キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
プリキュアに変身したうたことキュアアイドル。そして、その姿を見たななは驚き、ザックリーは映像では無い初めて見るキュアアイドルの実物を見てその姿を眺めていた。
「キュアアイドル……」
「おお……。あれが噂のキュアアイドルか」
「マックランダー!」
アイドルはマックランダーと対峙すると同時に完全な一般人であるななへと逃げるように声をかける。
「ななちゃんは安全な所に逃げて!影人君はもし私が危なそうだったらフォローをお願い」
「ったく。人使いが荒いな。ま、最初からそのつもりだけど!」
影人も影人で今回は最初からキュアアイドルがいるという事で無理に前には出ずにキュアアイドルのサポートをできる範囲でやる事になった。
「こっちだよ!」
「生意気な。マックランダー、まずはキュアアイドルからザックリやっちまえ!」
アイドルが跳び上がるとプリキュアによって上がった身体能力でマックランダーに着いてくるように言いつつ場所を移動。マックランダーはアイドルの方を追いかけていく。
「蒼風さんは安全な所に行ってて。俺は行かないとだから!」
「えっ!?そんな、影人君も私と同じだし逃げないと……」
「ごめん。俺にはキュアアイドルみたいなスーパーマンとしての力は無いけど、それでも俺はキュアアイドルを支えるって決めたんだ。だから俺は逃げるわけにはいかない!」
そのまま影人はアイドルとマックランダーが移動した先へと走っていく。その様子を不安そうに見送るなな。彼女も彼女で生身でサポートに回る影人が心配だった。
「……どうして?影人君はプリキュアでも何でも無いのに……何でそんな強い勇気を持てるの……?」
ななは少し迷うが、影人が前に勇気が持てなかった自分の心に勇気の光を灯してくれた事を思い出す。
「……そっか。それが影人君の持ってる輝き……。だったら私が取るべき行動は……」
ななは逃げろと言われたにも関わらず、意を決するとプリキュアやマックランダー、影人の後を追うように走り始める。その頃、自然公園の中と思われるそこそこ広い開けた芝生のような場所にアイドルとマックランダーが到着した。
「はもりは私が絶対に助ける!」
「マックランダー!」
するとマックランダーは先制攻撃とばかりに耳障りな煩い音を発し始める。
「くうっ!?」
プリキュアになっても別段聴力は大きく変化しない。そのため、避けようの無い音による攻撃は効果覿面なのかアイドルは思わず耳を塞ぐ。幸いなのは音を出している間、マックランダーは物理的な攻撃をしてこなかった事だ。
「朝から煩いピアノはご近所迷惑だよ!」
アイドルが跳び上がってのキックをマックランダーに命中させるとマックランダーはその威力に思わず後退。だが、マックランダーもただ黙ってやられるつもりは無い。
「マックランダー!」
今度はピアノの鍵盤蓋を開いて展開した鍵盤を自らの指で押すと音符型の赤いエネルギー弾を放つ。
「そんなのには当たらない!」
だが、音で無ければアイドルがそれを回避するのも簡単だ。なので彼女は跳び回って回避しつつ接近。そのまま二発ジャブを入れてから渾身の一発を命中させた。
「はっ!はっ!はーっ、はあっ!」
「マックランダー!?」
前のように油断して決定的な隙を見せなければマックランダーを相手に押される様子は今の所無い。そのため、アイドルが優勢な戦局だった。そこに影人とプリルンが到着する。
「朝から煩い騒音流してくれて……。てか、土曜休みの人達からしたら寝てる時なのに迷惑だろ」
「キュアアイドル、カッコいいプリ!」
プリルンがそう言って手にしたライトをピンクに光らせて振る。そして、そのすぐ後に影人から見て後ろにななもやってきた。
「マックランダー!」
するとマックランダーはまた騒音による回避不能な攻撃を放出。アイドルは耳を塞ぐ中、それは当然後ろにいる影人やなな、プリルンにも聞こえるので四人共その煩さに耳に手を当てる。マックランダーはそれを見て更に出力を上げてきた。
