キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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スラッシューの悩み ズキューンキッスソウル初始動

影人達が料理を完成させた頃。チョッキリ団のアジトでは珍しくスラッシューがバーのカウンター席に座ると突っ伏していた。

 

「……はぁ」

 

スラッシューは珍しく溜め息を吐く。今日はチョッキリーヌが休暇を取っているせいでこの場にいないのだ。尚、何故働いてすらいない彼女が休暇を取れたのかは疑問しか無いがそこは置いておこう。

 

「……あれだけ有利な状況下でプリキュアを倒し切れなかった。それに……」

 

スラッシューはそれから先程の事を思い出す。それは自分がバイトをしていたグリッターでの事だった。

 

〜回想〜

 

天城としてバイトを終えたスラッシュー。彼女が着替えをして挨拶しつつ帰ろうとしたその時。

 

「お先に失礼しま……」

 

「あ、待って天城さん」

 

「え?」

 

そこにうたの母親の音がやってくると天城の手にある物を握らせた。天城はこれにキョトンとする。

 

「これは?」

 

「いつも一生懸命働いてくれてるお礼よ。うちのナポリタン、サービスしておくから」

 

「ッ……。あ、ありがとうございます!」

 

天城は思わず嬉しさでお礼を言うとそれから店を後にする事になった。それから彼女はチョッキリーヌがいないのを良い事にこのバーに戻ってきてナポリタンを食したのである。

 

〜現在〜

 

「やっぱり、あそこでバイトをしていると胸がおかしくなる……まるで、自分が二人いるみたいで」

 

スラッシューはグリッターでバイトをしている内にあの場所を気に入ってしまったらしい。しかも、あそこでバイトをしている間はクラヤミンダーを呼び出す気持ちも無くなってしまうのだ。あれだけ人々のキラキラに触れ続けているのだからいつもならさっさと真っ暗闇にするはずなのに。

 

「自分からプリキュアに近づくためとは言え、いつもの私とグリッターで働いてる私でどんどん溝が大きくなってる」

 

スラッシューは気持ちを落ち着けるために深呼吸をする。それから先程食べたナポリタンの味を思い出した。

 

「……いつだっただろう。私もあんな風に温かい場所にいた気がする」

 

その瞬間、スラッシューの胸の中に闇の心が強く鼓動を打つと胸が痛くなってきた。

 

「あうっ!?」

 

『……スラッシュー、何を考えている?今までは作戦のためだから見逃してきたが……妾をいつまでも待たせるのなら……』

 

それと同時にスラッシューへと脅しをかけるような高圧な声が心の底から聞こえてきた。スラッシューの心の変化を察知したダークイーネである。

 

「申し訳……ありません、ダークイーネ様……。我々の使命は、世界を真っ暗闇に染める事です……」

 

『……』

 

流石のスラッシューでもダークイーネ相手には逆らう事はできない。ダークイーネは少しの間スラッシューの心を探るように彼女へと苦痛を与えるとその苦痛を消した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

『あまり変な事を考えるで無いぞ?スラッシュー。お前ならわかるはずだ。妾に逆らう事の意味を』

 

それと同時にスラッシューの脳内にダークイーネはカッティンダーの映像を見せる。スラッシューはカッティーがダークイーネによって深い闇の奥底に沈められた事を知っている。あの時はズキューンキッスが初めて出てきたためにダークイーネも油断した節があるが、今度はあの二人でも浄化できないくらいの闇に閉じ込められる可能性が高い。

 

「……勿論です。ご安心を」

 

『良かろう。今日の所はこの辺で許してやる。……スラッシュー、世界を真っ暗闇に』

 

「はい……」

 

スラッシューはダークイーネに念押しされる形で言われるとやっと彼女から解放されると同時にバーの席から転げ落ちた。顔には脂汗が浮かんでおり、息はまだ荒れている。

 

「こんな気持ちじゃダメね。私の使命を果たすためにも、まずは影人君を……」

 

スラッシューは立とうとするが、まだ体に力が入らずに崩れ落ちてしまう。その時、バーの入り口に声が聞こえてきた。

 

「嘘だろおい……チョッキリーヌ様、ザックリお休みとかふざけんなって……」

 

そこに来たのはザックリーである。彼は前の時にスラッシューの気遣いのおかげで休めた影響か、元気な様子に戻っていた。そんなザックリーがここに来るとチョッキリーヌが休みでいないという張り紙だけされていて、“今日こそはお前が行け”と問答無用で出撃命令が出されていたのである。

 

「ったく、チョッキリーヌ様。上司だからって休みすぎだって。少しは俺達の気分を……のわあっ!!スラッシュー様!?ザックリ大丈夫っすか!?」

 

ザックリーはチョッキリーヌへの愚痴を溢しているとそこに倒れて酷く疲れた様子のスラッシューがいたために慌てて彼は駆け寄った。

 

