キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
Pretty_Holicでの説明会を終えた影人達は喫茶グリッターに戻ってくると早速田中から今回の企画をやるか否かの質問をされた。
「で、このお仕事どうしますか?」
「勿論やりたい!プリルン達と一緒なんてキラッキランラン〜!」
「私も、心キュンキュンしてます!」
「対決と言っても両方が盛り上がれば良いんだよね」
「俺も賛成だな。これを受けたからって相手を傷つける必要は無い。だったらやるべきだろ」
人間組の四人は迷う事なく賛成。それから田中は妖精組の二人へと問いかける事にした。
「プリルン、メロロンはどうですか?」
「受けて立つメロ!ねえたまとメロロン、にいたまのトリオが勝つのメロ!」
「おーい、そこで何でガチで戦うような発言をするかな?」
「むうう……カゲ先輩がそっちだからって負けませんよ!カゲ先輩も覚悟してください!」
メロロンの言葉にこころも乗ってしまったのか、やる気を露わにする。影人はそんなこころに呆れ気味の目線を送った。
「お前もそんな挑発に乗るなよ……」
そんな二人はさておき、プリルンの方はキラキライトを取り出すとピンク色に発光させる。
「アイドルプリキュア、頑張るプリ〜!」
「メロ!?」
「お前はお前で何で相手チームを応援してるんだよ……」
影人とメロロンは相変わらずのアイドルプリキュア脳のプリルンの行いにズッコケてしまうとメロロンも慌てて訂正する。
「ねえたまはメロロンやにいたまとトリオでズキューンキッスソウルメロ……」
「プリ?」
「やっぱ、記憶が戻ったら完全にプリルンらしさ全開って所だな」
レイもこれには苦笑い。それから田中は全員の了承を得られたとして更に続ける事になる。
「それでは、こはるさんにオッケーを出しておきます」
「「「「はい!」」」」
四人が返事を返すと早速Pretty_Holicの方は対決のための準備に取り掛かる事になった。数日後、Pretty_Holicの方でアイドルプリキュア対ズキューンキッスソウルのキャンペーンの告知が入ってからキャンペーン期間がスタートする。
「あのさ、キャンペーンが実際どうなってるか確認するつもりでここにいるんだろうが……何で俺もなんだ?」
「当たり前ですよ。カゲ先輩もプリキュアなんですから」
「いや、プリキュアとしてここに来てるんじゃ無いんだからさ。一人だけ男子がいたら浮くだろ?」
この日はうた、なな、こころの三人がキャンペーンの様子を実際にお店の中に入って確認しようという話になって見に行く事に。ただ、そんな中で男の影人もこころに誘われた上で半ば無理矢理連れて行かれたのである。
「別に私の彼氏として来てるんですから問題は無いじゃないですか。それとも、私の彼氏として来るのがそんなに嫌なんですか?」
こころの目には涙が潤むと影人と一緒にいられないのは寂しいという所をアピール。影人がそんなこころを蔑ろになんてできるはずもなく……。
「わかった、わかったから!着いていくだけだからな」
「えへへ……。カゲ先輩ありがとうございます」
こころは完全にデレデレしたような顔つきで影人の腕に抱きつく。その様子にうたやななも苦笑いを浮かべた。
「こころちゃん、メロロンが影人君に近づくようになってから積極度が更に上がった気がするね」
「うん、影人君は誰にも渡さないって気持ちが伝わってくる」
それはさておき、四人は早速お店へと入店。早速中を見渡すとお店の中の一番奥にはデカデカと二枚の垂れ幕が設置されており、右側がアイドルプリキュアの三人。左側がズキューンキッスソウルの三人が描かれている。そしてど真ん中にはハートマークが縦に三つ並んで中心のハートには“あなたはどっち?”という文言も書かれていた。
更にその両脇には人気投票用なのか何かはわからないが、ハート型のカードが沢山貼られたボードもある。ボードに貼られたカードの枚数はほぼ同じであるために今の所は互角ぐらいの人気といった状況である。
「凄い……ライバル対決って感じが出てますね」
「キラッキランラン〜!」
「皆楽しそう……」
お店の中は今話題の二大アイドルグループのメンバーをモチーフにしたコスメが並んでいる影響で大盛況。ただ、やはり周囲にいるのは女性ばかりなので影人は凄い場違い感を感じてしまう。
「こころの彼氏で彼女と一緒に来るって名目があるから良いものを……これで彼女持ちじゃなかったら色々気まずかったぞ……」
「あ、見て!あそこに何かあるよ!」
ななが言ったのは垂れ幕の両脇にあるハート型のカードが貼られたホワイトボードだ。そこにあったのは人気の票数……では無く、それぞれのチームメンバーへのメッセージボードであった。
「“メッセージを送ろう”だって!」
「“キラッキランランなキュアアイドル大好き!”だって!」
今、影人達の前にあるのはアイドルプリキュアのボードである。こちらにもそれなりにカードが貼られているが、ズキューンキッスソウルの方にもハートのメッセージカードは沢山貼られている。
