キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

179 / 330
プリキュア達の成長 カイトへの感謝

ソウルが拘束されて動けなくなる中、残されたアイドル達五人はソウル抜きでクラヤミンダーと戦う事を決意する。

 

「キュアソウル抜きでこの前クラヤミンダー相手に苦戦したお前らが勝てると思うなよ!クラヤミンダー、あの五人をクラクラの真っ暗闇に塗り潰したれ!」

 

「クラヤミンダー!」

 

すると早速クラヤミンダーは五人を一気に倒すべく接近してペンで薙ぎ払う。

 

「ッ、あなた達本気なの!?ソウル抜きでどうにかするなんて……」

 

「キッス、私達は最近ソウルに頼り過ぎだと思うの!だから私達だけでやってみよう!」

 

「お姉様……でも」

 

そんな中、他の四人が大丈夫でもキッスは一人だけ不安な顔をしていた。キッスもこういう時に彼がいないと不安になる所からソウルへの依存度が上がってしまっている証拠だった。

 

ただ、ソウル抜きでクラヤミンダー相手に勝てないのならこの先更に強い敵が出てきた時にソウルが勝てなかった場合どうなるか……それはカッティンダーやその直後のクラヤミンダー戦を見れば誰が見ても明らかだからである。

 

「ズキューン、キッス、来るよ!」

 

ウインクに言われて二人も身構える。そんな時、クラヤミンダーは先程と同様にペンで線を描くとそれを発射してきた。どうやら先程ソウルを捕まえる事ができた事から基本的にはペンによる線の射出をしつつ隙ができたら絵による大技で始末するのが効率的と考えたらしい。

 

「クラクラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーは次々と攻撃を射出。ウインク、キュンキュン、キッスはその攻撃を見切ると華麗に避けていく。そんな中でアイドルとズキューンはどう回避すれば良いかわからずに慌ててしまう。

 

「「あわわっ!うわっ!?危ない!?」」

 

その避け方はまさかの二人揃って同じポーズでの回避であり、カッコ良さはどこへやらと言わんばかりのコミカルな回避だった。

 

「アイドル、ズキューン……もうちょっとマシな回避方法は無かったのか……?」

 

そんな中、クラヤミンダーが先程放った線はその攻撃の先にあった建物に張り付くようにして命中。それは建物の壁にクラヤミンダーのサインが描かれたようだった。

 

「うえっ!?」

 

「ふへへっ、クラヤミンダーのサインだぜ!」

 

「いや、一ミリもクラヤミンダーのサインに見えないんだが!?」

 

ザックリーが壁に描かれたクラヤミンダーのサイン(?)を自慢する。その実態はWの文字を90°ぐらい傾けた感じで、わかりやすくするとくの文字を縦に二つ繋げたようなよくわからない物であった。

 

「くっ……」

 

「そんなサイン、全然心キュンキュンしませんよ!」

 

「アイドル、そろそろ私達の反撃だよ!」

 

それと同時に三人は駆け出すとクラヤミンダーへと向かっていく。それに対してクラヤミンダーも黙って見ていない。また新しくサインによる弾丸を作って放ってくる。

 

「クラクラヤミンダー!」

 

その攻撃に対してキュンキュンは丸の中を跳んで潜り抜け、ウインクは横にズレて回避。アイドルも自分の方に来た攻撃を回避しつつ接近していく。

 

「クゥラァアッ!」

 

クラヤミンダーは三人がペンの薙ぎ払いの射程圏内に入ったという事で一気に横薙ぎにする形で三人を纏めて吹き飛ばそうとする。それに対して三人は一瞬でアイコンタクトを取るとウインク、キュンキュンが敢えてそのペンの攻撃を跳んで回避。アイドルが一人でそれを受け止める。

 

「へっ、仲間に見捨てられたか!」

 

「ううん、これは……私への信頼だよ!」

 

その瞬間、回避していたウインクがクラヤミンダーのペンを反対側から抑え、キュンキュンがペンの上にのしかかる形でおもりの役割を果たす事でクラヤミンダーのペンを封じ込めようとした。

 

「クラヤミンダーの攻撃の全部このペンがやってる!」

 

「だから、これさえ止められれば……」

 

「チャンスが生まれます!」

 

そんな風に必死に自分達の持てる力を全て出してどうにかしようとするアイドル達。それを見たキッスは驚きの顔をしていた。

 

「ソウル抜きでクラヤミンダーを抑えてる……」

 

「キッス、こうやってアイドル達がやれるって証明してくれた。だから私達だってきっとできるよ。だって、最初は私達だってそうだったじゃない!」

 

キッスはその時ようやく思い出す。自分達がズキューンキッスとしてコンビで戦っていたあの時。自分達はソウルに頼らずとも戦う事ができていたと。

 

「強すぎる光は時に照らされる人の目を眩ませる。でも、光が消えて時間が経てばまた目は見えるようになる。まるで……今のアイドル達はそういう状態なのね」

 

「それはよくわからないけど……とにかく行くよ!」

 