「ザックリー……情けない姿を見せたわね……はぁ、はぁ……」

 

「ちょっ、まさかアイツらにやられたっすか!?」

 

「いえ……ちょっと疲れただけよ。アンタもチョッキリーヌがいないなら無理に出なくても良いわ。今日も私が……」

 

スラッシューはまた立とうとするとこれでもダークイーネからのダメージが抜けてないのかフラフラとした様子である。

 

「そんな体じゃ無茶っすよ。ザックリ、今のプリキュアは強敵っす。幾らスラッシュー様だからって」

 

「それでも誰かは行かないとダークイーネ様に示しが付かないのよ……」

 

スラッシューは無理を押して歩こうとする中、彼女の前にザックリーが立つ。

 

「……だったら今日はスラッシュー様が休むべきっすよ。……俺だって借りた恩を忘れる程冷たくは無いっす」

 

ザックリーは今日の出撃は自分がやると言い出した。それにスラッシューは苦しそうな顔をしつつも反応を返す。

 

「どうして……?チョッキリーヌの奴にまた私に先を越されるなとか命令されたのかしら?」

 

「……そんな事俺にはどうでも良いっすよ。正直、カッティーがいなくなった今の俺は出世とかでスラッシュー様と争う気なんて無いんで。ただ、目の前でスラッシュー様がぶっ倒れるのを見て黙っていられないだけっす」

 

「そう……じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうわ。ザックリー……ありがと……」

 

スラッシューはそう言って近くの椅子に座るとそのまま突っ伏してしまった。そんな彼女を見てザックリーは休んだ分取り戻したやる気を持って出撃する事になる。

 

「……本当に、私もザックリーもアイドルプリキュア達に絆されてるのかもね……」

 

スラッシューはそう小さく呟くと少しでも体力を回復させる事を優先させるのであった。

 

それから少しして、喫茶グリッターでは。昼ご飯前のこのタイミングでもうすぐやってくるプリルン達の事をうた達アイドルプリキュアチームの三人と助っ人の夢乃が楽しみそうに待っていた。

 

「いよいよ勝負の時ですね!」

 

「そろそろプリルン達も来る頃かな」

 

「プリルン、喜んでくれると良いね」

 

「はい、私も手伝いましたし。きっと大丈夫です!」

 

うた、なな、こころ、夢乃の四人は蓋がされた合作の料理を置いた状態でズキューンキッスソウルチームの面々とプリルンが来てくれるのを今か今かと待ち侘びる。

 

同時刻、出張所では田中が黒にハートマークの刺繍がされた小さなお弁当袋を手に取ると背中に例の巨大な鍋を背負う。それと同時に影人はクーラーバックを肩から下げた。

 

「では、行きましょう」

 

「楽しみプリ〜!」

 

「ねえたまのために頑張るメロ〜!」

 

それから出張所にいたメンバーである影人、プリルン、メロロン、田中が扉を開けてグリッターへと移動を開始。そんな中、影人の隣にはもう一つ影があった。

 

「プリルン、凄い楽しみにしてたからな。影人も料理作ったんだろ?」

 

「ああ。それと悪かったな。プリルンの相手をお願いする形で……」

 

影人がそう話す相手はレイである。昨日もそうだったのだが、メロロンや田中が料理対決やらPretty_Holicへの対応やらでプリルンの相手はできず。更にうた達も話し合いで忙しいとなるとプリルンがフリーになってしまう。

 

そうなるとプリルンの事なので暇を持て余した彼女が一人フラフラとどこかへと行きかねなかったためにレイがその相手をしてくれたのだ。

 

「それなら気にすんなよ。俺も丁度暇してた所だしな」

 

レイはタイミング良く家の方での強制招集がかかってなかったので今回の役割を任せる事ができた。そして、そのお陰でプリルンの心配をせずに済んだのである。

 

「ま、俺もお前の本気の料理が見れるのは楽しみだ。期待しても大丈夫かな?」

 

「お前の口に合うかどうかは別だけど、楽しみにはしていてくれ」

 

影人達は話しながらグリッターへの道を歩いていく。その頃、はなみちタウンの街中ではザックリーが今日もキラキラを探している所だった。

 

「さてと、スラッシュー様にああ言った手前。今日こそプリキュア達に勝って帰りたいが……」

 

ザックリーは休憩を挟んだお陰でそれなりにやる気と元気が回復。今日こそはという意気込みも持っている状態だ。

 

するとザックリーの視線の先には買い物のバスケットを手にした女性がお店から出てきた。そのバスケットの中には沢山の卵が入っている。

 

「今日は卵がお買い得だったから沢山買っちゃった!ダーリンの大好きなゆで卵、沢山作ってあげなくちゃ!」

 

どうやら女性は主婦らしく。夫のためにゆで卵を作るべく張り切っている所だった。ただ、勿論そんな彼女からキラキラはしっかり出ているわけで。ザックリーはそれに目を付けた。

