キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

186 / 328
苦しみの炎が消える時

クラヤミンダーと対峙するソウル達へと立ちはだかるスラッシュー。彼女は構えるとその瞬間、いきなり手に二本の炎の剣を出す。

 

「……まずは、はっ!」

 

スラッシューは手にした炎の剣を初手でいきなり投げた。スラッシューが踏み込んで来ることを想定したプリキュア達は虚を突かれてしまう。その剣はソウルとキュンキュン、更にウインクとキッスの足元に着弾して爆発。煙が発生して四人の視界を一気に奪ってしまう。

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「皆!」

 

「はあっ!」

 

更に六人が混乱している隙を突くようにスラッシューは今度こそ踏み込むと一気にプリキュア達へと接近。その中でキュンキュンとソウルのいる煙の中に突っ込んだ。

 

「やべっ!」

 

ソウルは目の前に現れたスラッシューに対して防御の構えを取るとその直後に彼女の蹴りがソウルの両腕による防御の上から炸裂する。

 

「ぐっ!!」

 

ソウルは思いっきり重心を落としてどうにか耐えようとするが、これはスラッシューのパワーが上回ったために彼は後ろに吹き飛ばされてしまう。そして、その様子は視界が丁度塞がれていなかったアイドル、ズキューンからも見えるわけで。

 

「ソウル!!」

 

「ッ、やっぱり速……え?」

 

ズキューンはスラッシューの動きが速いことを言いかけて硬直する。そのタイミングで何故かスラッシューはソウルへの追撃……では無く、自分とアイドルの前にいたのだから。

 

「嘘!?」

 

「あなた達も来なさい!」

 

実は先程、ソウルを思いっきり蹴り込んだ反動を使って後ろに跳ぶと一度煙の外に出ていたのだ。そして、先程発生させた煙はこの時点で両方とも消えつつあった。つまり一時的に無力化したウインク、キュンキュン、キッスの視界も戻ってきていたためにスラッシューはすかさず踏み込んで加速。アイドルとズキューンの前にいたのだ。

 

「ッ!そうは……」

 

「させ……ッ!?」

 

勿論アイドルもズキューンも先程ソウルが吹っ飛ばされた事を考えてスラッシューから来ると思われる攻撃を迎撃しようと動き出していた。しかし、スラッシューは二人への攻撃……では無く、二人の腕を掴むとそのまま全速力で前に加速したのだ。

 

「「きゃあっ!?」」

 

スラッシューに引っ張られるままに引き摺られる形となるアイドル、ズキューン。それをようやく視界の戻ったウインク達が認識する。

 

「アイドル!」

 

「お姉様!」

 

「とにかく二人を……」

 

「おっと、これ以上は通行止めだ」

 

ウインク、キュンキュン、キッスが三人のフォローに動こうとする中、三人へと立ち塞がるように移動したクラヤミンダー。そしてザックリーもここから先には行かせないとばかりに出てくる。

 

「ッ、邪魔よ!そこを退きなさい!」

 

キッスはソウルやズキューンを連れて行かれたのに憤慨して蹴りを繰り出すが、クラヤミンダーはそれを受け切ると逆にキッスを弾いてしまう。

 

「ッ!?」

 

「クラヤミ!」

 

「まさか、狙いは私達の分断!?」

 

「その通りだ。スラッシュー様が折角三人も引き受けてくれたんだ……ザックリ今のうちに叩き潰してやる!」

 

「とにかく迎え撃つしかありませんね!」

 

そのままウインク、キュンキュン、キッスのトリオで目の前にいるクラヤミンダー、ザックリーに対応する事になるのだった。

 

そして、ソウルは吹き飛ばされたものの、ある程度体が飛んだ所でどうにか踏み留まる。

 

「スラッシューにしては割と雑……ッ!?」

 

ソウルが体勢を立て直した瞬間。いきなり目の前にアイドルとズキューンが飛んで来る。

 

「「うわぁああっ!」」

 

「え?ちょっ!ぐはあっ!?」

 

ソウルはいきなりの事態に対応も間に合わず、三人纏めてまた吹き飛ばされると地面へと激突。少ししてアイドルとズキューンがどうにか立ち上がった。

 

