キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クラヤミンダーの登場により、早速空に異変が起きると影人は一人上の階に戻ってきていた。
「あれ?スマホ無い……どこ置きっぱなしにしたんだっけな」
影人は先程上の階でスマホを出して置きっぱなしにしてしまっており、それを探しに来たのだ。
「お、あったあった。良かっ……」
「ブルっと来たプリ!?」
影人がスマホを手にした瞬間、プリルンがクラヤミンダーの登場を感知して身震いをしてしまう。
「は?」
「きっとクラヤミンダーが出てきたのプリ!」
プリルンはまずは一階にいるうた達三人へとクラヤミンダーの登場を知らせようと二階から声をかける。
「うた、うた〜!」
ただ、今うたは一階でグリッターのお手伝い中。しかも、プリルンは大声を出したら色々と問題になるので小声で呼ばざるを得ない。そのため、うただけで無くなな達も誰一人気が付かないのだ。
「仕方ない、俺が呼びに……」
「待つのメロ。咲良うたは仕事中、無理に呼ばなくても三人でなら勝てるメロ」
「でもうたが……」
「咲良うたが来る前にクラヤミンダーを浄化すればうたは頑張らなくて済むのメロ」
「それもそうプリ」
メロロンの言葉にプリルンは同意。影人はプリルンもうたの事になると大概チョロいと感じるが、今はそんな事言ってられないと彼女の意見に了承する。
「わかった」
「行くプリ」
影人は持っていたブローチをアイドルキラキラマイクへと変化させるとプリルン、メロロンの二人も揃ってグリッターの二階スペースにある窓へと移する。
「ここから行くのメロ」
「って、俺これ通れるか?」
妖精のプリルンやメロロンならともかく、それなりに体の大きさがある影人はここを通る自信が無さそうだった。
「だったら変身しながら通るのメロ」
「え?」
「ほら、行くメロ」
「えぇ……もうなるようになれだ」
影人は変身中なら通れると言ったメロロンの言葉を信じると二人と共に窓を通過しながら変身。
「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ショータイム!YEAH♪」」」
三人がその掛け声と同時に姿を変えると体がプリキュアへと変化……と、同時に何故か三人共窓の手前で変身開始したにも関わらず変身後には窓の外に出ていた。
「へ?何で……」
「多分お姉様と私は変身前に起きる肉体の変化が入っているのと、移動しながらの変身は無意識状態でプリキュアに変わりながらその分だけ移動可能なのよ」
「よくわからん原理だけど、とにかく移動中は無敵と透過のバフが入るって事ね」
「まぁよくあるご都合主義ってやつじゃない?」
「最後の最後で説明を台無しにすんなって」
ソウルはキッスの最後の言葉で折角の説明が台無しになったと呆れるが、どうにかプリキュアへと変身しながら二階の窓からの出発に成功。
「やれやれ、クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にしろ!」
「クラヤミンダー!」
その頃、街中ではザックリーの指示の元でクラヤミンダーが暴れていた。そこに三人が走ってくるとトリプルキックを繰り出す。
「「「はぁああっ!」」」
「クラァ!?」
ズキューン、キッス、ソウルの三人が降り立つと同時に早速変身時にやらなかった名乗りを行う。
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「ハートをメラッと熱くする!キミと高まれ、キュアソウル!」
「ズキュッと!」
「夢中で!」
「熱くなる!」
「「「We are!ズキューンキッスソウル!」」」
三人による名乗りが決まるとザックリーはまたいつもの邪魔な敵の存在を認知する。
「また来たな?プリキュア!」
「“また来たな”はこっちの台詞だって。毎回毎回余計なタイミングで来てばかり。お前ら、ちょっとは空気読めって!」
「うっさい!お前らの都合なんぞ知るか!クラヤミンダー、さっさとやれ!」
「クラヤミンダー!」
早速ザックリーの指示からのクラヤミンダーによる攻撃が始まる。まずは手にしたペンを振るう事による質量攻撃だ。単純に大きくて重さのあるペンによる一撃はまともに受ければ大ダメージは避けられないだろう。
「そんな単純な動きで当たるかよ!」
「お姉様とお兄様を舐めないで!」
三人は軽い身のこなしで簡単にその攻撃を回避する。更にソウルは走り込むと一気に火力をぶつけるべくメガホンを使う。
「ズキューンの力、ソウルインパクト!」
