キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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プリキュア達の初めてのテレビ出演

アイドルプリキュア、ズキューンキッスソウルのセンター枠であるアイドルとソウルの二人の元に舞い込んだテレビ出演の話。勿論、アイドルチームとしての宣伝とPretty_Holicとしてのお店の宣伝目的である。

 

「ここがテレビ局……」

 

「……俺も入るのは初めてだから緊張するな」

 

うたと影人は最初から変身した状態でテレビ局内の通路を歩いている。二人の隣には田中とレイがいた。田中はマネージャーとして。レイは言及のあった通り、今後のための経験目的で来た。

 

「お疲れ様です」

 

「「「「お疲れ様です」」」」

 

すれ違うスタッフ達に挨拶をしつつ四人は移動していく。ソウルは顔が固い様子だった。

 

「ソウル、大丈夫?」

 

「ああ……正直、何で俺がズキューンキッスソウルの代表になったか未だによくわからないんだけど……」

 

ズキューンキッスソウルの名乗りの際は確かに真ん中。センターポジションを取っているソウル。ただ、それはあくまで名乗りの際の見栄えを重視しただけのポジション決めである。

 

何しろ、ズキューンとキッスはソウルよりも高身長。しかもアイドル達よりはソウルの身長が高いとは言え、ズキューンキッスの二人と比べると見劣りする身長。加えて、ズキューンキッスのメンバーカラーは白と黒。この二色は対を成す色であるために双方の色の主張とかも考えた上でソウルを真ん中にしたというだけなのだ。

 

「てか、単純な人気ならズキューンやキッスの方がハッキリ言って上だろ……」

 

「……お前、知らないのか?世間の評判」

 

「は?」

 

レイは僅かに呆れたような顔つきをする。それからそんなレイへと補足するように田中が付け加えた。

 

「えぇ、キュアソウルの人気はアイドルプリキュアに所属していた時点で既にアイドルに次ぐ二番手。ズキューンキッスソウルの三人の中だと元々支持していた層もあってトップなんですよ」

 

ソウルはその言葉に困惑する。自分はそれだけ周りから期待されているという事だ。

 

「極めつけはこれですね」

 

そんな時、田中が見せたのはネットに上がっているアイドルプリキュアとズキューンキッスソウルの変身後の名乗りシーンである。そこにはしっかりとそれぞれの名乗りがネットにアップされており、それぞれセンターがアイドルとソウルという形で公の事実として広がっていた。

 

「え!?何で……名乗りシーンなんてこの前一回やったきりで……」

 

この状況にソウルは脳内がバグりっぱなしである。それを見たアイドルは苦笑いをしつつ呟いた。

 

「こんな事するのって多分……」

 

「アイドルプリキュアの方を撮ったのはプリルンプリ!」

 

「ズキューンキッスソウルの方はメロロンが撮ったのメロ!」

 

するとアイドルの肩にはプリルンが、ソウルの肩にはメロロンが出てくると自慢げな顔で話した。その直後、二人の髪はまたモッサモサ刑を喰らう事になる。

 

「プリ!?」

 

「メロ!?」

 

「お前らぁ……」

 

ソウルは最早呆れて物も言えない状態になってしまう。ちなみに、ズキューンキッスソウルの方はメロロンがまた前のようにキッスの精を操って自分達の名乗りを撮影。アイドルプリキュアの方はプリルンがズキューンに変身している際にしれっと撮影していたのである。

 

「ダメだコイツら、学習しなさすぎる」

 

「という事で、こはるさんも以上の事からキュアソウルをご指名らしい」

 

「事情は大体わかった……」

 

そんな事もあってソウルがズキューンキッスソウルのチームとしてのセンターポジションという役割を事実上確立した事になった。

 

「センターとして代表してるなら……尚更失敗できないな。これ」

 

「うぅ……責任重大過ぎるよ」

 

二人共緊張からか肩に力が入ってしまう。そんな様子を見てレイは驚いたような顔を見せる。

 

「っと、やっぱりお前の万能能力でもテレビとなると」

 

「……流石に無理だ。そもそも、俺が一度グレた原因はこの芸能界関連の事なんだぞ……」

 

ソウルはこの前のはなみちタウンフェスの件で多少マシにはなったものの、テレビ出演となると前とは規模も状況も違うために緊張感が勝ってしまうようだった。

 

「大丈夫プリ、プリルンも一緒プリ」

 

「ねえたまだけじゃ無いのメロ」

 

プリルンとメロロンの二人はモッサモサになった髪を直すと自分達もついてると言わんばかりに緊張するプリキュアの二人をフォローした。

 

「二人共、心強いよ〜」

 

アイドルはそれを受けて自分の肩に乗ったプリルンとソウルの肩にいるメロロンを撫で始める。それだけでもアイドルにとっては癒しになるらしい。

 

「気持ち良いプリ〜!」

 

「メロロンはズキューンキッスソウルのマスコットとして来ただけなのメロ〜!」

 

プリルンはアイドルに撫でられて幸せそうな顔になるが、メロロンの方は自分はアイドルプリキュアとして来てないから止めてほしいと言わんばかりの声を出す。

 