「痛たた……ズキューン大丈夫?」

 

「えぇ……」

 

「二人共無事か。……だったら頼む、退いてくれ……」

 

「「え?」」

 

二人はいきなり下から聞こえた声の方を向くとそこにはソウルが自分達の体の下におり、それはつまり……。

 

「うわあっ!?ソウルごめん!」

 

「すぐに退くね!」

 

アイドルとズキューンは倒れる際にソウルを下敷きにしてしまったらしい。アイドルとズキューン、個人個人は軽くても流石に二人同時に全体重をかけられると重かったためにソウルは苦しそうな声を上げたのだ。

 

そして、二人が退くとソウルはやっとその重さから解放されて立ち上がる。

 

「そういや、スラッシューは」

 

「ここにいるわよ。流石にさっきのやり取りをしている最中に不意打ちなんて卑怯な真似はしないわ」

 

スラッシューは三人のやり取りが終わるまでは待ってくれていたようである。彼女としてはあくまで正々堂々とやり合うつもりのようだ。

 

「それにしても、何で私達三人を?」

 

「うん。ソウルが狙われるのはいつも通りでも、何で私やアイドルまで」

 

そこが不明な点だ。ソウル、アイドル、ズキューン。この三人を同時にウインク達から引き剥がしたのには何か意図があるようにも見えたのである。

 

「……まさか!?」

 

「どうしたの、ソウル?」

 

「ふふっ、流石にあなたは察しが良いわね。……そう、今ここに連れてきた三人抜きでは……クラヤミンダーの浄化が不可能になる!」

 

「うえっ!?」

 

スラッシューからの言葉にアイドルやズキューンもその事を思い出す。クラヤミンダーを浄化可能な技はハイエモーション、ズキューンキッスディスティニー、ソウルシャウトの三つ。ハイエモーションはアイドル達三人の誰かが欠けたら発動不可なのは当然として、ソウルシャウトもソウル本人を連れてきたから使えない。

 

ズキューンキッスディスティニーはズキューン、キッスの二人又はその代役となり得るソウル。この中の誰か二人がいないと使用不可……つまり向こうにいるキッス一人では使えないのだ。

 

「つまり、向こうの三人は私を倒してここを突破しなければクラヤミンダー相手に勝つ事ができないわ」

 

「だったら、素早くあなたを倒すだけだよ!」

 

ズキューンは飛び出すとスラッシュー相手に拳を繰り出す。それに対してスラッシューはその拳を片手で受け止めた。

 

「ッ!」

 

「確かにあなたの拳は強い……でも、私には及ばない!」

 

「だったら!アイドルグータッチ!」

 

その瞬間、アイドルがズキューンをフォローするために飛び出すとブローチをタッチしつつの強力な拳を放つ。しかし、スラッシューはそれさえも空いている方の手で止めてしまう。

 

「ッ……これでもダメだなんて」

 

「そろそろ反撃させてもらうわ」

 

その瞬間、スラッシューが自身の後ろに生成した火炎弾を二人へと放とうとする。

 

「させるか!ズキューンの力、ソウルインパクト!」

 

だが、火炎弾が放たれる前にソウルが白いエネルギーを纏って突進。スラッシューへと激突し、後ろへと吹き飛ばした。

 

「流石、ソウルね。でもこれは見越してるかしら?」

 

スラッシューがそう呟いた直後。いきなり三人の上に無数の影ができると上空から剣が降り注ぐ。

 

《千刃落焔》

 

「くっ!」

 

三人はどうにかその雨を回避。ただ、既にスラッシューは自身のペースに持ち込むべく音楽を響かせる。

 

「来る、スラッシューの本気!」

 

「そうよ、私の歌で焼かれなさい!」

 

ソウル達は警戒心を強める中でスラッシューの体にエネルギーが纏われると早速歌い出す。

 

〜挿入歌 BIGBANG My BLAZE〜

 

「幸せはいつの日も唐突にすり抜ける♪弱い自分はその時をただ見てるだけ〜♪」

 

スラッシューは歌いながらソウルに接近すると手に高めた炎のエネルギーで斬撃波を繰り出す。

 

「はあっ!」

 