「ズキューンキッスソウルの方にも沢山メッセージがあるね!」
「あ、じゃあ私が偵察してきます!カゲ先輩も行きますよ!」
「おい!?ちょっ、こころ。引っ張るなって!ちゃんと行くから!」
そのまま影人もこころに引っ張られて強制的に連れて行かれる事になるのだった。
「これがズキューンキッスソウルの方のメッセージボードですか……」
「こころさん?しれっと腕に抱きつくのは……」
「減る物じゃないので問題ありませんよ」
こころは影人の腕に抱きついた状態でメッセージを読むとズキューンやキッスに向けたメッセージがある中でソウルへのメッセージも存在していた。
「えっと、“アイドルプリキュアにいた時からずっと推しです!これからも活動を頑張ってください!”ですか。やっぱりキュアソウルの人気も凄いです!」
「そっか……。キュアソウルにも推しの人……ちゃんといたんだな」
影人はこうやってメッセージカードを見ると改めて自分がアイドルプリキュアとして推して貰えているのだと実感する事ができた。
「というか、個人戦だったらズキューンやキッスよりも多くないですか?」
「多分これは活動期間の差だろ?ズキューンやキッスと比べて、ソウルは活動期間長いし」
影人はあくまで謙遜の言葉を言うとやはりこころは少し不満そうだった。こころからしてみたらアイドルプリキュアの秘密の縛りがないなら周りに今すぐにでも自慢したくて仕方ない所もあるのだろう。
そんな中、ふとアイドルプリキュアのメッセージボード側が少し騒がしくなったのが聞こえて来る。そこには二人の女子に詰められたうたとなながいた。
「うえっ!?うた先輩になな先輩!?」
「なんか熱心なファン達に詰め寄られてるなぁ」
ここで影人とこころの二人が別れる前に時間を遡ろう。アイドルプリキュアのメッセージボードの前に立つうたとなな。そのメッセージを読んでいるとそんなうたに話しかける女の子がいた。
「あの!良かったら、一緒にメッセージ書きませんか?キュアアイドルに!」
「「えっ!?」」
話しかけてきた女子はキュアアイドルのファンのようで、一緒にキュアアイドルへのメッセージを書きたい様子だった。それにうたやななが驚く中、そこに更にもう一人の女子が来る。
「待って!ズキューンキッスソウルの魅力を語りましょう!」
「うえっ!?」
「ちょ、ちょっと待っ……」
「「あなたはどっち?」」
そんな風にキラキラした目を向けて詰め寄ってくるそれぞれの陣営のファンの子。うたもななもその熱量に思わず押されてしまっていた。
「え、えっと……」
「私達は……」
二人がどう対応するべきか迷っていると二人の手がいきなり何かに掴まれる。掴んだ相手は慌ててズキューンキッスソウル側のメッセージボードから飛んで戻って来たこころであった。
「ここは一旦退却です!」
こころはそう言いつつ二人を連れて走り出す。勿論影人はそんなこころに置いて行かれると彼女もいないのにいつまでも男が一人で女性向けのショップにいる事になってしまう。
「こころ!?俺を勝手に置いていくなよ!」
そのため、彼も慌ててその場から逃げ出す事になるのだった。それから、場面はうたの部屋へと移る。そこでは先にうたの部屋の上の階の部分で話すプリルンとメロロンがいた。
「だから、ねえたまはメロロンとにいたまと頑張るのメロ!」
「わかったプリ!メロロンや影人と一緒に頑張るプリ!」
「ただいまー!」
二人の話がひと段落したと言ったタイミングで影人達外出組が帰宅。プリルンとメロロンはその音に気がついて下へと降りてきた。
「どうだったプリ?」
「凄っごく盛り上がってたよね!」
「うん、凄かった」
「俺はこころに色んな意味で振り回されたけどな……」
影人は疲れ切った様子である。するとそんな影人の後ろからこころが真面目な顔をして声を上げた。
「それに、ズキューンキッスソウル!ズキューンキッスにアイドルプリキュアから移ったソウルも入った事でこちらも注目度が高かったですね!」
こころが指差しをしつつそれを話すとメロロンは得意げな顔つきとなって自慢する。
「ねえたまとにいたまがいるんだから当たり前メロ!キュアアイドル達とは比べ物にならないのメロ!」
それを聞いた瞬間、こころの脳裏にピカーンと電流が走る。メロロンの今の言葉は彼女にとっては聞き捨てならない物であった。
「む……何ですと?」
「……嫌な予感」
影人はこころの雰囲気が変わったのを肌で感じ取ると巻き込まれる前に一旦距離を取る。その直後、こころはメロロンへと詰め寄った。
「キュアアイドルとキュアウインクは最高です!カゲ先輩のキュアソウルが推しで最高なのは当たり前として、その二人の事もデビューからずっと追いかけてるファンとして譲れません!」
「むっ!ねえたまの笑顔には誰もがハートをズキュンと撃ち抜かれるメロ!にいたまの心に響くようなカッコ良さは当然として、ねえたまが絶対の一番メロ!」