ソウルは白いエネルギーを纏うと同時にそのまま一直線にクラヤミンダーへと突進。クラヤミンダーはそのパワーに堪らず吹き飛ばされた。
「クラヤミィ!?」
「クラヤミンダー、正面からやり合うな。お前の能力を見せてやれ!」
クラヤミンダーはザックリーからの言葉を受けて手にしたペンを構える。ソウルが着地しつつそれを警戒しているとクラヤミンダーは早速ペンを振るう。
「……って、あれ?」
ソウルが身構える中、クラヤミンダーは一心不乱に何かを描いている様子だった。それを見てズキューンやキッスも首を傾げる。
「……何してるのかな?」
「わからない。ただ、それなら私達から」
「待て、どうやら描き終わったみたいだ」
そこにあったのは空中に描かれていた炎、雷、竜巻の絵であった。その瞬間、三つの絵は合体すると雷を纏った炎の竜巻と化して三人へと飛んでくる。
「何あれ!?」
「嘘だろおい!」
三人は直撃を喰らうのは危険と踏んで逃げに徹する事にした。更にその間にクラヤミンダーは更なる絵を描く。
「クラ!」
今度は水による激流が回避した直後で空中にいて逃げられないキッスへと飛んできた。
「ッ、しまっ!」
「キッスの力、ソウルディフェンダー!」
ソウルは咄嗟にソウルディフェンダーを投げると空中で身動きできないキッスの足元に入り込む形でそれが飛来。
「そういう事ね!」
キッスはソウルの意図を汲むとその盾の上に着地する形でそのまま盾ごと移動して水を回避した。
「二人にばかり気は取らせない!」
クラヤミンダーは追い討ちとばかりに絵を描こうとするが、そこはズキューンが反応すると拳を叩き込む。
「クラヤミンダー!」
しかし、これはペンで防がれてしまっていたせいか有効打にはなり得ない。クラヤミンダーが押し戻されると同時に絵が描き終わったのか、次の絵を飛ばす。
「今度は岩!?あわわっ!」
クラヤミンダーが出したのはクラヤミンダーと同じくらいのサイズをした大岩である。それがズキューンへとゴロゴロと音を立てながら転がってきたために彼女は慌てて逃げ出す。
「ちょっ、何でこんなに着いてくるの〜!」
ズキューンはプリルンの時の癖が出てるのか、かつてこころに正体がバレて追い回された時みたいに慌てた顔つきで逃げ回る。
「お姉様!」
そこにすかさず助けに入ったのがキッスだ。彼女は大岩を横から蹴り飛ばす形で逃げ回るズキューンを助け出す。
「ありがとうキッス!」
「お姉様のためならこのくらい当然です」
それから三人は再度合流。厄介な力を使うクラヤミンダーにどう対抗するか、考える事になるのだった。
同時刻。グリッターにいるうた、なな、こころ、レイが何かの違和感に気がついていた。
「そういや、影人の奴を見てないな」
「あれ?さっきスマホを探しに行って……ん?」
「それにしては遅いよね」
「まだ見つかってないのでしょうか」
グリッターにいる面々に不安な空気が出始めると流石に遅いと感じたのか、レイが探しに行く事に。
「仕方ない。俺が呼びに行くよ」
「もう、まさかと思いますけどプリルン達がどこかに行って探してるんじゃ……」
「あれ?」
そんな中だった。なながふとグリッターの窓を見ると街中の方で空が暗くなっている事に気がつく。
「あれって!」
「空が……」
「もしかして……」
こころが慌ててスマホを取り出すとそこにはメッセージが届いていた。そこにあるのは影人からの伝言である。一応、三人にもわかるようにメッセージを送っていたのだ。
「影人がいない!窓が開いてたから多分プリルンとメロロンもそこから行ってる!」
そこにレイが降りてくると影人達の不在を知らせる。これにより、街中でクラヤミンダーが暴れているのは確定的になった。
「もう、カゲ先輩一言声をかけてくれれば良かったのに」
「でも、多分メッセージを送ったからいつか気づくって思ってたんじゃないかな」
「とにかく行かないと」
うた、なな、こころの三人は慌ただしく街へと飛び出す中、レイはうたがやっていた手伝いを引き継ぐためにエプロンを着るとうたの両親に彼女が急用で一時的に抜けないといけない事を伝えた。
そして、そんなうた達の騒ぎを偶々聞いてなかったのか。カイトと蓮司は会話を終えるとカイトの方はサインを書いていた。
「ワシまで済まんねぇ」
「いえ、大丈夫ですよ」
どうやら蓮司もカイトからのサインを要望して書いてもらっている様子であった。ふとカイトが周りを見るとうた達がいない事に気がつく。
「あれ、うたちゃん達は?」
「ああ、咲良さん達はちょっと急用で外さないといけないみたいです」