ソウルはスラッシューの斬撃波に対してそれを自身の腕を白いエネルギーでコーティング。一部だけ発動させたソウルインパクトで攻撃を防いだのだ。

 

「アイドル、ズキューン!」

 

ソウルはアイドルとズキューンへと声を上げると自身と三方向からスラッシューを挟む形で同時攻撃を仕掛ける。

 

「どんなに足掻いたとしても叶わない夢はある〜♪だからこそ、私は手段を選ばない〜♪」

 

対して、スラッシューはその攻撃を自身の周囲に発生させた火柱でどうにか防いだ。

 

「今!ズキューンバズーカー!」

 

三人の攻撃が止めさせられた一瞬。ズキューンはすかさずエネルギーによる砲撃を放つ形で火柱を突破。スラッシューを吹き飛ばした。

 

「ッ……奪われる♪大切な物全て♪だからもう奪われぬよう、強く燃えるんだ♪」

 

その瞬間、スラッシューの纏うエネルギーが歌の途切れに合わせる形で一瞬途切れると再度歌に戻った事で復活した。

 

「やっぱり、歌うのを止めるのが有効なんだな」

 

「……」

 

ソウルはこのままスラッシューの歌を中断させられれば優位に立てると彼女の歌をどうにかキャンセルさせようとする。しかし、アイドルはどこか気が進まなさそうだった。

 

「だあっ!」

 

今度は珍しくソウルが前に出るとスラッシューへと肉薄。対して彼女は手にした炎の鞭を振り抜く。

 

《撃炎乱舞》

 

「闇の中、深く沈む私の体全て〜♪どんな試練、私に立ち塞がろうと♪(BURNING!BURNING!)燃え立つ私は今、生まれる♪(BURNING!BURNING!)」

 

スラッシューからの攻撃をソウルはどうにか紙一重で回避して肉薄。すかさずソウルメガホンの力で盾を召喚する。

 

「キッスの力、ソウルディフェンダー!」

 

「!?」

 

「盾で、殴るんだよ!」

 

ソウルは電撃を纏わせたソウルディフェンダーを振り抜くとスラッシューを殴る形で吹き飛ばす。スラッシューはそれに苦痛の顔を浮かべるが、ギリギリの所で歌を継続。すかさず反撃の大技を繰り出す。

 

「誰かを頼るんじゃ無い♪新しい自分が今!♪ここにビッグバン!誕生だ!♪」

 

《深炎黒龍波》

 

しかしソウルに歌を一番の盛り上がり部分で若干止められたせいか、技はスラッシューの最強技では無い。そして、ソウルはそれを待っていた。

 

「その技なら、止められる!二人の力、ソウルスクリュー!」

 

ソウルメガホンから解き放たれる白と黒のエネルギーの奔流はスラッシューからの漆黒の龍とぶつかり合う。

 

「「はぁああっ!」」

 

ソウルとスラッシューは全力をぶつける中、突如としてアイドルが走っていく。

 

「ッ!」

 

「アイドル!?」

 

いきなり動き出したアイドルにズキューンが驚く中、二つの攻撃は完全に相殺されて爆発。

 

「ッ、まだよ!」

 

スラッシューはまだ歌による力のブーストの効果範囲内という事でソウルだけでも明確なダメージを与えようと突撃。逆にソウルは歌い終わった直後、このタイミングでの突撃は無いと考えていたために完全に虚を突かれた。

 

「しまっ……」

 

そんな時だった。ソウルの前に走ってきたアイドルが割って入ると両腕を広げてソウルを庇い、そのまま彼女は声を上げる。

 

「スラッシュー、止めて!」

 

ただ、アイドルが庇った所でソウルが攻撃を受ける結果は同じ……はずだった。

 

「ッ……何で……」

 

何故かスラッシューはアイドルへの攻撃を寸止め。ソウルやズキューンはアイドルの気迫に押されたのかと一瞬考えるが、スラッシューがその程度で攻撃をキャンセルするなんて思えなかった。

 

「どうして、どうしてなの!……キュアアイドルへの攻撃なんて、今更躊躇する必要無いのに!」

 

スラッシューが困惑したように叫ぶ中、アイドルはスラッシューへと話しかける。

 

「……どうして、スラッシューは歌を歌うの?」

 

