キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
プリルンを審査員としてアイドルプリキュアチームとズキューンキッスソウルチームの二つに別れてやる事が決まったお料理対決。
対決が決定してから一週間後。運命の対決日の前日。まずはうた達アイドルプリキュアチームの方から見ていこう。
「さぁて、明日のお料理対決の当日に出す料理だけど……何にしよっか?」
開口一番にメニュー表を書く役割のうたが話を始める。アイドルプリキュアチームはうたの家の二階にある食卓で会議をしていた。
「プリルンが好きな物が良いよね!」
「じゃあ、タコさんウインナーかな?」
「……少し捻りが欲しいですよね?」
確かにプリルンはうたのお弁当に入っているタコさんウインナーを特に好んで食べている。ただ、折角お料理対決をやるのであれば何かしらのアレンジは加えた方が良いだろう。
「うーん……。他にプリルンが好きな物は……」
うたは他に何かプリルンの好きそうな物を探してみるが……浮かぶのは全てうたが出したタコさんウインナーを頬張るプリルンである。
「やっぱりタコさんウインナーだ!」
「……確かに、プリルンがタコさんウインナー以外を食べてる所ってあまり見ないですけど……けど、それではいつもと一緒です!」
「……でしたら、タコさんウインナーを使う料理はどうですか?例えば、グリッターのメニューにあるナポリタン。あの中にもウインナーはあると思います」
「それ良いかも!流石夢乃ちゃん!影人君譲りの発想力の高さだね!」
ナポリタンにタコさんウインナーを使うという案を出したのはこの場にいない影人の妹、夢乃の提案である。何故夢乃がここにいるのかという話になるが、料理対決のルールとしてアイドルプリキュアとズキューンキッスソウルのメンバー以外の助っ人枠はそれぞれのチームに一人まで入れられるという物を設定したからだ。
「いえ、それ程でも無いですよ。……それにしてもお料理対決ってメロちゃんも面白い事考えますね」
夢乃はこの話を影人から聞いた際にアイドルプリキュア側のチームの助っ人枠になって良いかと夢乃自身が提案。うた達に聞いた所、快く承諾されたためにこの枠として起用される事になった。
「あ、そういえばカゲ先輩は料理ってどのくらいできるのでしょうか?そういえば私、あまりカゲ先輩が料理してる所見ないんですよね」
こころは影人の料理力がどのくらいあるのかわからずに疑問符を浮かべる。実際問題、影人が一人で料理をしている場面は見たことが無い。この前のお泊まり会の件でカレーを作った時は人並みにできるのは確認していたので、出される料理が不味いなんて事は無いだろう。
「お兄ちゃんの料理ですか……正直言って、上手いです」
「「「……え?」」」
「私の家は両親が偶に仕事とかで忙しくて二人共家にいない日がありますが、そういう時の料理は兄が主体で作ってますし……多分そこらの同年代男子達と比べて普通に上手いと思いますよ?」
夢乃の発言に三人は思わず考え込んでしまう。影人の料理の腕は少なくとも並の男子以上。下手したら自分達を超えてる可能性さえ出てきたのだ。メロロンの方は料理力がどのくらいかは未知数である。ただ、少なくとも田中がキラキランドに行ってる間はメロロンが料理担当をしていた所を鑑みると下手という事はまずあり得ない。
「うーん、これはかなりの強敵ですね」
「だったら、料理の腕以外で勝負するのはどうかな?」
そう提案したのはななである。影人もメロロンも料理が上手く、揃って強敵であるという事がわかっているのなら無理に相手の強い部分にぶつからなくても良いという事だ。
「例えばどんな所?」
「私達が好きな美味しい料理を合わせてスペシャルメニューにするの!それに、大事なのは相手に美味しい料理を食べてほしいと気持ちを込めて料理を作る事。私達のチームならきっとできると思う」
「なるほど、確かにそれは良いアイディアだね!」
「心キュンキュンします!」
そんなわけで三人が出す料理の構成は決まった。場面は変わってこちらはキラキランドの出張所。ここではズキューンキッスソウル陣営の話となる。
「……というわけで、ねえたまに出す料理を考えるのメロ」