カイトの問いにうたの両親への説明を終えたレイが対応。彼に任せておけばひとまずここは誤魔化しが効くだろう。そんな中でうた達三人は憂なくプリキュアへと変身しつつ移動する事になった。
「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」」
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」
三人が変身完了してから急いで現場へと移動していく。それから彼女達が到着するとやはりクラヤミンダーが好き放題していた。
「クラクラヤミンダー!」
クラヤミンダーは絵を描くと今度は地面から生えた植物のような太い根っこが三人の行く手を阻んでいた。
「コイツの能力多彩過ぎ!」
「どうにか絵を描くのを封じないと……」
しズキューンもキッスも単純なスペックは高いが、こういう絡め手によってスペックを発揮しづらい相手となるとやはりどうしても苦戦を強いられてしまう。
「街が……」
「というか、何ですかあれ!」
アイドルプリキュアがクラヤミンダーの使う技に驚くと先に戦っていたズキューンキッスソウルがそれに気がつく。
「あっ、キュアアイドル〜!」
「来るのが遅い!お兄様が三人を気遣って連絡まで残したのに!」
キッスはそう言うものの、先行して行く事を言い出したのは彼女であるため色々矛盾してしまっているが。
「とにかく私達も……ッ!」
そんな時、クラヤミンダーが両腕で持ったペンをズキューンへと振り上げるのが見えた。しかもズキューンはアイドルプリキュアの方に気を取られて完全に無防備な背中を晒してしまっている。
「不味い、お姉様!」
「クラヤミ!!」
「あと一人誰か忘れてるだろ!」
そこにすかさずソウルがカバーに入ると彼からのキックがクラヤミンダーへと命中。
「くっ……やっぱり何をするにしてもキュアソウルが邪魔過ぎる!……だったら、クラヤミンダー!」
ザックリーは何かを思いつくとクラヤミンダーへと指示。クラヤミンダーは早速ザックリーの言葉に頷くと手にしたペンを振るう。
「これ以上絵を描く時間は……」
「かかったな!」
その瞬間だった。絵を描く時間を与えまいとソウルが距離を詰めてきたタイミングを狙ったかのようにザックリーの合図でクラヤミンダーがペンを振るう。それにより、生成された線による固形のエネルギー弾がソウルへと容赦無く飛んできた。
「なっ!?」
ソウルは完全に失念していた。そもそも相手が攻撃するのにわざわざ絵なんて要らないのだ。何しろ、描いたものを実体化できるならただ線とか点をエネルギー弾にするだけでも十分立派な攻撃なのだから。
「ぐあっ!?」
そのままソウルはエネルギー弾に押し込まれる形で吹き飛ばされると近くの建物の壁に激突。
「がっ……」
「ソウル!?」
「クラヤミ!」
アイドル達がソウルの方をカバーしようとするとすかさずクラヤミンダーが四本のペンで描いたエネルギー弾を飛ばす。
「ッ!?」
ソウルはダメージに備えるが、体への痛みは来ない……しかし、その代わりとばかりに彼は両手足を建物の壁に付けたまま動かせなくなった。
「嘘だろ!?」
そこには両腕及び両脚を拘束するように建物へと張り付いた線による拘束具が存在しており、更に最初にソウルを吹き飛ばしたエネルギー弾によるお腹周りの拘束も加わって彼は完全に壁に貼り付けられてしまったのである。
「お兄様……そんな」
「ひゃっはーっ!キュアソウル捕まえたぜ!」
ザックリーは完全にしてやったりの顔である。そして、それはプリキュア達に少なからずの動揺を与えた。
「大丈夫だ、こんな拘束……すぐに」
「待ってください!」
ソウルは無理矢理拘束を破壊しようとしたその時。キュンキュンがそれを遮るように声をかける。
「キュンキュン?」
「……ソウル、少しの間そこにいてください」
「何で……それじゃあ……」
「私達だけでも頑張れるって所……ソウルに見せたいんです!」
キュンキュンの言葉にソウルは相手を侮ってるのではないのかと不安になるが、その顔を見て不安は消えた。
「(キュンキュン、あれは本気の目……そうかよ。だったら、その気持ちを信じるか)」
ソウルは周りを見渡すと明らかに動揺したキッス以外の四人はソウル抜きでも戦える意志が宿っていた。
「わかった、任せるぞ」
「はい!」
ソウルは四人の気持ちを汲むと体の力を抜いた。彼は戦闘態勢を完全に解いたのである。
「へっ、諦めたか?」
「諦めてなんかねーよ。でも、今回は……」
「私達だけで十分です!」
こうして、敢えてソウル抜きでのアイドル達五人によるクラヤミンダーとの戦闘が開始される事になるのだった。
また次回もお楽しみに。