「は?何言ってるの……自分自身のためって、前に……」

 

「それは違うよね?」

 

アイドルにそう言われてスラッシューは思わず目を見開く。それからアイドルがゆっくり近づくとスラッシューが出そうとした拳に自分の拳を軽く合わせる。所謂グータッチだ。

 

「スラッシューはいつも歌う時凄く楽しそうに歌う。でも、その歌はどこか寂しそうにも見えるの!まるで、誰かを探しているような感じで」

 

「ッ、黙れ!お前に、お前なんかに何が!」

 

スラッシューは口調が崩れるのも構わずに手に炎の剣を生成。アイドルへと不意打ちで上から振り下ろそうとする。その瞬間、スラッシューの脳裏に何かの記憶が流れ始めた。

 

そこには前に天城の姿で見た記憶の欠片が流れていく。それは二人組で、ステージの上におり、その中の片方はスラッシュー本人と言わんばかりに視線が乗り移っていた。衣装は水色のフリフリの可愛くて、誰かのために一生懸命に歌を聴かせる。その時間のために全力で、それだけが生き甲斐みたいな存在だ。

 

それから自分の視線が一瞬だけ隣に映るとステージ上でパートナーである黄色い衣装を着た、キュアアイドルやうたと雰囲気がそっくりな女性。そんな彼女は自分へと勇気をくれるように微笑んでくれる。このように、誰かのために歌う自分はまるで……この世界におけるアイドルその物だった。

 

「嘘よ……嘘!私は、私はあなた達なんかと違う!……私の歌なんて私一人の歌なんて……誰にも届かないのよ!」

 

その直後、スラッシューの脳裏にノイズがかかったような形で流れ行く記憶。そこにはある事件が原因で二人組のアイドルユニットが解散した事、それから水色のドレスの女性は歌を必死に周りへと届けようとした事。……その声はまるで世間から受け入れられなかった事。

 

女性はその中で関係者達に見放されて孤独になって……いつしかステージの上から姿を消して行った。

 

「……私は、あの子の隣でしか歌えなかった……。私の歌なんて一人では無意味なの!誰にも響かないの!」

 

「さっきからスラッシュー、何を言って……」

 

「多分……スラッシューが俺の事を執拗に狙ってたのって……この記憶が関係してるんじゃ」

 

ズキューンが困惑する中、スラッシューはその場に崩れ落ちると頭を抑える。そんな時、アイドルは手を差し出す。

 

「……スラッシューさん、今からでも遅く無いよ」

 

「え……」

 

「スラッシューさんのキラッキランランは、全員には届かなかったかもしれない。でも、聞いてくれたどこかの誰かにはきっと響いてるよ」

 

スラッシューは微笑みかけてくれるアイドルの手を見て戸惑うものの、それをそっと取ろうとする。手を取ればまたあの時みたいに自分は輝ける……そんな気がしたのだ。しかし、その瞬間だった。またスラッシューの脳裏の映像の中でダークイーネの目がギロリと睨む。

 

「がぁあああっ!?」

 

「スラッシューさん!?」

 

「くっ、多分これカッティーの時と同じだ!アイドル、離れろ!」

 

スラッシューがダークイーネから与えられた激痛を抑えようと悶える中、ソウルがスラッシューの近くでは危険だとアイドルへと声をかける。ただ、アイドルはできる事ならスラッシューの側にいたかった。

 

「でも、スラッシューさんをこのままには……」

 

「……キュア、アイドル……」

 

「え?」

 

「うた……

 

スラッシューから出たのは天城が前にアイドルに向けて言った人間の名前だ。それにアイドルは困惑する。何故彼女がその言葉を言ったのか……と。

 

「助けて……お願い、この苦しみを終わらせて……早くぅ!」

 

スラッシューは自分を始末するように懇願した。スラッシューの言葉を聞いてここで倒してしまえば、スラッシューは確かに痛みからは助けられる。ただ、アイドルはそれを躊躇した。それは本当の意味で彼女を救う事にはならないと思えてならなかったからだ。

 

「アイドル、どうするの?」

 

「スラッシューさん……トドメを刺すしか無いの?」

 

「……アイドル。俺にやらせてくれ」

 

「え?」

 