「まぁ、折角勝負形式になったから俺もベストは尽くすけど……」
「取り敢えず、にいたまはどんな料理が作れるのメロ?」
メロロンとしては影人がどのくらい料理が作れるのかわからないので彼へとまずは聞くことにした。
「うーん。料理方法が調べられて、材料が揃ってる物だったら多分大体できる」
「メロ!?本当メロ!?」
「こんな所で嘘言ってどうするんだよ……」
メロロンは影人が料理ができる側の人間であると初めて知った。何しろ、お泊まり会の時はいなかったためである。
「そういえば、にいたまの作るカニさんウインナー……いつも美味しいのメロ……」
「いや、それは普通にやり方知ってたら誰でもやれるタイプの料理だからな?」
「とにかく、料理は美味しさメロ!とにかくねえたまが喜ぶような愛情たっぷりの料理を沢山作るのメロ!」
するとそこに田中が幾つもの料理本を持ってきて影人とメロロンが向き合うテーブルの上に置いた。
「これでよろしいでしょうか?」
「田中さんすみません……手伝ってもらって」
こちらのチームの助っ人枠は田中である。彼は主に食材や料理本等の調達をメインで手伝ってもらっていた。ちなにこの場にいないプリルンはレイが遊ぶ形で相手している。メロロンとしては少し不本意だったが、料理は出すまでのお楽しみにするべきという理由も含めて納得してもらった。
「いえ、それに影人さんこそ良かったのですか?メロロンに付き合う形で」
「それなら大丈夫ですよ。メロロンの料理がどんな物か。俺も気になりましたし」
影人としてもメロロンが作る料理がどんな物か興味があったのだ。何しろ、前にプリルンとメロロンが二人暮らしをしていた時にメロロンがしっかりと料理を作っていたために彼女がどうやって料理を作るのか気になったのである。
「メロロンが作る料理メロ?」
「ああ。メロロンが作る物に合わせて俺が料理を作った方が良いかなと思ってさ。料理を合わせるにしても相性とかあるだろ?」
二人でバラバラの料理を仮に作っても料理同士の相性が悪ければ、結果的に美味しさが半減するリスクがある。影人はそこもメロロンと連携したいと考えていたのだ。
「う〜ん……メロロン、食材があったら大体料理は何でも出せるメロ」
「なるほど、俺と同じ万能タイプって事か?」
「違うメロ。例えば、野菜炒めとかをしてもそれをそのままステーキとかにできるメロ」
「ふむふむなるほど……はい?」
影人はメロロンの言っている意味がまるでわからずに唖然とした顔になる。いや、文面から理解は可能なのだ。ただ、あまりの神業じみた言葉に影人は脳内が一瞬でオーバーヒートしかける。
「メロロン……お前それマジで言ってるの?」
「わざわざにいたま相手に嘘は吐かないメロ。メロロンに任せるのメロ!」
「えぇ……」
ひとまず影人はメロロンが作った物を見てそれに合わせる形で料理を作るべく、料理の際に最初の方はメロロンの方が完成するのを見てから作ろうと考えるのであった。
それから日を跨いで料理対決の当日。この日はまず午前中が前日に決められた物を作るための調理タイムとなっている。ちなみに、夢乃も料理への参加はオッケーなので、三人の料理の中サポート役として入る事になった。
「夢乃ちゃん、手伝ってくれてありがと!」
「夢乃ちゃんも影人君と同じで料理上手だよね」
「……いえ、私のできる事は大体は兄の受け売りですし……。兄にサポートしてもらえてるからこそ、私はここまで来れてるんですから」
夢乃としては自分が他人よりできる事は全て兄に助けてもらってるからできているのだと自覚している。現に、ドリーム・アイの配信も彼女の知識も、料理力も、発想力も全て影人がいるからこそ周りよりも一歩先を行けているのだ。
「うーん、そう考えると夢乃ちゃんって結構影人君への依存度が高いのかな?」
「はい……。兄は私のためなら何でもしてくれますし……。私もついそんな兄を頼ってしまって」
そう考えると影人は夢乃に対して過保護すぎるとも言える。更に言えば夢乃はこの時点で影人に色々と依存してしまっているのかもしれない。
「取り敢えずそんな暗い話は後回しだよ!私の料理も完成したしね!」
