」

 

「カゲ先輩?」

 

「にいたま?」

 

「……俺の所属がアイドルプリキュアになるかズキューンキッスソウルになるかは別だけどさ。最終的に俺達は同じ場所で活動するんだからさ。無理してどっちかって断定しなくても良いんじゃないのかなって」

 

「「えっ?」」

 

「どっちつかずの考えって思うかもしれないけどさ。アイドルプリキュアもズキューンキッスも活動する上での目的は同じ。二つのチームが敵対するわけでも無いんだからさ。だからもうこんな言い争い止めよう」

 

それを聞いて二人は俯く。そして、自分達は影人が自分の側から離れてほしく無い気持ちという身勝手な気持ちでこんなにその場の雰囲気を悪くしてしまったと後悔の気持ちが出てきた。

 

「……すみません、カゲ先輩。ちょっと熱くなりすぎました」

 

「メロロンも影人がこんなに困ってる顔……見たいわけじゃ無いのメロ」

 

影人はどうにか二人の矛を収めさせるとどうにか落ち着いてもらえて安堵した。

 

「ホッ……」

 

こうして、一旦影人の所属の件に関しては監督者のレイ、マネージャーである田中達運営陣と要相談という形にして決着させる事になるのだった。

 

それから数日の時が経ったある日の放課後。咲良家の喫茶グリッターに遊びに来ていた影人、うた、なな、こころ、レイの五人がテーブルを囲み、座っている。そして、レイは今の影人が置かれた惨状を聞いて思わず笑っていた。

 

「あははっ。やっぱりお前は苦労人としての才能があるな」

 

「あっても嬉しくねぇよそんな才能……」

 

「でも、プリルンの記憶が戻って良かった。あんなに暗くて辛そうな咲良さん見てられなかったし」

 

「あはは……ごめんね」

 

うたはレイに言われて苦笑いを浮かべる。レイはうたが本調子に戻ったためにようやくいつも通りの光景が戻ってきたと感じていた。

 

「そうだ。山上さん達にお願いしてまたアカペラ練習を再開できるようにしたから。また練習の方をやるって形になるぞ」

 

「本当!?」

 

「しかも、昨日辺りにプリルンとメロロンに試しでどのくらい変わったか見てもらったんだ。そしたら、プリルンもメロロンもプリキュアに変身できるようになった事も含めてかなり上達してたって」

 

「「「「……え?」」」」

 

その言葉を聞いて四人は凍りつく。どうやらプリルンとメロロンもコッソリ練習を進めていたらしい。主にメロロンがプリルンに教える形でやってくれていたのだろう。

 

「プリ!メロロンと一緒に頑張ったプリ!」

 

すると五人が囲むテーブルの一角から声が上がる。そこにはプリルンが遊びに来ており、彼女は五人が話す間に出されているドーナツを頬張っていたのだ。

 

「それにしても、美味しいプリ!あむっ!」

 

「こりゃ、うかうかしてたらプリルンとメロロンに置いていかれるな……」

 

「はい、私達も負けてられません!」

 

こころが意気込んだ言葉を言う中でななはふと何かを感じたのか声をかける。

 

「ねえ、皆」

 

「蒼風さん?どうしたんだ?」

 

「この間、メロロンが私達はライバルだって言ってたでしょ?影人君をズキューンキッスの方に入れるとも言ってたし。これからどうなっちゃうのかな?」

 

「ああ、俺がズキューンキッスの方に行くかに関しては一回保留状態だ。こころやメロロンにも了承してもらってる。どっちかと言えばライバル発言の方が気になるかな」

 

影人はななへと先日の黒霧家での一件を説明すると彼女も納得。ただ、それでもライバル発言の方はまだそのままなわけで。

 

「うーん、それ、私も悩んだんだよね。だけど……」

 

「だけど?」

 

「これから仲良くなれば大丈夫だよ!」

 

「ま、確かにそうだな」

 

「流石うたちゃん!」

 

うたは相変わらずの前向きな性格である。プリルンの問題が解決し、ズキューンの方は確実にアイドルプリキュアに、うた達に近い位置に来てくれている。メロロンの方も時間をかけて仲良くなれば上手く解決すると信じていた。

 

「……それが簡単にできれば苦労しないんだけどなぁ……っと、噂のメロロンが来たぞ」

 

影人は窓の方に目を向けるとそれを開け放ったメロロンが慌てた様子でプリルンへと声をかける。

 

「メロ!ねえたま!」

 

するとメロロンの存在に気がついたプリルンは置いてあったドーナツを一つ手に取って差し出す。

 

「ねえたま……」

 

「メロロンも食べるプリ?」

 

「じゃあいただきますメロ……じゃなくて!どうしてすぐここに来ちゃうメロ」

 

「うた達がいるし、美味しい物がいっぱいあるプリ!」

 

プリルンは純粋なためにそうやって返すが、メロロンとしては自分の料理では満足できないのかとむくれてしまう。

 

「ねえたまはメロロンと一緒にいるのメロ!本当なら影人も一緒が良いメロ……でも、影人にも生活があるから仕方ないのメロ!」

 

どうやら影人の方は本人の生活の事も考えてちゃんと割り切っているらしい。その分、プリルンの方に依存度が高くなるというわけだが。

 

「……皆さん、ビッグニュースです」

 

「田中さん……あ、アレを言いに来たんですね」

 

「「「「「「アレ?」」」」」」

 

どうやらレイは何かを知ってるらしい。田中はレイの質問に頷くとそれを六人に伝える事になる。

 

「Pretty_Holicから新しいお仕事が来ました」

 

「え!?どんなお仕事ですか!?」

 

「……Pretty_Holicの新しいキャンペーン。その名もアイドルプリキュア対ズキューンキッスライバル対決です」

 

田中からの言葉を聞いてうた、なな、こころの三人は驚いたように声を上げる。

 

「「「ライバル対決!?」」」

 

それと同時に影人は顔面が凍りついた。このキャンペーンをやるということは折角数日前に解決したはずの問題が再燃してしまうのと同意味だからである。

 

「……ライバル対決って、嘘だろぉおおっ!?」

 

この日も影人の悩みの種は尽きない。彼に安寧の時は来るのであろうか?




また次回もお楽しみに。
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