アイドルへとソウルが声をかけるとアイドルはその方を振り返る。それから彼はスラッシューの元に歩み寄った。

 

「……全部の責任は俺が負う。スラッシューを浄化し切れるのはこの場にいるメンバーだと俺だけだ」

 

「そんな、ソウル!一人だけで責任を負うなんて」

 

「ごめん。皆を頼るって言ったばかりなのに」

 

ソウルも申し訳なさそうな顔を見せる。本当なら彼も周りを頼りたい、そう思っていた。ただ、彼の言う通りアイドルのステージ技ではスラッシューを止めるには火力不足過ぎる。一度目のカッティンダーの時のように中途半端に浄化しては苦しみが長引くのみでしか無い。

 

「キュア……ソウル、あなたにやられるのなら……」

 

「そうか……」

 

スラッシューがソウルからの攻撃を受け入れようとしたその時、ズキューンがソウルの手を横から掴む。

 

「待って!だったら私もやる。その方が……良いんでしょ?」

 

ズキューンは最初こそなかなか話について行けなかったのだが、何となくスラッシューを倒すのなら一気に強い技をぶつけた方が彼女を救えるという事は理解していた。そのため、彼女も自分のやれる事をやりたいと言わんばかりに声を上げたのである。

 

「ズキューン……わかった、頼む」

 

それからソウルはソウルメガホンを一度黒に合わせるとキッスの代役としてエントリー。ソウルがキッスの光を纏った状態でそのままズキューンとソウルは二人でマイクを手にする。それから領域を展開し、技を発動した。

 

「「二人の誓い!今、輝け!」」

 

二人は掛け声と共にクラヤミンダーを強制着席させると浄化のための歌を歌う。

 

♪決め歌 Awakening Harmony♪

 

「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」

 

「その笑顔♪」

 

「勇気♪」

 

「涙♪」

 

「夢♪」

 

「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪」」

 

二人は最後まで歌を歌い切ると観客達は白と黒のキラキライトを振る。その歌はハモリ側の声はキッス本人の時と比べると当然低音の色合いが強い。しかし、メインのズキューンの透き通る声にソウルのよりしっかりとした低音のサポートの声はズキューンの歌をいつも以上に支えているように感じられた。

 

「「プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」

 

ズキューンとソウルは白と黒の光の一撃をクラヤミンダーへと放つ。勿論ソウルはキッスの代役になるため、キッスのポジションの動きを完璧に再現していた。

 

そのまま二人の技はスラッシューへと降り注ぐと彼女の体を浄化。ご丁寧にソウルはその際もキッスと同じ決めポーズを取る。そして、スラッシューは光の一撃を受けると体に凄まじいダメージが走っていく。

 

「があああああっ!」

 

それから技の光が消え去る時には……スラッシューの姿は無かった。つまり、完全に消滅した事になる。

 

「スラッシュー……そんな……ッ」

 

「これで……良いんだよな」

 

ソウル達はスラッシューにトドメを刺した……ソウル達は彼女の望む形で跡形も無く浄化したはず。しかし、どうしても心にはモヤモヤが残ってしまう。それは、きっとスラッシューを真の意味でまだ浄化できて無かったからだ。

 

「……皆、行こう。まだ全部は終わってないから」

 

「うん、ほら。アイドルも」

 

「わかった」

 

それからソウル、アイドル、ズキューンの三人はウインク達を助けるために移動を開始するのだった。

 

そんな中、堤防の上にいる一人のフードを被った影がそんな三人を見下ろしつつ溜め息を吐く。

 

「はぁ……。ダークイーネ様の命令とは言えあの光の中に突っ込ませるとか、かなりの鬼畜をやらせるね」

 

その影の足元にいたのはかなりボロボロだったものの、浄化したはずのスラッシューが傷だらけで倒れていた。

 

「まだあなたが倒れたら困ると、ダークイーネ様からのお達しだよ。ま、でもあなたは潜伏の事をカミングアウトして無いんだ。せめてその事くらいは言ってあげな」

 

それから三人が去ったのを見届けてからフードを被った影がスラッシューへと手を当てると彼女の体を一部だけ回復。そのままその体を運ぶとまたスラッシューが倒された場所である堤防の下にある草むらに下ろすのだった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。