「マックランダー!」
「くううっ……」
特にマックランダーに一番近いアイドルの方は音によって空気が振動されるせいで発生した衝撃波をまともに受けており、途中までは踏ん張ったものの耐えきれずに吹き飛ばされてしまう。
「ああっ!?」
「キュアアイドル!」
「良いぞ!やれやれー!」
アイドルが地面に叩きつけられる中、影人はあの技がかなり厄介だと考えてその対策を思考する。
「音波攻撃なんて普通に考えて回避できないし止められないだろ……。何か無力化できる手は無いのか……」
そんな中、アイドルが倒れているのを見てななは心配そうに影人よりも前に出ると彼女の元に駆け寄っていく。
「うたちゃん!」
「ッ!?おい、それ以上近づいたら……」
「ななちゃん!?」
アイドルは逃げたはずのななに声をかけられた影響か、思わず彼女の方を向いてしまう。そしてその隙をマックランダーが見逃すはずが無い。マックランダーが放った鍵盤による音符攻撃がアイドルに向けて放たれた。
「ッ!危ない!!」
アイドルが自分の近くに来たななを抱き抱えるとすぐに跳んで離脱。音符弾はその直後にアイドルのいた場所に着弾して爆発した。
「危ねぇ……」
「影人君、ななちゃんを」
「ああ。わかった」
なながまたマックランダーに向かっていくアイドルを見て彼女を心配するが影人がそれを手を横に出す事で止めた。
「ダメだ。俺達が戦闘に参加したって足手纏いになる。……蒼風さんもさっきのでよくわかっただろ」
「でも……」
「まだまだやっちまえ!」
ザックリーがマックランダー優勢の状況に調子付いて更に追い討ちをかけるように指示を出す。するとまたマックランダーが音符弾攻撃をしてきた。
「ッ!?今度は♯記号……アイドル、そこからすぐに離れろ!」
「えっ!?」
影人は敵の狙いに気が付くが、アイドルは回避のために横では無く上に跳んでしまった。そのため、回避した攻撃が風に煽られるようにして反転するとアイドルの後ろに壁として地面に突き刺さる。
「ッ!!」
アイドルが後ろを塞がれたという事実を飲み込む前に更に跳んできた三発の弾がアイドルの正面と左右に突き刺さるとそれで四方を囲む壁となり、トドメと言わんばかりに空いていた真上の空間に蓋をするように♯記号が合わさると牢屋のようにアイドルを閉じ込めてしまう。
「嘘っ!?何これー!?」
「やられた……」
影人も自分の判断が遅れたという事を悔やむが、アイドルの反応も全く間に合っていなかったために多少影人の言葉が早くても恐らく結果は同じだっただろう。それよりも今はアイドルが檻の中に閉じ込められて無力化された事の方が大問題だ。
「キュアアイドル、チョロイもんだぜ!」
「キュアアイドルがピンチプリ……」
「ッ……仕方ない。アイドルが自分で檻から抜けられる事前提だけど俺が……」
影人はアイドルが檻から脱出するための時間を作るためにマックランダーへと向かおうとする。しかし、それよりも早くななが行動を起こした。
「……もう、逃げたく無い!」
ななが手にしていた鞄を捨てるように置くとプリルンと共にアイドルが囚われた檻の場所に向かう。
「あの馬鹿!?」
「ななちゃん!?駄目、逃げて!」
アイドルは危険を顧みずに自分の囚われている檻に手をかけてどうにかしようとするななを見て彼女に逃げるように言うが、ななはそれを拒む。
「三人を放ってなんて逃げられないよ!」
「……何だよ。逃げる選択肢もありって言ったのに……。やっぱり蒼風さんは俺なんかよりずっと強い人じゃねーか」
影人は前にななにしたアドバイスである逃げても良いという選択肢を提示したにも関わらず、マックランダーを恐れずにアイドルを助けるために真っ先に動くななを見て笑みが浮かぶ。
「……蒼風さんが諦めてないんだ。俺も良い所ぐらい見せないとな」
影人が走っていくとマックランダーが再び騒音による攻撃でアイドル達の耳への直接攻撃を仕掛ける。その音圧にアイドル、なな、プリルンが耳を塞ぐ中、影人は騒音に耳をやられながらもスマホのある機能を使って騒音に対抗する。
「これでどうだ!」