そんな中、うたの好きな料理ことグリッターのナポリタンが完成したために更に乗せて持ってくる。勿論ウインナーは夢乃のアドバイス通りタコさんウインナーだ。
「じゃーん、私の好きなメニューことグリッターのナポリタン!」
「美味しそう!」
「うた先輩、お店のお手伝いをしてるから上手ですね!」
「ふっふーん。更に!薄焼き卵を乗せて、お絵描きをして。スペシャルメニューにしようと思います!」
ナポリタンまではグリッターでも出す普通のメニューだが、今回はそこにプラスワンと言わんばかりの卵まで乗せた形を取っている。
「おお、オムライス風ですか!」
「心キュンキュンしてます!」
夢乃やこころが関心した声を上げるとうたは早速ケチャップで絵を描き始める。そんなうたを見たななはふとある事を思い出した。
「……あれ?そういえばうたちゃんが描く絵って……」
「……あっ!?」
「え?何か問題とかあるんですか?」
こころがななに言われてある事実に思い至る中、夢乃はその理由を知らないので首を傾げる。
「できた!」
「あ、できたんですね。どれどれ……うん?」
そこに描かれていたのは何かのアニメで出ているキャラクターの絵……と言うにはちょっと酷い有様な様子で二つの何かの顔が描かれていた。
「うた先輩、これは何を書いたんですか?」
「プリルンとメロロンだよ!」
「「あはは……」」
夢乃はうたの画伯的な絵に唖然とし、元からこれを知っていたななとこころは苦笑いする始末である。
場面は変わってキラキランド出張所の方ではズキューンキッスソウル陣営の方も料理を開始。……が、調理場に置かれて火にかけられているのは色々と危険な匂いの湯気が立つ鍋。それを上機嫌で掻き混ぜるメロロンの姿である。
「メロメロメ〜ロ!ねえたまが食べたことの無いスペシャルな料理を作るのメロ!」
メロロンがやっているのはこの時期ではあまり流行らなさそうな鍋料理である。近くには大量の料理本があり、これらは田中が前に出していた物だ。これを見るに、メロロンもこれに目を通して勉強はしていた事がわかる。
ただ、メロロンが今やっているのは完全に闇鍋と言わんばかりの料理方法。おかげで、鍋の中で作られている物が真っ当な料理には全く見えない。
「……メロロン、これは何ですか?」
そこに来たのはハンカチで口や鼻周りを覆った田中である。彼の問いにメロロンは上機嫌で答えた。
「とっておきの料理メロ!」
するとその瞬間に鍋からの湯気が強くなって田中は一瞬その匂いを吸ってしまう。
「ゴホッ、ゴホゴホ……これが、料理?」
田中はあまりの異臭にむせてしまう中で鍋を除くとそこには凄まじい光景が広がってるのか、思わず顔を顰めた。
「タナカーン、味見するメロ?」
「……遠慮しておきます」
田中はメロロンからの問いを断るくらいにはこの料理がヤバい物だと感じるのだった。そこに調理場の扉が開く音がする。
「ただいま。メロロンが欲しいって言ってた食材。買ってきたぞ」
そこには影人が両腕いっぱいに抱えた食材を持ってきていた。影人はメロロンの料理がどうなるか見てから作るつもりのため、今は手が空いてしまっている。それならばと、このタイミングでメロロンのサポートをできる限りすべきという事で買い出しに行ってきたのだ。
「にいたま、ありがとなのメロ」
「……なぁ、一応聞いておく。お前の作ってるこれ、何なんだ?」
「メロロンが勉強した料理を参考に世界のどこにも存在しないような絶品料理達メロ」
「………確かに絵面だけ見たら世界中のどこにも無いような料理ではあるが……」
影人も思わずメロロンの料理の腕を疑ってしまう。流石の影人でもまさかの闇鍋形式とは思っておらず、困惑してしまったのだ。
「それじゃあ、折角にいたまが買ってきてくれた食材達メロ。早速入れるのメロ〜」
「……はい?」
そのままメロロンは影人から食材を受け取ると野菜の皮は剥かずに丸ごと、鮭も全く持って手を加えずに突っ込む。その上でスイカなどといった鍋に絶対に入れないような物まで入れ始めた。そんなメロロンの背後に何かの影が重なる。
「シャイ煮プリーズ!」
そこには海の家と思われる場所でメロロンと同じように闇鍋のような物を魔女のように掻き混ぜる金髪のアメリカ人と日本人のハーフの少女の姿が映った。