ズキューンはキッスの難しい表現がわからずに苦笑い。ただ、それでもこれだけはわかる。今の自分達なら、戦えるという事だ。一方でクラヤミンダーとペンを引っ張り合うアイドル達は必死に引き抜かれまいと耐えていた。

 

「こんなのサインじゃ無い!サインは……キミをキラッキランランにする物だから!」

 

「ごちゃごちゃ煩いんだよ、クラヤミンダー。三人纏めて……」

 

「皆!!」

 

ザックリーがクラヤミンダーにさっさと全力で投げ飛ばす事を指示しようとするが、その前にズキューンの声が響くと彼女がキッスと共に走ってくる。

 

「「はぁああっ!」」

 

ズキューンとキッスは同時に踏み込んで跳び上がるとそのタイミングで三人は巻き込まれないようにペンから離脱。直後にズキューンキッスによるダブルキックがクラヤミンダーへ命中した。

 

「クラ!?」

 

更にズキューンはそれでバランスを崩したクラヤミンダーへと追い討ちとばかりにアイカラーで技を発動する。

 

「ズキューンバズーカー!」

 

強烈な一撃がクラヤミンダーに命中するとクラヤミンダーは堪らず吹き飛ばされて目を回してしまう。

 

「ああっ!!またこのパターンかよ!?」

 

「流石お姉様!」

 

キッスが褒める中、ズキューンがキッスへと微笑む。キッスはさっさと決着を付けるためにキラキラショータイムマイクを手にズキューンへと話しかけた。

 

「お姉様、このまま……」

 

「ううん、今日は私達じゃなくて」

 

「……へ?」

 

キッスが唖然とした顔になる中、ズキューンはアイドルの方へと行くとプリルン味のある純粋なお姉さん声でアイドルへと声を上げる。

 

「キュアアイドル〜!私ステージ見たい!」

 

「うえっ!?お姉様!?」

 

ズキューンはその手にキラキライトを持っており、色はピンク。つまり今回はアイドルの歌を聴きたいらしい。テレビ局ではあまり聴けなかった事もあって余計にその気持ちが強いのだろう。ただ、相方のキッスはズキューンのまさかの行動にまだ唖然としていた。

 

「うん、行くよ!」

 

アイドルはそんなズキューンからのコールに応えるべく二人へと促すとそのまま三人での技を発動させる。

 

♪決め歌 Trio Dreams♪

 

「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」

 

『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』

 

「「「ハート上げてくよ!」」」

 

久しぶりに初期メンバーの技が発動すると三人のプリキュアはインカムを装着。それとほぼ同時にクラヤミンダーは技の効果で問答無用で強制着席。そのまま歌が始まるといつもの浄化タイムに入った。

 

「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」

 

三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーがクラヤミンダーへと降り注いでその体を浄化させていく。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

クラヤミンダーがやられた事によって今回も新たなキラルンリボンが生成。それを今回はキッスでは無く技を使ったアイドルが手にするのだった。

 

「あーもう!ザックリ六倍なんて働けねえよ!」

 

ザックリーは六倍の相手と戦うというクソゲーなんてやってられないと言わんばかりに撤退。街は無事に元の姿に戻る事になる。

 

「良かった……」

 

「私達、ソウル無しでも勝てたんだよね?」

 

「うん!やっぱりキュアアイドルは最高にキラッキランランだよ!」

 

ズキューンはアイドルに抱きつくように喜びを表す中、ズキューンを完全に取られたキッスは嫉妬の目を向ける。

 

「やっぱりキュアアイドルはお姉様を奪ってしまう……」

 

「まぁまぁ、キッス落ち着いて?」

 

そんな五人を壁に張り付いたままソウルは見ていた。それと同時にもうこの五人への過剰なまでの心配は要らないのだと感じ取る。

 

「(俺無しでも……もう皆は大丈夫そうだな……。これで俺は、俺のやりたい事を見つけても良いのかな)」

 

ソウルはそこまで考えた所で先程からずっと下で会話を続けている五人を見て思わず声を上げた。

 

「……って、お前ら!いつまでも俺をここに放置してるんじゃねぇ!!」

 

「うわあっ!?そういえばそうだったぁ!」

 

「他の線は消えてるのに何で拘束用の線だけは消えてないんですか!」

 

「多分これだけ性質が違うんだと思う!!」

 

五人は慌ててソウルを外部から手伝って救出。ようやく彼は解放されるのだった。それはさておき、クラヤミンダーから解放された女性客の方を対処するという事でウインク、キュンキュン、ズキューン、キッスは一度戻ると彼女の対応のためアイドルとソウルだけその場に残る事になる。

 

「そうだ、ソウル。ここも私に任せてもらって良い?」

 

「え?……まぁ良いけど」

 

「ありがと」

 

ソウルはアイドルにこの場を任せるべく一度離れると暫くしてクラヤミンダーから救出された女性客が目を覚ます。そんな彼女の元にアイドルが歩いていくと彼女の持ち物であるカイトのサイン入り色紙を手渡す。