 

「ま〜た勝手にキラキラしやがって〜!む・か・つ・く〜!」

 

ザックリーはこの主婦をターゲットに定めると早速そのキラキラを奪う事になる。

 

「お前のキラキラ、オーエス!」

 

「きゃああっ!?」

 

「はい、ザックリ行くぜ!」

 

ザックリーがいつも通り、彼女から出てきた胸のリボンを真っ二つに切断してから水晶と素体の人間を合わせた。そのままそれを叩きつけてクラヤミンダーを召喚する。

 

「来い!クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にしやがれ!カモン!」

 

「クラヤミンダー!」

 

今回のクラヤミンダーは主婦が購入していた卵がモチーフとなっていた。特徴としてクラヤミンダーのその体の一部にはヒビ割れが存在しており、そこから中身と思われる黒い部分が見えている。

 

何にせよ、クラヤミンダーの登場はプリルンが察知するわけで。移動中のプリルンが身震いをする。

 

「ブルっと来たプリ!?」

 

「メロ!?」

 

「大変プリ!」

 

プリルンはこのままではクラヤミンダーが街で暴れてしまうという事でそのまま飛んで行く。それを見てメロロンもその後を慌てて追いかけた。

 

「ねえたま!タナカーンは荷物をお願いメロ!にいたまも行くメロ!」

 

「ああ。俺のはレイ、頼む!」

 

「任せとけ」

 

影人も肩からかけていたクーラーバッグをレイに預けて二人の後を追う。それから影人は二人へと声をかけた。

 

「あ、そうだ!プリルン、メロロン。向こう着いたらアレ、やってみるぞ」

 

「プリ!プリルンもやってみたかったプリ!」

 

「にいたま、ねえたまとやれるなら喜んでメロ!」

 

それから三人は変身のプロセスを開始。まずはプリルンとメロロンが人間態へと変化。それから召喚されたキラキラショータイムマイクを手にする。

 

更に、それに合わせる形で影人もアイドルキラキラブローチがアイドルキラキラマイクへとその形を変えた。

 

「「「プリキュア!ライトアップ!」」」

 

三人はマイクへとプリキュアリボンを装填するとカバーを回転。それから三回マイクをタッチしつつ三人が同時に髪をプリキュアとしての物に変化させた。

 

「「「キラキラ!ショータイム!YEAH♪」」」

 

三人で同時に変身の掛け声を言うとその姿がプリキュアへと変わっていく。バンクとしてはプリルンとメロロンはズキューンキッスのバンク、影人はソウルとしてのバンクとして枝分かれするものの、影人がブローチをタッチする部分はマイクタッチへと変更がされている。

 

それから三人がマイクのカバーを戻すと一度変身が完了したために名乗りを一旦放置して場所を移動。ザックリーとクラヤミンダーの前に降り立つ。

 

「出たなプリキュア……って、あん?最初からこの組み合わせだと!?」

 

まさかのズキューン、キッス、ソウルが最初から揃い踏みしている事態にザックリーは驚く。何しろ今まではこの三人が同時に変身して戦闘に参戦した事が無かったからだ。

 

「キッス、ソウル、私達のチーム名、名乗るよ!」

 

「はい!」

 

「ああ!」

 

それから三人は早速目の前にいるザックリーやクラヤミンダーの前で名乗りを上げる。

 

「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

「ハートをメラッと熱くする!キミと高まれ、キュアソウル!」

 

ソウルはまさかのズキューンキッスに合わせた新名乗りに切り替えていた。これは三人で名乗るにあたって統一性を持たせるべく二人に合わせる形で影人が自分で考えた物だ。そして、背中合わせ状態で円陣を組むとズキューン、キッス、ソウルの順で一言ずつ入れる。

 

「ズキュッと!」

 

「夢中で!」

 

「熱くなる!」

 

「「「We are!ズキューンキッスソウル!」」」

 

それから再度三人の顔が映されてから正面から見てソウルをセンター、ズキューンが右、キッスが左でポーズを取るとチーム名を名乗る。

 

こうして、ズキューンキッスソウルの三人での初名乗りが決まるのだった。

 

「……え?」

 

ただ、三人の名乗りを見ていたザックリーは休んでいた影響で世間の情報を集められておらず。影人ことキュアソウルがズキューンキッスの方に入ったと知らなかった。そのために唖然とした顔つきになる。

 

「おい!キュアソウル、お前こっちに移籍なんて聞いてねぇぞ!」

 

「それはお前のリサーチ不足だろ!」

 

「クソッ、初っ端から調子狂わせやがって!やれ!クラヤミンダー!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「二人共、行くぞ!」

 

ソウルの言葉にズキューン、キッスは頷くと三人は早速クラヤミンダーとの戦闘を開始するのだった。




また次回もお楽しみに。
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