この二人がここにいるのは、言及のあった通りだ。プリルンはこれまで通りにアイドルプリキュアのマスコットキャラとして、メロロンの方は新しくできたズキューンキッスソウルのマスコットキャラとしてやってきたのである。

 

「そろそろ収録のためのスタジオに着く。まずは挨拶、しっかりやっていこう」

 

「うん!」

 

「ああ。ここに来たら俺達はいちアイドルグループだ。振る舞いには気をつけないとな」

 

ソウルはアイドルのミスをしっかりフォローするつもりで動こうと考えた。幾ら自分達にテレビ出演の経験が無いからと言って、撮影の礼儀やマナーを守れないアイドルグループに次の機会は与えられない。そして、最初の出演での印象というのは今後の活動をする上で超重要だ。

 

ここで番組を仕切るプロデューサーやディレクター達、テレビを作る人間達の目にどう映るかで次に番組で使うかどうか判断する材料にもなり得る。

 

「(アイドルに……咲良さんに嫌な思いをさせた状態でテレビ撮影を終わらせないようにしないと)」

 

ソウルのそんな決意の元、テレビ撮影をするための収録スタジオへと移動した。

 

「キュアアイドルさん、キュアソウルさん、入ります!」

 

「キュアソウルです、今日はよろしくお願いします!」

 

「キュアアイドルです、よろしくお願いします!」

 

二人はまず関係各所への挨拶回りを済ませてから段取りを改めて復習。ただ、出演が撮り溜めでは無くリアルタイムで放送される情報番組であるために放送自体はまだ始まってない。

 

それから放送が始まると二人は待機となり、番組途中のCMへと入った。このCM明けのタイミングで自分達の出番が回ってくる。そして、CM時間は限られているので急いで持ち場に付かないといけない。

 

「え、えっと……私達の場所は……」

 

「アイドル、こっちだ。CM明けまで時間が無い。CM明けに言うことはちゃんと覚えてるな?」

 

「う、うん……」

 

ソウルは小声でアイドルへと確認を済ませると進行のスタッフがもうすぐCM明けになると声をかける。

 

「(情報番組は生放送だから失敗は許されない……アイドルのミスは俺が……)」

 

ソウルはこの時点で顔つきがかなり固かった。何なら、誰かを睨んでいるようなくらいな怖い目つきをしてしまっている。アイドルの事を気遣って緊張したあまり、自分の方のコントロールをおざなりにしてしまったのだ。このままではその固い顔つきをテレビで見せる事になってしまう。

 

「CM明け5秒前!」

 

「ッ!」

 

そして、アイドルはそんなソウルにギリギリで気がつくとCM明け直前のこのタイミングでソウルに声をかけた。

 

「ソウル」

 

「ちょ、もう時か……」

 

「アイドルスマイル。ファンサトレーニングを思い出して」

 

アイドルは時間の都合でソウルの返事を待たずに無理矢理言うべき事を捩じ込んだ。

 

ソウルはそれを聞いた直後、目を見開くと慌ててその顔を作る。同時に進行からのカウントダウンの声が消えた。これは最後までカウントを言ってしまうと放送に進行の声が入ってしまうからである。

 

スタジオ内ではレイ、田中、マスコットとしてジッとしてるプリルンとメロロン。更にPretty_Holicから撮影を見届けに来た森。テレビの向こう側でもななやこころ、事情を聞いた夢乃達が見守っている。それと同時にCMが明けると同時に情報番組の画面に切り替わった。

 

「続いては、ドドンとはなみち!本日は素敵なゲストにお越し頂いてます!」

 

ニュースのキャスターからの言葉の直後、カメラが二人の方に向けられると同時に二人は下から飛び出すと同時にアイドルとしての自然な笑顔を見せる。

 

「「ヤッホー!」」

 

「笑顔ニッコリ、キュアアイドルだよ!」

 

「ハートメラっと、キュアソウル!」

 

二人は名乗りの口上と決めポーズを交えつつ視聴者への挨拶を済ませるとコーナーの時間制限もあるので早速Pretty_Holicの宣伝を始めた。

 

「私達が紹介するのはこれ!」

 

アイドルがそう言うと二人の近くに置かれた五つのカラーのリップとキュアソウルモチーフのアイシャドウである。

 

「Pretty_Holicのプリティアップリップと」

 

「プリティアップアイシャドウだよ」

 

それから二人が自分をモチーフにしたアイテムを手に取りつつ、宣伝を続けていく。

 

「ただいま、素敵なキャンペーンを開催中!」

 

「プリティアップでキラッキランランな私!」

 

「皆さんも是非、使ってみてください!」

 

「わぁ……可愛い!」

 

アイドルとソウルは交互に台詞を言う形で出番を終えると再度CMに突入。何事もなく無事にPretty_Holicの宣伝が終わり、再度挨拶を済ませてからスタジオを後にした。

 

スタジオの外にある廊下にて、ソウル、アイドル、レイ、田中、そして森の五人が歩いていた。

 