すると影人がそれをマックスの出力で出すとピアノから流れる騒音がいきなり低減。アイドル達三人もいきなり消えた騒音に驚く。
「えっ!?何で急に……」
「マックランダー、何やってるんだよ!もっと騒音を出せ!」
だが、マックランダーがどんなにやっても先程のような騒音にはなり得ない。勿論聞こえている音はゼロでは無いので多少ピアノは聞こえているものの、それでも先程みたいな耳を塞がないといけないような事態にはなっていなかった。
「相手が使っている音の攻撃。ちょっと難しい話にはなるけど、攻撃に使っているのが音って事は勿論目に見えない音の周波数とかがある。アイツはその周波数が人が不快に感じるぐらい高い数値になってるんだけど、それに合わせて逆位相の周波数をこっちで出せば音が相殺されて聞こえる音はほぼゼロにできる!」
影人はマックランダーが出す音に対抗するにはこちらも逆位相の周波数を持った音を出す事で二つの音の周波数同士で打ち消すのが最適だと判断。ちなみに影人の今言ったことはイヤホンとかのノイズキャンセリングを必要する物に結構使われていたりする。
「嘘だろ!?そんな攻略方法が……」
これではマックランダーがどんなに騒音クラスの音を流しても音が相殺されてる間に限るが、アイドルや彼女を助けようとするなな達にとっての脅威にはなり得ない。
「うたちゃん、今助けるからね!」
なながプリルンと一緒に檻をどうにかしようとする。アイドルも頑張る三人を見て内側から檻を壊そうと引っ張った。
「チッ……。音は封じられても、お前達がキラキラと輝くのは見えてるぜ。折角だからお前らも新しいマックランダーにしてやる!」
ザックリーは逆にこの状況を利用して新たなマックランダーを呼ぶ事を考える。そのため、彼は四人の前に降り立つと両手を鋏のように動かしながら近寄ってきた。
「へへっ」
「ッ!!」
影人はマックランダーからの音波攻撃を相殺しながらどうにかザックリーを止めるために構える。するとななは囚われたアイドルは勿論、影人の前にも立った。
「蒼風さん!?無茶だ!」
「ななちゃん逃げて!」
「……うたちゃんが勇気をくれたよ。はもりちゃんがピアノを弾く事の楽しさを思い出させてくれたよ。影人君は落ち込んでいた私の事、沢山心配してくれて。心を温かくしてくれた。そんな二人みたいに、キュアアイドルみたいに私もなりたい!はもりちゃんのためにピアノを弾きたい!」
それはななの覚悟の形だった。勿論そんな風に言うななをザックリーは良い気持ちでは見れないわけで。
「ザックリ言ってごちゃごちゃ煩い奴だな!マックランダー、やっちまえ!」
「マックランダー!」
マックランダーは音による攻撃は封じられているのでズシン、ズシンと音を立てながら近づいていく。
「「ななちゃん(蒼風さん)!」」
「だから私……逃げない!」
その瞬間だった。いきなりななの胸に青い光が宿るとそこから青いリボンが飛び出すと蝶々結びで結ばれてプリキュアリボンとして具現化する。
「えっ!?」
「プリキュアリボンプリ!」
「……マジかよ。これが蒼風さんの覚悟の形……」
「ななちゃんが……」
するとプリルンのポーチが勝手に動くとななの手に青い光が飛び出す。それはうたが持っている物と同じ、アイドルハートブローチだった。
「これは……?」
「大丈夫!ななちゃんならできるよ!」
アイドルが困惑するななへと勇気の出るおまじない、ウインクを見せる。それを受けてななもアイドルへとウインクで返す。そして、ななは新しく手にしたブローチとリボンを使ってプリキュアへと変身する事になるのだった。
今回の戦闘にて影人が使ったノイズキャンセリングについてですが、正直スマホのアプリとかで元々聞こえている外からの音に対してリアルタイムでそれを相殺できる音を外に出せるアプリはほぼありません。(ただしアプリの性能や信憑性はさておき、そういうアプリの数はゼロでは無い)なのでこの作品の中での独自設定としてそういう事ができるスマホのアプリがあるという事を頭の中に入れてもらえたらと思います。また次回も楽しみにしてください。