こころの反論にメロロンも黙ってはいない。自分もズキューンのファンとして引くつもりは無いと言わんばかりの熱弁を始める。
「はいはい!ちょっと待った!キュアアイドルのキラッキランランなスマイルと、キュアウインクのお目目パッチンだって負けてません!」
二人は完全に推しが違う事によるファン達の対立構造を見事に体現。そのまま論争はヒートアップしていく。尚、二人の推しとして影人ことキュアソウルは共通しているのでその事も時折り推し語りの話の中に散見された。
「ズキューンの方が素敵メロ!」
「アイドルとウインクも最高に素敵です!」
「ズキューンが一番メロ!!」
「そこは譲れません!!」
メロロンは自分の意見を通すために一度こころに頭突き。そへから二人は顔面を押し付け合う程になってしまった。
「結局こうなるのか……」
「まぁまぁ、二人共落ち着いて」
影人は予感が的中して呆れ顔に変わるとななは苦笑いしつつ二人を落ち着かせようとする。うたは唖然としてしまっていた。
「プリルンもアイドルプリキュアに入るプリ!」
そんな中、プリルンはいきなりアイドルプリキュアに行く宣言をしてしまう。そのため、メロロンは慌ててプリルンの周りを飛び回る。
「メロ!?何言ってるのメロ〜!」
それからメロロンは床に落ちるとその場で悔し泣きをしてしまう。流石にこうなってくるとメロロンが可哀想にも見えてきた。
「メロロン?」
「だいぶ取り乱しましたね……」
「全く、プリルン。お前はもうちょっと空気を読めよ」
「プリ?」
ズキューンとキッスに覚醒して以降、あれだけメロロンがプリルンに尽くして自分の事を刷り込ませようとしてきた。それなのに、過去の記憶が戻った瞬間にはプリルンの矢印はうたへと向いてしまっているのだから本当にメロロンは泣いても良いかもしれない。
「(メロ……ねえたまにもっと振り向いてもらうにはどうすれば良いのメロ……)」
メロロンはこのまま打つ手無しで泣き寝入りするしか無いのか、そう思った時。彼女の視線の先に映ったのは三色団子を食べているプリルンの姿だった。
「あーむっ!美味しいプリ〜!」
するとメロロンの視界には三色団子を頬張るプリルンの更に後ろに二人組の少女と一人の女性の計三人が敵と思われる女性と向き合う幻影が見えてくるとメロロンの脳内に彼女達の声が聞こえた。
「あ〜らら、じゃ無い方。色々残念な三色団子ちゃん達か」
「三!?」
「色!?」
「に〜!団子とは、どういう事デスか!」
「見た感じよ?怒った?」
「(……このやり取り何なのメロ……そんな事より!)」
メロロンはそんな幻影達のやり取りを放り投げるようにして放置すると、三色団子を食するプリルンである事を閃いた。
「(閃いたメロ!ねえたまの胃袋を掴むのメロ!)」
脳内で簡単にイメージされる自分の絶品料理に舌鼓を打って、自身へと釘付けになってくれるプリルンの姿。メロロンはこの手なら勝てると判断したのである。
「(美味しい物を作れば、ねえたまはメロロンにメロメロ!)」
「……メロロン、泣くのを止めたかと思ったらなんか思いついたな?」
影人がそう言った直後、メロロンは気を取り直して浮かび上がるとこころの前に出てきた。
「って事で!」
「て事でって何ですか?」
「お料理対決メロ!」
「お料理対決?」
「これはまた色々ややこしい話になってきたなぁ」
唐突にメロロンが言い出したお料理対決に一同は唖然とした顔になる。そんな彼女達を他所にメロロンは話を続けた。
「審査員はねえたまメロ!」
「……よく分かりませんが、望む所です!アイドル、ウインク推しの私。紫雨こころ、絶対負けません!」
「というか、推しの魅力とかと関係あるか?これ?」
「でも、こころちゃん。ノリノリになっちゃってるよ」
「お料理なら私も頑張るよ!」
「うたちゃんまで!?」
とは言え、アイドルがお料理を作る系の企画も無いわけでは無い。むしろ、リアルのアイドルの中には料理が上手い事を番組とかで活かす人はそれなりにいる。メロロンの提案も100%間違っているわけでは無い。
ただし、先程から続いていたアイドル、ウインクとズキューンの魅力語り対決にはどう頑張っても繋がらないが。
「皆が美味しい物を作ってくれるプリ!」
そんでもって審査員のプリルンもやる気モード……とは言え、プリルンの方は黙ってても美味しい物が食べられる事になるので彼女が否定の意見を挙げるとは考えづらいが。そして、その場の全員がやる気になったので影人はもう止まれないと諦めてしまう。
「ダメだ、こうなったらもう止められないな……」
「じゃあ決まりメロ!一週間後にお料理対決メロ!」
「やるからには負けないよ!」
「どうなっちゃうの〜!?」
「皆、頑張るプリ〜!」
プリルンはノリノリでピンクと黒に発光させたキラキライトをブンブンと振る。
「あ、にいたまは勿論メロロンの方を手伝うのメロ!」
「……は?」
尚、影人はズキューンキッスソウル所属という事で有無を言わさずにメロロンと共に料理を作る事になるのだった。
また次回もお楽しみに。