「おい、中の姉妹揃って闇鍋ネタかよ!?てか、そのシャイ煮って料理は普通に食ったらメチャクチャ値段張るやつじゃねーか!この金持ちめ!」
影人は何故かメロロンの背後に見えた幻影に対してツッコミを入れると中の人関連のネタをぶちまけるというメタ発言をかまさずにはいられなかった。
「影人さんが変な事を言い出したのは置いておいて、何か手伝う事があったら言ってください。あと念のため……今ならまだ引き返せます」
田中はメロロンのやってる鍋が色々と大変な事になりかねないためにそう忠告を入れる事にした。
「……多分これはメロロンの方は期待できないかもなので俺は別で作りますね……」
「わかりました。メロロンの方は私にお任せを」
「はぁ……」
影人は流石にここまで来たら自分が料理をどう合わせても失敗すると判断。そのため、独自でそれなりの質を出せる料理を作っておく事にした。
場所はまたまた切り替わりうたの家へ。今度はうた以外の二人の料理を見せる番である。
「私の大好きな物です!」
そこに出されたのはおにぎりであった。和食における主食が大好きな辺り、何ともこころらしい料理である。
「おにぎりだ!」
「私、おばあちゃんが作ってくれたおにぎりが大好きなんです!」
「コメコメもゆいの握ってくれたおにぎりが大好きコメ〜。デリシャスマイルコメ〜!」
「「「……え?」」」
その瞬間、こころ以外の三人は凍りつく。突如として聞こえてきた妖精のような可愛らしい声が気になったのだ。こころはそんな三人に不思議そうに首を傾げる。
「どうしました?」
「ううん!何でも無いよ!」
「多分気のせいだから気にしないで、あはは……」
「こころ先輩が握ったおにぎり、とても美味しいんだろうな〜」
三人は慌てて誤魔化す中でこころの頭の上には薄らと透明な状態だが、また前のようにキツネの妖精のような子がちょこんと乗っていた。更にその隣にはおにぎりの妖精までフワフワと浮かんでいるくらいである。
「あ、なな先輩の好きな物は何ですか?」
「うん、私は……これだよ」
気を取り直して、こころはななへと好きな物を質問するとリュックから何かを取り出してそれをテーブルの上に置いた。
「「これは……ば……なな?」」
「まさかの好きな物が名前とかけられる洒落だった!?」
ななが好きな物はバナナであるらしい。ただ、これは料理とは言えない物ではあるが……デザートにはなり得るだろう。と言うわけで三人の合作は出揃う事になるのだった。
更に時間が経過してキラキランド出張所。そこではメロロンの作る闇鍋は最終段階に入っていた。ただ、そこにあったのは多数の調味料……ではあったものの、まさかのハーブやら激辛のトウガラシの絵が描かれたスパイスなども置かれてある。
「メロメロメロ!メロメロメロ!メロメロメロ!」
メロロンは愛を入れるようにして鍋にとにかく調味料を振りかけていく。ただ、先程まで出ていたのが普通の湯気だったのに対して今度は明らかにヤバそうな色合いのしたピンクや紫の湯気に緑のモヤも立っている状態だった。
「………」
田中は身の危険を感じたのか、無言でガスマスクを装着。これにより、メロロンを止める者はいなくなってしまう。
「メロロン、取り敢えず俺の方は完成し……は?」
影人は料理が完了したためにメロロンの様子を見に来たが、その異様すぎる光景に凍りついてしまう。
「な、何だこの料理……湯気とか明らかにヤバいやつだし。メロロンは大丈夫って言ってたけど……正直不安すぎる……」
影人もひとまず用意されてあったガスマスクを着用すると一応メロロンの料理の完成を見届けるのであった。
こうして、それぞれの調理タイムは終わる。そして、お腹を空かせるために昼を跨いだこのタイミングでグリッターで集合しつつ審査会を開く事になっているために影人達はグリッターへと向かう事になるのだった。
今回の話はアニメと違って作ってから時間を経過させるのでは無く、わざと審査の当日にそれぞれが料理を作る手を取りました。
そうしないと食べ物に衛生面での心配が出るかなと思ったのと、折角ならできたてに近い物を食べた方が良いと感じたための変更です。よろしくお願いします。それではまた次回もお楽しみに。