「ふぁあ……緊張したぁ」

 

「良かったです!宣伝もしっかりできたと思いますよ!」

 

「それは何よりです……」

 

ソウルは申し訳なさそうな顔つきをしていた。完全にあの時の顔つきは自分の失態だったのだ。それを自分がフォローすべきと考えていたアイドルに逆にフォローされてしまったのである。

 

「ソウル、そんなに気にしたらダメだぞ。別にソウルのあの顔が全国に放映されちゃったわけじゃ無いんだからさ」

 

「えぇ、ソウルはよくやり遂げましたよ」

 

レイや田中が落ち込んだソウルをフォロー。森もソウルの宣伝を絶賛しており、問題は何も起きなかった。……だからこそソウルは自分を責めていた。アイドルからのフォローが無ければ自分が全部台無しにしていたのだと。

 

「これから私とレイさんは二人でこはるさんとの話がありますので、先に楽屋に戻っていてもらえますか?」

 

そんな中、田中は手に持っていたプリルンとメロロンをそれぞれ二人に預けるとレイ、森の二人と共に話をするべく場所を変えるために移動。

 

その場にソウルとアイドル、そして腕に抱かれたプリルンとメロロンのみが残った。

 

「……はぁ」

 

「ソウル、気にし過ぎだよ?まだテレビ局の中だし、反省は帰りにゆっくりやろ」

 

「ああ……悪い」

 

ソウルは今、この場所がまだテレビ局の廊下であると再認識。少なくともこの場所で落ち込んだ歩き方とかをしていればテレビ制作の邪魔になるというわけでどうにか普通の状態を作り出した。

 

「(……何やってんだよ。フォローするべき相手にフォローされて。下手したら俺のせいで……)」

 

同時に脳裏に浮かんだのは過去にもあった周りから一斉に白い目を向けられる自分の姿である。あの時は自分一人がその目線を向けられるだけだからまだマシ。今回は企業案件で来ているのだ。

 

Pretty_Holicの方にまで実害を及ぼすようなアイドルなんて金輪際使われないだろう。それどころかアイドルプリキュア達の悪評まで広がるし、ネット民達から袋叩きにされるのは目に見えてわかる。そんな事態になったら隣にいるアイドルやレイ達、ここにいないなな達にも迷惑をかけてしまうだろう。

 

「ソウルは撮影を精一杯頑張ったのメロ。責める人なんて誰もいないメロ。ソウルはちょっと考え過ぎなのメロ」

 

ソウルはメロロンにも諭されてしまうと小さく頷いて、この後悔の気持ちを一度心の中にしまう。そんな中、アイドルに抱かれたプリルンが声をかけた。

 

「そういえば、今日は歌わないプリ?」

 

「さっきので今日のお仕事はお終いだよ」

 

「キュアアイドルのステージが見たいプリ〜!」

 

するとプリルンの方は先程のCM撮影だけでは物足りない様子なのか、目を潤ませた顔つきでアイドルの方を向く。やはり、彼女の中での最優先はキュアアイドルの歌とステージらしい。そんなプリルンへとアイドルが微笑みを見せる。

 

「ソウル、ここで歌っても大丈夫かな」

 

「……放送の撮影の邪魔になったら即アウト。さっきチラッとこのフロアの構造の地図を見たけど、他の撮影スタジオとかは今近くに無いのはわかってる。プリルンに聴かせる程度の声量なら良いんじゃないか」

 

「ソウル、ありがとうプリ」

 

「じゃあ……キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ……」

 

アイドルは持ち歌の“笑顔のユニゾン”を歌い始めるとプリルンに聴かせる。そんな中、曲がり角を曲がったタイミングで丁度通りかかった人とぶつかってしまう。

 

「うわっ!?」

 

「っと!?」

 

その激突の影響でプリルンは前に押し出されてしまい、慌ててプリルンは弾かれて転がっていってしまう。

 

「プリィイッ!?」

 

「ねえたま!?待ってメロ!」

 

「あ、馬鹿!?今は……」

 

メロロンの方もプリルンが目を回しながら転がるのを見て慌てて追いかけて行ってしまう。そのためソウルはどうにかしようとしたが、ここで駆け出したら迷惑行為になりかねないのでどうにか踏み留まった。

 

そんな中、アイドルは尻もちをついてしまっていたためにソウルはひとまずアイドルの心配をしようとする。

 

「アイドル、大丈……え?」

 

ソウルはその瞬間、隣にいる人物を見て唖然とした。同時にその人物はアイドルへと手を伸ばす。

 

「ごめんね、大丈夫?」

 

「すみません……って、え?」

 

アイドルもその人物を直視すると驚きで頭が一瞬真っ白になってしまう。そこにいたのはまさかのレジェンドアイドルの響カイトその人であった。

 

「(そっか、テレビ局って事はこういう事態もあり得るんだった!?)」

 

ソウルは今更ながらテレビ局にいる事の意味を改めて自覚。初めて仕事として来た場所でのレジェンドアイドルとの対面に二人は揃って動揺してしまう事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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