 

「……はい!メイさんのだよね?」

 

「へ?キュアアイドルちゃん!?本物!?可愛い!というか名前を呼んでくれた!?」

 

女性客ことメイは先程まで気絶していたかと思ったら目の前に推しのアイドルに会えて嬉しそうな顔になる。

 

そんな中、グリッターから出たと思われるカイトが眼鏡と帽子のいつもの変装スタイルで遠くからそれを見ていた。そして、場面がもう一度アイドル達の所に戻るとメイからの申し出にアイドルが驚いている所だった。

 

「えっ!?本当に服に良いの!?」

 

「お願いします!」

 

どうやらメイがサインを書くようにお願いしたのは彼女の今着ている服らしい。そのため、アイドルはメイの背中にサインを描いていく。ただ、やっぱり着ている服の上からなのでメイはそのくすぐったさに思わず笑ってしまった。

 

「やっぱりくすぐったいですよね」

 

「大丈夫です……ひゃあ、はは……」

 

「メイさんキラッキランラン〜!」

 

アイドルは前回のような失敗をしないようにするためにある程度考えながらも、それでも話し方は自然に。とは言ってもアイドルの事なのであまり考えずにやってるかもしれないが。

 

ただ、前回の時よりもサインを描いてもらってる相手はとても嬉しそうだった。そして、それも影から見てるカイトはわかっているのか感心したような顔で見ている。

 

「わぁ!ありがとうございます!」

 

それからアイドルは見事なサインを描き上げるとメイと別れる事になるのだった。そのため、ソウルがそれを見届けてから合流する。

 

「まったね〜!」

 

「もしかしてこの前のリベンジ?」

 

「まぁ、そんな所……」

 

「というか、ファンサするなら二人での方が良いのに」

 

「……ううん。今回に関してはどうしても私一人でやりたかったの。ソウルに頼りっぱなしは嫌だし」

 

「頼られなさすぎると逆に不安になるけどな?」

 

ソウルがそう軽口を言うと、更にそこにカイトがやってきて二人へと話しかける。

 

「……嬉しそうだったね?」

 

「カイトさん!?」

 

「こんにちは、カイトさん」

 

ソウルが挨拶するとカイトの顔を見たアイドルは嬉しそうに微笑みながら彼へと返した。

 

「ファンの人にちゃんと声をかけながらサインを描いたらキラッキランランになってくれて、私までキラッキランランになっちゃいました!」

 

「うん、良かったじゃん」

 

「ッ、はい!」

 

カイトからの言葉に思わず畏まるアイドル。そんな中でカイトはアイドルを覗き込むように顔を近づけた。

 

「キュアアイドル、キュアソウルも」

 

「……へ?」

 

「ここでまた戦った?」

 

その言葉にアイドルはこれ以上この場にいたらカイトに色々バレるという危機感を感じたせいか即逃げ出した。

 

「な、何にも無いですぅうう!」

 

「ちょ!?アイドル!」

 

ただ、完全に見えなくなる前にアイドルは振り返るとカイトへと話しかけた。

 

「カイトさん!ありがとうございました!」

 

アイドルがいつものキュアアイドルのポーズを取ると同時にカイトの前を去っていく。それをカイトは唖然とした顔で見ていた。

 

「アイドルの俺にファンサするなんて……ふっ、やっぱり君は面白いね」

 

カイトはそう呟くと彼はソウルの方を向く。ソウルはそんなカイトへと目線を返した。

 

「カイトさん?」

 

「……やっぱり、君はアイツに似てる」

 

「アイツ?」

 

「俺の大切な人だよ。……少なくとも、俺から見たら」

 

その言葉にカイトは過去に何か取り返しのつかない失敗をやってしまったという後悔をソウルは感じていた。

 

「それと、君もちゃんと仲間を頼れてるみたいだな」

 

「わかりますか?」

 

「それが一目でわかるくらいには肩の力が抜けてるよ」

 

「……そうですか」

 

ソウルはそう返すとカイトはソウルへと改めて話しかける。その目は真剣な物だった。

 

「……君は一度過去に挫折したことがあるんだろ?」

 

「えぇ……。一度心がボロボロに折られました」

 

「そっか……でも君はこうして立ち直れた。俺がもっとちゃんと彼の事を見ていたらあんな事には……」

 

カイトが暗い顔をソウルに向けるとソウルは一度溜め息を吐いてからカイトへと答えを返す。

 

「……今からでも遅く無いですよ。少なくとも、俺はこうして挫折から戻れたんですから。カイトさんがその人とちゃんと向き合えばきっと」

 

「そっか。……邪魔したね」

 

「いえ、むしろ……俺はテレビ局で大切な事に気がつけて、結果的にカイトさんにも助けられました。これからも活動する上で会うかもしれません。その時は……またよろしくお願いします」

 

ソウルはその言葉を残して先にいなくなったアイドル達を追うために跳び上がると去っていく。カイトはそんなソウルの後ろ姿を見届けて僅かに微笑むのだった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。